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【余命三年時事日記】2301 ら特集富山県弁護士会@ 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2301 ら特集富山県弁護士会@ 2018年1月17日

ソース:2301 ら特集富山県弁護士会@ 2018年1月17日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/01/17/2301-%e3%82%89%e7%89%b9%e9%9b%86%e5%af%8c%e5%b1%b1%e7%9c%8c%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a0/

2301 ら特集富山県弁護士会@
 
 富山県弁護士会です。

 決議文・意見書・会長声明一覧
 ttp://tomiben.jp/statement

 2017.12.21
 生活保護基準引き下げを行わないよう求める会長声明

 2017.11.24
 平成29年司法試験結果に対する会長声明

 2017.09.22
 地方消費者行政の一層の強化を求める会長声明

 2017.08.29
 民法の成年年齢引下げに反対する会長声明

 2017.06.27
 組織的犯罪処罰法の改定(いわゆる共謀罪の新設)に抗議する会長声明

 2017.04.20
 修習給付金を支給する制度を創設する裁判所法改正についての会長声明

 2017.03.24
 組織犯罪処罰法の改定(いわゆる共謀罪の新設)に反対する声明

 2016.12.27
 司法試験合格者数のさらなる減員を求める17弁護士会会長共同声明

 2016.05.26
 死刑執行に対する会長声明

 2016.03.28
 夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて民法における差別的規定の改正を求める会長声明

 2016.02.26
 消費者庁・消費者委員会・国民生活センターの地方移転に反対する会長声明

 2016.01.28
 死刑執行に対する会長声明

 2016.01.20
 司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明

 2015.09.24
 安全保障関連法の採決に抗議する会長声明

 2015.09.03
 少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明

 2015.08.31
 労働時間規制の大幅緩和を内容とする「労働基準法等の一部を改正する法律案」の成立に強く反対し,その廃案を求める会長声明

 2015.07.23
 事前拒否者に対する訪問や電話による取引の勧誘を禁止する制度の導入を求める会長声明

 2015.07.08
 集団的自衛権行使容認に反対し、安全保障法制関連法案の廃案を求める決議

 2015.06.24
 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明

 2015.05.28
 集団的自衛権行使容認と安全保障法制改定法案に反対する会長声明

 2015.02.18
 司法試験合格者数の削減を求める決議

 2015.02.05
 商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明

 2014.11.28
 特定秘密保護法の施行に反対し廃止を求める会長声明

 2014.05.27
 憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明

 2014.04.23
 商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和に反対する会長声明

 2014.03.17
 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明

 2013.11.27
 改正金融商品取引法施行令に商品先物取引に関する市場デリバティブを加え、 商品先物取引についての不招請勧誘禁止を維持することを求める会長声明

 2013.10.30
 特定秘密保護法案に対する会長声明

 2013.10.30
 生活保護の利用を妨げる「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明

 2013.04.24
 生活保護基準の引下げに強く反対する会長声明

 2013.03.28
 法曹人口の急激な増加を改め、司法修習生に対する適切な経済的支援を求める声明

 2013.03.06
 「福井女子中学生殺人事件」再審異議審決定に関する会長声明

 2012.11.28
 取調べの可視化を求める会長声明

 2012.02.29
 「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」に対する反対の会長声明

 2012.02.10
 全面的国選付添人制度の実現を求める決議

 2011.11.30
 「福井女子中学生殺人事件」再審開始決定に関する会長声明

 2011.10.12
 各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議

 司法修習費用の貸与制の施行を延期する法律成立にあたっての会長声明

 生活保護基準引き下げを行わないよう求める会長声明

 厚生労働省は,2017年12月8日の第35回生活保護基準部会において,2018年度から生活扶助基準本体や母子加算を大幅に引き下げる案(以下,「厚労省案」という。)を示した。2004年からの老齢加算の段階的廃止,2013年からの生活保護史上前例のない大幅かつ広範な生活扶助基準の引き下げ(一世帯当たり平均6.5%,最大10%),2015年からの住宅扶助基準引き下げ・冬季加算の削減に引き続くもので,特に,子どものいる世帯と高齢世帯が重大な影響を受ける。

 厚労省案によれば,子どものいる世帯の生活扶助費は,都市部の夫婦・子2人世帯で13.7%(2万5310円)も削減され,母子加算が平均2割(都市部で2万2790円の場合4558円),3歳未満の児童養育加算(1万5000円)が5000円削減され,学習支援費(高校生で5150円の定額支給)が廃止される可能性がある。また,高齢(65歳)世帯の生活扶助費は,都市部の単身世帯で8.3%(6600円),夫婦世帯で11.1%(1万3180円),それぞれ削減される可能性がある。

 今回の引き下げの考え方は,生活保護基準を第1・十分位層(所得階層を10に分けた下位10%の階層)の消費水準に合わせるというものである。

 しかし,日本では,生活保護の捕捉率(生活保護を利用する資格のある人のうち実際に利用している人が占める割合)が2割以下といわれており,第1・十分位層の中には,生活保護基準以下の生活をしている人たちが極めて多数含まれている。この層を比較対象とすれば,際限なく生活保護基準を引き下げ続けることにならざるを得ず,合理性がないことが明らかである。そして,まさに今回の厚労省案は,この懸念が顕在化したものであり,際限ない生活保護基準引き下げの始まりととらえるべきものである。特に,第1・十分位の単身高齢世帯の消費水準が低すぎることについては,生活保護基準部会においても複数の委員から問題として指摘がなされている。また,同部会報告書(2017年12月14日付)も,検証結果を機械的に当てはめると子どもの健全育成のための費用が確保されないおそれがあること,一般低所得世帯との均衡のみで生活保護基準を捉えていると絶対的な本来あるべき水準を割ってしまう懸念があることに注意を促しているところである。

 いうまでもなく,生活保護基準は,憲法25条1項がすべての国民に権利(生存権)として保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化した基準であり,最低賃金,地方税の非課税基準,各種社会保険制度の保険料や一部負担金の減免基準,就学援助などの諸制度と連動している。生活保護基準の引き下げは,生活保護利用世帯の生存権を直接脅かすとともに,生活保護を利用していない市民生活全般にも多大な影響を及ぼすものである。

 今般,厚生労働省は,大幅削減案に対する大きな反発を考慮し,削減幅を最大5%にとどめる調整に入ったとの報道もある。しかし,そもそも,従前の前例のない大幅かつ広範な生活保護基準の引き下げにより,憲法25条1項が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が侵害され違憲であるとして全国各地で生活保護基準引き下げ違憲訴訟が提起されている中で,そこからさらに,5%であっても削減を行うことなど許されないというべきである。また,削減の根拠に合理性がない以上,削減幅を縮小したから許されるというものではない。さらに今回の引き下げは,これまでの度重なる生活保護基準の引き下げによって既に「健康で文化的な最低限度の生活」を維持しえていない生活保護利用者を一層追い詰め,それだけでなく,市民生活全般の地盤沈下をもたらすものであり,容認できない。
よって,当会は,厚労省案の撤回は当然の前提として,本年末に向けての来年度予算編成過程において,いっさいの生活保護基準の引き下げを行わないよう,求めるものである。

 2017(平成29)年12月20日
 富山県弁護士会 会長 山 口 敏 彦

 平成29年司法試験結果に対する会長声明

 第1 声明の趣旨

 1. 当会は,平成29年司法試験合格者数の決定にあたり「1500人程度」という政策上の人数確保ありきで「質の確保」という大前提が遵守されなかったのではないかとの疑義を表明する。

 2. 当会は,政府に対し,法曹の魅力を取り戻し,法曹の質を確保するため,司法試験合格者数について直ちに見直し,年間合格者数を1000人以下とするように求める。

 第2 声明の理由

 1. 本年9月12日,平成29年司法試験結果が発表された。本年の受験者数は5967人と昨年の6899人より932人減少し,また,本年の合格者数は1543人と昨年の1583人から40人減少した。昨年より受験者数が大幅に減少したにもかかわらず,合格者数はほぼ昨年並みとされた結果,受験者全体に占める合格者の割合は昨年の22.9%に対し,本年は25.9%と上昇した。ところで,2015(平成27)年6月30日の法曹養成制度改革推進会議では,司法試験合格者について,当面「1500人程度」は輩出されるよう必要な取組を進めるとされた一方,輩出される法曹の「質の確保」が大前提とされていたところ,受験者数が大幅に減少したにもかかわらず合格者数は微減に止まったというアンバランスな結果は,本年の合格者数決定にあたり「1500人程度」という政策上の人数確保ありきで法曹の「質の確保」という大前提が遵守されなかったのではないかとの疑義を生じさせるものである。当会は同年2月の総会で司法試験合格者数を年間1000人以下にすることを求める決議をしているが,これに反する大量の合格者数は勿論のこと,このような受験者が大幅に減少した中での合格率上昇は,司法試験の選抜機能を損なわせ,法曹の質の低下を招く危険性が高く,極めて遺憾である。

 2. 一方,2007(平成19)年から2013(平成25)年まで毎年2000人を超える司法試験合格者を輩出し続けた結果,司法修習を終了したものの12月の一括登録時点で弁護士登録せず,裁判官,検察官にもなっていない者(以下,「未登録者」という。)が急増し,その数は,2011(平成23)年から昨年まで毎年400人以上にも上っている。そして,昨年の司法修習終了者に占める未登録者の割合は25.8%という状況である。

 また,法曹需要の増加が進まないため,新人弁護士の給与水準の低下,固定給のない採用形態(ノキ弁)や司法修習終了後の即時独立(即独)が増加するなど,新人弁護士の苦境が報道されるようになって久しい。各種統計上,弁護士全体の収入も大幅な減少傾向にあり,問題は新人のみに留まらない。
このような状況のなか,法科大学院適性試験受験者が,2011(平成23)年7249人,2012(平成24)年5967人,2013(平成25)年4945人,2014(平成26)年4091人,2015(平成27)年3621人,2016(平成28)年3286人,本年3086人と減少の一途を辿り,適性試験が開始された2003(平成15)年に比べ10分の1以下にまで激減しているように,有為な人材が法曹界を敬遠する傾向に歯止めがきかなくなっている。優れた人材が供給されなければ,将来的な弁護士の質の低下は必至である。

 さらに,弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としている(弁護士法第1条)が,行き過ぎた弁護士増加は,その使命を果たすための前提となる弁護士活動の基盤と弁護士自治を破壊する。これにより最終的に不利益を被るのは国民である。

 このような数々の悪影響は,司法制度改革による急激かつ大幅な合格者増員政策に起因するものであり,既に弁護士過剰となっている現状において,早急かつ大幅な司法試験合格者の減少が不可欠である。よって,引き続き当会は政府に対し,司法試験合格者数を1000人以下とするよう求める。

 2017(平成29)年11月22日
 富山県弁護士会 会長 山 口 敏 彦

 地方消費者行政の一層の強化を求める会長声明

 近年、全国の消費生活センターに寄せられる消費者被害等に関する相談件数は毎年90万件前後と高水準で推移している。しかも、高齢者についてのこの10年間の相談件数の推移を見ると、年齢が高い層ほど増加傾向が強く、判断力が低下した高齢者を狙った悪質商法や詐欺商法による被害が深刻さを増している。しかし、実際に消費者被害に遭った人の中で消費生活センター等の行政の相談窓口に相談・申出をした人はわずか7.0%にとどまる(消費者庁「平成28年版消費者白書」98頁)。年間90万件に上る相談件数はあくまでも氷山の一角に過ぎない。また、消費者庁の推計によれば、潜在的な被害を含む消費者被害の合計額は、2015年(平成27年)は約6.1兆円に上る(同白書135頁)。

 このように消費者被害の実態が深刻さを増す中で、被害の発生を未然に防止し、また事後的に救済するために、地方消費者行政の一層の充実が求められている。とりわけ、地方消費者行政の体制を維持していく上で財政基盤を確保することが極めて重要であるところ、現在の地方消費者行政の財政基盤は、地方消費者行政推進交付金等の国の支援により支えられている。しかし、同交付金の適用対象は2017年度(平成29年度)までの新規事業に限定されており、このままでは地方消費者行政の体制確保が後退するおそれがある。

 また、現在、地方公共団体が担っている消費者被害の防止・救済に関する事務の中で、消費生活情報のPIO―NETへの登録事務や違反業者への行政処分事務、消費者安全法に基づく重大事故情報の通知事務、適格消費者団体への支援事務等については、日本国内の消費者被害情報を集約し、広域的被害を防止するという意味合いを持つ。これらの事務は国と地方公共団体相互に利害関係がある事務であり、消費者被害防止・救済のために全国的な水準を向上させる必要性が大きいため、国が恒久的に財政負担を負うべきである。

 さらに、今後の地方消費者行政の役割として、他部署・他機関との連携による高齢者見守りネットワークの構築や官民連携によるきめ細やかな消費者啓発・見守りの実施が重要である。また、違法な事業活動に対する法執行件数が減少しており、商品事故に関する原因究明や商品テスト担当職員が減少しているのも現状である。そのため担当職員の人員増加及び専門的資質の向上に向けて、国民生活センターによる研修実施や教材提供を一層拡充するなど、具体的な政策を検討すべきである。
そこで、当会は、消費者行政の体制整備を一層推進し、消費者被害の発生の防止を図るため、国に対し、以下の施策をとるよう求める。

