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【余命三年時事日記】2358 ら兵庫県弁護士会@AB 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2358 ら兵庫県弁護士会@AB 2018年2月2日

ソース:2358 ら兵庫県弁護士会@AB 2018年2月2日
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2358 ら兵庫県弁護士会@AB 
 
 兵庫県弁護士会
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 意見表明一覧
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 会 長  白 承 豪

 2017.12.25
 「死刑執行に関する会長声明」2017.12.20

 2017.10.02
 「平成29年度司法試験最終合格発表に関する会長声明」2017.9.27

 2017.09.01
 「地方消費者行政の一層の強化を求める意見書」2017.8.24

 2017.07.28
 「死刑執行に関する会長声明」2017.7.27

 2017.07.28
 「平成29年司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明」2017.7.27

 2017.07.28
 「最低賃金の大幅な引き上げを求める会長声明」2017.7.27

 2017.07.12
 「いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法の施行にあたり改めて,「共謀罪」法に反対し,廃止を求める会長声明」2017.7.11

 2017.07.10
「会長談話」2017.7.4

 2017.06.15
 「いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案を参議院において強行採決したことに強く抗議する会長談話」2017.6.15

 2017.05.25
 「司法修習生に対し修習給付金を支給する法改正についての会長声明」2017.5.24

 2017.05.25
 「日本国憲法施行70年を迎えての会長声明」2017.5.24

 2017.05.25
 「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の 衆議院採決に抗議する会長声明」2017.5.23

 会 長  米 田 耕 士

 2017.03.29
 「会長談話」2017.03.28

 2017.03.24
 「国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明」2017.3.23

 2017.03.22
 「いわゆる『共謀罪』法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明」
 2017.3.21

 2017.01.27
 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し,廃止を求める会長声明 2017.1.26

 2016.12.27
 「司法試験合格者数のさらなる減員を求める17弁護士会会長共同声明」 2017.1.26

 2016.12.14
 「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の国会承認に反対する会長声明」2016.11.4

 2016.12.02
 「死刑執行に関する会長声明」2016.11.28

 2016.10.03
 「日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する意見書」2016.09.28

 2016.09.15
 「いわゆる共謀罪法案の提出に反対する会長声明」2016.9.11

 2016.07.01
 「高等学校等の生徒の『政治的活動等の自由』の保障を求める会長声明」2016.6.28

 2016.06.07
 「少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明」2016.6.3

 2016.06.01
 「原発事故避難者への住宅支援の継続を求める会長声明」2016.5.30

 2016.04.27
「死刑執行に関する会長声明」2016.4.25

 2016.04.27
 「平成28年(2016年)熊本地震についての会長声明」2016.4.26

 2016.04.27 
 「借上公営住宅に関する意見書」2016.4.26

 会 長  幸 寺 覚

 2016.03.30
 「安全保障法制施行後の適用・運用に反対する会長声明」2016.3.29 29

 2016.02.29
 「夫婦同姓の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて民法における差別的規定の改正を求める会長声明」2016.2.29

 2016.01.29
 「消費者庁等の移転に反対する意見書」2016.1.28

 2016.01.21
 「司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明」2016.1.20

 2016.01.21
 「国籍を問わず調停委員の任命を求める決議」2016.1.19

 2016.01.06
 「少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する意見書」2015.12.28

 2015.12.24
 「死刑執行に関する会長声明」2015.12.22

 2015.10.29
 「夫婦同姓の強制及び再婚禁止期間に関する民法の差別的規定の早期改正を求める会長声明」
 2015.10.28

 2015.09.29 
 「消費者契約法専門調査会『中間取りまとめ』に対する意見」2015.9.29

 2015.09.29
 「特定商取引法専門調査会『中間整理』に対する意見」2015.9.29

 2015.09.25
 「『安全保障法制』の参議院における強行採決に抗議する会長声明」2015.9.24

 2015.08.07
 「『安全保障法制』の衆議院強行採決に抗議する会長声明」2015.8.6

 2015.07.28
 「民法上の成年年齢を18歳に引下げることについて慎重な検討を求める会長声明」2015.7.27

 2015.07.24
 「特定商取引法の見直しにあたり,不招請勧誘の禁止または規制強化を求める意見書」2015.7.22

 2015.07.23
 「面会室内における写真撮影に関する国家賠償請求訴訟の東京高裁判決に抗議する会長声明」2015.7.22

 2015.07.23
 「死刑執行に関する会長声明」2015.7.22 る会長声明」2015.7.22

 2015.07.23
 「借上公営住宅における入居期限に関する意見書」2015.7.21

 2015.06.29
 「少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明」2015.6.26 22

 2015.06.29 
 「法曹養成制度改革推進会議決定(案)の『今後の法曹人口の在り方』に関する会長声明」2015.6.24

 2015.06.08
 「『平和安全法制整備法』案,『国際平和支援法』案の廃案を求める会長声

 2015.05.27
 「原発事故自主避難者に対する住宅等の供与期間に関する会長声明」2015.5.27

 2015.05.19
 「安全保障法制の閣議決定に対する会長声明」2015.5.18

 2015.05.08
 「戦後70年を迎える憲法記念日に当たっての会長声明」2015.5.3

 2015.05.01
 「少年審判決定書の全文公表に関する会長声明」2015.5.1

 2015.04.15
 「災害対策と『国家緊急権』に関する会長声明」2015.4.10

 2015.04.07
 「長時間労働を助長し過労増大につながる労働基準法等の改正(案)の閣議決定に反対する会長声明」2015.4.3

 会長 武本夕香子

 2015.03.25
 「神戸市会『法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書』可決を受けた会長談話」2015.3.24

 2015.03.20
 司法試験合格者数についての申入書 2015.3.19

 2015.03.16
 「通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する18弁護士会会長共同声明」2015.3.13

 2015.03.16
 「法曹人口問題のアンケート結果に対する意見書」2015.3.4

 2015.02.26
 「災害援護資金貸付の免除要件の更なる緩和を求める会長声明」2015.2.25

 2015.02.03
 「商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明」2015.1.30

 2015.01.26 
 「国民的議論を経ないまま環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を締結することに反対する会長声明」
 2015.1.21

 2015.01.22
 割賦販売小委員会「中間的な論点整理」に対する意見−パブリックコメント−2015.1.22

 2014.12.10
 「特定秘密保護法の施行に反対する会長声明」2014.12.10

 2014.12.10
 「民法改正による約款の規律についての会長声明」2014.12.9

 2014.12.10
 「国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める声明」2014.12.8

 2014.11.25
 「裁判所関連予算の大幅増額を求める会長声明」2014.11.21

 2014.11.07
 「司法試験合格者数の更なる減員を求める共同申入書」2014.10.14

 2014.10.27
 兵庫県議会「法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書」可決を受けた会長談話2014.10.24

 2014.09.12
 平成26年司法試験の結果に対する会長談話2014.9.9

 2014.09.01
 「死刑執行に関する会長声明」2014.8.29

 2014.08.27
 広島市及び丹波市の被災者支援に関する会長談話2014.8.25

 2014.08.27
 共謀罪の新設に改めて反対する会長声明2014.8.20

 2014.08.27
 「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」2014.8.2020
 「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」及び「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見14.08.22
 「旅行産業の今後と旅行業法制度の見直しに係る方向性について」に対する意見書2014.8.20

 2014.08.22
  原発事故避難者への住宅等の供与に関する新たな立法措置等を求める意見書2014.8.20

 2014.07.29
 最低賃金の引き上げを求める会長声明2014.7.25

 2014.07.29
 法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」がとりまとめた答申案に対する会長声明2014.7.25

 2014.07.03
 「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)に関する意見書2014.6.27

 2014.06.27
 死刑執行に関する会長声明2014.6.26

 2014.06.27
 改めて特定秘密保護法の廃止を求める会長声明2014.6.25

 2014.06.20
 集団的自衛権の行使容認に改めて反対する会長声明2014.6.20

 2014.06.16
 憲法改正手続法「改正」に関する会長談話2014.6.13

 2014.06.16
 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」に反対する会長声明 2014.6.13

 2014.06.03
 大飯原発差止訴訟判決についての会長声明2014.6.3

 2014.05.26
 法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会「事務当局試案」のうち取調べの録音・録画に関する会長声明
 2014.5.23

 2014.04.25
 「商品先物取引法施行規則」及び「商品先物取引業者の監督の基本的な指針」改正案に対する意見書
 2014.4.23

 2014.04.25
 貸金業法「改正」に反対をする会長声明2014.4.23

 2014.04.11
 「『袴田事件』再審開始決定に関する会長声明」2014.4.9

 会長 鈴木尉久

 2014.03.25 
 「平成26年から直ちに司法試験合格者数の大幅減少に踏み切ることを求める申入書」2014.3.19

 2014.03.17
 「改正労働者派遣法案に反対する会長声明」2014.3.14

 2014.02.14
 「会長談話」2014.02.13

 2013.12.26
 「年間司法試験合格者数の大幅減員への早急な対応を求める申入書」2013.12.2

 2013.12.18
 「抜本的な難病患者等支援制度の構築を求める会長声明」2013.12.16

 2013.12.13
 「死刑執行に関する会長声明」2013.12.12

 2013.12.10
 「会長談話」2013.12.10

 2013.12.10
 「特定秘密保護法の成立にあたっての会長談話」2013.12.10

 2013.12.02
 「小野市福祉給付適正化条例に基づく適正化協議会及び適正化推進員の設置に反対する会長声明」
 2013.11.29

 2013.12.02
 「国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める声明」2013.11.28

 2013.11.28
 「商品先物取引における不招請勧誘禁止規制の撤廃に反対する会長声明」2013.11.27

 2013.11.15
 「特定秘密保護法案に反対する会長声明」2013.11.15

 2013.11.13
 「集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明」2013.11.13

 2013.10.25
 「憲法改正手続法の根本的改正を要請する会長声明」2013.10.24

 2013.10.25
 「平成25年司法試験の結果に対する会長声明」2013.10.24

 2013.10.01
 「「特定秘密の保護に関する法律案」に対する意見」2013.09.17

 2013.10.01
 「「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に関する意見書」2013.09.19

 2013.10.01 
 「死刑執行に関する会長声明」2013.09.25

 2013.08.31 
 「法曹養成制度関係閣僚会議決定に対する会長声明」2013.8.12

 2013.08.21
 「最低賃金の引き上げに関する会長声明」2013.8.21

 2013.07.06
 「神戸地方裁判所姫路支部及び尼崎支部において速やかに労働審判の実施を求める会長声明」2013.6.19

 2013.07.06
 「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う損害賠償請求権の消滅時効に関し、参議院での付帯決議の趣旨を踏まえた立法措置を求める意見書」2013.6.192013.06.20 
 「憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する意見書」2013.6.19 2013.06.13
 「司法修習生の経済的支援に関する座長試案等に反対する会長声明」2013.6.13

 2013.06.13 「パブリック・コメントの全面的公開及びパブリック・コメントを尊重した最終的なとりまとめの作成を求める会長声明」2013.6.13

 2013.06.13
 「「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」についての意見書」2013.6.12

 2013.06.06
 会長談話2013.6.6

 2013.05.27
 「「生活保護法の一部を改正する法律案」に反対する会長声明」2013.5.23

 2013.05.27
 「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案」に対する会長声明」2013.5.23

 2013.05.14
 「法曹養成制度検討会議の中間取りまとめについて−パブリックコメント−」2013.5.9

 2013.04.30
 「死刑執行に関する会長声明」2013.4.26

 会長 林 晃 史

 2013.04.03
 「小野市福祉給付適正化条例の成立にあたっての会長声明」2013.3.27 2013.03.25 「個人保証の原則廃止を求める会長声明」2013.3.25

 2013.03.25
 「特定商取引法施行規則の改正を求める意見書」2013.3.25

 2013.03.22
 「「菊池事件」について検察官による再審請求を求める会長声明」2013.3.22

 2013.03.22
 「東日本大震災の被災者に対する公営住宅の無償提供期間をさらに延長することを求める会長声明」
 2013.3.21

 2013.03.11
 「東日本大震災から2年を迎えての会長談話」2013.3.11

 2013.03.08
 「小野市福祉給付適正化条例案に反対する会長声明」2013.3.08

 2013.03.05
 「会長談話」2013.3.5

 2013.02.22
 「死刑執行に関する会長声明」2013.2.21

 2013.02.22
 「オスプレイ配備の中止等を求める会長声明」2013.2.21

 2013.02.06
 「尼崎連続変死事件元被告人自殺事件に関する会長声明」2013.2.5

 2013.02.01
 「原発事故子ども・被災者支援法に基づく基本方針に関する意見書」2013.1.24

 2012.12.25
 「司法修習生の修習費用に対する給費制復活を求める会長声明」2012.12.15

 2012.12.17
 「国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める緊急声明」2012.12.13

 2012.12.17
 「ハンセン病問題の解決に向けた施策の充実を求める要望書」2012.12.13

 2012.11.05
 「生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明」2012.11.5

 2012.10.03
 「死刑執行に関する会長声明」2012.10.2

 2012.09.28
 「姉刺殺事件の大阪地裁判決を受けて、発達障害がある人に対する理解と支援を求める会長声明」2012.9.20

 2012.08.28
 「「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する担当者素案」に関する意見」2012.8.22