 1 地方消費者行政推進のための交付金の継続

 国は、地方公共団体の消費者行政の体制・機能強化を推進するための特定財源である「地方消費者行政推進交付金」の実施要領について、2017年度(平成29年度)までの新規事業に適用対象を限定している点を、2018年度(平成30年度)以降の新規事業を適用対象に含めるよう改正するとともに、消費者行政の相談体制、啓発教育体制、執行体制等の基盤拡充に関する事業を適用対象に含めるよう改正し、同交付金を少なくとも今後10年程度は継続すべきである。

 2 国の事務の性質を有する消費者行政費用に対する恒久的財政負担

 国は、地方公共団体が実施する消費者行政機能のうち、消費生活相談情報の登録事務、重大事故情報の通知事務、違反業者への行政処分事務、適格消費者団体の活動支援事務など、国と地方公共団体相互の利害に関係する事務に関する予算の相当部分について、地方財政法第10条を改正して国が恒久的に財政負担する事務として位置付けるべきである。

 3 地方消費者行政職員の増員と資質向上

 国は、地方消費者行政における法執行、啓発・地域連携等の企画立案、他部署・他機関との連絡調整、商品テスト等の事務を担当する職員の配置人数の増加及び専門的資質の向上に向け、実効性ある施策を講ずべきである。以 上

 2017(平成29)年9月20日
 富山県弁護士会 会長 山 口 敏 彦

 民法の成年年齢引下げに反対する会長声明

 1. 当会は、若年者への消費者被害の拡大を防止する観点から、現時点での民法の成年年齢引下げに反対する。

 2. 選挙年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の一部を改正する法律が2016年6月19日に施行された。これを受けて、政府は、現在、民法の成年年齢を20歳から18歳へ引き下げることを議論している。

 しかし、民法の成年年齢を20歳から18歳へ引き下げることには多くの問題がある。

 3. そのうちの大きな問題の一つは、18歳、19歳の若年者が、未成年者取消権を失うことにより、若年者への消費者被害が増加する可能性が高いことである。

 若年者は、社会経験が不十分なことや被害にあったときの対応能力を十分に備えていないことから、様々な消費者被害に巻き込まれやすい。加えて、18歳、19歳という年齢は、就職、進学、転居等の人生における大きな節目を迎え、直接悪質業者の勧誘に曝され、高額の支払いを伴う契約を締結させられる機会が一気に増える時期である。

 そこで、民法は、未成年者が単独で行った法律行為は未成年者であることのみを理由に取り消すことができるよう定め、未成年者の保護を図ってきた(民法第5条第2項)。

 そして、未成年者取消権は、未成年者に違法もしくは不当な契約締結を勧誘しようとする悪質な事業者に対する大きな抑止力となってきた。このことは、未成年者取消権を失う20歳から消費者被害の相談件数が急増すると国民生活センターが報告していることから明らかである。

 したがって、18歳、19歳の若年者が未成年者取消権を失えば、消費者被害に巻き込まれる可能性が高まることは確実であって、民法の成年年齢引下げは若年者への消費者被害の増加につながる大きな危険を有している。

 4. また、若年者に対する消費者被害増加を防止するためには、若年者または消費者全般を保護するための法改正や、より一層の消費者教育の拡充が重要である。

 しかし、我が国では、そのような施策の実施は現時点では十分であるとはいえず、そもそも、若年者の消費者被害の実態に対する理解も十分とはいえない。

 成年年齢を引き下げる前に、こうした若年者への消費者被害拡大を防止し、若年者が安心して社会に出られるように施策が十分に準備されている必要がある。

 そして、そのような施策が十分なものといえるかについて、国民全体で検討し、議論を重ねた上で、成年年齢引下げの是非を判断していくべきである。

 5. 当会は、民法の成年年齢の引下げについては、若年者への消費者被害拡大を防止するための十分な施策の準備と、時間をかけた国民的議論を経た上で決定していく必要があると考える。

 よって、これらが実現していない現時点において、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることには反対する。 以上

 2017(平成29)年8月28日
 富山県弁護士会 会長 山 口 敏 彦

 組織的犯罪処罰法の改定(いわゆる共謀罪の新設)に抗議する会長声明

 去る6月15日、参議院本会議において、いわゆる共謀罪(テロ等準備罪)の新設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改定案の採決が行われ、同法案は賛成多数で可決成立した。参議院法務委員会での審議が尽くされないまま、委員会採決を省略して本会議での採決が強行されるという、異例の手続きによる成立であった。

 これまで当会は、以下の理由から改定に強く反対してきたところである。即ち、第1に、テロ対策目的での共謀罪新設を必要とする立法事実は認め難いこと、第2に、処罰対象を絞り、あるいは捜査機関の権限濫用を防止するために犯罪成立要件が加重されたとは言えず、過去に3度廃案になった共謀罪法案とその本質は変わっていないこと、第3に、法益侵害に向けられた具体的な危険性がある行為を処罰対象とし、未遂犯すら例外とし、より前段階の予備罪や陰謀・共謀罪は重大な犯罪について極めて例外的に処罰することを原則としている我が国の刑事法体系を根本から覆すものであること、第4に、共謀罪の成立要件がきわめて曖昧であるため、捜査機関の恣意的な解釈・運用を許すものとなること、第5に、犯罪計画や目的といった内心の探求が不可欠となり、自白の強要や盗聴捜査等が横行し、プライバシー侵害と監視の中で市民の自由な活動が萎縮するおそれがあること、である。

 共謀罪は、犯罪の「共謀」という内心を処罰対象とするため、人の内心を探求する捜査を拡大・助長するものであり、思想・良心の自由(憲法19条)、表現の自由、通信の秘密(21条)、プライバシー権(13条)といった憲法上の基本的人権を侵害するおそれが大きい。また、犯罪の成立要件が曖昧であるため、犯罪構成要件の適正さと明確性を求める適正手続条項(31条)にも抵触する可能性がある。この共謀罪の捜査及び処罰によって民主主義の過程そのものが回復不能なまでに傷つけられることを危惧せざるを得ない。

 当会は、かかる憲法違反の疑いのある法律が成立したことに対し強く抗議するとともに、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする職能集団として、今後とも、本法律の廃止に向けた取組みを続けることを表明するものである。

 2017(平成29)年6月21日
 富山県弁護士会 会長 山 口 敏 彦

 修習給付金を支給する制度を創設する裁判所法改正についての会長声明

 2017年4月19日、司法修習生に対して修習給付金を支給する裁判所法の一部改正法が成立し、同年11月から修習を開始する司法修習生から、修習給付金が支給されることになった。

 2011年に給費制が廃止され、修習資金を貸与する制度(貸与制)に移行してから司法修習生は、修習のために約300万円の貸与金を負担することとなり、法科大学院や大学の奨学金の債務も合わせて多額の債務を負担する者が少なくない。近年法曹志望者は激減しているが、このような経済的負担の重さが一因となっていることが指摘されており、当会でも2013年3月28日付の「法曹人口の急激な増加を改め、司法修習生に対する適切な経済的支援を求める声明」などにより、司法修習生の経済的支援の必要性を訴えてきたところである。

 今回の裁判所法の改正により支給されることになる修習給付金は、貸与制導入以前の給費よりは金額は少ないものの、司法修習生が充実した司法修習を行うための経済的支援の制度として、大きな一歩を踏み出すものである。当会は、この制度の創設を歓迎し、この間、司法修習生に対する経済的支援の制度の創設に賛同しご尽力いただいた国会議員や、署名活動等に協力いただいた市民の皆様に対して、あらためて心より感謝申し上げる。

 ところで、今回の改正では、2011年11月から2016年11月までに司法修習生に採用された者には、給付金制度が遡及的に適用されないことになっている。しかし、今回の法改正がなされるに至った背景として、近年、弁護士の所得が著しく低下している現実があることを忘れてはならない。すなわち、1年目の弁護士の所得の中央値は、2010年は524万円であったのに対して、2015年は317万円となっており、約40%も減少している。司法修習費用の貸与を受けている者の中には、大学や法科大学院の学費のための奨学金の返済を行わなければならない者もあることを考えれば、このような経済的状況において貸与金を返済することは、相当な困難を伴うものである。このような現実を踏まえて今回の法改正の背景を考えれば、既に司法修習を終え、また、現在司法修習を受けている貸与制世代に対しても、新たな制度と同等の経済的支援がなされなければならない。

 そもそも、司法制度は、三権の一翼として、法の支配を社会の隅々まで行き渡らせ、市民の権利を実現するための社会に不可欠な基盤であり、法曹は、その司法を担う重要な役割を負っている。このため国は、司法試験合格者に法曹にふさわしい実務能力を習得させるための司法修習を命ずるとともに、司法修習生に修習専念義務を課して、原則として兼業等を行うことを禁止している。このような制度のもとに司法修習に専念して、司法を担う重要な役割を果たそうとする者に対して、多額の司法修習費用を負担させたまま放置することは、制度の趣旨にも反するものといえる。そこで、当会は、政府に対し、2011年11月から2016年11月までに司法修習生に採用された者に対して、少なくとも今回の法改正により創設される修習給付金と同等の経済的支援がなされるよう、さらなる法改正等の対応を行うことを求める。以 上

 2017(平成29)年4月20日
 富山県弁護士会 会長 山 口 敏 彦

投稿日: 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2300 どんたく岐阜弁護士会E 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2300 どんたく岐阜弁護士会E 2018年1月17日

ソース:2300 どんたく岐阜弁護士会E 2018年1月17日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/01/17/2300-%e3%81%a9%e3%82%93%e3%81%9f%e3%81%8f%e5%b2%90%e9%98%9c%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a5/

2300 どんたく岐阜弁護士会E
 
 平成25年12月9日特定秘密の保護に関する法律の成立に抗議する会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei131209-html

 本年12月6日深夜、参議院本会議において特定秘密の保護に関する法律案の採決が強行され、同法律(以下、「特定秘密保護法」という。)が成立した。

 当会は、同法案に対して、本年11月11日に「特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明」を発表するとともに、街頭宣伝やパレードをするなどして、その成立に反対してきた。
 今回成立した特定秘密保護法は、特定秘密の範囲が広範かつ曖昧に過ぎるうえ、官僚が恣意的に特定秘密を指定する危険性を除去する実効的な方策は規定されていないため、上記会長声明で指摘したように、本来国民が共有すべき情報さえも隠ぺいされてしまう危険性を否定できず、国民主権に反し、民主主義の根幹を揺るがす事態を生じかねないものである。

 その他にも、特定秘密保護法には、@秘密の漏えいに関して、処罰範囲が過度に広範であり、かつ、刑罰が重いことから、取材・報道活動や国民の正当な言論活動にまで著しい萎縮効果をもたらすおそれが強く、取材・報道の自由や、国民の知る権利が侵害される危険性が強いこと、

 ?特定秘密の取扱者に対する適正評価制度は、プライバシーや思想信条の自由を侵害するおそれが極めて高いこと、?60年、更にはそれ以上の秘密指定が可能であることから半永久的に秘密とされる危険性があり、主権者である国民による検証が事実上不可能となること、?本年6月に南アフリカの首都・ツワネで公表された「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)に違反していること等、多くの問題点が指摘されている。

 国会で同法案の審議が開始されてからも、衆議院では政府側からの答弁に不一致や変遷がおきるなど審議が混乱し、修正案についても短時間の審議で採決が強行され、参議院においても、多くの参考人や公述人が述べた反対意見や問題点を指摘する意見について十分な審議がなされないまま、またもや採決が強行された。

 このように、特定秘密保護法は、その内容面及び採決に至る手続面のいずれにおいても、国民主権・民主主義の理念を踏みにじるものであり、到底容認できるものではない。

 よって、当会は、特定秘密保護法の成立に強く抗議するとともに、これからも、同法の改廃を含め、その問題点を解消するよう求めていくものである。

 2013年(平成25年)12月9日  
 岐阜県弁護士会 会長 栗山知

 本法案は、秘密保全法制に反対する会長声明において既に指摘したとおり、知る権利をはじめとする基本的人権及び憲法上の諸原理と正面から衝突する多くの問題を有している。中でもとりわけ問題なのは、「特定秘密」に指定できる情報の範囲を、@防衛、?外交、?特定有害活動防止、Cテロ活動防止の4分野としているが、いずれも広範かつ曖昧に過ぎ、どんな情報でもどれかに該当してしまうおそれがあることであり、また、「特定秘密」を指定するのは、その情報を管理している行政機関であるから、国民に知られたくない情報を「特定秘密」に指定して、国民の目から隠してしまえることになる。しかも、この「秘密指定」について第三者がチェックする制度がない。

 例えば、国民の関心が高い、普天間基地に関する情報や、自衛隊の海外派遣などの軍事・防衛問題は、「防衛」に含まれるし、今国民にとって最も不安である、原子力発電所の安全性や放射線被ばくの実態・健康への影響などの情報は、「テロリズムの防止」に含まれてしまう可能性がある。

 また、本法案は、一定の条件を満たす場合には行政機関から国会へ特定秘密を提供することができると定めているが(10条1項1号イ)、その取り扱いは秘密会で行うことが前提となっている上、ここにおいては行政機関の広範な裁量が認められており、国会による行政機関に対する監視機能を空洞化させるものになっている。これは、国会の最高機関性を著しく損なうものである。

 このように、秘密指定の運用によっては、本来国民が共有すべき情報さえも隠ぺいされてしまう危険性を否定できず、国民主権に反し、民主主義の根幹を揺るがす事態を生じかねない。

 この他にも、秘密の漏えいに関して、処罰範囲が広く、かつ刑罰が重いことから、取材・報道の自由に著しい萎縮効果を及ぼすおそれがあり、国民の知る権利が侵害されるおそれがあること、取扱者の適正評価制度は、プライバシー侵害性が極めて高いことなど問題点は枚挙にいとまがない。

 さらに、政府は、本年9月に通常1か月以上とする期間を僅か2週間として意見募集を行い、その意見募集期間終了後、僅か1か月余りで閣議決定をした。しかも、この意見募集に寄せられた約9万件の意見の8割が本法案に反対であった。政府は、本法案の作成過程においても、国民に深く考える機会を与えず、国民の考えを広く聞くことなく、あるいは国民の声を無視して、恣意的に立法化を進めようとしていると考えざるを得ない。

 以上のように、本法案には内容面、手続面の両面において重大な問題があり、当会は、本法案が立法化されることに強く反対する。

 2013年(平成25年)11月11日  
 岐阜県弁護士会 会長 栗山知
 

 平成25年12月12日集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei131212.html

 日本国民は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意し、」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」(憲法前文)そして、憲法第9条第1項では、戦争を永久に放棄し、第2項で戦力を保持しない、交戦権も認めないと明言した。憲法前文や第9条は、非戦・非軍事の平和主義を宣言した点で世界の憲法の中でも先駆的な意義を有するものであり、ほとんどの国民は、これを支持して来た。

 憲法第9条の本来の意味からすれば、自衛権が存在することは当然としても、戦力や武力の行使を伴うこととなる自衛戦争の放棄も当然に含まれていると理解することができるものの、政府は、自衛隊が現実に存在していることを前提に、「憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」と解してきた。そして、集団的自衛権については、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」であると解し、「この集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」としてきた。これは、30年以上にわたって一貫して維持されてきている。

 ところが、現在、政府は、この政府解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認しようとしている。安倍首相ほかの要人は、各所で、集団的自衛権の行使を容認する旨の発言、見解を述べているし、今年8月には内閣法制局長官を容認論者に交代させた。今臨時国会では、日本版NSC(国家安全保障会議)設置法が成立し、特定秘密保護法案も衆参両議院で強行採決されている。その先には、国家安全保障基本法が予定されている。いずれも国民の目・耳・口をふさぎ、「戦争をしない国」から「戦争ができる国」に改変するエンジンの役目を果たしている。とりわけ、国家安全保障基本法案は、「国際連合憲章に定められた自衛権の行使」というタイトルの下に、「我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態」であれば、国際連合憲章が定める集団的自衛権を、憲法第9条の制約なしに行使できるということを定めている(同法案第10条)。まさに、外国のために戦争するという集団的自衛権を認めているのである。

 しかしながら、集団的自衛権の行使は憲法前文、第9条に反するし、自国が直接攻撃されていない場合を前提とする集団的自衛権の行使は許されないとする確立した政府解釈にも反する。また、憲法尊重擁護義務(憲法第99条)を課されている国務大臣や国会議員がこのような違憲立法を進めることは許されることではない。しかも、下位にある法律によって憲法の解釈を変更することは、憲法に違反する法律や政府の行為を無効とし(憲法第98条)、政府や国会が憲法に制約されるという立憲主義に反するものであって、到底許されない。

 我が国の安全保障防衛政策は、立憲主義を尊重し、憲法前文と第9条に基づいて策定されなければならないものである。戦争と武力紛争、そして暴力の応酬が絶えることのない今日の現実の国際社会においては、一層、現行日本国憲法の理念を高く掲げるべきである。日本国民が全世界の国民とともに、恒久平和主義の憲法原理に立脚し、平和に生きる権利(平和的生存権)の実現を目指す意義は依然として極めて大きく、重要である。

 よって、当会は、憲法の定める恒久平和主義・平和的生存権の今日的意義を確認するとともに、集団的自衛権の行使に関する確立した解釈の変更、あるいは集団的自衛権の行使を容認しようとする国家安全保障基本法案の立法に強く反対する。

 2013年(平成25年)12月12日  
 岐阜県弁護士会 会長 栗山知

 平成27年7月27日安全保障関連法案の強行採決に強く抗議する会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei150727.html

 政府・与党は、安全保障関連法案に関する採決を、今月15日衆議院平和安全法制特別委員会において、そして翌16日には衆議院本会議において、それぞれ強行した。

 しかしながら、安全保障関連法案は、憲法第9条の恒久平和主義、国民主権の基本原理、立憲主義の理念に著しく違反するものであり、今国会での審理の過程において、その違憲性、危険性が一層明らかとなったものである。

 すなわち、自民党が推薦した参考人を含む憲法学者3人がともに「違憲である」との見解を表明し、元内閣法制局長官らも違憲ないし違憲の疑いが強いとの意見を述べた。さらに、全国の憲法学者の9割以上、研究者・学者が1万人以上も「違憲であり廃案を求める」などの意見を表明している。

 また、全国の地方議会は、与党に属する議員が多くを占めているにもかかわらず、300を超える地方議会で「法案の廃案」あるいは「慎重審議」を求める議決がなされるなどしている。

 そして、全国各地で、日々、何千人あるいは何万人もの人々が集まって、安全保障関連法案に反対する集会やパレードが行われ、20代以下の若い人々も含め全ての世代で「安全保障関連法案反対」の声があがっている。
 
 こうした世論の高まりにより、報道機関の世論調査によれば、国民の過半数が政府の説明は不十分であり、今国会での成立に反対するとの結果がでている。

 実際、安倍晋三首相自身が、7月15日の衆院平和安全法制特別委員会において、安全保障関連法案について、「まだ国民の理解は進んでいる状況ではない」と述べ、政府の説明が不十分であることを認め、元防衛大臣の石破茂地方創生担当相も7月14日の記者会見で「国民の理解が進んでいるとは言えない」などと述べている。

 このような中で、政府・与党が同安全保障法案の強行採決をしたことは、国民主権に反し、立憲主義にも反するものであって到底容認することはできない。

 したがって、岐阜県弁護士会は、今回の採決の強行に断固抗議するものである。そして、当会が先に決議した「憲法に違反する安全保障関連法案には強く反対する」旨の総会決議のとおり、政府・与党に対し、安全保障関連法案の速やかなる撤回・廃案を求めるものである。

 2015年(平成27年)7月27日  
 岐阜県弁護士会 会長 森裕之

 平成27年2月19日法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei150219.html

 政府の法曹養成制度関係閣僚会議は、平成25年7月16日、司法試験の合格者数を年間3,000人程度としていた従前の目標を撤廃し、今後、あるべき法曹人口について検討することを決定した。そして、年間2,000人から2,500人程度で推移していた司法試験の合格者数は、平成26年度には約1,800人になった。

 しかし、裁判所の新受事件数はここ数年間、減少傾向を示している。そのため、現状でも年間1,800人程度の司法試験の合格者数を必要とするほどの法的需要が存在する状況にあるとはいいがたい。また、弁護士数が急増する一方で裁判官と検察官はほとんど増員していないことからも、弁護士業務の需給バランスは大きく崩れているといえる。

 このため、大多数の弁護士にとって事業を継続、維持することが困難な状況にあるほか、弁護士業務の需給バランスが大きく崩れていることに対する将来的な不安や経済的な不安などによって、公益的な活動や採算性の低い紛争への関与を行う余裕がなくなっている。

 また、弁護士業務の需給の不均衡を主たる理由として、司法修習生の就職難は年々深刻化しており、十分なOJTの確保も困難となっている。しかも、司法試験を受験するには、法科大学院を修了することが原則として必要になっているため、法曹になるには、法科大学院の学費や在籍時の生活費を負担しなければならず、加えて、司法修習生に支給される資金が貸与制になったため、弁護士になるまでに多額の借金を抱える者が多くなっている。

 こうした司法修習生の惨状などに起因して、法曹志願者の激減、さらには、大学の法学部志願者の減少という事態も生じるなど、有為な人材が法曹への道を断念せざるを得ない状況も生じている。

 このまま現行の制度を維持した場合、弁護士が公益的な活動等を行う機会が減少するとともに、法曹に有為な人材が集まらない事態が生じ得ることから、市民に対する法的サービスの質が悪化することが強く懸念される。
 
 よって、市民に対する質の高い法的サービスを維持する観点から、現実の社会情勢を適切に反映した法的需要とバランスのとれた法曹人口となるよう、年間司法試験合格者数を大幅に減少させて法曹の供給過多を解消するなど、法曹人口政策を早期に見直すとともに、法曹養成制度の
抜本的見直しを行う事を強く要望する。

 2015年(平成27年)2月19日  
 岐阜県弁護士会 会長 仲松正人

 平成26年7月4日集団的自衛権の行使容認などの閣議決定に強く抗議し、速やかな撤回を求める会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei140704.html

 1.安倍政権は、7月1日、閣議決定をもって、集団的自衛権の行使容認などの解釈改憲をした。

 その閣議決定では、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合には、武力行使(集団的自衛権行使)ができるとした。さらに、自衛隊の海外派遣についても「現に戦闘を行っている現場」以外であれば活動できるとし、後方支援は戦闘地域でも可能とするなどとした。

 また、安倍政権は、前記のことをもって「歯止めができた」などと強弁しているが、「密接な関係」とか「根底から覆される」などの要件は曖昧であり、「歯止め」の意味をなさない。そもそも、「歯止め」が「歯止め」たり得ないことは、これまでの歴史が十分に示している。そればかりか、安倍政権が行おうとしている、自衛隊の海外派遣の拡大政策からしても、むしろ積極的に戦争をし、あるいは巻き込まれる可能性が高いと言わざるを得ない。

 集団的自衛権の行使容認の先は、結局、自衛隊と米軍との一体的軍事行動であり、その実態は米国の世界戦略に協力する、あるいは補完する「防衛」行動に駆り立てられるということである。そして、いったん米国の戦争に協力して日本が軍事行動を始めてしまえば、米国の意向に関わらず日本が独自の意思決定によりこれを中止することは極めて困難であり、結局は、際限の無い軍事協力を余儀なくされ、曖昧な「歯止め」すらも働かなくなるであろうと考えられる。

 2.そもそも集団的自衛権の行使は、自衛権とはいうものの、武力攻撃を受けた他国を防衛するために軍事力を行使することを意味するものであり、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を掲げる憲法第9条に明らかに反するものである。自衛権行使の3要件を厳守し、集団的自衛権は認められないとして確立されてきたこれまでの政府解釈にも反するものである。

 まして、このような憲法の基本原理に関わる変更を、国民の意思を問うこともなく、閣議において行うことは、憲法の最高法規性(憲法第96条)、国務大臣等の憲法尊重擁護義務(憲法第99条)などに反し、権力に縛りをかけた立憲主義を根本から否定するものである。

 3.当会は、昨年12月12日、及び本年6月17日に、集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明を発し、そこで集団的自衛権の行使容認等の閣議決定の違憲性を詳細に述べた。また、日本弁護士連合会も全国すべての弁護士会も同趣旨の声明ないし決議を発表している。さらに、各種世論調査によれば、国民の5割以上が集団的自衛権の行使容認に反対し、7割近くが閣議決定で解釈改憲を行おうとすることを適切でないとしてきた。

 今求められているのは、憲法の徹底した恒久平和主義の実現であり、あくまでも平和的方法による国際的な安全保障の実現でなければならない。

 4.以上のことより、岐阜県弁護士会は、安倍政権による集団的自衛権の行使容認などの閣議決定に強く抗議すると共に、速やかにその閣議決定を撤回するよう求めるものである。

 2014年(平成26年)7月4日  
 岐阜県弁護士会 会長 仲松正人

投稿日: 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2299 ら特集鳥取弁護士会A 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2299 ら特集鳥取弁護士会A 2018年1月17日

ソース:2299 ら特集鳥取弁護士会A 2018年1月17日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/01/17/2299%e3%80%80%e3%82%89%e7%89%b9%e9%9b%86%e9%b3%a5%e5%8f%96%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a1/

2299 ら特集鳥取弁護士会A

 憲法違反の安保法案の衆議院強行採決に抗議し廃案を求める鳥取県弁護士会歴代会長声明

 安倍内閣は、昨年7月1日、これまでの確立した憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認する閣議決定をし、本年5月15日に国会提出された集団的自衛権行使容認を含む「安全保障関連法案(安保法案)」は、7月16日、衆議院において与党単独で強行採決された。わたしたちは、憲法違反の同法案の強行採決に強く抗議し、断固廃案を求めるものである。

 集団的自衛権行使とは、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、他国間の戦争に日本の自衛隊が軍事的に加わることである。

 しかし、このような行為は、憲法前文で平和的生存権を確認し、憲法9条で、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を規定して、徹底した恒久平和主義を採用している日本国憲法に明確に違反する。

 日本政府はこれまで一貫して、「日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を実力で阻止する集団的自衛権の行使は、憲法9条の下において許容される我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまる自衛権の行使を超えるもので、憲法上許されない」(1981年5月29日の衆議院における政府答弁)との憲法解釈を堅持してきた。

 そもそも憲法は、国家権力の濫用を防止し国民の自由と権利を保障するために国家権力の権限行使を制限するという立憲主義に基づいており、これを全うさせるため、国民主権を規定し(前文、第1条)、憲法改正についてその最終的決定権者を国民と定めている(第96条)。

 ところが、安倍内閣は、集団的自衛権行使を、憲法改正手続を経るどころか、閣議決定と立法措置により実現させようとしている。

 このような行為は、立憲主義を正面から否定する憲法破壊行為であり、絶対に容認することはできない。

 ここに、わたしたち鳥取県弁護士会の歴代会長(生存歴代会長の内1名を除く全員)は、「基本的人権を擁護し社会正義の実現を使命とする弁護士」(弁護士法1条)として、強行採決に強く抗議するとともに、立憲主義を堅持し、平和を希求する憲法の基本原理を固守するため、安保法案に断固反対し、その廃案を求めることを表明する。