 2012.08.23
 「死刑執行に関する会長声明」2012.8.23

 2012.07.30
 最低賃金の引き上げに関する会長声明」2012.7.26

 2012.07.30
 「関西電力大飯原子力発電所の運転停止を求める会長声明」2012.7.26

 2012.07.11
 「原子力損害賠償紛争解決センターによる口頭審理を被害者の住所地で開催することを求める緊急会長声明」2012.7.10

 2012.06.18 
 「貸金業法完全施行2周年を迎えての会長声明」2012.6.18

 2012.05.31
 「マイナンバー法」に反対する会長声明」2012.5.25

 会長 笹 野 哲 郎

 2012.04.04
 「死刑執行に関する会長声明」2012.3.30

 2012.03.09
 東日本大震災から1年を迎えるにあたって

 2012.02.24
 「秘密保全法制定に反対する会長声明」2012.2.23

 2012.02.24 「裁判所速記官の養成再開を求める総会決議」2012.2.21

2012.02.14 「国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明」2012.2.10

2012.01.27 「標準旅行業約款の見直しに関する意見書」2012.1.26

2011.12.27「地方消費者行政の充実・強化に対する國の支援のあり方に関する意見書」2011.12.22

2011.11.25 「被災者支援のための「法的支援事業特別措置法」の早急な制定及びその予算措置を求める会長声明」2011.11.24

2011.11.25 「「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」(ハーグ条約)を実施するための中央当局の在り方に関する意見書」2011.10.27

2011.11.25 「「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめに関する意見書」2011.10.27

2011.11.17 『「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」についての意見』2011.10.27

2011.10.27 「原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続を全国各地で実施することを求める会長声明」2011.10.26

2011.10.27 「被災者本位の復興まちづくりの法整備と計画の具体化を求める意見書」2011.10.26

2011.10.27 「提携リースを規制する立法措置を求める意見書」2011.10.26

2011.10.05 「倒産手続における消費者保護を求める意見書」2011.9.29

2011.10.05 「任意整理統一基準に基づく和解に応じることを求める意見書」2011.9.29

2011.09.27 「東京電力株式会社が行う原発事故被害者への損害賠償手続に関する会長声明」2011.9.21

2011.09.12 「神戸拘置所における被収容者凍死事件についての会長声明」2011.9.12

2011.07.29 「最低賃金の引き上げに関する会長声明」

2011.07.05 「会長声明−被疑者・被告人と弁護人の秘密交通権の侵害を許さず取調べの可視化を−」
2011.7.1

2011.06.27 「東日本大震災の被災者が抱える既存債務からの解放を求める会長声明」2011.6.23

2011.05.27 「災害弔慰金の支給に関する法律及び同法施行令の改正を求める意見書」2011.5.25

2011.05.27 「被災者生活再建支援法改正及び運用改善に関する意見書」2011.5.25 2011.05.27 「布川事件無罪判決を受けての会長声明」2011.5.24

2011.05.02 「災害救助制度の改正及び運用改善に関する緊急提言」2011.4.28

2011.05.02 「被災地・被災地住民本位の復旧・復興を実践するための「地域委員会」(仮称)の設置を求める提言」2011.4.28

2011.04.30 「民法改正に関するパブリックコメント手続延期を求める会長声明」2011.4.12

2011.04.11 「東日本大震災復旧・復興対策立法に関する緊急提言」2011.4.7

兵庫県弁護士会

2011.03.17 「東北地方太平洋沖地震・津波災害に関する緊急決議」2011.3.15

2011.03.17 「各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める総会決議」2011.3.15

2011.03.17 「全面的な国選付添人制度の実現を求める総会決議」2011.3.15

会長 乗鞍良彦

2010.12.27「司法修習生に対する給費制を1年間延長する「裁判所法の一部を改正する法律」の成立にあたっての会長声明」2010.12.24

2010.12.27 「ハーグ条約の批准問題に対する会長声明」2010.12.22

2010.12.06 「秋田県弁護士会所属会員の殺害事件に関する会長声明」2010.12.3

2010.12.03 「外国籍弁護士の調停委員推薦が拒否された件に関する緊急声明」2010.11.30

2010.10.13 【人権侵害への警告等】2010年9月16日付神戸刑務所に対する勧告書

2010.09.21 「海外留学あっせん業者に対する適切な法的規制を求める意見書」2010.9.15

2010.09.14 「司法修習生に対する給費制の維持を求める決議」2010.9.7

2010.08.09 「全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明」2010.8.6

2010.08.09 「最低賃金の引き上げに関する会長声明」2010.8.6

2010.08.09 「外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明」2010.8.6

2010.07.31 「死刑執行に関する会長声明」2010.7.29

2010.06.10 「司法修習生に対しての給費制維持を求める緊急声明」2010.6.10

2010.05.06「尼崎JR脱線事故における指定弁護士による公訴提起を受けた会長談話」2010.4.23

2010.04.21「明石歩道橋事故における指定弁護士による公訴提起を受けた会長談話」2010.4.20


会長 春名一典(2009.4.27(PDFファイル) 2009年5月1日まで声明)

2010.04.09「尼崎JR脱線事故における検察審査会起訴議決を受けた会長談話」2010.3.26

2010.04.05「足利事件再審無罪判決に関する会長声明」2010.3.26

2010.04.05「民法(家族法)改正の早期実現を求める会長声明」2010.3.26

2010.04.05「朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外しないことを求める声明」2010.3.24

 兵庫県弁護士会
 2010.04.05「適正な法曹人口に関する決議」2010.3.23

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 会の決議と会長声明

 「国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明」2010.2.1(PDFファイル)
 2010年2月3日

 「明石歩道橋事件における検察審査会起訴議決を受けた会長談話」2010.01.27(PDFファイル)
 2010年2月1日

 「直ちに取調べの全過程の可視化を求める会長声明」2009.12.24(PDFファイル)
 2010年1月12日

 「多重債務者の任意整理における「統一基準」の遵守を求める要請書」2009.11.25(PDFファイル)  2010年1月12日

 「改正貸金業法の早期完全施行を求める会長声明」2009.9.14(PDFファイル) 
 2009年9月18日

 「兵庫県における裁判員制度第1号事件の公判開始にあたっての会長声明」2009.9.7(PDFファイル) 2009年9月18日

 「修習生に対する給費制の存続を求める会長声明」2009.8.26(PDFファイル)
 2009年9月18日

 「死刑執行に関する会長声明」2009.7.28(PDFファイル)
 2009年8月25日

 「消費者庁長官、消費者委員会委員長及び委員の適正な人選を求める会長声明」2009.7.23(PDFファイル)
 2009年8月25日

「生活保護における母子加算の復活を求める会長声明」2009.6.18(PDFファイル)
 2009年7月6日

「消費者庁関連3法の成立に関する会長声明」2009.6.15(PDFファイル)
 2009年7月6日

「足利事件に関する会長声明」2009.6.15(PDFファイル)
 2009年7月6日

 「取調べの可視化法案が参議院において再び可決されたことに関する会長声明」2009.5.25(PDFファイル)
 2009年6月2日

「海賊対処法案」に反対する会長声明」2009.5.22(PDFファイル)
 2009年6月2日

「住居喪失者・DV事件被害者等の定額給付金及び子育て応援特別手当の受給に関する会長声明」2009.5.22(PDFファイル)
 2009年6月2日

 「裁判員制度の施行と被疑者国選弁護制度の拡大にあたっての会長声明」2009.5.21(PDFファイル)
 2009年6月2日

「県下で新型インフルエンザの感染が確認されたことに関する会長声明」2009.5.18(PDFファイル)
 2009年6月2日

「労働者派遣法の抜本的改正を求める会長声明」2009.4.27(PDFファイル)
 2009年5月1日
「民法改正手続に関する会長声明」2009.4.27(PDFファイル) 2009年5月1日

 会長  正 木 靖 子

「死刑執行に関する会長声明」2009.2.16(PDFファイル)
 2009年3月10日

「兵庫県弁護士会所属会員に対する傷害事件に関する談話」2009.01.08(PDFファイル)
 2009年1月13日

「鹿児島接見国賠訴訟会長声明」2008.3.26(PDFファイル)
 2008年11月27日

「死刑執行に関する会長声明」2008.11.7(PDFファイル)
 2008年11月20日

 「大和都市管財国家賠償訴訟・控訴審判決に対する会長声明」2008.11.7(PDFファイル)
 2008年11月20日

 「海外留学あっせん業者に対する適切な法的規制を求める意見書」2008.11.7(PDFファイル)
 2008年11月20日

 「不安定雇用をもたらす「労働者派遣法」の抜本的見直しを求める会長声明」2008.8.25(PDFファイル)
 2008年9月8日

「少年法「改正」に反対する会長声明」2008.3.21(PDFファイル)
 2008年8月4日

「法曹人口の急速な増大の見直しを求める緊急提言」2008.7.10(PDFファイル)
 2008年7月19日

 「少年法「改正」法成立についての会長声明」20087.10(PDFファイル)
 2008年7月19日

 「「真にあるべき」消費者庁設置を求める会長声明」2008.7.10(PDFファイル)
 2008年7月19日

「取調べの可視化に関する法律案の参議院での可決に関する会長声明」2008.6.11(PDFファイル) 
 2008年6月12日

「名古屋高裁判決を踏まえて航空自衛隊のイラク早期撤退を求める会長声明」2008.5.16(PDFファイル)
 2008年6月4日

「映画「靖国 YASUKUNI」上映中止問題に関する会長声明」2008.5.16(PDFファイル)
 2008年6月4日

 会長 道上 明

 「株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所のばい煙・粉じん問題に関する意見書」2008.3.21(PDFファイル)
 2008年4月17日

 「テロ特措法に代わる新法案の慎重審議を求める声明」2007.12.17(PDFファイル)
 2008年1月28日

 「安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げに反対する声明」2007.11.6(PDFファイル)
 2007年12月17日

 「氷見市における強姦・同未遂事件再審無罪判決についての会長声明」2007.10.17(PDFファイル)
 2007年12月17日

 「日本国憲法の基本理念を堅持する宣言」2007.10.12(PDFファイル)
 2007年12月17日

 「取調べの全過程の可視化を求める決議」2007.10.12(PDFファイル)
 2007年12月17日

 少年警察活動規則におけるぐ犯調査権限の新設に反対する会長声明(PDFファイル)
 2007年9月2日

 受刑者の出廷権に関する意見書(PDFファイル)
 2007年8月29日

 刑事弁護活動に対する違法な攻撃を許さない会長声明(PDFファイル)
 2007年8月22日

 被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告に対する意見書(PDFファイル)
 2007年8月22日

 被害者の刑事手続参加制度新設に抗議する会長声明(PDFファイル)
 2007年6月20日

 被害者の刑事手続参加関連法案の衆議院可決にあたっての会長声明(PDFファイル)
 2007年6月8日

 割賦販売法改正意見書(PDFファイル)
 2007年5月18日
 少年法「改正」法案会長声明(PDFファイル)
 2007年5月17日

 憲法改正手続法案の慎重審議を求める緊急声明
 2007年4月25日

 被害者参加制度新設に関し慎重審議を求める会長声明(PDFファイル)
 2007年4月10日

 能登半島地震の被災者支援に関する会長声明(PDFファイル)
 2007年4月5日

 会長 竹本 昌弘

 兵庫県弁護士会所属会員に対する業務妨害事件に関する声明
 2007年3月26日

 中国残留孤児兵庫訴訟判決に関する兵庫県弁護士会会長声明
 2006年12月1日

 共謀罪新設に改めて反対する会長声明
 2006年10月12日

 憲法改正国民投票法案についての意見書(PDFファイル)
 2006年10月12日

 憲法改正国民投票法案についての意見書要旨(PDFファイル)
 2006年10月12日

 教育基本法「改正」に反対する会長声明2006年
 2006年9月12日

 航空自衛隊のイラク早期撤退を求める2006年
 2006年8月11日

 「例外」なき金利引き下げ実現を求める
 2006年8月11日

 兵庫県弁護士会

 総会決議裁判員裁判実施に関する神戸地裁への要望 2006年5月22日
 総会決議弁護士から警察への依頼者密告制度 2006年5月22日

 会長 竹本 昌弘

 教育基本法「改正」法案の今国会成立に反対する会長声明
 2006年5月15日

 共謀罪の新設に反対する会長声明
 2006年4月20日

 会長 藤井 伊久雄

 兵庫県国民保護計画案に反対する会長声明
 2006年1月23日

 ゲートキーパー立法に反対する会長声明
 2006年1月18日

 住宅の安全確保に関する会長声明
 2006年1月17日

 共謀罪の新設に反対する再度の声明
 2005年10月3日

 憲法改正国民投票法案について慎重な対応を求める意見書(PDFファイル)
 2005年9月8日

 兵庫県国民保護計画作成に対する意見書(PDFファイル)
 2005年7月22日

 共謀罪の新設に反対する会長声明
 2005年7月21日

 会長職務代行 副会長 藤本 尚道

 人権擁護法案に対する会長声明
 2005年3月29日

 国民保護計画作成及び国民保護措置実施に関する意見書(PDFファイル)
 2005年3月24日

 会長職務代行 副会長 藤本 尚道

 少年法等「改正」法案に対する反対声明 
 2005年3月10日

 会長 滝本 雅彦

 私たちは「合意による敗訴者負担制度」に反対します
 2004年7月14日

 近畿司法書士会連合会の計画する「対話調停センター」の設立断念を求める会長声明
 2004年7月14日

 国選弁護人報酬の増額等を求める会長声明
 2004年7月14日

 兵庫県警自動車警ら隊隊員による捜査書類ねつ造事件に関する会長声明
 2004年7月2日

 司法修習生の給費制堅持を求める緊急声明
 2004年6月10日

 有事7法案に関する会長声明 
 2004年4月6日

 会長 麻田 光広
 裁判員制度の制度設計に関する会長声明
 2003年12月26日

 自衛隊等のイラク派遣に反対する会長声明
 2003年12月12日

 司法修習生の給費制維持を求める会長声明
 2003年8月27日

 住基ネット第2次稼働の問題点と当会の提言
 2003年8月21日

 出資法の上限金利の引き下げ等を求める意見書
 2003年7月4日

 実効性ある「ヤミ金融対策法」の制定を求める会長談話
 2003年7月1日

 有事法制法案可決成立に対する会長談話
 2003年6月6日

 兵庫県弁護士会

 刑事司法改革の推進に関する決議
 2003年5月28日

 兵庫県弁護士会消費者保護委員会

 公益通報者保護制度についての意見書
 2003年4月25日

 会長 麻田 光広

 個人情報保護法案等に対する会長声明
 2003年4月25日

 有事法制関連法案に反対する声明
 2003年4月25日

 会長 藤野 亮司

 「裁判の迅速化に関する法律案」に反対する意見書
 2003年3月3日

 イラクへの武力攻撃についての会長声明
 2003年3月3日

 国選弁護人報酬についての要望書
 2003年3月3日

 ハンセン病への差別を助長するリーフレットの回収と患者であった人々への人権救済措置を求める要望書
 2003年2月14日

 国選弁護人の報酬について
 2002年10月7日

 弁護士に依頼者を密告させる「ゲートキーパー立法」に反対する会長声明
 2002年10月7日

 有事法制案に反対する会長声明
 2002年5月16日

 兵庫県弁護士会会長 藤野 亮司
 財団法人法律扶助協会兵庫県支部 支部長 大塚 明

 法律扶助予算の拡充を求める共同声明
 2002年5月2日

 会長 大塚 明

 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律(仮称)案に関する会長声明
 2002年3月29日

 兵庫県弁護士会 会長 大塚 明
 同人権擁護委員会 委員長 高橋 敬

 人権擁護法案に対する意見書
 2002年3月28日

 兵庫県弁護士会

 司法改革の具体化についての総会決議
 2002年3月14日

 扶助協会の不足財源を弁護士会から補てんすることについての総会決議
 2002年2月21日

 会長 大塚 明

 住宅品確法の住宅性能表示制度による中古住宅の性能表示の整備・促進(案)についての意見書
 2001年12月11日

 個人情報保護法案の継続審議に関する会長声明
 2001年11月15日

 司法制度改革推進法に関する会長声明
 2001年11月9日

 JR朝霧駅南側歩道橋での事故に関する会長談話
 2001年7月23日

 ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(要望)
 2001年7月19日大阪教育大学付属池

 田小学校の事件に関する会長談話
 2001年6月11日

 会長 模 泰吉

 尼崎公害訴訟和解に関する会長談話
 2000年12月8日

 少年法「改正」について会長声明
 2000年5月1日

 会長 丹治 初彦

 尼崎公害訴訟判決に関する会長談話
 2000年2月1日

 組織的犯罪対策立法に関する会長声明
1999年8月12日

 少年法改正問題に関する会長声明
 1999年5月14日

 会長 小越 芳保

 少年法改正問題に関する会長声明
 1999年2月8日

 仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒処分決定に関する会長声明 
1998年12月18日

 実効性ある消費者契約法の早期制定を求める声明
 1998年12月11日

 神戸空港建設の是非を問う住民投票条例に関する要望書
 1998年11月13日

 火災保険・火災共済の加入希望者・契約者に配布すべき書面並びに同説明内容に関する提言
 1998年10月12日

 会長 小越 芳保

 仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒処分決定に関する会長声明
 1998年10月12日

 仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒処分決定に関する会長声明
 1998年8月18日

 被疑者国選弁護制度の早期実現を求める声明 
 1998年8月10日

 仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒申立に関する会長声明
 1998年5月27日

 災害被災者に対する公的支援法案についての要望書
 1998年5月7日

 「労働法の一部を改正する法律案」に対する要望書
 1998年5月7日

 会長 間瀬 俊道
 甲山事件に関する会長声明 1998年3月27日

 神戸弁護士会

 裁判官の大幅増員に対する決議
 1998年3月24日

 神戸弁護士会 会長 小越 芳保

 (須磨少年事件に関連して) 株式会社講談社に対する申入書
 1998年5月27日

 神戸弁護士会 会長 間瀬 俊道

 (須磨少年事件に関連して) 株式会社新潮社に対する申入書
 1998年3月10日

 (須磨少年事件に関連して) 株式会社新潮社に対する申入書
 1998年2月20日

 (須磨少年事件に関連して) 株式会社文藝春秋に対する申入書 
 1998年2月12日

―――――?―――――?―――――

 朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外しないことを求める声明

 今国会において公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(高校無償化法案)が審議されている。

 本法案の無償化対象校には、高等学校の課程に類する過程を置いている文部科学省省令に定める各種学校が含まれているが、朝鮮民主主義人民共和国の拉致問題に対する制裁処置の実施等を理由として、政府内で朝鮮高級学校を無償化の対象から除外すべきとの主張が出され、本法案の対象外とする動きが報道されている。朝鮮学校は、戦後、在日朝鮮人らが子弟に母国語を取り戻すため各地で始めた民族学校を起源として各地に設立され、旧植民地出身者の民族教育を担ってきた。現在は、日本で共生社会の一員として生活することを前提として在日3世・4世の教育を行っており、朝鮮史等を除き、教育課程は日本の高校に準じていることが公表されている。また、朝鮮高級学校は、財団法人全国高等学校体育連盟(高体連)等のスポーツ大会出場資格も認められており、日本社会において高等学校に準じるものとして広く認知・評価されている。それゆえ、日本のほぼ全ての国公私立大学は、「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」として朝鮮高級学校の卒業生に入学試験受験資格を認めている。兵庫県では、創立60年を経た朝鮮高級学校に272名の生徒が在籍しているが、県は国の「高校無償化」に伴う方針として、朝鮮学校に対しても他の外国人学校と同様、県独自の授業料軽減補助金を新たに支給することを明らかにした。知事は、3月16日、「朝鮮学校とほかの外国人学校に差を設ける必然性はない。拉致問題の解決と引き替えにするような事柄ではない。」との見解を表明した。兵庫県以外でも、東京・大阪をはじめとする多くの地方自治体が、朝鮮学校を授業料補助の対象とし、各自治体独自の助成金を交付している。

 政治外交問題を理由に朝鮮学校のみをインターナショナルスクール・中華学校等の外国人学校・民族学校等と区別し、無償化の対象から排除することは、憲法14条、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約、国際人権規約に抵触する不合理な差別であり、「高等学校等における教育にかかる経済的負担の軽減をはかり、もって教育の機会均等に寄与する」との同法案の立法趣旨とも整合性を欠いている。国連人種差別撤廃委員会は、日本の人権状況に関する報告書を公表しているが、無償化から朝鮮学校を排除する政治家の態度について、子どもの教育に差別的な効果をもたらす行為であると指摘し懸念を表明している。

 当会は、内閣総理大臣及び文部科学大臣に対し、高校無償化の実施にあっては朝鮮高級学校を排除することがないよう強く求めるものである。

 2010年3月24日
 兵庫県弁護士会会長 春名一典

 国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明
 2017年(平成29年)3月23日
 兵庫県弁護士会
 会 長 米 田 耕 士

 声明の趣旨

 最高裁判所が,「弁護士となる資格を有する者,民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者または社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で,人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者」であれば,日本国籍の有無にかかわらず,等しく民事調停委員及び家事調停委員に任命するよう,速やかに従来の扱いを改めることを求める。

 声明の理由

 当会は,神戸家庭裁判所からの2016年(平成28年)9月1日付の推薦依頼書を受けて,同年10月6日付で外国籍である当会会員2名を含む家事調停委員候補者を推薦した。これに対し,同年11月17日付で,神戸家庭裁判所から,上記外国籍の当会会員2名については,家事調停委員として任命上申しない旨の通知があった。神戸家庭裁判所の職員から,上記通知に関し,上記外国籍の当会会員2名について家事調停委員として任命上申しない理由として,口頭で調停委員は日本国籍を有する者に限るためとの説明があった。

 しかしながら,民事調停法,家事事件手続法並びに民事調停委員及び家事調停委員規則には,調停委員の資格要件や欠格事由として日本国籍の有無に関する規定はなく,法令上,調停委員に関する国籍要件は存しない。外国籍であることのみを理由に調停委員の候補者としない裁判所の対応は,法令に根拠のない基準を新たに創設するものであるだけでなく,調停委員の具体的な職務内容を勘案することなく,日本国籍の有無で異なる取り扱いをするものであり,国籍を理由とする不合理な差別であって,憲法第14条に違反する。

 国際的にみても,国連人種差別撤廃委員会は,総括意見において,2010年3月と2014年8月の2度にわたり,人種差別撤廃条約第5条との関係で,外国籍者が,資質があるにもかかわらず調停委員として調停処理に参加できないという事実に懸念を表明し,能力を有する日本国籍でない者が家庭裁判所における調停委員として行動することを認めるよう,締約国である日本の立場を見直すことを勧告している。そもそも,日本には200万人以上の外国籍者が居住し,50万人以上の外国籍からの日本国籍取得者が居住していること,少子高齢化に伴う人口減少への対策や経済社会の国際化・グローバル化に伴う外国人就労の促進からすると,調停の場に外国籍者が調停委員として参画することは,多様な当事者の実情に即した紛争解決という観点において調停制度を充実させ,多民族・多文化共生社会の実現に資するものである。

 そして,過去には,1974年(昭和49年)から1988年(同63年)まで中国(台湾)籍の大阪弁護士会会員が民事調停委員として任命されていた先例がある。これまでも当会は複数回にわたり外国籍の会員を調停委員に推薦したが,いずれも同様の理由により任命上申を拒絶されており,そのたび毎に抗議の会長声明を発してきた。2016年(平成28年)には,1月19日の当会臨時総会で本声明の趣旨と同一の決議をしたところであるが,その後も従前の扱いが維持されたので,改めて強く抗議するとともに重ねて声明を行うものである。

 以上


 国籍を問わず調停委員の任命を求める決議

 1 当会は,2003年(平成15年)10月以来,神戸家庭裁判所及び神戸地方裁判所からの家事調停委員もしくは民事調停委員(以下「調停委員」という。)の推薦依頼を受けて,外国籍の会員をも含めた当会会員を調停委員候補者として推薦してきた。

 しかし,外国籍の当会会員については,今日に至るも調停委員として任命されたことはなく,任命を拒否され続けている。裁判所の調停委員任命に関する上記のような運用は,外国籍者に対する不合理な差別にほかならず,憲法14条1項の定める法の下の平等原則に違反する。
 
 2 最高裁判所は,外国籍の調停委員を任命しないという扱いの根拠として,「公権力の行使にあたる行為を行い,もしくは重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とする公務員には,日本国籍を有する者が就任することが想定されている」ということを挙げてきた。しかしながら,これは以下の通り,何ら合理的な説明といえるものではない。

 即ち,まず,法令上において,調停委員への就任については,民事調停法,家事事件手続法ともに,調停委員に国籍要件は存在していない。

 次に,調停委員の職務内容についてみても,調停委員は,当事者の互譲による紛争の解決に向けて,専門的又は社会生活の上で豊富な知識経験や人格識見を発揮することを任務とするものであって,最高裁判所のいう公権力の行使を任務とするものではない。加えて,国際的にみても,国連人種差別撤廃委員会は,2010年3月と2014年8月の2度にわたり,外国籍者が調停委員として活動できない状況について,懸念を表明し,状況を見直すことを勧告しているところである。これらの事実から見て,最高裁判所の上記見解は,合理性を有するとは到底解されない。

 3 そもそも,日本には200万人以上の外国籍者が居住し,50万人以上の外国籍からの日本国籍取得者が居住していることからすると,調停の場に外国籍者が調停委員として参画することは,多様な当事者の実情に即した紛争解決という点において調停制度を豊かにし,多民族・多文化共生社会の実現に資するものである。

 そして,我が国においても,過去には1974年(昭和49年)から1988年(昭和63年)まで中国(台湾)籍の大阪弁護士会会員が民事調停委員として任命されていた先例もある。国籍を有しないということのみを理由として調停委員に任命しないという現在の裁判所の扱いは,憲法14条に反することは明らかであり,直ちに是正されなければならない。

 4 よって当会は,下記のとおり決議する。

 記

 最高裁判所は,「弁護士となる資格を有する者,民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で,人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者」であれば,日本国籍の有無にかかわらず,等しく民事調停委員及び家事調停委員に任命するよう,速やかに従来の扱いを改めることを求める。


 2016年(平成28年)1月19日
 兵庫県弁護士会
 【決議の理由】

 1 問題の背景

 2003年(平成15年)10月,当会は,神戸家庭裁判所からの家事調停委員

 推薦依頼に対して,韓国籍の会員1名を候補者として適任であるとして推薦した。

 ところが,同家庭裁判所より「調停委員は,公権力の行使又は国家意思の形成への参画にたずさわる公務員に該当するため,日本国籍を必要とするものと解すべきであるので,最高裁判所には上申しないこととなった」として推薦の撤回を求められ,やむなくこれを撤回することとなった。