 2015(平成27)年7月21日
 鳥取県弁護士会歴代会長
 藤原和男
 松本光寿
 田村康明
 川中修一
 高橋敬幸
 安田寿朗
 太田正志
 寺垣琢生
 河本充弘
 西村正男
 大田原俊輔
 松本啓介
 松本美惠子
 杉山尊生
 佐野泰弘
 足立珠希

 安全保障法制に関する法案に強く反対する会長声明

 1 当会は、2013年(平成25年)11月1日の「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明」及び2014年(平成26年)5月2日の「解釈改憲によって集団的自衛権行使を可能とする政府方針に改めて抗議する会長声明」等により集団的自衛権行使を容認する政府の動きに一貫して反対する意思を表明している。ところが、政府は、2014年(平成26年)7月1日、集団的自衛権行使を容認する閣議決定をし、本年5月15日、同閣議決定を具体化する自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態対処法等10の法律の改正案及び新規立法である国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)を国会に提出した。本法案は、日本国憲法(以下、「憲法」という。)における恒久平和主義及び憲法が立脚する立憲主義との関係で、大きな問題を孕んでいる。

 2? 本法案は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(存立危機事態)においても武力行使ができるようにする、いわゆる集団的自衛権行使を容認する法案である。集団的自衛権行使の容認は、憲法が定めている恒久平和主義、平和的生存権(前文)及び戦争の放棄(第9条)を蔑ろにするものであり、到底許容することができない。本年6月4日、憲法を専門とする有識者3人を招いて行われた衆院参考人質疑においても、与党推薦の参考人を含む全員が集団的自衛権行使の容認を柱とする本法案について憲法違反との認識を表明している。与党推薦の参考人からも指摘されていることから明らかなように、本法案の内容は憲法に違反する。

 ? また、本法案で新たに自衛隊の海外派遣の恒久法として制定される国際平和支援法は、従来、国際連合決議などに基づいて他国軍隊が行っている軍事行動に対する支援を自衛隊が行う場合は、特別措置法としてその都度に国会審議を行なったうえで、特定の事態・地域に限定しかつ「後方地域」でのみ行ない得るとしていたものを、事態や地域による限定を撤廃し、「後方地域」に限らず支援活動を行うことを可能とするものである。これは、従来の法制度以上に米軍その他の外国軍隊の武力行使との一体化に接近するものであり、憲法第9条が禁止する武力の行使そのものとなるおそれが極めて強いものである。

 ? また、従来は、自衛隊がPKO等に従事している際の武器使用について、自己及びその管理下に入った者の生命・身体を守るためのみに認められていたが、本法案は、それに加えて、「駆け付け警護」や地域住民の防護等を行う「安全確保活動」を遂行するための武器使用を可能とするものである。本法案によって許容される海外での自衛隊の活動内容は、活動時期・活動地域・活動内容及び武器使用に対する制約が従来より大幅に緩和されることになるが、これは、憲法の定める恒久平和主義に反し、違憲である。

 3 以上のように、集団的自衛権の行使容認を柱とする本法案は、憲法の定める恒久平和主義等を蔑ろにするもので、憲法に反するものである。集団的自衛権を行使するのであれば、本来的に憲法改正手続きを経る必要がある。そもそも憲法は、国家権力の濫用を防止し、国民の自由と権利を保障するために、国家権力の権限行使を制限するという立憲主義に基づいており、これを全うさせるため、国民主権を規定し(前文、第1条)、憲法改正について、その最終的決定権者を国民と定めている(第96条)のである。ところが、政府は、集団的自衛権の行使につき、憲法改正手続を経ることなく、閣議決定及びこれを具体化する立法措置により実現させようとしている。このような政府の姿勢は、憲法により国家権力の権限行使を制限するという立憲主義を正面から否定する憲法破壊行為であり、絶対に許容することはできない。

 1 よって、当会は、立憲主義を堅持し、平和を希求する憲法の基本原理を固守するため、政府が提出した安全保障法制等の法案に対し強く反対する。

 2015年(平成27年)6月10日
 鳥取県弁護士会  会長 足立 珠希

 鳥取県弁護士会
 ttp://toriben.jp/
 共謀罪の新設に反対する会長声明

 1 過去3度廃案になった共謀罪法案が、今秋の臨時国会に提出される方針との報道がされるなど、近時再提出に向けた情勢が見られる。当会は、2005年10月31日、共謀罪は、刑法の人権保障機能に反することを指摘し、これに反対する会長声明を表明したが、この近時の情勢に鑑み、改めて共謀罪の新設に反対する。

 2 過去に廃案となった共謀罪は、団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われる犯罪の遂行を共謀した場合、すなわち団体の活動として2人以上の者が犯罪を行うことを合意した場合に、2年以下ないし5年以下の懲役・禁錮を科すというものであった。すなわち、共謀罪は、これまでの刑法が各犯罪について定めている実行行為も予備行為も不要とされ、合意のみで犯罪が成立するというものである。しかも、共謀罪の対象は長期4年以上の刑を定める罪とされ、その対象とする犯罪は窃盗や傷害を含め600以上にわたる。

 3 近代刑法は、行為がなければ処罰しないとすることで内心の意思・思想を当初から犯罪概念の外に置くという基本原則を置き、市民の人権侵害に歯止めをかけているが、共謀罪はこの基本原則に抵触し相容れない。一旦共謀が成立すれば、犯罪を思いとどまっても共謀罪は成立するのである。そもそも、共謀は、「黙示の共謀」(暗に犯罪を示し合わせる)を含むとされ、何をどの程度合意すれば成立するのか不明確で、広汎に拡大解釈される危険性のある概念である。共謀罪は、現実の実行行為が無くても犯罪が成立するために、拡大解釈される危険性がより高い。例えば、組織に属する人間が、犯罪の謀議の場に居合わせて傍観していただけでも、場合によっては共謀罪の疑いを生じかねない。そして、過去に廃案となった共謀罪法案における「団体」は、暴力団その他犯罪の実行を目的とするものに限定されず、市民団体や労働組合も「団体」に含まれ、共謀罪の制定がその活動を規制し不当に萎縮させる危険がある。この場合、私的領域に国家が介入し、市民の自由な意思疎通を阻害し、ひいては、憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由、集会・結社の自由など基本的人権に対する重大な脅威となりかねない。この危険が国会で議論され、市民の間で反対意見が広がったことから、3度目の廃案の前には、「組織的な犯罪集団の活動」に対象を限定する修正案が与党から出された。これ自体、過去に3回国会に提出された政府提出法案に欠陥があり、共謀罪の不明確性、広汎性の危険性を示すものである。そして、この修正案を前提としても、共謀のみで犯罪を成立させる共謀罪が、拡大解釈の危険を持ち、不当な逮捕の危険等によって、国民の内心の自由や人身の自由という憲法上の人権を侵害する危険性を持つことに変わりはない。

 3 そして、共謀の成立は個人の内心の意思に関わり、現実の犯罪結果や犯罪行為から証拠を積み上げられないために、共謀罪の捜査においては、「共謀」を立証するため、市民の日常会話やメールについて広範囲の通信傍受や会話傍受、最終的には監視カメラによる会話の監視をする必要が生じることとなる。その結果、共謀罪捜査は、いわゆるコンピュータ監視法やサイバー犯罪条約等に基づく通信の監視と相まって、捜査機関が国民のプライバシーを容易に侵害し得る監視社会をもたらす危険性がある。

 4 以上のとおり、共謀罪は、憲法上保障された基本的人権を侵害する危険が高く、近代刑法の基本原則に反する極めて問題の多いものである。

 よって、当会は共謀罪の新設に断固として反対であることを重ねて表明する。以上

 2015年(平成27年)3月30日
 鳥取県弁護士会会長 佐 野 泰 弘

 通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する18弁護士会会長共同声明
 埼玉弁護士会  会長 大倉  浩
 千葉県弁護士会 会長 蒲田 孝代
 栃木県弁護士会 会長 田中  真
 静岡県弁護士会 会長?小長谷?保
 兵庫県弁護士会 会長 武本夕香子
 滋賀弁護士会  会長 近藤 公人
 岐阜県弁護士会 会長 仲松 正人
 金沢弁護士会  会長 飯森 和彦
 岡山弁護士会  会長 佐々木浩史
 鳥取県弁護士会 会長 佐野 泰弘
 熊本県弁護士会 会長 内田 光也
 沖縄弁護士会  会長 島袋 秀勝
 仙台弁護士会  会長 齋藤 拓生
 福島県弁護士会 会長 笠間 善裕
 山形県弁護士会 会長 峯田 典明
 岩手弁護士会  会長 桝田 裕之
 青森県弁護士会 会長 源新  明
 愛媛弁護士会  会長 田口 光伸

 2014(平成26)年9月18日,法制審議会は,「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」を採択し,法務大臣に答申した(以下,本答申という)が,その内容として,従来,通信傍受法の対象犯罪が暴力団関連犯罪の@銃器犯罪,A薬物犯罪,B集団密航,C組織的殺人の4類型に限定されていたものを,傷害,詐欺,恐喝,窃盗などを含む一般犯罪にまで大幅に拡大することを提言している。また,これまで市民のプライバシーを侵害する危険のある通信傍受法が抑制的に運用される歯止めとなっていた通信事業者の常時立会制度も撤廃されることとされる。

 このたび本答申に基づく通信傍受法の改正法案が国会に上程されたが,私たちは,以下の理由から,本答申に基づく通信傍受法の改正に反対するとともに,国会における審議においても,慎重な審議がなされることを求めるものである。

 重大な犯罪に限定されず通信傍受法施行前に検証許可状により実施された電話傍受の適法性につき判断した最高裁判所平成11年12月16日第三小法廷決定は,「重大な犯罪に係る被疑事件」であることを電話傍受の適法性の要素としていたが,詐欺,恐喝,窃盗については,いずれも財産犯であり,必ずしも「重大な犯罪」とはいいがたい。

 詐欺罪にも様々な詐欺がありうるのであって,組織的な詐欺グループである振り込め詐欺以外にも広く通信傍受が実施されるおそれがあり,漫然と詐欺罪を対象犯罪とすることは許されない。振り込め詐欺や窃盗団等を想定するのであれば,実体法として,それらを捕捉し得る新たな構成要件を創設した上で対象犯罪にするべきである。しかも,組織犯罪処罰法には組織的詐欺罪(同法3条13号)や組織的恐喝罪(同14号)が規定されているのであるから,それを対象犯罪に追加することで対象犯罪を必要最小限度に限定することも可能である。

 また,本答申の基礎とされた「新時代の刑事司法制度特別部会」がまとめた「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」は,「通信傍受は,犯罪を解明するに当たっての極めて有効な手法となり得ることから,対象犯罪を拡大して,振り込め詐欺や組織窃盗など,通信傍受の必要性・有用性が高い犯罪をも含むものとすることについて,具体的な検討を行う」としている。

 これは,前記最高裁決定が指摘する犯罪の「重大性」を前提とせず,対象犯罪拡大を検討したものであるが,捜査機関にとっての「必要性」「有用性」を基準とすれば,その拡大には歯止めがない結果となる。日本弁護士連合会が反対している共謀罪や特定秘密保護法違反などにも,捜査機関にとって犯罪の共謀を立証するのに「必要かつ有用」として,通信傍受の適用の拡大が企図される危険も大きい。

 常時立会制度の撤廃は捜査権の濫用を招く
通信傍受法が定める通信事業者による常時立会は,傍受記録の改ざんの防止と通信傍受の濫用的な実施を防止するという2つの機能を果たしていた。傍受対象通信を通信事業者等の施設において暗号化した上で送信し,これを捜査機関の施設において自動記録等の機能を有する専用装置で受信して復号化することにより,傍受を実施するという答申が提言する技術的措置は,通信傍受記録の改ざんの防止という点は確保できるかもしれないが,無関係通信の傍受など通信傍受の濫用的な実施を防止するという点が確保されるとは考えられない。

 従来の通信傍受法の運用において,この常時立会という手続があることで,「他の方法によっては,犯人を特定し,又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であるとき」という補充性の要件が実務的に担保されてきたものである。しかし,答申のような手続の合理化・効率化がなされれば,捜査機関は令状さえ取得すれば簡単に傍受が可能となるので,安易に傍受捜査に依存することになることは必至であり,補充性要件による規制が実質的に緩和されることとなり,濫用の危険は増加する。
盗聴社会の到来を許さない

 ここで通信傍受法の対象犯罪の拡大に歯止めをかけなければ,過去再三廃案とされたにもかかわらず,未だ法案提出がなされようとしている「共謀罪」とあわせて,盗聴社会の到来を招く危険がある。捜査機関による通信傍受の拡大は,単に刑事司法の領域に止まる問題ではなく,国家による市民社会の監視につながり,市民社会そのものの存立を脅かす問題である。

 よって,私たちは,本答申にもとづく通信傍受法の改正に反対するとともに,国会における審議においても,慎重な審議がなされることを求めるものである。

 「特定秘密の保護に関する法律」施行に対する会長声明

 本日、特定秘密の保護に関する法律(以下、「秘密保護法」という。)が施行された。

 当会は、秘密保護法は国民の知る権利、報道・取材の自由等に重大な脅威を与えるものであり、国民主権を形骸化するなど憲法上の諸原理と正面から衝突するとして、これまでその施行に強く反対してきたが、現時点においてもかかる問題は何ら解消されていない。