 当会は,その後の神戸家庭裁判所及び神戸地方裁判所からの調停委員の推薦依頼に対しては,この8年の間に延べ15名の韓国籍会員を適任として推薦しているものの,現在に至るまで外国籍会員が調停委員に任命されたことはない。

 これを受けて,当会は,2010年(平成22年)2月から2014年(平成26年)12月の間に7度の会長声明を発し,裁判所のこうした対応を改めるよう求めてきた。さらに,2012年(平成24年)2月には,最高裁判所に対し,神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所に対する適切な司法行政上の監督権の行使を求めるため裁判所法第82条,第80条第1項に基づく不服申立てとともに会長声明を発したが,最高裁判所からは何らの理由も示さずに司法行政上の監督権を行使しないとの回答がなされたに過ぎない。

 2 憲法第14条平等原則に違反する取り扱いであること

 憲法第3章に規定している基本的人権の諸規定は,権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶと解すべきである(最高裁判所昭和53年10月4日大法廷判決)。

 そして,憲法14条1項が保障する法の下の平等原則も等しく外国籍の者にも及ぶ(最高裁昭和39年11月18日大法廷判決参照)。

 平等原則は,日本国憲法の人権体系の中核をなし,法的に平等に扱われる権利を保障し,不合理な差別的取扱いを禁止しているところ,国籍を有しないということのみを理由として調停委員に任命しないという裁判所の扱いは,外国籍者に対する不合理な差別にほかならないから,憲法第14条第1項の定める法の下の平等原則に違反するというべきである。

 ところで,国籍については,帰化の手続きにより日本国籍を取得することが可能ではあるが,国籍が変更可能な要素であることをもって,外国籍者への差別的取扱いを正当化することができないことは言うまでもないところである。すなわち,平等原則は,個々人がそのままの状況で平等に取り扱われることにこそ,重大な意義があるのであり,区別取扱いの理由が国籍という変更可能な要素であり,差別を回避したい者は日本国籍取得によって差別を回避することが可能であるとしても,そのことを理由として差別的取扱いを正当化するような見解は,平等原則の趣旨を損ねるものであって採り得ない(ヨーロッパ人権裁判所2009年2月18日判決も同旨を述べる。)。

 3 最高裁判所の見解とその批判

 最高裁判所は,日本弁護士連合会の照会に対して,2008年(平成20年)10月14日付で「照会事項について,最高裁判所として回答することは差し控えたいが,専門部門の取り扱いは以下の通りである。」として,法令等の明文上の根拠規定はないとしながらも「公権力の行使にあたる行為を行い,もしくは重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とする公務員には,日本国籍を有する者が就任することが想定されると考えられるところ,調停委員・司法委員はこれらの公務員に該当するため,その就任のためには日本国籍が必要と考えている。」と回答した(最高裁判所事務総局人事局任用課,以下「想定の法理」という。)。

 しかし,このような考え方は前述の憲法の定める平等原則に違背するものであることに加え,以下の点において正当とは解されない。

 まず,民事調停法,家事事件手続法は,調停委員の任命資格に日本国籍を有することを要件としておらず,また,民事調停委員及び家事調停委員規則(以下「調停委員規則」という。)は,「民事調停委員及び家事調停委員は,弁護士となる資格を有する者,民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で,人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者の中から,最高裁判所が任命する。ただし特に必要がある場合においては年齢四十年以上七十年未満であることを要しない。」(同第1条)と定めるにとどまり,同第2条の欠格事由にも国籍を欠格事由とする規定はない。

 法令上,日本国籍を有することは調停委員任命の要件とされていないにもかかわらず,想定の法理といった抽象的基準により,広く外国籍者を日本国籍者と異なる区別取扱いを行うとすれば,明らかに法治主義の観点から問題があるといわざるを得ない。

 次に, 最高裁判所が外国籍の調停委員を任命しないことの根拠とする想定の法理は,調停委員の職務内容からすれば当を得ないことは次のとおりである。すなわち,調停委員は調停委員会の構成員としてその決議に参加するが,同決議は当事者の権利を公権的に制約するものではない。即ち,まず,調停調書は確定判決と同一の効力を有するものの,この拘束力は当事者の合意に由来するものであって公権的に当事者の権利を制約するものとはいえず,また,調停委員会の呼出等には過料の制裁があるものの,過料は裁判所が決定するものであって,調停委員あるいは調停委員会が決定するものではない。さらに,調停委員会は事実調査及び必要と認める証拠調べを行う権限を有しているが,事実調査は強制力を有していないし,証拠調べについても,現実には強制的な権限行使が想定されているわけではない。

 このように,調停委員の職務内容は,公権力の行使であるとは解されず,むしろ,調停委員の職務は,公権力の行使という手段によることなく,専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮し,これにより当事者の互譲による合意形成を促すことにあると解される。

 4 人種差別撤廃委員会の勧告

 国連人種差別撤廃委員会は,総括所見において,2010年3月と2014年8月の2度にわたり,人種差別撤廃条約第5条との関係で,外国籍者が,資質があるにもかかわらず調停委員として調停処理に参加できないという事実に懸念を表明し,能力を有する日本国籍でない者が家庭裁判所における調停委員として行動することを認めるよう,締約国である日本の立場を見直すことを勧告している。

 5 多民族・多文化共生社会形成の視点

 日本には,在日コリアン等の,サンフランシスコ平和条約の発効に伴う通達によって日本国籍を失ったまま日本での生活を余儀なくされた旧植民地出身者及びその子孫などの特別永住者,中長期在留者をはじめとする200万人以上の外国籍者,並びに50万人以上の外国からの日本国籍取得者,国際結婚の夫婦の子どもなど,外国にルーツを持つ人々が,日本社会の構成員として多数生活している。兵庫県内でも,平成26年12月末時点で9万6530人の在留外国人の方が生活している。離婚や遺産分割等の家事事件や地代増減額事件は,調停前置が強制されており,これらの人々が日本の調停制度を利用する機会は増えている。このような調停事件の中には,当該外国独自の文化的背景について知識を有する調停委員が関与することが有益な事案も数多く存在することからすると,調停の場に外国籍の弁護士が調停委員として参画することは,多様な当事者の実情に即した解決を実現するという点において調停制度を豊かにし,多民族・多文化共生社会の実現に資するものである。

 6 先例1974年(昭和49年)から1988年(昭和63年)まで,12年間にわたって中国(台湾)籍の大阪弁護士会会員が民事調停委員として任命されていた先例もある。このように,外国籍弁護士を調停委員に任命したからといって,これにより調停制度のあり方に何ら問題が生じるわけではないことは,過去の実例からも明らかとなっている。

 7 当会のアンケート結果

 当会は,2015年(平成27年)8月から9月にかけて当会会員に対し外国籍調停委員問題についてアンケートを行った(回答数143,回答率16.8%)。

 当会会員の意識としても,調停委員に日本国籍は不要とするものが95%にのぼり,その根拠としては,@調停委員の主な職務は当事者の意見調整であり,公権力の行使とは関係しないというもの,A実定法の欠格事由に国籍条項はないこと,B多民族・多文化共生社会の実現をあげるものが多かった。

 当会内において,外国籍の調停委員を実現すべきことはほぼ一致した見解となっている。

 8 結語

 2003年(平成15年)に当会会員が任命拒否されてから12年を経過している。この間,2005年(平成17年)の近畿弁護士会連合会大会決議を皮切りに,外国籍調停委員の任命を求める動きは,京都,大阪,兵庫の近弁連管内の弁護士会のみならず,仙台,東京,第二東京弁護士会と全国各地に広がった。これらの動きにもかかわらず,最高裁判所は外国籍調停委員の任命拒否を繰り返してきた。

 日本弁護士連合会は,2009年(平成21年)と2011年(平成23年)に意見書・要望書を最高裁判所に提出し,各地の弁護士会も任命拒否に対し,会長声明,総会決議を採択し,外国籍調停委員の任命実現を求め続けている。そして,国連の人権機関である人種差別撤廃委員会も2010年と2014年の二度にわたり,懸念の表明と任命実現を求める勧告を採択している。さらに,過去には12年間にわたり外国籍調停委員を任命した先例も存在している。こうした事実からも,最高裁判所による任命拒否に何ら正当性がないことは明らかである。当会は,これまで外国籍調停委員の任命拒否に対し,その都度,会長声明を最高裁判所に送付し,当会の意思を表明してきたが,遺憾ながら,何ら事態が改善されることもないまま今日に至っている。当会は,かかる現状を憂慮し,外国籍調停委員の任命を早期に実現するよう求める当会の総意を明らかにするとともに,最高裁判所に対し,外国籍調停委員の任用に関する運用を速やかに是正するよう求め,本決議を行う。

 以上


 国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める緊急声明

 今般、神戸家庭裁判所から、当会が家事調停委員の候補者として推薦した日本国籍を有しない会員1名について、家事調停委員として任命上申しない旨の回答がなされた。

 当会としては、推薦にあたり、上記会員が人格、識見に優れていることのみならず、公務歴一覧を掲載した推薦状も添付したにもかかわらず、神戸家庭裁判所からは、従前と全く同様、日本国籍を有しないことのみを理由に任命上申をしないとの説明がなされたに過ぎなかった。

 神戸家庭裁判所は、2003年(平成15年)以降、日本国籍を有しない会員について家事調停委員への任命上申拒否を繰り返しており、今回で実に7回目の拒否である。

 当会では、2010年(平成22年)2月から11月の間に3度の声明を発し、裁判所の対応を繰り返し非難してきた。また、2012年(平成24年)2月には、最高裁判所に対し、この問題について神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所に対する適切な司法行政上の監督権の行使を求めるため、裁判所法第82条、第80条第1号に基づく不服申立を行うとともに、国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明を発したが、最高裁判所からは、何ら理由を示さずに司法行政上の監督権を行使しないとの回答がなされたに過ぎない。

 残念ながら、この度も、裁判所から声明の趣旨を無視する任命拒否が繰り返されたため、これに対して強く抗議するため、改めて本声明を発する次第である。

 そもそも調停制度の目的は、市民間の紛争を当事者間の話し合いにより裁判手続を経ずに解決することにあり、調停委員の職務は、専門的知識もしくは社会生活上の豊富な知識経験を生かし、当事者の互譲による紛争解決を支援することにあって、そこに強制的な契機はない。調停委員への就任は、その実質的な職務内容を見る限り、公権力の行使というにはほど遠く、重要な施策の決定やこれへの参画としての側面も認められない。

 また「民事調停法」「家事審判法」( 平成25年1月1日より家事事件手続法)並びに「民事調停委員及び家事調停委員規則」においては、調停委員の任命資格として日本国籍を有することを要件と定めておらず、法令上、調停委員に国籍要件は存在しない。

 裁判所の対応は、法令に根拠のない基準を新たに創設し、当該公務員の具体的な職務内容を問題とすることなく日本国籍の有無で異なる取扱をするものであって、国籍を理由とする不合理な差別であり、憲法14条に違反すると言わざるを得ない。調停委員として真に必要な要件は、当事者の互譲による紛争の解決に向けて、専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮できる者ということに尽きるのであって、国籍の如何は問題とならないというべきである。

 事実、最高裁判所は、1974年(昭和49年)から1988年(昭和63年)までの間、日本国籍を有しない台湾籍の大阪弁護士会会員を西淀川簡易裁判所民事調停委員に任命し、定年退職時には大阪地方裁判所所長より表彰を受けたとの実例が存在しており、外国籍の弁護士が調停委員となっても何ら不都合がないことを如実に示している。

 当会としては、今後も、日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会、同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつこの問題に取り組むとともに、調停委員の採用に国籍の如何を問わない体制の確立に向け、今後さらに働きかけを強めていく所存である。

 2012年(平成24年)12月13日
 兵庫県弁護士会会長 林晃史


 国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明

 今般、神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所から、当会が民事調停委員及び家事調停委員の候補者として推薦した日本国籍を有しない会員各1名、計2名について、民事調停委員及び家事調停委員として任命上申しない旨の回答があった。

 これに対して、当会は、本日、最高裁判所に対し、この問題について神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所に対する適切な司法行政上の監督権の行使を求めるため、裁判所法第82条、第80条第1号に基づく不服申立を行った。神戸家庭裁判所は、2003年(平成15年)以降、日本国籍を有しない会員について家事調停委員への任命上申拒否を繰り返してきた。今般が6回目の拒否であるところ、同裁判所からは、公権力を行使し国家意思の形成に参画する公務員である調停委員の任命には日本国籍が必要であるとして、従前と全く同様、日本国籍を有しないことのみを理由に任命上申をしないとの説明があった。また、神戸地方裁判所からも、同様に、今般の民事調停委員不採用の理由は日本国籍を有しないことにあるとの説明があった。

 当会では、2010年(平成22年)2月、「国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明」を発し、同年8月には「外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明」を発し、更に、同年11月には「外国籍弁護士の調停委員推薦が拒否された件に関する緊急声明」を発して裁判所の対応を繰り返し非難してきたところである。にも関わらず、残念ながら、この度も、裁判所から声明の趣旨を無視する任命拒否が繰り替えされたため、これに対して強く抗議するため、改めて本声明を発する次第である。