 2014年10月14日には秘密保護法の施行令及び運用基準(特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準)が閣議決定されたが、これらの素案に対しては約1か月の間に2万3820件ものパブリックコメントが寄せられた。そこには人権侵害を憂慮する重要な指摘が多く含まれていたにもかかわらず、これらの施行令(案)及び運用基準(案)はほとんど内容を変えないまま、わずか2週間余りで内閣総理大臣に提出された。このように国民の意見を軽々に扱い、パブリックコメントを「通過儀礼」にしか見ない姿勢は国民を蔑ろにするものであり、まさに国民主権原理に反する秘密保護法の問題点とその背景を同じくするものである。

 2014年7月、国連人権(自由権)規約委員会は、日本政府に対して、秘密保護法が秘密に指定できる事項が広くて曖昧であること、秘密指定に関して一般的な条件を含んでいること、そしてジャーナリストや人権活動家の活動に深刻な影響を及ぼしうることについて懸念を表明した。

 このように国の内外から多くの強い批難を受ける秘密保護法には、その本質的部分において看過できない重大な問題があることは明らかであり、抜本的に見直すことが必要不可欠である。

 よって、当会は、国民の人権に取り返しのつかない深刻な影響を与える前に、秘密保護法を即刻廃止することを改めて強く求める。

 2014年(平成26年)12月10日
 鳥取県弁護士会 会長 佐 野 泰 弘

 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」 (いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明

 当会は,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)について,反対の立場を表明し,同法案の廃案を求める。

 我が国の刑法は賭博を禁じている。これは「勤労その他正当な原因に因るのでなく,単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは,国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ,健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風(憲法27条1項参照)を害するばかりでなく,甚だしきは,暴行,脅迫,殺傷,強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」(最判昭和25年11月22日)からである。

 カジノ解禁推進法案は,刑法が禁じている賭博を推進するものである。刑法があえて賭博を禁じていることからすれば,賭博を推進するには賭博の弊害とその対策を慎重かつ具体的に検討しなければならない。しかるに,カジノ解禁推進法案は,カジノ解禁という結論ありきで,弊害除去に向けた対策は抽象的かつ不十分なものと言わざるを得ない。

 加えて,カジノ解禁推進法案において推進されようとしているカジノは,暴力団の新たな資金源確保の機会を与え,かつ,マネーロンダリングに利用される危険があり,また,ギャンブル依存症の拡大,多重債務問題の再燃,青少年の健全育成への悪影響等が指摘されている。有害な影響として指摘されている事項は,それ自体,官民一体となって対策に取り組むべき事項であり,また,これまでの社会全体による長期的,かつ,粘り強い取組みにより,成果を上げつつある事項である。カジノ解禁推進法案は,社会全体を挙げて取り組んできた対策と,その成果に水を差すものである。

 また,カジノ解禁推進法案によれば,カジノを設置,運営する民間企業が「胴元」としての利益を取得することとなる。運営する民間企業の安易な利益追求により,カジノによる有害な影響が広がることを抑止するためにも,既存の公営ギャンブル以上に十分な対策が必要である。にもかかわらず,法案における影響排除のための措置は何ら具体的なものではない。カジノ解禁の推進については,解禁による経済効果が指摘されることがある。

 しかし,カジノ解禁による数多の弊害は,いずれも,個人の尊厳,人々の自由や権利の保障,安心,安全な生活に対する重大な障害である。人々の人格的な生存を犠牲にして経済効果を得るような経済活動は,健全な経済活動ではない。人々の幸福が確保されない社会であっては,経済効果など何の意味も持たない。経済効果のために,人々の幸福が犠牲になることは許されない。

 目先の経済効果に目を奪われた拙速な議論であっては,個人の尊厳,幸福が犠牲となる。そのような本末が転倒した議論ではなく,まずは,カジノ解禁による弊害を除去するための慎重かつ具体的な対策が立てられるべきである。

 弊害に対する的確な対策がとられておらず,また,弊害に関する十分な議論すらなされていないカジノ解禁推進法案に対して,反対の立場を表明し,同法案の廃案を求める。

 2014年(平成26年)10月9日
 鳥取県弁護士会 会 長 佐 野 泰 弘

 解釈改憲によって集団的自衛権行使を可能とする政府方針に改めて抗議する会長声明

 当会は、2013年11月1日の「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明」において、時の政府の政策によって集団的自衛権の行使が許されないとする確立した憲法解釈を変更してこれを容認することや、下位規範たる法律で憲法上の概念である自衛権の範囲を改変することについて、強く反対を表明した。

 ところが、政府は、2014年の国会審議において、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を「閣議決定する方向になる」と答弁するなど、閣議決定によって憲法解釈の変更を行い、集団的自衛権の行使を容認する方針を堅持している。

 このような政府の方針は、集団的自衛権に関して1981年以来30年以上もの長期間にわたり一貫して維持されてきた「憲法第9条の下で許容される自衛権の行使は、自国の防衛のため、すなわち国民の生命、財産を防衛するために必要最小限の範囲に限られるとし、集団的自衛権の行使は、憲法が許容する自衛権行使の範囲を超えるものであって許されない」との政府見解を憲法改正の手続を経ずに改めようとするものにほかならず、憲法によって行政・立法・司法という国家権力を規制し、これにより個人の尊厳を確保する立憲主義や、憲法の基本原理たる恒久平和主義、平和的生存権及び戦争の放棄を蔑ろにするものであり、到底許容することができない。

 よって、当会は、憲法記念日を迎えるにあたり、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の集団として、閣議決定によって憲法解釈の変更を行い、集団的自衛権の行使を容認しようとする政府の方針に改めて強く反対するとともに、政府に対し、国の最高法規である憲法を十分に尊重し擁護するように求める。

 2014年(平成26年)5月2日
 鳥取県弁護士会 会長 佐野泰弘

 特定秘密の保護に関する法律の成立に抗議する会長声明

 本日,特定秘密の保護に関する法律(以下、「特定秘密保護法」という。)が参議院で可決し成立した。

 特定秘密保護法に対しては,野党や報道機関,市民団体などから,その成立に反対する声が強く出されるなど,広範かつ多数の批判がなされてきた。

 当会も,国民の知る権利や報道・取材の自由等を侵害する,看過できない重大な問題があることを指摘し,本法案の成立に反対し、直ちに廃案とすることを強く求めてきた。

 しかし,国会はこれらの声に耳を傾けることなく,拙速な審議を強硬に進め,特定秘密保護法を成立させることになった。

 特定秘密保護法は,健全な民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道・取材の自由を侵害するものであり,今後の市民生活に禍根を残すものである。

 当会は,特定秘密保護法の成立に抗議するとともに,政府及び国会が,一刻も早くこれを廃止することを強く求める。

 2013年(平成25年)12月6日
 鳥取県弁護士会 会 長 杉 山 尊 生

 「特定秘密の保護に関する法律案」に反対する会長声明

 政府は、本年10月25日に閣議決定した特定秘密の保護に関する法律案(以下、「本法案」という。)について、本臨時国会での成立を目指している。

 当会は、民主党政権下で検討されていた秘密保全法制に対し、かかる法律の制定は国民の知る権利、報道・取材の自由等に重大な脅威を与えるものであり、憲法上の諸原理と正面から衝突するとして強く反対したが、本法案も以下のとおり同様の重大な問題がある。

 第1に、本法案が秘密として保護する「特定秘密」の範囲は、@防衛、A外交、B特定有害活動の防止、Cテロリズムの防止に関する別表記載の各事項である。しかし、別表の記載が極めて抽象的であるため、「特定秘密」は広範かつ不明確である。また、「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある」との条件が付されているものの、かかる条件も極めて抽象的で曖昧である。そのため、行政機関の長が「特定秘密」を判断するにあたり、恣意的に濫用される危険性がある。

 なお、特定秘密を5年間指定しなかった行政機関は指定資格を失うとの修正がなされるようである。

 しかし、行政機関は、「特定秘密」の指定権限を失わないように、かえって必要以上に広範な秘密指定をすることになりかねず、かかる修正は有害でさえある。

 第2に、かかる濫用の危険性にもかかわらず、本法案には指定された「特定秘密」をチェックする機関が存在しない。「特定秘密」の指定等に関する統一的な運用基準を定める際に有識者から意見を聞くこととなっているが、これはあくまで運用基準にすぎず、濫用された場合に事後的にチェックできるものではない。かかる批判を受け、個々の「特定秘密」の指定・解除について首相が指揮監督するなどの修正がなされるようである。しかし、首相は独立した監視機関たり得ず、現実的にも首相が膨大な数の「特定秘密」をチェックすることは不可能である。よって、濫用に対する有効な対策にはなりえない。
 第3に、本法案は、「特定秘密」の有効期間について5年を超えない範囲とするが、行政機関の長の判断で延長することを認めている。また延長後の指定の有効期間が30年を超えることとなるときは内閣の承認を必要とするが、実際には行政機関の長の判断を追認して内閣が承認することが予想される。そのため、有効期間の実効性は乏しく、いったん「特定秘密」とされると事実上永久的に秘密とされ、国民がこれを知り得ない状況に置かれる危険性がある。そこで、原則として指定期間を最長60年とした上で、例外的に60年以上に延長できる秘密を7項目に限定する修正がなされるようである。しかし、最長60年の秘密指定は、情報の公開時期として遅すぎる。また例外規定が「抜け道」となる危険は残る。

 第4に、本法案は秘密保護を徹底するため罰則規定を設けるが、故意の漏えいのみならず、過失による漏えい、さらに漏えい行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動することも対象としており、処罰範囲は極めて広範である。しかも、「特定秘密」の表示はかかる情報を取扱う業務従事者しか見ることができず、「特定秘密」の指定がされているかについて外部から必ずしも判断できない。そのため、報道機関やジャーナリスト等に対する萎縮効果は極めて大きく、憲法上保障される報道・取材の自由、さらには国民の知る権利に対する重大な脅威となる。

 第5に、「特定秘密」は、国会に対しても、行政機関の長が厳格な要件を充たしていると認めた場合に限り、秘密会において提供されるにすぎない。しかも、秘密会で「特定秘密」を知った国会議員が、他の国会議員や政策秘書等に提供することも刑事処罰の対象とされるため、持ち帰って相談することもできない。これでは国会議員が外交や防衛、対テロ対策問題などについて調査・検討を行い、その職責を十分に果たすことは困難である。

 以上のとおり、本法案は、国民の知る権利、報道・取材の自由等を侵害する、看過できない重大な問題がある。直近の世論調査においても,本法案に反対する意見が賛成を上回るものや,大多数が慎重な審議を求めるものがある。このような中、拙速に本法案を成立させるべきではない。

 よって、当会は、本法案の成立に反対し、直ちに廃案とすることを強く求める。

 2013年(平成25年)11月25日
 鳥取県弁護士会 会長 杉 山 尊 生

 集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明

 日本国憲法は、前文において、日本国民が、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」(恒久平和主義)し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」(平和的生存権)することを掲げ、第9条において、戦争を放棄し、戦力の不保持及び交戦権を否定している。(戦争の放棄)。

 これまで、政府は、憲法は憲法第9条の下で許容される自衛権の行使は、自国の防衛のため、すなわち国民の生命、財産を防衛するために必要最小限の範囲に限られるとし、集団的自衛権(自国が直接攻撃されていない場合であっても、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃に対して実力をもって阻止する権利)の行使は、憲法が許容する自衛権行使の範囲を超えるものであって許されないとする立場をとってきた。

 しかし、自由民主党が政権与党の座に返り咲いた2012年(平成24年)12月以降、集団的自衛権の行使を容認する動きが急速に進んでいる。2013年(平成25年)1月には安倍晋三首相は「集団的自衛権行使の(憲法解釈)見直しは政権の大きな方針の一つ」と言及した。同年9月には「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が集団的自衛権についての審議を再開し、集団的自衛権の行使を全面容認する方向での提言を検討しているとのことである。そして、現在、政府は、集団的自衛権行使の法的根拠を設けるべく「国家安全保障基本法案」を来年春の国会提出に向けて準備を進めている。集団的自衛権の行使が許されないとするのは確立した憲法解釈である。時の政府の政策によって集団的自衛権を容認することや下位規範たる法律で憲法上の概念である自衛権の範囲を改変することは、憲法が最高法規であって(第98条)、厳格な改正手続(第96条)を定め、国務大臣や国会議員が憲法尊重擁護義務(第99条)を負うことにより、国家権力を憲法の制約下に置こうとする立憲主義に真っ向から抵触するものである。そして、解釈や立法によって憲法の基本原理たる恒久平和主義、平和的生存権、及び戦争の放棄を形骸化させるものほかならない。

 よって、当会は、立憲主義を堅持し、憲法の基本原理を固守するため、政府が解釈によって集団的自衛権を容認すること、及び、国家安全保障基本法案の国会提出に強く反対する。

 2013年(平成25年)11月1日
 鳥取県弁護士会 会 長 杉 山 尊 生

投稿日: 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2298 ら特集鳥取弁護士会@ 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2298 ら特集鳥取弁護士会@ 2018年1月17日

ソース:2298 ら特集鳥取弁護士会@ 2018年1月17日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/01/17/2298-%e3%82%89%e7%89%b9%e9%9b%86%e9%b3%a5%e5%8f%96%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a0/

2298 ら特集鳥取弁護士会@
 
 鳥取県弁護士会
 ttp://toriben.jp/

 【会長声明】死刑執行の報に接し、改めて死刑制度の見直しを求める会長声明

 2017(平成29)年7月13日、広島拘置所において34歳の男性死刑囚1名、大阪拘置所において61歳の男性死刑囚1名に対し、死刑が執行された。今回の死刑執行は第2次安倍内閣以降11回目で、合わせて19人となる。また、2006(平成18)年の第1次安倍内閣と合わせると安倍政権下における死刑執行は29人となる。

 死刑は、生命をはく奪する刑罰であり、国家の国民に対する重大かつ回復不可能な人権侵害である。しかも、刑事司法制度は不完全な人が作り、これを運用するものであるから、常に誤判・えん罪の危険が存在する。再審無罪判決がなされた4件の死刑確定事件(免田事件、財田川事件、島田事件、松山事件)は刑事司法制度の不完全性を如実に示している。

 また、死刑制度の犯罪抑止力に関しては長く議論されてきたところであるが、死刑制度が他の刑罰よりも犯罪抑止力があることについて疑問の余地なく実証された研究はない。むしろ、その効果に疑問を呈するデータ結果もある。死刑制度については、その廃止も含めた見直しをする必要がある。

 他方で、死刑制度に対しては、その存続を求める声も多くある。犯罪により生命を奪われた被害者は、痛みとともに死の恐怖に襲われ、そして輝かしい未来が奪われる。遺族もまた、被害者の無念を想い、地獄の苦しみが続く。このような重大犯罪は決して許されるものではなく、犯罪被害者の遺族が厳罰を望むことは自然なことである。死刑制度について検討する際、我々は当事者である犯罪被害者及び遺族の心情に真摯に向き合うことを決して忘れてはならない。

 確かに、死刑制度の存廃は非常に難しい問題であり結論を容易に出すことができない。しかし、引き続き犯罪被害者及び遺族に対する支援を推し進め、またできるだけ犯罪被害者及び遺族の心情に沿った代替刑を検討しながら、死刑制度について廃止も含めた抜本的な検討を行い、見直しをしていくべきである。そして、国は、そのような議論に資するため、死刑執行の基準、手続、方法等の情報を十分に公開しなければならない。

 鳥取県弁護士会は、2013(平成25)年と2014(平成26)年に、死刑制度の存廃を含めた国民的議論と国家的検討の施策を講じること、及びその間の死刑執行の停止を求める会長声明を発してきたが、国において、これまで何らの措置もとられることなく時が経過し、事務的に死刑が執行され続けていることは極めて遺憾である。

 当会は、このたびの2名の死刑執行の報に接し、このような現状に強く抗議するとともに、死刑制度についての全社会的な議論を求め、この議論が尽くされるまでの間、死刑執行を停止するために必要な措置を直ちに講じることを改めて強く要請する。

 2017(平成29)年9月22日 
 鳥取県弁護士会 会長 岸 田 和 久

 【会長声明】いわゆる共謀罪を含む改正組織的犯罪処罰法の成立に抗議する会長声明

 本年6月15日,いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下,「本法案」という。)が,参議院の法務委員会の裁決が省略されるという異例の手続きにより,参議院本会議で採決され,成立した。このこと自体,数の力による暴挙であり,立法府の劣化との批判を免れない。

 これまで当会は,対象犯罪が277にも及び組織犯罪やテロ犯罪とは無縁の犯罪も含まれること,一般市民も捜査対象になりうること,日常的行為も準備行為とされるため処罰対象に歯止めがかかっていないこと,市民の社会生活に影響を及ぼす監視社会になることなどを理由に,一貫して本法案の制定に反対してきた。国会のこれまでの審議を経てもなお,本法案がテロ犯罪以外に適用されることは明白であるうえ,一般市民が捜査の対象になることや捜査機関による権限濫用の懸念は払しょくされていない。さらに,本法案の危険性はもとより,そもそも本法案の内容や立法の必要性自体が,市民に理解されたとは言い難い。確かに,世界各地でテロが頻発する状況の中,自由が一定程度制約されたとしても,犯罪のない安全な社会を求める声がある。しかし,本法案がこれらの声に応えることができるわけではない。何より,本法案の成立により,健全な民主主義社会が崩壊することが強く危惧される。なぜなら,健全な民主主義は,少数意見も含めた多様な意見が自由に表明され,議論されることにより担保されるが,例えば,時の政府の進める安全保障政策やエネルギー政策に反対する市民が,監視・捜査対象となることを懸念し,意見表明やその準備行為をすること自体を委縮または自制することになりかねないからである。本法案の審議経過により,かかる懸念はより強固なものとなった。

 よって,当会は,本法案の成立に強く抗議するとともに,引き続き,成立した法律の廃止に向け取り組みを行っていく所存である。

 2017年(平成29年)6月22日 
 鳥取県弁護士会  会長 岸 田 和 久

 【会長声明】「共謀罪」と趣旨が同じ「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正法案の国会への提出に強く反対する会長声明

 政府は、過去に3回も廃案になった共謀罪と何ら趣旨が変わらないテロ等準備罪を今通常国会に提出する予定であると報道されている。

 安倍首相は、テロ等準備罪について、本年1月23日の国会答弁において、「共謀罪と呼ぶのは間違い」と述べ、その創設に強い意欲を示しているが、報道されている法案では、共謀段階で犯罪成立という基本的枠組みが全く変わっていない以上、両者は基本的に同一のものである。

 このテロ等準備罪については、以下のような問題点がある。

 第1に、政府はテロ対策の必要のためにテロ等準備罪が必要と説明している。しかしながら、既に日本国内においては、充分にテロ対策はなされている。

 すなわち、日本は、政府も認めるように、テロ防止関連諸条約13本を批准し、これに対応する立法が既になされている。また、国内法においては、爆発物取締罰則(陰謀罪)、化学兵器、サリン、航空機の強取、銃砲刀剣類所持等取締法など、未遂以前の共謀や予備の段階からの処罰が可能となっており、しかも、これらについて講学上の共謀共同正犯も認められる以上、テロ対策のために新たにテロ等準備罪を設ける必要はない。テロ等準備罪については、そもそも、その創設の必要性(立法事実)自体が明らかでない。

 第2に、政府は、テロ等準備罪は、「組織的犯罪集団」(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が重大な犯罪又は国連越境犯罪防止条約が定める犯罪を実行することにあるもの)という要件を加えるので、処罰対象は限定されると説明している。しかしながら、この「組織的犯罪集団」の要件には犯罪行為についての「常習性」や「反復継続性」の要件が課されておらず、また、「組織的犯罪集団」かどうかが問題となるのは、あくまで犯罪の共謀を行ったときである。したがって、もともと適法な活動を目的とする市民団体や労働組合等であっても、その構成員の一部がある時点で違法行為を共謀したとされた場合にはその時点でその団体等の全体が「組織的犯罪集団」になったものとして捜査対象にされてしまう危険性がある。「組織的犯罪集団」の概念、要件は全く不明確というよりほかなく、結局は、取り締まる側の恣意的な運用を禁じることができないのであって、「組織的犯罪集団」の要件は、何の限定にもなっていないのである。なお、政府は、テロ等準備罪の対象となる犯罪を原案の676の罪から277に絞り込むとの見解を明らかにしている。しかし、政府は、従前、共謀罪を創設するべき根拠としていた「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を批准するため」には犯罪数を絞り込むことはできないと説明していた。現在の見解は過去の説明と矛盾する内容を平然と述べているものであって、政府の説明にはまったく信頼性がない。

 第3に、政府は、テロ等準備罪は共謀罪と異なるもので、共謀段階ではなく、準備行為があってはじめて処罰されると説明している

 しかし、政府の国会答弁は、準備行為が構成要件であるのか、あるいは処罰条件であるのかの説明が不明瞭であり、このことからしても、テロ等準備罪が共謀罪と全く異なるとの説明自体、とうてい信用できない。さらに「準備行為」の定義は、「資金または物品の手配、関係箇所の下見その他」と規定する方針とのことなのであり、この「その他」の文言が盛り込まれることで拡大解釈に歯止めがなくなり、準備行為の要件による範囲の限定は期待できない。

 この間、政府は、テロ等準備罪について、「一般の方々がその対象になることはあり得ない」ことを強調しているが、その対象が既存のテロ組織などに限定されていない以上、一般市民が対象となることは明らかである。かつての治安維持法も、「社会運動が法案のため抑圧されることはない」として成立したにもかかわらず、その後、結果的に多くの者が処罰されるに至っている。

 以上の次第で、当会は、創設の必要性すら十分に説明できない、また、拡大適用のおそれがあり、過去3回も廃案になった共謀罪と何ら変わらないテロ等準備罪の国会提出には、強く反対するものである。

 2017年(平成29年)3月3日
 鳥取県弁護士会 会長 大田原 俊輔

 南スーダンに派遣される自衛隊に新任務を付与する閣議決定等に抗議し、安保法制の廃止を求める会長声明

 1 政府は、2016年(平成28年)11月15日、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に国際連合平和維持活動(PKO)として派遣される自衛隊に対して、新たに「駆け付け警護」の任務を付与する閣議決定を行った。また、併せて国家安全保障会議において「宿営地の共同防護」の任務を付与することも確認している。

 「駆け付け警護」とは、昨年3月29日に施行された安保法制のうち、改正PKO法に基づくもので、離れた場所で武装勢力に襲撃された国連職員やNGO関係者などを助けに向かう任務である。また、「宿営地の共同防護」とは、同じく改正PKO法に基づくもので、自衛隊と他国のPKO部隊の共同宿営地が襲撃を受けた際に他国PKO部隊と共同して宿営地を防護するものである。いずれの任務もこれまでの武器使用基準が緩和され、他国のための武器使用が認められており、敵対勢力との戦闘行為から憲法第9条が禁止する「紛争解決のための武力の行使」に発展する危険性を孕むものである。

 2 南スーダンでは昨年7月に首都ジュバにおいて大統領派と反政府勢力による武力衝突が発生し、PKO部隊と政府軍との間で一時交戦があったともされ、多数の市民に加え中国のPKO隊員も死亡し、国連施設も破壊された。そして、同年10月12日にUNMISSは「国内各地で暴力と武力衝突の報告が増加し、非常に懸念している」との声明を発表し、同年11月1日に発表された国連独立調査団報告書では2015年(平成27年)8月の停戦合意は上記7月の武力衝突によって崩壊したと述べられている。このような南スーダンの情勢からすれば、そもそも憲法に合致した活動であることを担保するPKO参加5原則の1つである「紛争当事者間での停戦合意の成立」を欠いているとの疑いが強いと言わざるを得ず、派遣している自衛隊を撤退させ、新たな派遣を見送ることを検討すべきところ、政府は自衛隊を南スーダンに派遣することを前提に、さらに危険な「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」の任務を付与した。

 そして、上記国連独立調査団報告書によれば、政府軍兵士によってUNMISS要員のいるテラインキャンプにおいて殺人、脅迫、性暴力などが行われたことも報告されている。もし自衛隊員がこれらの場で「駆け付け警護」の任務に伴って武器を使用すれば政府軍との間で戦闘になることは明らかである。また、「宿営地の共同防護」についても「武力の行使」を行う他国のPKO隊員とともに共同して宿営地を防護しながら、自衛隊員のみが「武力の行使」ではなく、武器の使用にとどまることなど考え難い。

 戦闘行為を行う相手方が政府軍・反政府勢力のいずれであっても、これらは「国家または国家に準ずる組織」といえ、自衛隊が憲法第9条が禁止する「紛争解決のための武力行使」を行うことになる。そして、自衛隊員が政府軍や反政府勢力の兵士を殺傷したり、自らも犠牲になることが現実化しかねない。

 3 このように安保法制は憲法第9条に反する可能性が高いにもかかわらず憲法第96条の改正手続を経ることなく解釈変更を行った上で安全保障にかかわる立法を行うもので立憲主義に反すると言わざるを得ない。このような点から「駆け付け警護」及び「宿営地の共同防護」の任務自体そもそも容認できないものである。

 これまで当会は安保法制が恒久平和主義、立憲主義に反するものであることを指摘し、その廃止を求めてきたが、今回の閣議決定等は恒久平和主義、立憲主義違反を具体化するものであり、到底許容できるものではない。

 よって、当会は、南スーダンに派遣する自衛隊に対して、「駆け付け警護」及び「宿営地の共同防護」の任務を付与した閣議決定等の撤回及び自衛隊の即時撤退を求めるとともに安保法制の速やかな廃止を求めるものである。

 2017年(平成29年)1月27日
 鳥取県弁護士会 会長 大田原俊輔

 少年法の「成人」年齢引下げに反対する会長声明

 2015年(平成27年)6月17日、参議院本会議により、選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる公職選挙法の改正が可決、成立した。同改正の附則11条では、「少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」とされ、これを踏まえ、自民党の「成年年齢に関する特命委員会」では、少年法の適用年齢の引き下げに向けて、本格的に議論を開始した。

 しかし、公職選挙法の選挙権年齢と少年法の適用年齢を連動させる必然性は全くない。法律はそれぞれ個別の目的を持っているのであり、法律の適用年齢を定める際も、その個別の目的を踏まえて慎重に検討しなければならない。