 そもそも調停制度の目的は、市民間の紛争を当事者間の話し合いにより裁判手続を経ずに解決することにあり、調停委員の職務は、専門的知識もしくは社会生活上の豊富な知識経験を生かし、当事者の互譲による紛争解決を支援することにあって、そこに強制的な契機はない。調停委員への就任は、その実質的な職務内容を見る限り、公権力の行使というにはほど遠く、重要な施策の決定やこれへの参画としての側面も認められない。

 また「民事調停法「家事審判法」、 」 並びに「民事調停委員及び家事調停委員規則」は、調停委員の任命資格として日本国籍を有することを要件と定めておらず、法令上、調停委員に国籍要件は存在しない。

 裁判所の対応は、法令に根拠のない基準を新たに創設し、当該公務員の具体的な職務内容を問題とすることなく日本国籍の有無で異なる取扱をするものであって、国籍を理由とする不合理な差別であり、憲法14条に違反すると言わざるを得ない。調停委員として真に必要な要件は、当事者の互譲による紛争の解決に向けて、専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮できる者ということに尽きるのであって、国籍の如何は問題とならないというべきである。

 事実、最高裁判所は、1974年から1988年までの間、日本国籍を有しない台湾籍の大阪弁護士会会員を西淀川簡易裁判所民事調停委員に任命していた例があり、この実例の存在は、外国籍の弁護士が調停委員となっても何ら不都合がないことを如実に示している。

 当会としては、今後も、日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会、同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつこの問題に取り組むとともに、不服申立手続を通じ、調停委員の採用に国籍の如何を問わない体制の確立に向け、今後さらに働きかけを強めていきたいと考えている。

 2012年(平成24年)2月10日
 兵庫県弁護士会会長 笹野哲郎


 外国籍弁護士の調停委員推薦が拒否された件に関する緊急声明

 今般,神戸家庭裁判所から当会に対し,同庁における家事調停委員(平成23年4月1日任命予定)の候補者として,人格,識見ともに優れた適任者として当会より推薦した会員を,日本国籍を有しないというだけの,これまでと同様の理由により,採用しない旨の回答がなされた。

 しかし,日本国憲法が保障する法の下の平等の趣旨から,定住外国人に対しても可能な限り日本国民と同様の権利・人権が保障されるべきとする立場からすれば,日本の司法試験に合格し,日本で長年弁護士として活躍してきた者が,ただ日本国籍を有しないというだけの不合理な理由により,調停委員就任への道を閉ざされることは断じて受け入れがたい。

 この問題は,当会において久しく懸案事項となっているが,今年になってからもすでに,2月1日に「国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明」、8月6日に「外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明」を発しているにもかかわらず、裁判所から採用拒否の回答が繰り返されたためこれに対し強く抗議をするとともに,外国籍調停委員の不採用問題を広く世論に訴えるために,改めて緊急声明を発する次第である。

 外国籍の弁護士を調停委員に採用しないことが不合理であることの実質的な根拠としては,@調停委員の職務は権力的作用を及ぼしたり,国家意思形成にかかわったりするものではなく,調停委員が日本国籍を有しないからといって国民主権原理と対立するものではないこと,A(調停委員が関与した)調停調書が確定判決と同様の効力を有する点について,日本国籍を有しない破産管財人や仲裁人の判断が確定判決と同様の効力を持つ場合もあり,それとの均衡からすれば,さして重要な問題とはいえないこと,B外国人の地方参政権を認める動きもあること,C現行法上の調停委員採用の要件として,日本国籍を有することは要求されておらず,調停委員にとって真に必要な要件は,専門的・社会的知識や経験に基づく紛争解決能力であること,などが挙げられる。

 現に,大阪地方裁判所の事例であるが,外国籍の弁護士が民事調停委員に採用され、定年退職時には調停委員としての多年にわたる功績をたたえ大阪地方裁判所所長より表彰を受けたという事実も存在する。外国籍の弁護士が調停委員となっても,何ら不都合がないことの証左であろう。

 当会としては,今後も日本弁護士連合会,近畿弁護士会連合会,同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつ,この問題に取り組み,関係諸機関に対し,調停委員の採用にあたり国籍の如何が問われない体制の確立に向けて,粘り強く働きかけていく所存である。

 2010年(平成22年)11月30日
 兵庫県弁護士会会長 乗鞍良彦


 外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明

 今般,神戸家庭裁判所から当会に対し,同庁が採用する家事調停委員(平成22年10月1日任命予定)の候補者として当会が同庁に推薦した,いずれも人格,識見ともに優れた当会会員2名を,同会員らが日本国籍を有しないというだけの,これまでと同様の理由により,家事調停委員として採用しない旨の回答がなされた。

 しかし,日本国憲法が保障する法の下の平等の趣旨から,定住外国人に対しても可能な限り日本国民と同様の権利・人権が保障されるべきとする立場からすれば,上記のような,日本国籍を有しないという不合理な理由による調停委員不採用の回答は断じて受け入れがたく,強く抗議する次第である。
 
 この問題については,当会においてすでに,本年2月1日,国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明を発しているが,同声明は,外国籍であるという理由だけで調停委員に採用しないことが不合理であるとする根拠として,@調停委員の職務は権力的作用を及ぼしたり,国家意思形成にかかわったりするものではなく,調停委員が日本国籍を有しないからといって国民主権原理と対立するものではないこと,A(調停委員が関与した)調停調書が確定判決と同様の効力を有する点について,日本国籍を有しない破産管財人や仲裁人の判断が確定判決と同様の効力を持つ場合もあり,それとの均衡からすれば,さして重要な問題とはいえないこと,B外国人の地方参政権を認める動きもあること,C現行法上の調停委員採用の要件として,日本国籍を有することは要求されておらず,調停委員にとって真に必要な要件は,専門的・社会的知識や経験に基づく紛争解決能力であること,などの点を挙げ,裁判所の対応を非難したものであるが,今回,その声明の趣旨をないがしろにする採用拒否の回答が再度なされたため,これに対し強く抗議をするとともに,この不採用問題を広く世論に訴えるために,改めて緊急声明を発する次第である。

 当会としては,今後も日本弁護士連合会,近畿弁護士会連合会,同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつ,この問題に取り組み,関係諸機関に対し,調停委員の採用にあたり国籍の如何が問われないよう,そのような体制の確立に向けて,粘り強く働きかけていく所存である。

 2010年(平成22年)8月6日
 兵庫県弁護士会会長 乗 鞍 良 彦


 国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明

 兵庫県弁護士会は、神戸家庭裁判所からの2010年(平成22年)4月1日から任期の始まる同裁判所家事調停委員の推薦依頼に対して、日本国籍ではない当会会員2名を推薦した。しかるところ、今般同裁判所から、最高裁判所の意見を踏まえて、同2名を家事調停委員への採用をしない旨の回答があった。
不採用とする理由は、家事調停委員は公権力の行使又は国家意思の形成に参画する国家公務員に該当するので、日本国籍を必要とするというものであり、上記2名の弁護士としての能力や人物を判断したうえでの不採用ではなく、単に日本国籍でないとの理由のみで不採用とするとの説明がなされた。
しかしながら、憲法上の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象とすると解されるものを除いて、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶと解されている(最高裁昭和53年10月4日大法廷判決など)。

 要するに、権利の性質を個別、具体的に考察し、我が国に在留する外国人にも基本的人権の保障を認めるというのが、判例の立場である。

 上記不採用の理由は、国民主権原理から、調停委員はその性質上日本国籍を有する者に限定されるとの解釈を前提とするものと考えられるが、調停委員の任務役割が、国民主権原理と本質的に両立しないものであるとは認められない。なわち、調停制度の目的は、市民の間の個別的な紛争を当事者の話し合い及び合意に基づき裁判手続きに至る前に解決することにあり、調停委員の本質的役割は、上記の目的を実現するため、専門的知識もしくは社会生活の上での豊富な知識経験を活かして、当事者の互譲による紛争解決を支援するにある。

 したがって、調停委員への就任が性質上我が国の権力的作用をはらんだり、国家の意思形成に結び付くものであるとは、にわかに認められない。この点、神戸家庭裁判所は今般の不採用に当たって、調停調書が確定判決と同一の効力を有することや、調停委員会の呼出等にはそれに反した場合過料の制裁があることから、公権力の行使に参画するものとの認識を示しているが、日本国籍以外の弁護士も多数担当している破産管財人については、破産管財人が認め、届け出債権者が異議を述べず、確定した事項について裁判所書記官がなした破産債権者表への記載が確定判決と同一の効力があるとされていること(破産法124条)や、日本国籍を有しない仲裁人が日本で下した一定の仲裁判断も、日本の裁判所が全く関与することなく確定判決と同一の効力を認められていること(仲裁法45条1項)との均衡に照らしても、上記認識は適切であるとは言い難い。また調停委員会の呼出違反に関する過料の点は、調停制度による紛争解決の実効性を高めるための付随的処分に過ぎず、過料の制裁規定があることをもって、日本国籍以外の者の調停委員の就任が国民主権原理に反すると解するのは、過ぎたる理解というべきである。

 日本弁護士連合会もすでに2009年(平成21年)3月18日に「外国籍調停委員・司法委員の採用を求める意見書」を公表しているところであるし、近年においては、司法修習生についての国籍条項が撤廃され、さらに政府与党内においても、定住外国人に地方参政権を認める立法の検討をなしている状況にある。地方議員は地方自治体の議会を構成する者であり、地方政治(地方自治)における意思決定にまさに参画するのであるが、これとの均衡からしても、調停委員に日本国籍以外の者が就任することに格段の問題があると考えられない。

 そもそも我が国における調停委員についての現行法規上の要件は、「紛争の解決に必要な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い・・・者」(民事調停委員及び家事調停委員規則1条)ということに止まるのであり、調停委員として真に必要な要件は、当事者の互譲による紛争の解決に向けて、専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮できる者ということに尽きるのであって、国籍の如何は問わないというべきである。

 調停委員が日本の社会制度や風土、文化さらに地域住民の考え方などに精通していることは一般論としてこれが必要であるとしても、少なくとも上記2名の会員は、15年以上という相当年数にわたって当会において弁護士としての経験を有する者であり、日本の社会制度や文化等にも精通していると認められ、人格円満な弁護士であるから、調停委員を務めることについて何ら問題は存在しない。

 以上により、当会は、国籍の如何を問わず、当該人物の知識経験、人格識見等に照らして、調停委員の採用を行うことを、強く求めるものである。

 2010年(平成22年)2月1日
 兵庫県弁護士会会長 春名一典


 平成29年度司法試験最終合格発表に関する会長声明
 2017年(平成29年)9月27日
 兵庫県弁護士会
 会長 白 承 豪

 <声明の趣旨>

 当会は,
 
 1.政府に対し,司法試験の合否判定の重大性を正しく認識し,合格者の人数確保を優先して司法試験の合格水準を下げるような事態が生じないよう,関係省庁と政策を調整し,司法試験委員会が来年に向け少なくとも昨年以上の厳正な合否の判定を行うことができるよう政策を整えることを求める。

 2.法務省に対し,司法試験の合否のボーダーラインにあるいくつかの答案を公表する等,司法試験の最終合格者の合否水準の妥当性について外部から検証が可能となるような措置を採ることを求める。

 <声明の理由>

 1.本年9月12日,平成29年度の司法試験の合格発表があり,最終合格者は1543人となった。

 昨年の最終合格者は,受験者6899人に対し1583人であったところ,本年は,受験者が5967人と大幅に減少(932人減)しているにもかかわらず,合格者はわずか40人減の1543人になっている。この結果,最終合格率は,昨年度の22.9%に比べて25.9%に上がっている。本年の受験者が昨年の受験者と比べて試験の正答能力が急に上がったものとは考えにくいから,本年,司法試験委員会は,合格者数1500人程度を確保するために,昨年よりも合格水準を下げたものと疑わざるを得ない。現に昨年は受験生平均点約830点に対し,合格水準点は880点であったが,本年は受験生平均点約780点に対し,合格水準点は800点であり,受験生平均点と合格水準点との差が30点も縮まっている。

 2.当会は,本年7月27日付会長声明において,司法試験委員会の合否判定がこのような結果にならないよう,合格者数にこだわることなく厳正な合否の判定を行うことを求めた。すなわち,政府の法曹養成制度改革推進会議の平成27年6月決定は,合格者数が1500人程度輩出されることを目標としているが,同時にその目標は「法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものではない」としていること,近年の法曹の需給の状況は,司法試験の合格水準を下げてまで人為的に供給を増やすべき状況にはなく,むしろ,有資格者の過剰供給に伴う新規法曹の質の低下への懸念や弁護士の就職難等の弊害が深刻化していることから,司法試験委員会に対し,本年の司法試験の合否判定においては,1500人程度の合格者輩出にこだわるのではなく,法曹の質確保を実現するべく,少なくとも昨年以上の合格水準を維持・確保するよう,厳正な合否の判定を求めた。しかるに,本年の合格発表の結果が,上述の通り,司法試験委員会が,昨年より合格水準を下げて合格者数1500人程度を確保したものと疑われてもやむを得ない結果となったことは,まことに遺憾である。