 少年法は、若年者の可塑性に鑑み、若年者の健全な育成を期し、非行を行った若年者に性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うことを目的とする法律である。そして、この目的を達成するため、少年事件(20歳に満たない者が行った犯罪事件、触法事件、及び虞犯事件)については、全件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所調査官による社会調査と少年鑑別所による資質鑑別といった人間行動科学に基づく専門的調査を経て、保護観察、少年院送致などの保護処分がなされるなど、成人とは異なり、若年者の更生に向けた手厚い処遇が用意されている。少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられた場合、18歳、19歳の若年者が、このような手厚い処遇を受けられないことになるが、検察統計年報によれば、2013年(平成25年)に検察庁が新しく通常受理した少年被疑者のうち44.9%を18歳、19歳の若年者が占めている。すなわち、少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられれば、これまで少年法の適用を受けていた若年者のうち40%以上が少年法の適用から排除され、通常の刑事手続きで処理されてしまうのである。刑事手続きとして処理された場合、比較的軽微な事件については、起訴猶予または罰金刑という処分になり、当該若年者は、教育的・保護的処遇を全く受けることなく社会に戻ることになる。懲役刑に処せられた場合でも、刑務所では少年院のように人格の内面に踏み込んだきめ細かい指導を受けることはできない。したがって、少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられると、多くの若年者が十分な教育的・保護的処遇を受けることのないまま社会復帰をせざるを得なくなり、若年者の健全な成長を期すという少年法の目的を大きく損なう危険がある。社会的実態としても、20歳未満の若年者の刑法犯の検挙人数は、2004年(平成16年)から減少し続け、この10年間で約6割減少しており、また、殺人・強盗・放火などの凶悪犯も約半数に減少している。すなわち、現行の少年法制は有効に機能しているのであって、適用年齢引き下げを裏付ける立法事実はないのである。むしろ、現在の若年者は、精神的・社会的自立が遅れる傾向にあるとの指摘もあるところであり、それにもかかわらず、少年法の適用年齢を引き下げるのは、このような社会的実態を全く無視するものである。

 現行の少年法では凶悪事件を起こした若年者に対して甘すぎるという指摘がなされることがある。しかし、現行少年法の下でも、一定の重大事件については、原則として裁判員裁判により刑事罰が科される。その上、2014年(平成26年)の少年法改正でも若年者に対する刑罰の上限が引き上げられている。現行少年法が凶悪事件を起こした若年者に対して甘すぎるということはない。

 以上のように、少年法の適用年齢の引き下げは、立法事実による裏付けがないだけでなく、かえって少年法の目的を大きく損なう危険があるものであって、当会は、これに対し強く反対する。

 2015年(平成27年)8月7日
 鳥取県弁護士会 会長 足立珠希

 夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて民法における差別的規定の改正を求める会長声明

 2015年(平成27年)12月16日,最高裁判所大法廷は,夫婦同氏を強制する民法750条について憲法13条・14条・24条のいずれにも違反しないと判断した。

 一方,女性にのみ再婚禁止期間を定める民法733条については,100日超過部分について憲法14条1項に違反するとともに,憲法24条2項にも違反すると判断した。民法750条について,法廷意見は,夫婦が同氏であることの合理性のみを判断し,同条について合憲との判断を下している。

 しかし,木内道祥裁判官の意見が正しく指摘する通り,「ここで重要なのは,問題となる合理性とは,夫婦が同氏であることの合理性ではなく,夫婦同氏に例外を許さないことの合理性であり,立法裁量の合理性という場合,単に,夫婦同氏となることに合理性があるということだけでは足りず,夫婦同氏に例外を許さないことに合理性があるといえなければならない」のである。近時,婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっていることについては法廷意見も認めるところである。便宜的なものに過ぎない通称使用が広まりを見せていることは,婚姻によって変動した氏では当該個人の同一性の識別に支障があること、及び夫婦別氏制度が合理的な制度として社会的に認識されていることの証左であり,夫婦同氏に例外を許さないことに合理性があるとは到底考えられない。

 今日に至るまで,夫婦別氏制度を含む民法改正案が度々国会に提出され,同制度の採用について,国会において質疑が繰り返され,我が国が1985年(昭和60年)に批准した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」に基づき設置された女子差別撤廃委員会からは,2003(平成15年)以降,繰り返し,我が国の民法に夫婦の氏の選択に関する差別的な法規定が含まれていることについての懸念が表明され,その廃止が要請されるに至っている。

 最高裁判所大法廷も,自らの判断が,選択的夫婦別氏制度について合理性がないと断ずるものではないことを敢えて明らかにしているのであるから,直ちに,国会において夫婦別氏制度の導入について議論がなされるべきである。

 民法733条について,法廷意見が同条を違憲であるとした点については評価できるが,100日の再婚禁止期間を設ける部分については,国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものではなく,憲法14条1項にも憲法24条2項にも違反するものではないとし,また,同条を改廃する立法措置をとらなかった立法不作為については,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないと判断した。

 しかし,現行の父性の推定の規定を前提とすると,100日の再婚禁止期間を設けなければ父性の推定の重複が生じる状態での子の出生があり得るとしても,このような父性の推定の重複が生じる状態での子の出生は,統計的に見れば例外的である。また,DNA検査技術が発達し,生物学上の父子関係を容易かつ正確に判定することができるようになっていることからすれば,父性の推定の重複が生じる状態での子について,事後的に法律的な父を確定することは可能である。そうすると,配偶者の相続権について何ら手当のないまま,離婚等により前婚を解消した女性に一律に一定期間再婚を禁止するという過剰な制約を課するよりも,父性の推定が重複する子が生まれたときには,事後的,個別的な救済手続に委ねることの方が,婚姻の自由を確保するという見地から合理性を有することはあきらかである。法制審議会は,1996年,男女とも婚姻適齢を満18歳とすること,女性の再婚禁止期間の短縮及び選択的夫婦別姓制度の導入を答申した。また,国連の自由権規約委員会は民法733条及び民法第731条(婚姻年齢)について,女性差別撤廃委員会はこれらの各規定に加えて民法第750条について,日本政府に対し重ねて改正するよう勧告を行ってきた。しかし,国会は,長年,上記各規定を放置してきたものである。

 当会は,国に対し,民法750条及び民法733条並びにこれらの規定とともに民法731条を速やかに改正することを強く求める。

 2016年(平成28年)2月2日 
 鳥取県弁護士会  会長  足 立 珠 希

 司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明

 司法修習生に対する給付型の経済的支援となる修習手当の創設については、これまで、日本弁護士連合会と各弁護士会宛てに多くの国会議員から賛同するメッセージが寄せられており、このたび、その総数が衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えるに至った。与野党を問わず、司法修習生への給付型の経済的支援に対する理解が得られつつあるものといえる。

 そもそも司法制度は、法の支配を社会に行き渡らせ市民の権利を擁護するための社会制度であるから、国は、こうした公共的価値の実現を目的とした司法制度を担う法曹となるべき司法修習生を公費で養成するべき立場にある。ところが、経済的支援を要する司法修習生に対して修習資金を貸与する制度(貸与制)が2011年11月に施行され、終戦直後から続いていた司法修習生に対する給費制が廃止されるに至った。

 このため、司法修習生のなかには、大学や法科大学院における奨学金の債務に加えてこの修習資金の債務を負う者が多く、その合計額がきわめて多額にのぼる者も少なくない。司法修習生の69%が修習を行う上での経済的不安を感じ、21%が修習辞退を考えたことがあるとしている。法曹を志す者は年々減少の一途をたどっており、2009年度には2万5071名であったものが2015年度には3517名に減少しているところ、こうした重い経済的負担が法曹志願者の激減の一因だと指摘されている。

 こうした事態を重く受け止め、法曹に広く有為の人材を募り、法曹になろうとする者が経済的理由によって志望を断念することがないよう、また、司法修習生が安心して修習に専念できる環境を整えるために、司法修習生に対する給付型の経済的支援となる修習手当が早急に創設されるべきである。

 平成27年6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」には、「法務省は、最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。法務省及び最高裁判所等の関係各機関は、司法修習生に対する給付型の経済的支援の実現に向けて直ちに前向きで具体的な検討に入るべきである。

 司法修習生に対する給付型の経済的支援となる修習手当の創設に国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せており、また、政府においても上記決定がなされたことをふまえ、当会は、国会に対し、司法修習生に対する給付型の経済的支援の創設を内容とする裁判所法の改正を求めるものである。

 2016年(平成28年)1月20日 
 鳥取県弁護士会 会長 足 立 珠 希

 憲法違反の安保法制法案の参議院における採決強行に抗議する会長声明

 本日、参議院本会議における採決の強行により、平和安全法制整備法及び国際平和支援法(以下、あわせて「安保法制法」という)が成立した。

 安保法制法の内容が憲法違反であることは、当会をはじめとする全国の弁護士会、日本弁護士連合会及び各地方の弁護士会連合会が繰り返し指摘してきただけでなく、多数の憲法学者、元長官を含む元最高裁判所裁判官や歴代の元内閣法制局長官も明言しているところである。国民に対する説明義務が果たされていないという世論も強い中で、衆議院に続き参議院においても採決を強行して同法を成立させたことは暴挙と言わざるを得ない。

 日本国憲法は、前文で平和的生存権を定め、第9条では戦争放棄、戦力不保持、及び交戦権否認を定めるなど徹底した恒久平和主義を基本原理としている。また、政府は、こうした日本国憲法の下、長年にわたり、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」である集団的自衛権について、これを行使することは憲法第9条に違反し許されないとの解釈を堅持してきた。この点、現政権も、当初は従来の解釈に立った上で、集団的自衛権行使のために、まずは憲法第9条を改正しようとし、また、これに先行して改正手続要件規定である憲法第96条を改正しようとした。

 ところが、これらについて国民の総意が得られず憲法改正困難であるとみるや、今度は、従来の政府の憲法解釈を閣議決定により変更したとして、集団的自衛権行使を国会の法律で認めさせ、憲法改正手続を経ずして憲法違反の結果を実現しようという政治手法に出たのである。私たちは、国民主権をないがしろにし、立憲主義を正面から否定するこのような憲法破壊行為を断じて許すことはできない。

 当会は、現政権の今回の採決の強行に対して厳重に抗議するとともに、この度成立した安保法制法に対し、今後も多くの市民とともに、速やかな廃止を求め続けていくものである。

 2015年(平成27年)9月19日
 鳥取県弁護士会 会長足立 珠希

投稿日: 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2297 どんたく岐阜弁護士会D 2018年1月17日

【余命三年時事日記】2297 どんたく岐阜弁護士会D 2018年1月17日

ソース:2297 どんたく岐阜弁護士会D 2018年1月17日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/01/17/2297-%e3%81%a9%e3%82%93%e3%81%9f%e3%81%8f%e5%b2%90%e9%98%9c%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a4/

2297 どんたく岐阜弁護士会D
 
 平成25年7月9日憲法96条の発議要件緩和に反対する会長声明
 ttp://www.gifube.org/oshirase/seimei/seimei130709

 1.日本国憲法第96条は、「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」と定めています。

 ところで、自由民主党(以下「自民党」という。)は、2012年4月27日、日本国憲法改正草案を発表し、第96条の改正規定を、衆参各院の総議員の過半数で発議するように変更しようとしています。そして、この7月に実施される参議院議員選挙の公約としても、発議要件の緩和を掲げています。また、日本維新の会も憲法改正を主張し、第96条については、同様の憲法改正発議要件の緩和を提案しています。

 2.憲法は、不可侵かつ永久の権利として、国民に基本的人権を保障するとともに(第11条、第97条等)、立法権を含む国家権力の濫用によって、国民の基本的人権が侵害されることのないようにするために、権力に「縛り」をかけ、権力の行使を憲法に基づかせることを根本目的としています(第98条、第81条等)。これを「立憲主義」と言います。

 96条が各議院の総議員の3分の2以上の賛成による議決を求めたのは、この立憲主義の理念に由来します。仮に法律と同じように過半数の賛成で憲法改正を発議できるとするなら、時の政権与党は、立憲主義の観点から縛りをかけられている立場にあるにもかかわらず、その縛りを解くために用意に憲法改正案を発議することができます。その結果、基本的人権を保障するための最高法規である憲法が不安定な政治的緊張の中におかれ、その安定性が大きく損なわれることになりかねず、立憲主義が大きく後退してしまうこととなります。

 3.この日本国憲法の改正要件は諸外国の憲法と比較しても、それほど厳しいものではありません。むしろ自民党の発議要件の緩和案のように、法律と同じ要件で改正できる憲法は少数で、ほとんどの国が法律制定よりも厳しい憲法改正要件を定めています。諸外国の憲法改正規定を根拠として、発議要件の緩和を正当化させることはできません。

 例えば、日本国憲法第96条と同じように、議会の3分の2以上の議決と国民投票を要求している国としては、ルーマニア、韓国、アルバニア等がありますし、さらに3分の2以上の議決を2回必要とするベラルーシ、4分の3以上の議決を必要とするフィリピンもあります。国民投票を要しない場合にも、再度の議決が要求されるイタリア、連邦議会の3分の2以上の議決と4分の3以上の州議会の承認が要求されるアメリカ、議会の3分の2以上の議決を必要とするドイツ、議会の議決と両院合同会議の5分の3以上の議決を必要とするフランスなど、様々な憲法改正手続を定める憲法が存在します。

 4.なお、今回の発議要件の緩和は、まず改正規定を緩和して憲法改正をやりやすくし、その後、憲法第9条や人権規定、統治機構の条文等を改正しようとの意図によるものと言われています。これは、まさに、国の基本的な在り方を定め、人権保障のために国家権力を縛る「立憲主義」を骨抜きにしようとするもので、本末転倒の議論と言わざるを得ません。