 3.法曹は司法の担い手として国民の権利義務に直接関わり,人権擁護や社会正義を担っている。法曹の質の確保は,国民に対する国家の責務である。司法試験合格者は,現行制度上1年の司法修習を経たのち法曹として実務に就くことが予定されているのであって,司法試験の合格水準の設定は,国民が法曹に対して求める質に直結する。現在,法務省では,合否のボーダーラインにあるいくつかの答案を公表する等,合否水準の妥当性について外部から検証が可能となるような措置が取られていないが,合格水準の適切さについての外部的な検証が可能になるよう必要な情報開示は不可欠である。この情報開示については,2009年10月20日付「新司法試験の合否判定に関する要望書」において日本弁護士連合会からも要望されたものである。

 4.そこで,当会は,政府に対し,司法試験の合否判定の重大性を正しく認識し,合格者の人数確保を優先して司法試験の合格水準を下げるような事態が生じないよう,関係省庁と政策を調整し,司法試験委員会が来年に向け少なくとも昨年以上の厳正な合否の判定を行うことができるよう政策を整えることを求めるとともに,法務省に対し,合否のボーダーラインにあるいくつかの答案を公表する等,司法試験の最終合格者の合否水準の妥当性について外部から検証が可能となるような措置を採ることを求める。


 死刑執行に関する会長声明
 2017年(平成29年)7月27日
 兵庫県弁護士会会長 白 承 豪

 当会は,7月13日に2名の死刑囚に行われた死刑執行に対し強く抗議し,死刑制度の存廃を含む刑罰制度全体の見直しについて,速やかな検討と議論を始めるととともに,その議論が尽くされるまで,死刑の執行停止を求める。

 去る7月13日,大阪拘置所と広島拘置所において,各1名の死刑囚に対する死刑が執行された。昨年11月11日にも福岡拘置所において1名に対する死刑が執行されており,金田勝年法務大臣が就任してから,合計3人の死刑囚に対する死刑が執行された。

 死刑制度については,その存置に賛成する立場,反対する立場の双方から,様々な論拠が示されてきたが,死刑が人間存在の根元である生命そのものを奪い去る最も厳しい刑罰であることに異論はないと思われる。

 ところが,1980年代に4名の死刑確定者に対する再審無罪判決がなされたほか,2014年3月には,いわゆる袴田事件について,静岡地方裁判所において再審の開始と死刑及び拘置の執行を停止する決定がなされるなど,戦後の日本刑事裁判における死刑判決の誤判のおそれは完全には払拭されていない。
 国際社会では,第二次世界大戦後,死刑の廃止や執行停止を行う国が増加し,既に世界の3分の2以上の国々が死刑を廃止ないし停止している。昨年12月には国連総会において加盟国193カ国中117カ国の賛成により,死刑存置国に対する死刑執行停止を求める決議が採択されている。また,日本弁護士連合会においても,同年10月7日に開催された第59回人権擁護大会において,2020年までに死刑制度の廃止を目指し,凶悪犯罪に対しては死刑に代わる代替刑を検討すべきとする宣言が採択されている。
 確かに,国と社会は,犯罪被害者及びその家族の精神的・経済的な支援に取り組むべき責任があることは言うまでもない。しかしながら,この責任を根拠に死刑制度の存置並びに死刑執行を直ちに肯定することはできない。死刑制度が犯罪の一般予防になるという科学的根拠はあるのか,死刑執行により犯罪被害の真の救済となるのかについて,改めて議論し,検証がなされなければならない。

 基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする当会は,これまで,死刑制度の存置に関する国民的議論が十分尽くされるまでは死刑の執行を停止すべきであることを繰り返し求めてきたにも関わらず,今回,再び2名に対する死刑の執行が行われたことは極めて遺憾であり,強く抗議せざるを得ない。当会は,重ねて,死刑制度の存廃を含む刑罰制度全体の見直しについて,速やかに検討と議論を始めることを求め,その議論が尽くされるまで,死刑の執行停止を求める。

 以上

 いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法の施行にあたり改めて,「共謀罪」法に反対し,廃止を求める会長声明
 2017年(平成29年)7月11日
 兵庫県弁護士会会長 白承豪

〈声明の趣旨〉

 当会は,参議院での強行裁決により成立したいわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰改正法の施行に強く抗議するとともに,改めて,「共謀罪」を創設する同改正法に反対し,同法の「共謀罪」に関する部分の廃止を求める。

 〈声明の理由〉

 当会は,これまでに「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明」(本年3月21日付),「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の衆議院採決に抗議する会長声明」(本年5月23日付)を発出して,いわゆる「共謀罪」法案の廃案を再三強く求めてきたが,中間報告という異常な手法を用いて参議院法務委員会の審理・採決を省略して,6月15日に参議院本会議において,強行採決により,「共謀罪」法が可決,成立した。

 そこで,「いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案を参議院において強行採決したことに強く抗議する会長談話」(本年6月15日付)を発出したところであるが,本日,「共謀罪」法が施行された。

 わが国の刑法は,法益侵害を発生させる犯罪行為の既遂処罰を原則とし,未遂処罰を例外と位置づけ,予備・準備行為の処罰は重大な犯罪に限るという形で更なる例外と位置づけてきた。そして,これまで「共犯」関係にある場合でも,具体的に危険な行為とされる実行行為の着手に至る前の予備・準備行為の処罰を原則として不要としてきた現行刑法等に基づく多数の犯罪規定に関し,いわゆる「共謀罪」法は,予備・準備行為の処罰規定を置くこともしないまま,さらにその前段階に過ぎない「計画」または「実行準備行為」自体を処罰の対象としようとするものであり,わが国の刑事法の体系を根底から揺るがすものである。

 政府は,「共謀罪」法の運用に関し,「一般市民」は捜査の対象外であると繰り返して説明してきたが,結局,国会での答弁においては,「組織的犯罪集団」を事前に限定できず,「組織的犯罪集団」の「周辺者」と判断された場合には捜査対象になることが明言され,「一般市民」であっても,「組織的犯罪集団」への所属の有無にかかわらず,捜査機関の恣意的判断により,何ら違法性のない段階から,「一般市民」が「共謀」の「嫌疑」を理由に日常的な行動等に対する監視の対象となることが明らかになっている。

 このように,いわゆる「共謀罪」法は,日本国憲法が保障している個人としての「思想・良心の自由」,「表現の自由」,「集会・結社の自由」,「プライバシー権」などの基本的人権が侵害されるおそれのある極めて危険な法律である。特に,GPS(グローバルポジショニングシステム),通信傍受(盗聴)や司法取引制度についても「共謀罪」の捜査への導入が危惧されており,各法整備について注視が必要な状況となっているほか,インターネット上のメール,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等,本人の承諾なくプロバイダーから取得する情報,街頭の監視カメラの映像や音声やいわゆる「マイナンバー」制度で収集した個人情報など,現代情報化社会におけるプライバシー関連情報が,「共謀罪」の捜査によって不当に収集されることで,市民が享受するの表現の自由やプライバシー権が不当に制約されるおそれがあるという問題点もある。

 また,政府は,テロ対策のため,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)の締結に必要であると説明してきた。これに対し,同条約の立法ガイドを執筆した刑事司法学者であるニコス・パッサス氏は,同条約の対象は,金銭的な不正利益を目的とした国際犯罪集団が対象であり,同条約はテロ防止を目的としたものではないことを強調した上で,同条約はプライバシー侵害につながるような捜査手法の導入を求めるものではないことを明確に指摘している。また,プライバシー権に関する国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏においても,政府は,国民のプライバシー権や表現の自由を保護する義務を怠り,テロ対策が目的でない国際条約への加盟を理由にいわゆる「共謀罪」を成立させるものであると強く非難している。

 以上のとおり,いわゆる「共謀罪」法は,わが国の刑事法体系の根幹を崩し,国民が有する憲法上の権利を侵害するおそれがあるにもかかわらず,処罰対象や立法事実といった基本的な問題が明らかにされないまま強行採決に至ったものであり,「共謀罪」創設ありきで拙速に成立された刑罰法規である。

 よって,当会は,いわゆる「共謀罪」法の拙速な審議過程,並びに,わが国の刑事法体系の根幹に与える深刻な影響に鑑み,改めて,同法の成立に反対するとともに,今後も,基本的人権の擁護のため,いわゆる「共謀罪」の創設を含む改正組織的犯罪処罰法の施行に強く抗議するとともに,同法の「共謀罪」に関する部分の廃止を求めるとともに,「共謀罪」の捜査の問題など関連する問題にも対応するべく,継続して活動を続けていく所存である。

 以上

 会 長 談 話

 本日,神戸地方裁判所において,当会会員である堀江幸弘会員につき,有印公文書偽造・同行使の罪により懲役1年6月,執行猶予4年の有罪判決が宣告されました。

 改めまして,当会会員の重大な犯罪行為によって上記会員の依頼者はもちろんのこと,司法関係者に多大なご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。また,裁判制度において高度の信頼性が求められる判決書が偽造されたことによって,判決書に対する信頼が損なわれたばかりか,司法制度の根幹を揺るがす結果となってしまったことについて,遺憾の意を表明いたします。
 
 当会としては,上記有罪判決が宣告されたことを真摯に受け止め,当会の全会員に向けて,基本的人権擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士として高度な職業倫理意識が求められていることを発信し,再発防止に向けて取り組んでいく所存です。

 2017年(平成29年)7月4日
 兵庫県弁護士会会長 白 承 豪


 いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案を参議院において強行採決したことに強く抗議する会長談話
 2017年(平成29年)6月15日
 兵庫県弁護士会会長 白 承 豪

 本日,いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案が参議院法務委員会での採決を省略したうえで,参議院本会議において強行採決された(以下,成立した法を「改正法」という)。

 改正法にて創設された「共謀罪」については,捜査機関の判断だけで,何ら違法性のない段階から,「一般市民」であっても,「共謀」の「嫌疑」を理由とした監視を招くおそれが払拭されていない状況にあり,「一般市民」のプライバシーや表現の自由が不当に制約されることが強く懸念されることなどを理由に,当会は,法案成立に反対する5回に及ぶ反対パレードを行うともに,抗議声明の発出や反対運動を繰り返しており,「共謀罪」の創設に反対する一般市民の声も広がり続けている。

 このような状況において,十分な議論がなされず,しかも参議院法務委員会の採決も経ることなく,採決が強行されたことは,国民主権・民主主義に著しく違反するものであるといわざるを得ない。

 従って,今後も,改正法にて創設された「共謀罪」の廃止を求めていく所存であり,「共謀罪」の創設を含む改正法案に対する参議院での強行採決に強く抗議する次第である。

 以上

 日本国憲法施行70年を迎えての会長声明

 2017年5月3日、日本国憲法施行70年を迎えた。日本国憲法は、第二次世界大戦の反省に基づき、国民主権原理に立脚しつつ、他の世界のいずれの国にも類のない徹底した恒久平和主義を採用して、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有することを確認し、すべての国民に基本的人権を保障した。
そして、日本国憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される」ものとし、個人の生命・自由及び幸福追求権は「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と明記して、「個人の尊厳」こそが、日本国憲法の国の根本原理であることを高らかに宣言している。

 このような日本国憲法は、歴史的に人類が獲得した叡智に基づくものであるとともに、第二次世界大戦下のわが国において、全体主義がとられ、国民の自由な言論や思想が徹底的に統制され、多数の国民が戦争に動員されたうえで、破局的な結末を招いたことへの深い反省に立つものである。

 戦後の日本社会においては、このような根本原理が国民の意識や社会へと浸透して定着した結果、再び戦争の惨禍に見舞われることもなく、平和のうちに繁栄を謳歌することとなり、国民一人一人の努力と創意工夫によって新たな産業が次々と生み出されて経済発展を遂げ、学問、科学技術、芸術やスポーツなどの分野においても、輝かしい発展を成し遂げることとなった。

 このような日本国憲法が施行されて70年を迎え、わが国が平和で実り豊かな国家へと変貌を遂げた背景には、日本国憲法が果たしてきた役割が極めて大きいものであることを改めて確認しなければならない。
ところが、政府は、近年、国民の知る権利やプライバシー権という基本的人権を制限する特定秘密保護法を成立させ、また、歴代内閣が憲法9条の解釈からは認められないとしてきた集団的自衛権を閣議決定という密室の判断で一部容認し、さらには、容認された集団的自衛権を実行させるいわゆる新安保法制までを制定するなど、日本国憲法の根本原理である恒久平和主義に抵触するような立法を進めており、現在では、思想良心の自由や表現の自由などの基本的人権を制約するおそれの極めて強い、テロ等準備罪法案(いわゆる共謀罪法案)の制定を急速に進めている。

 今こそ、「基本的人権の擁護と社会正義の実現」を社会的使命として担うわれわれ弁護士・弁護士会は、改めて日本国憲法が果たしてきた重要な役割を再確認するとともに、主権者たる国民の自由な表現が保障され、戦争のない平和な社会を維持・発展させるべく、より一層の努力を続けていく所存である。

 2017年(平成29年)5月24日
 兵庫県弁護士会会長 白 承 豪

 いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の衆議院採決に抗議する会長声明
 2017年(平成29年)5月23日
 兵庫県弁護士会
 会長 白 承 豪

 〈声明の趣旨〉

 当会は,「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案」について,衆議院において採決したことに抗議し,参議院に対し否決することを求める。

 〈声明の理由〉

 当会は,本年3月21日付「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明」において,いわゆる「共謀罪」の廃案を求めていたが,同法案は,5月19日に衆議院法務委員会にて,5月23日には衆議院本会議にて,それぞれ採決された。

 政府は,テロ対策のため,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)の締結に必要であると説明するが,同条約は複数の国々を越境して行われる経済的な組織犯罪を対象としており,そもそも政治的目的で行われるテロ対策とは無関係である。多数の学者も,同条約の締結に「共謀罪」の立法は不要であると評価した声明を発表している。

 また,政府は,「一般市民」は対象外であると説明しているが,そもそも「一般市民」が,どの者を指すのか不明であるし,共謀罪の捜査対象と説明される「組織的犯罪集団」に関する国会答弁からも,「組織的犯罪集団」なる団体が,予め,客観的に特定・限定できないために,結局,「一般市民」が捜査対象になるのかについても,答弁が変遷するなど,不明のままである。さらに,構成要件であると説明される「準備行為」と日常行為との区別に関する国会答弁からも,どの行為のどの段階から捜査が開始されるのかも不明のままである。現在,「組織的犯罪集団」や「準備行為」という構成要件によって従前の共謀罪法案を厳格化したとは到底いえない状況にあり,捜査機関の恣意的判断により,何ら違法性のない段階から,「共謀」の「嫌疑」を理由に,市民の日常的な行動等の監視を招くおそれが払拭されていないといわざるを得ない。
 
 当会が昨年11月,12月,本年2月,4月にそれぞれ開催した「共謀罪法案に反対するパレード」には,参加者が回を重ねるごとに増え,これまで,のべ1000人を超える市民が集まっており,兵庫県内においても,いわゆる「共謀罪」法案に不安を覚える市民の声が,格段に強まっていることが分かる。

 よって,当会は,このたび,「共謀罪法案」について,衆議院において採決したことに抗議し,参議院に対し否決することを求める。

 いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明
 2017年(平成29年)3月21日
 兵庫県弁護士会会長 米田耕士

 〈声明の趣旨〉

 当会は,いわゆる「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)の閣議決定に反対する。

 〈声明の理由〉

 1 いわゆる「共謀罪」法案の閣議決定

 政府は,国内外のテロ対策の見地から,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)の締結をするために必要であるとして,いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)について,本日,閣議決定を行った。当会は,過去6度にわたり,いわゆる「共謀罪」新設について反対する会長声明を発出しているが,本法案は,2003年から2005年にかけて3回にわたり国会に提出しながらも廃案となったいわゆる「共謀罪」法案と同様の危険があるため,本法案の閣議決定に強く反対する。

 2 277もの「共謀罪」規定の創設を行う必要性がない

 国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)は,複数の国々を越境して行われる経済的な組織犯罪を対象としており,そもそも政治的目的で行われるテロ対策とは無関係である。また,同条約の締結に関し,政府は,「すべての重大犯罪の共謀と準備の行為を犯罪化することは我々の法原則と両立しない。」と述べており,同条約34条も,「自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めており,わが国が同条約を締結するために,277もの「共謀罪」規定の創設を行う必要がない。

 なお,国内のテロ対策については,我が国は,テロ関連主要条約の全てを批准しており,条約上の行為を国内法で犯罪と規定している。また,未遂に至らない段階からの処罰規定である多くの予備罪に加え,銃刀法・ピッキング防止法などテロ準備段階に対処可能な犯罪規定が既に多数設けられており,新たな立法を待つまでもなく未然防止が可能である。

 3 本法案は「共謀罪」法案を厳格化していないこれまで当会が反対してきた,いわゆる「共謀罪」法案は,対象犯罪にあたる行為で,「団体」の活動として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を「共謀」した場合に処罰すると規定され,@「団体」に限定がなく,A「共謀」という概念自体が曖昧であることから,憲法上の根幹的な基本的人権に対する重大な脅威となるものであった。本法案では,@処罰対象を,「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」(略称「組織的犯罪集団」)に変更し,A犯罪の構成要件として,犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」によって「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為」という要件を付している。しかし,@「組織的犯罪集団」は,「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」と定義されているため,捜査機関が団体の「目的」を確認して「集団」の認定を行うことから,「組織的犯罪集団」なる団体を予め,客観的に特定・限定できず,捜査機関の濫用規制を図ることは困難である(なお,本法案は,「テロリズム集団」を「組織的犯罪集団」の例示とするが,本法案に「テロリズム」の定義自体がなく,客観的に特定・限定は困難である。)。また,団体の「目的」が「4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある」と捜査機関が判断した場合には捜査の対象とされ,捜査機関の判断と運用に委ねられる点で従前の「共謀罪」法案の危険性は払拭されていない。また,A犯罪の構成要件とされる「準備行為」も,未遂より前の段階を処罰する規定である「予備罪」における予備行為とは異なり,その行為自体の危険性を要するものではない。また,「準備行為」の例示に「その他」と規定されていることから,例えばATMからの預金引き出し行為など,一般市民の日常的な活動を広く含んでおり,客観的に,個人的な活動と区別することは困難であり,捜査機関の濫用規制を図ることはできない。また,捜査機関が個人の日常的な活動を「準備行為」を行ったと判断した場合には処罰対象とされるため,捜査機関の判断と運用に委ねられる点で従前の「共謀罪」法案の危険性は払拭されていない。なお,1回の合意では処罰対象としない運用を行うといった指摘もあるが,そもそも刑罰法規において,条文上明示されない運用などで一般市民の自由を確保することはできないことはいうまでもない。
したがって,本法案は,従前の「共謀罪」法案に比して厳格化されたと評価することはできない。

 4 本法案は一般市民の自由な活動を萎縮させる以上のとおり,本法案は,「2人以上の者らの合意した内容」を犯罪とするものであり,政府が,2人以上の者らで構成される「団体」の「目的」が一変したと捜査機関が判断した場合は処罰対象となると指摘するように,外部から覚知することが困難な人の「意思」を推知するために,合意成立前からの捜査が想定される。そのため,昨年5月に,対象犯罪が拡大され,通信事業者の職員立会要件が緩和された通信傍受法の対象犯罪に「共謀罪」が加えられる可能性は極めて高く,277もの「共謀罪」の創設は,2人以上の者らで構成される「集団」の「目的」の変化を確認する捜査を誘発し,却って,何ら違法性のない段階から,一般市民の日常的な行動等の監視を招くことになる。その結果,市民の日常の会話のみならず,電話・メール・インターネット・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)・GPS(グローバルポジショニングシステム)などの通信情報が傍受されることによって,プライバシー権や通信の秘密といった基本的人権が損なわれ,一般市民が享受してきた自由な交流活動が萎縮するなどの従前の「共謀罪」法案と同様の懸念が否定できない。

 5 結論

 以上のとおり,本法案は,「2人以上の者らが話し合った内容を犯罪とする」という点で,いわゆる「共謀罪」が有する危険性が払拭されておらず,結局,従前の「共謀罪」法案と同じく,憲法が保障する基本的人権が保障する一般市民の自由な生活に対する脅威になる。

 したがって,当会は,声明の趣旨のとおり,277もの「共謀罪」を創設する組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対するとともに,今後も市民に対して本法案の危険性を訴え,廃案になるように全力で取り組む次第である。

 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し,廃止を求める会長声明
 2017年(平成29年)1月26日
 兵庫県弁護士会会長 米 田 耕 士

 2016年12月15日,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(以下「本法」という。)が,成立した。

 当会は,2014年6月13日,当時提出されていた同旨の法案について,カジノが合法化されれば,風俗環境の悪化は避けられず,ギャンブル依存症の患者の増加や犯罪が増加するおそれが高いこと,青少年の健全育成への悪影響や多重債務対策に水を差す可能性等の弊害があること,さらには,暴力団の新たな資金源確保の機会を与え,マネーロンダリングに利用される可能性があること等を指摘し,一方で,本法案が,弊害除去のための具体的な対策を示すことさえしないまま,カジノを合法化するという結論を先決めしてしまっていることは,賭博罪の立法趣旨を大きく損なうなどとして,法案の廃案を求める会長声明を発していた。

 その後の各種世論調査でも,カジノ合法化に反対,あるいは,慎重との意見が,賛成意見を圧倒しているし,また,新聞各紙も,社説で世論に沿った意見表明を繰返し行なっている。一貫してこうした大きな世論があったからこそ,再度提出された本法案についても,審議入りできないまま,約1年半が経過しようとしていた。

 ところが,2016年11月30日,従前と状況は変わらないにもかかわらず,突如として審議入りし,十分な審議がなされないまま,可決され成立してしまった。

 本法は,我が国では,近代法制定以前から厳禁され,刑罰の対象とされてきた賭博行為を一部非犯罪化するものであり,また,民間賭博を公認するものでもあり,我が国の刑事司法政策に極めて重大な変更をもたらすものである。この点からすれば,慎重に慎重を重ねた審議が必要であったが,本法案の審議過程は,あまりに短時間で,拙速にすぎ,十分に検討されたとは言えないものであった。

 本法は,その成立にあたってわずかな修正が施され,また,附帯決議も行われたが,それによっても,当会がかねてから指摘していた弊害についてそれを解消するものとはなっておらず,その審議経過も拙速といわざるをえない。

 よって,当会は,本法の成立に強く抗議し,その廃止を求めるものである。

 以 上

 死刑執行に関する会長声明
 2016年(平成28年)11月28日
 兵庫県弁護士会会長 米 田 耕 士

 当会は,11月11日に行われた死刑執行に対し強く抗議し,死刑執行の完全な停止を求めると共に,刑罰制度全体の見直しと死刑制度について速やかに検討を始めることを求める。

 去る11月11日,金田勝年法務大臣は,男性1名に対する死刑が福岡拘置所において執行されたことを発表した。本年3月25日に2名に死刑が執行されて以来,約8ヶ月ぶりの執行であり,同法務大臣が就任してからは初めての執行である。また,第2次安倍内閣が成立したとき(2012年12月26日)以降で数えると10回目で,合計17名に死刑が執行されたことになる。

 日本弁護士連合会では,本年10月7日に第59回人権擁護大会にて,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,@日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと,A死刑を廃止するに際して,死刑が課されてきたような凶悪犯罪に対する終身刑,重無期刑などの代替刑を検討すること等を政府に求めたばかりである。
 
 死刑制度については,その存置に賛成する立場,反対する立場の双方から,様々な論拠が示されてきたが,死刑が,人間存在の根元である生命そのものを奪い去る厳しい刑罰であることは疑いのない事実である。

 しかるに,死刑を決する刑事裁判は誤判のおそれを完全には払拭することができない。現に,戦後の日本では,1980年代に4名の死刑確定者に対する再審無罪判決がなされたほか,近年に至っても2014年3月には,袴田事件について,静岡地方裁判所にて再審の開始と死刑及び拘置の執行を停止する決定がなされ,改めてえん罪による誤った死刑執行のおそれが現実にあったことが示された。万一,無実の人に死刑を執行してしまえば,国家による取返しのつかない人権侵害となる。

 また,国際社会に目を向けると,第二次世界大戦後,死刑の廃止や執行停止を行う国が増加し,既に,世界の3分の2以上の国々が,死刑を既に廃止ないし停止している。隣国である韓国においても1998年以降死刑の執行を停止しており,事実上の廃止国とされている。そして,国連総会は,2014年12月,「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議を採択した。

 かかる流れからするならば,死刑執行を直ちに停止し,被害者の立場、国民世論も踏まえて,死刑制度についての議論を早急に開始すべきである。

 国と社会が,犯罪被害者ご遺族の精神的,経済的な支援に真摯に取り組むべきことは言うまでもないが,そのことと死刑制度,死刑執行を対置させてはならない。罪刑の均衡については,刑罰制度の見直しを行うことが可能であり,一般予防の考え方には本当に科学的根拠があるのか,改めて検討すべきである。
 当会は,国民的議論が十分尽くされるまで死刑の執行を停止することを求める旨の声明を,過去繰り返し公表してきたところ,現政権が再び死刑の執行を行ったことは極めて遺憾であり,強く抗議する。当会は,重ねて,死刑執行の完全な停止を求めるとともに,刑罰制度全体の見直しと死刑制度について速やかに検討を始めることを求めるものである。

 以 上

 日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する意見書2016年(平成28年)9月28日
 兵庫県弁護士会会長 米 田 耕 士

 意見の趣旨
 
 当会は,日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する。意見の理由

 第1 はじめに

 国家緊急権とは,戦争,内乱,恐慌,大規模自然災害など,平時の統治機構をもってしては対処できない非常事態(以下「緊急事態」という。)において,国家の存立を維持するため,立憲的な秩序を一時停止して,非常措置をとる権限のことをいう。国家緊急権(緊急事態条項)は,立憲秩序を停止し,政府に権限を集中し,人権保障を停止させるものであることから,ひとたび濫用されると,人権への悪影響は計り知れないものとなる。

 実際,ワイマール憲法下のドイツにおいては,ナチスドイツによる独裁のきっかけを与え,またわが国においても,関東大震災時に戒厳令が発令された際,朝鮮人が多数殺害されるといった悲劇を招いた。日本国憲法は以上のような国家緊急権(緊急事態条項)の危険性を認識し,あえてこれらの規定を設けなかったことが帝国憲法改正委員会議事録にて明らかとなっている。

 近時,国会の憲法審査会などにおいて,日本国憲法に緊急事態条項を創設し,国家緊急権を認めるべきではないかとの議論がある。

 しかし,国家緊急権(緊急事態条項)は,歴史的事実からも,濫用の危険があり,国家緊急権(緊急事態条項)を創設することは,立憲主義の根幹に関わる重大な問題といえる。

 国家緊急権(緊急事態条項)の創設については,日本国憲法が国家緊急権(緊急事態条項)をあえて設けなかった趣旨を踏まえてもなお,現在の情勢において,国家緊急権(緊急事態条項)の創設を支えるだけの具体的な立法事実が存在するのか否かという観点から議論されなければならない。