 また、2006年10月16日に当会が発表した憲法改正国民投票法案に対する会長声明でも指摘しましたが、日本国憲法の改正手続に関する法律には、国民投票における最低投票率の規定がなく、国会による発議から国民投票までに十分、議論を行う期間も確保されていません。公務員と教育者の国民投票運動に一定の制限が加えられているため、国民の間で十分な情報交換と意見交換ができる条件が整っているとも言えません。これでは、国民の間で充実し、かつ、慎重な議論もできないままに国民投票が行われることになってしまい、この国の進路を大きく誤らせるおそれがあります。

 5.以上のとおり、日本国憲法第96条について提案されている改正案は、いずれも国の基本的な在り方を不安定にし、立憲主義と基本的人権尊重の立場に反するものとして極めて問題であり、許されないものと言わざるを得ません。

 よって、当会は、憲法改正の発議要件を緩和しようとする憲法第96条改正提案には強く反対するものです。

 2013年(平成25年)7月9日  
 岐阜県弁護士会 会長 栗山知

 平成25年11月11日生活保護法改正案の廃案を求める会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei131111-2.html

 1.本年10月15日、「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「改正案」という。)が閣議決定されたが、改正案は、違法な「水際作戦」を助長するもので、生活保護申請を一層萎縮させる効果を持つものであって、憲法25条の実現をはばむものであるから、当会は、改正案の廃案を強く求める。

 2.まず、改正案第24条1項は、「保護の開始を申請する者は…申請書を…提出しなければならない」と規定する。一方、現行生活保護法(以下「現行法」という。)下においては、保護の申請に書面は必要とされていない。そのため、現行法下においては、口頭で保護申請した申請者を、窓口職員が追い返す対応は「水際作戦」と呼ばれる違法行為となる。しかし、改正案によれば、要保護者が、保護申請の意思を訴えても、窓口職員が申請書の受け取りを拒否した場合、申請が未だなされていないことになり、上記の水際作戦が違法でないと判断されるおそれがある。

 また、改正案第24条2項は、保護申請に、保護の要否判定に必要な書面を添付することを要求しているが、現行法は、申請にあたって、保護要否の判定に必要な書類の提出を義務付けておらず、保護実施機関の責任において必要な調査を行い、保護の要否の決定をなすべきものとしている。そのため、保護の要否判定に必要な書類を添付しない場合に「申請不受理」とする取扱いも、現行法下では違法な「水際作戦」である。しかし、改正案によれば、このような「水際作戦」も、適法な行為となるおそれが強い。路上生活者等の場合、通帳等の書類を失っている場合も少なくなく、また、必要な書類集めのために関係機関へ赴き、書類を入手するということ自体困難な人もいる。このような人たちこそ、生活保護を必要としているにもかかわらず、改正案によって、最も生活保護を必要としている人たちが、生活保護を受けられないという危険性が強くなる。

 以上の通り、改正案によって、保護実施機関が違法行為であるとのそしりを受けずに、保護申請を抑制することが可能になるおそれがある。そのため、改正案は、現行法下において横行している水際作戦を、更に助長する危険性を有するものである。

 もっとも、改正案第24条1項には、「ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りではない。」と規定があり、同条2項には、「ただし、当該書類を添付することができない特別の事情があるときは、この限りではない。」という規定がある。しかし、不明確な例外規定が設けられているに過ぎず、「特別の事情」
の有無を窓口職員が恣意的に判断する懸念が強いため、この規定によって、水際作戦の助長を防ぐことは全くできない。

 政府答弁等によれば、生活保護申請については、従前通り、口頭申請を認める運用を変更するものではなく、申請書及び添付書類の提出は従来どおり申請の要件ではないこと、福祉事務所等が申請書を交付しない場合も、ただし書の「特別の事情」に該当すること、添付書類は可能な範囲で提出すればよく、紛失等で添付できない場合も、ただし書の「特別の事情」に該当することとされている。しかしながら、法文の文言からは、上記のような解釈が明確ではない。このことから、改正案24条の規定が新設されることにより、法文が一人歩きして、申請を要式行為化、厳格化したものであると誤解され、違法な「水際作戦」がこれまで以上に、助長、誘発されるおそれが大きい。そもそも、従前の運用を変更しないのであれば、法文の新設は不要なはずである。

 平成25年11月11日特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei131111-3.html

 政府は、この臨時国会に「特定秘密の保護に関する法律案」を提出し、成立を目指している。

 この法律案は、「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」が平成23年8月8日付けで発表した「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」と内容的にほぼ同一であるところ、報告書の秘密保全法制は国民の強い批判を受けた。そして、当会も、平成24年4月27日、この秘密保全法制に反対する会長声明を公表した。その中では、@立法を必要とする理由を欠くこと、?情報公開がいまだ不十分であること、?特別秘密(当時)の概念が広範かつ曖昧であること、C禁止行為が曖昧かつ広範であり、罪刑法定主義に反し、また取材の自由・報道の自由に対する侵害となること、?情報管理者及びその周囲の者のプライバシーを侵害すること、E裁判の公開原則に反し、公平な裁判を受ける権利を侵害するおそれがあること等の問題点について指摘した。今般の「特定秘密の保護に関する法律案」においても各問題点はそのまま残されており、当会は本法案に対し、改めて強く反対する。

 平成20年6月10日検察審査会の統廃合に反対する会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei080610-1.html

 最高裁判所は、本年1月、全国201ケ所の検察審査会のうち、過去20年間の平均年間事件数が1件未満の50ヶ所を廃止し、14ヶ所を増設する再編案を発表し、法務省は、その再編案を内容とする「検察審査会の名称及び管轄区域等を定める政令の一部を改正する政令案」をパブリックコメントに付している。この案によると、現在、岐阜県内に岐阜検察審査会、大垣検察審査会、多治見検察審査会、高山検察審査会の4ヶ所の検察審査会があるところ、高山検察審査会が岐阜検察審査会に統合されて県内の検察審査会は3ヶ所に減少することになる。

 この統廃合の理由は、検察審査会を事件数に応じて再配置することにより、審査員に選ばれる市民の負担を軽減し、審査を充実させるためと説明されている。

 審査員の負担としては、事件の有無にかかわらず半年の任期中に4回の出頭義務があることが挙げられているが、この負担の軽減は、制度を改めることにより可能であって、直ちに検察審査会を統廃合する理由となるものではない。

 そもそも、検察審査会は、公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図ることを目的とするものである。これは、検察官に起訴独占主義・起訴便宜主義という大きな権限・裁量権を与えている我が国の検察制度のもとで、市民が検察の公訴権の実行を監視するほぼ唯一の手段である。不適正な公訴権の行使がないよう監視するには、自らが生活している地域で起きた事件の公訴権行使を身近なところから監視するのが有効適切であって、そのため、全国201ヶ所に検察審査会が置かれている。このような監視システムの存在自体に、不適正な公訴権の行使を予防する機能があるのであって、事件数が少ないことを理由として主権者である国民による公訴権行使の監視機能を弱体化させてはならない。

 岐阜県内においても、高山検察審査会が岐阜検察審査会に統合されれば、岐阜検察審査会が、岐阜市及びその周辺の市町・郡上市・下呂市・高山市・飛騨市までの広大な地域を管轄することになるのであり、公訴権行使を身近なところから監視するという監視システムを弱体化させる結果となる。

 また、これまで検察審査会が必ずしも多く利用されてこなかった状況が続いてきた理由としては、検察審査会制度自体が知られていなかったことのほか、議決に法的拘束力がないなど国民の期待に十分に応えうる制度となっていなかったことが考えられる。しかし、最近では、犯罪被害者の権利や救済についての議論が活発になる中で、検察審査会への期待が高まっている。そして、検察審査会法も改正され、平成21年5月までに、2度目の起訴議決への法的拘束力が付与される制度が新設された改正法が施行されることになっている。このような現状からすれば、過去の統計のみを理由に検察審査会の統廃合を行うのではなく、まず、国民に対し、検察審査会の存在、利用方法を十分に広報する必要性が高い。
以上の理由により、当会は、全国50ヶ所の検察審査会を統廃合することに反対するものである。

 2008年(平成20年)6月10日  
 岐阜県弁護士会 会長 幅隆彦

 平成20年2月2日安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げに反対する会長声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei080202-1.html

 厚生労働省内の有識者会議「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という。)は、平成19年11月30日、生活保護基準の引き下げを容認する報告書を出し、これを受けて厚生労働省は同年12月20日生活保護基準の見直しについて、平成21年度予算編成で対応すると発表した。

 しかし、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、国民の生存権保障に直結する極めて重要な基準である。

 また、生活保護基準は、地方税の非課税基準、介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法による利用料の減額基準、公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準にも連動している。従って、生活保護基準の引き下げは、現に生活保護を利用している市民の生活レベルを低下させるだけでなく、低所得者全般の生活にも大きな影響を及ぼす重大な問題である。

 平成19年11月28日に可決成立した改正最低賃金法は、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記して最低賃金引き上げに道を開いたが、生活保護基準の引き下げによって、最低賃金引き上げ目標額も下がることとなる。

 このような生活保護基準の重要性に鑑みれば、その引き下げに関する議論は、十分に時間をかけて慎重になされるべきである。また、生活保護利用者の声を十分に聴取するとともに、公開の場で広く市民に意見を求めた上、なされるべきである。しかるに、検討会が同年10月19日の第1回開催からわずか1ケ月半足らずでまとめた報告書を根拠として、基準の切り下げに踏み込むとすれば、拙速に過ぎ、手続的にも極めて問題が大きいと言わざるを得ない。

 上記報告書は、収入が低い方から1割の低所得者層の消費支出水準よりも現行生活保護基準の方が高いことを保護基準切り下げ容認の根拠として挙げている。しかし、日本弁護士連合会が平成18年7月に実施した生活保護全国一斉電話相談では、福祉事務所が保護を断った理由の66%が違法である可能性が高く、相談者を不当に追い返す、いわゆる「水際作戦」が全国各地に蔓延しているとされる。生活保護の捕捉率が極めて低いために、本来であれば生活保護を受けうるのに受けられず、生活保護基準以下の生活を余儀なくされている低所得者が多数存在していると考えられる。しかるに、現実の低所得者層の収入や支出を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、生存権保障水準は際限なく引き下げられることになりかねない。

 県都である岐阜市においても、長良川の河川敷や市内の公園等にテント生活を送る路上生活者が役40名にのぼることが市役所によって把握されているが、これらの者が受給を申請しても住民登録がない等の理由で容易に保護が受けられないのが現状である。なお、路上生活者の数は厚生労働省の平成15年の調査によれば全国で2万5000人強、岐阜県では86人、岐阜市では44人と報告されている。

 これらの路上生活者の多くは生活保護の受給対象であるにもかかわらず、前述の「水際作戦」等によって受給がされておらず、こられの対象者に十分な手当てを行わないままに生活保護基準の引き下げを行うことは本末転倒と言わざるを得ない。

 厚生労働省が平成20年度における生活保護基準の引き下げは見送ったとはいえ、今後十分な議論や検討を欠いたまま上記報告書をもとにした基準引き下げの方針を維持するとすれば、極めて不当である。

 よって、当会は、厚生労働省及び厚生労働大臣に対し、生活保護利用者や市民の声を十分に聴取し、慎重な検討を行うことを強く求めるとともに、安易かつ拙速な生活保護基準の切り下げには断固として反対するものである。

 2008年(平成20年)2月2日  
 岐阜県弁護士会 会長 渡邊一

 平成14年5月30日「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」の見直しを求める声明
 ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei020530-1.html

 政府は、今国会に、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」(以下「法案」という。)を上程した。しかし、この法案には、少なくとも以下の点で問題がある。
 
 1.個人情報の収集制限を明記した規定がない。

 法案3条1項は、「保有するに当たっては」という曖昧な表現になっていて、収集制限規定としては極めて不十分である。少なくとも、収集手段の適法かつ公正性の原則、センシティブ情報の収集の原則禁止、直接収集の原則などを明記すべきである。

 2.行政機関等による目的外利用を広く認めている。

 法案3条3項では、利用目的の変更を「変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲」で認めているが、「相当の関連性」の有無を判断するのは当該行政機関であるから、その判断は確実に甘くなり、「相当の関連性」は個人情報の拡散の歯止めにならない。本人の同意を要件とするか、少なくとも本人への通知を要件とすべきである。

 3.安全確保義務違反に対する罰則がない。

 国家公務員法、地方公務員法では公務員の守秘義務を規定しているが、これらは対象を異にしているし、その法定刑も軽すぎる(国公法100・109条、地公法34・60条)。法案に義務違反に対する罰則の規定を設けるべきであるし、法定刑もその罪質からして厳格にすべきである。

 4.非開示自由が広範にわたっている。

 個人情報保護は、結局自己情報をどれだけ自分がコントロールできるかという問題でもあり、自分に関する情報の開示も重要なことである。

 ところが、法案14条では、行政機関が本人からの開示請求を拒否できる事由を広く規定しているし、その規定の仕方が抽象的である。その結果、かなり広範に非開示にされるおそれがある。

 5.不服申立も裁判も東京だけにしか認められない。
 審査会は東京に1つ置くだけであり、不服申立の意見陳述が東京だけでしかできない。また、法案には裁判官管轄に関する明示の規定がないため、行政事件訴訟法12条1項の規定により東京地方裁判所だけということになる。地方在住者にとっては、事実上、不服申立も提訴もできなくなってしまい、不合理である。

 このように、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」には、個人情報保護の観点から重要な問題があるので、根本的な見直しを求めるものである。

 2002年(平成14年)5月30日  
 岐阜県弁護士会 会長 河合良房

投稿日: 2018年1月17日