 以下では,このような観点から,国家緊急権(緊急事態条項)必要論の理由とされる@〜Bについて,具体的に検証することにする。

 @ 不測の災害が発生した場合の政府の対応不備を理由とする点

 A テロ防止対策に資するという点
 
 B 選挙が実施できない場合に国会議員が不在となるという点なお,現在議論されている国家緊急権(緊急事態条項)の中には,必ずしも冒頭の定義には当てはまらない内容のもの,例えば東日本大震災時のように統治機構が健全に機能している場面でも国家緊急権(緊急事態条項)の発動を認めるかのような見解もある。しかしながら,統治機構が機能している状況にあるにもかかわらず,立憲的な秩序を一時停止して,非常措置をとることを認めるとすれば,余りにも広範に立憲秩序が停止されることとなりかねない。緊急事態の名の下に,安易に憲法秩序が停止されるという事態は,避けなければならないことはいうまでもない。

 第2 国家緊急権(緊急事態条項)必要論の検証

 1 災害対策を理由とする見解について

 不測の大災害が生じた場合に,政府に権限を集中させて対策をとる必要があるとして,国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの見解がある。

 当会は,2015年(平成27年)4月10日,災害対策を理由にした国家緊急権の創設は不要であるとの会長声明を発出しているが,改めて検討する。まず,現行法制をみると,災害対策基本法では,原則として災害の応急対応の一次的責任は基礎自治体(市町村)が負い,市町村長は被災者に対する救助や応急措置を行う(62条1項)。市町村は災害現場に最も近く正確な情報が入り,地域や住民に精通しているので,迅速で柔軟な対応ができるからである。これに対して,二次的責任を都道府県が担い(4条),三次的責任を国が行うと位置付ける(3条)。国には個々の災害現場の正確な情報が入りにくく,また,特定の地域や住民の実情に精通せず,対応も画一的となりがちであり,迅速柔軟な対応ができないことによる。そもそも,災害対策の原則は「準備していないことはできない」という点にある。災害対策は過去の災害を検証して,これに基づいて将来の災害を予測し,その効果的な対策を準備することに尽きる。災害対策は,@事前の予防対策,A災害直後の応急対策,B事後の復旧対策に分かれており(災害対策基本法1条,2条の2参照),このうち国家緊急権(緊急事態条項)が問題になるのは災害直後の応急対策であるところ,この災害直後の応急対策は,被災者からのヒアリングを行い,被災地の状態を調査し,将来の災害を予測して策定されるべきものであるため,正確な事実の検証とこれを前提とした合理的な判断が必要である。こうした検証と判断は,現場に最も近い基礎自治体こそが最もよくなし得るところであり,これに反し,国家緊急権(緊急事態条項)による国からの発令を行ったのでは,被災地の状態の把握も不十分なまま対策を立てることになりがちであり,却って,現場に混乱を招き,被災者救済を阻害するおそれもある。したがって,災害対策という目的に照らしてみたとき,国家権力への権限集中を目的として国家緊急権(緊急事態条項)を創設することは,現実には,個々の現場のニーズに応じた迅速柔軟な支援を困難にし,市町村の活動と抵触して現場での混乱を招き,被災者支援を阻害するおそれがある。そして,前記の災害対策基本法を基本とする現行の災害法制は,既に,現時点において想定される限りの「備え」をとっており,あとは事前の準備を尽くすことに尽きるのであって,これを超えて,災害対策を理由とした国家緊急権(緊急事態条項)の創設は不要であると考える。

 2 テロ対策を理由とする見解について

 世界各地でのテロの頻発及び邦人犠牲者の増加といった情勢をふまえ,日本国内においてもテロリズムの危険が高まっており,その対処のために国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの見解がある。

 しかし,そもそもテロは,あくまで政治目的をもった特定の犯罪であることから,警察機構による対処が原則でなければならない。実際,わが国では,1995年(平成7年)3月20日,地下鉄サリン事件(死亡被害者13人,傷害被害者数千人)が発生しているが,当時存在した法令の範囲内(破壊活動防止法の適用すら行われていない。)の警察活動で対応することができた。

 また,地下鉄サリン事件の後,わが国では大規模テロに対処するための法整備もなされた。いわゆる有事法制の中に「緊急対処事態」を組み込み,大規模テロに対する十分な対処が可能となった。具体的には,武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(以下「武力攻撃事態法」という。)における「緊急対処事態」(同法22条「武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為」)の類型として,政府は,@原子力事業所施設の破壊,石油コンビナート,都市ガス貯蔵施設等の爆破,A大規模集客施設,ターミナル駅等の爆破,新幹線等の爆破,B放射性物質を混入させた爆弾(ダーティボム)等の爆発による放射能の拡散,炭疽菌等の生物剤の航空機等による大量散布,市街地等におけるサリン等化学剤の大量散布,水源地に対する毒素等の混入,C航空機等による多数の死傷者を伴う自爆テロを想定しているとしており(礒崎陽輔著「武力攻撃事態対処法の読み方」112頁以降参照),同法はテロ対策基本法としての性格をあわせ持っている。そして武力攻撃事態法では,内閣総理大臣は閣議で「緊急対処事態」を認定したうえで,対処方針を決定し(同法22条1項,2項,4項),緊急対処事態対策本部を設置すると規定している(同法23条1項)。

 また,武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(以下「国民保護法」という。)では,各自治体からの武力攻撃災害による被害情報は知事,総務大臣を経由して内閣総理大臣に集中し(同法127条,183条),内閣総理大臣は必要があれば,自衛隊の派遣を求めることもできる(同法15条2項,183条)。さらに,国民保護法は,公安委員会による車両の道路通行禁止(同法155条,183条),警察等による避難住民への警告,指示(同法66条1項,183条),危険な場所への立ち入り禁止等(同条2項,183条),知事等による運送事業者への避難住民の運送指示(同法71条1項,183条),必要な物資(医薬品,食料)の業者からの収用(同法81条2項,183条),収容・医療施設のための土地家屋の同意なき使用(同法82条2項,183条),医師・看護師の医療の実施の指示(同法85条2項,183条)など,国民の権利のための措置を実施するに当たって,国民の自由と権利を制限が加えられることが予定されている。この武力攻撃事態法については「緊急対処事態」の定義及び範囲が曖昧であるなどの問題があり,国民保護法については報道の自由や市民の知る権利に対して不当な制約が課される危険性が高いなどの問題のあることは当会においても指摘してきたところではあるものの,これらの法律を慎重に運用することを通じて,大規模テロに対する十分な対処が可能である。

 よって,テロ対策としても現在の法整備で対処可能であり,国家緊急権(緊急事態条項)を創設する根拠とはならない。

 3 選挙時期徒過・国会議員不在事態の発生を理由とする見解について

 (1)選挙時期の経過の問題

 憲法54条には,衆議院が解散された場合,40日以内に選挙をしなければならないと規定されており,たとえば大震災が発生し,解散後40日以内に選挙ができない場合,憲法違反となるとして,かかる事態に対応する国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの見解がある。

 しかしながら,大震災等で一部の選挙区が選挙不能となった場合であれば,繰り下げ投票制度(公職選挙法57条)が用意されており,選挙不能事態が解消した段階で,選挙を実施し,議員を補充すれば足りる。実際,過去にも繰り下げ投票制度は実施されているのであって(1965年参院選 熊本県・坂本村の一部,五木村,1974年参院選 三重県・伊勢市の一部,御薗村),あえて国家緊急権(緊急事態条項)を創設する理由にはならない。

 (2)国会議員不在の問題

 憲法上,衆議院議員の任期は4年であり(憲法45条),参議院議員の任期は6年であるが(憲法46条),任期に関する例外規定は設けられていない。したがって,衆議院解散後総選挙前や任期満了直前に緊急事態が発生して選挙が不能となり,国会議員不在の期間が生ずると,国会が機能せず,緊急事態への迅速かつ適切な対応ができないため,国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの主張がなされている。そこで,国家緊急権(緊急事態条項)の創設が必要とされる根拠となる「国会議員不在」の事態について,場合を分けて検討する。

 ア 衆議院を解散したが,総選挙前に総選挙が実施できない事態が発生した場合憲法54条2項但書に規定される「国に緊急の必要があるとき」に当たり,参議院議員によって参議院の緊急集会の請求,開催が可能であり,必要な法案等の審議・議決は可能である。

 イ 参議院の通常選挙の直前に選挙が実施できない事態が発生した場合衆議院議員及び非改選の参議院議員が存在する。両議院の定足数は3分の1で足り(憲法56条),必要な法案等の審議・議決は可能である。

 ウ 衆議院総選挙と参議院通常選挙のいわゆる衆参同日選挙(ダブル選挙)の公示直前に選挙が実施できない事態が発生した場合憲法第54条2項但書に規定される「国に緊急の必要があるとき」に当たり,非改選の参議院議員によって参議院の緊急集会の請求,開催が可能であり,必要な法案等の審議・議決は可能である。

 エ 衆議院議員の任期満了による選挙の直前に選挙が実施できない事態が発生した場合この点,公職選挙法31条1項において,衆議院議員の任期満了に因る総選挙は,議員の任期が終る日の前30日以内に行うと規定されており,仮に,同条項による手当が不十分というのであれば,任期満了日と新議員の就任の日の間に空白期間が生じないように同条項の改正を行い,さらに早期に選挙を実施し,任期満了前に新議員の選出を行えば,議員不在の状態が生じることはない。

 また,前述のとおり,公職選挙法では繰り下げ投票制度(公職選挙法57条)がすでに用意されており,一定の地域で災害などの事態が発生することによって選挙不能となった場合,当該地域についてのみ,投票日を繰り下げて選挙を実施すれば足りる。

 さらに言えば,憲法の条文上,参議院の緊急集会は衆議院を解散した場合に適用される形になってはいるが,衆議院が機能しない場合に参議院が国会に代わって活動するという緊急集会の趣旨からすれば,衆議院の任期満了の場合も緊急集会を求められるとも解し得るし,現にこのような解釈をとる学説もある。
そもそも,衆議院議員の任期満了による選挙は日本国憲法制定後68年間で1回しかないきわめて稀なケースであり,さらにそのタイミングで選挙が実施できない事態が発生することは重ねて稀なケースである(もっとも,衆議院議員の任期満了による選挙が原則であるところ,実際には,憲法7条に基づく衆議院解散による選挙が常態化していることについては問題がないわけではない)。したがって,現状では憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設する前提となる立法事実があるとは言い難い。

 (3)以上のように,いずれの場面も,日本国憲法の範囲内で対処可能であって,選挙時期徒過・国会議員不在などの事態の発生を理由として,日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設する必要性は乏しいと言わざるを得ない。

 (4)最後に,国家緊急権(緊急事態条項)により,国会議員の任期を延長するということは,弊害も存する。即ち,緊急事態の名の下に,国会議員の任期が延長されることにより,国会議員は,国民による選挙を経ずに議員の地位にとどまることとなる。その場合,仮に国政において誤った決定が下された場合においても,国民が選挙を通じてこれを是正するということができなくなってしまい,民主制の根幹を損なうこととなる。

 このような点に鑑みれば,議員の任期を一律に延長するなどという国家緊急権(緊急事態条項)を認めることは手段として不相当であり,選挙の実施ができない場所に限って繰り下げ投票制度を実施するということが,民主主義のあるべき姿であるというべきである。

 4 小括

 以上のとおり,@不測の災害が発生した場合の法令の欠缺を理由とする国家緊急権(緊急事態条項)の創設は,既に相応の法整備がなされており,事後的に国家に権限を集中させて対応策を検討することは却って災害対策につながらないこと,Aテロ防止対策に資することを理由とする国家緊急権(緊急事態条項)の創設も,現行法制で対応できること,B選挙が実施できない場合の国会議員が不在となることを理由とする国家緊急権(緊急事態条項)の創設は,現行の憲法の下で,公職選挙法などの運用・改正によって対応できるので,必要がない上に,民主制の根幹を損なうおそれもあることは明らかである。

 日本国憲法施行後の約70年にわたるわが国の法整備の状況及び緊急事態への対応の蓄積などを考えた場合に,国家緊急権(緊急事態条項)の創設を支えるだけの具体的な立法事実は存在しない。

 第3 自由民主党の憲法改正草案の検証

 憲法改正の発議については,衆議院においては議員100名以上,参議院においては議員50名以上の賛成により原案の発議がなされるところ(国会法68条の2),現状では具体的な内容を伴った国家緊急権(緊急事態条項)案は,自由民主党(以下「自民党」という。)が2012年(平成24年)に発表した憲法改正草案(以下「自民党憲法改正草案」という。)のそれのみである。

 そして,自民党は平成28年9月1日現在両議院において,上記原案発議の要件を遥かに超える議員を擁している。したがって,自民党憲法改正草案の内容が,そのまま憲法改正の発議の原案となる可能性が否定できない。そこで,以下,同草案の内容についても検証することとする。

 1 自民党憲法改正草案における緊急事態条項

 自民党憲法改正草案では,「第9章 緊急事態」において国家緊急権(緊急事態条項)が設けられている。以下,抜粋する。

 第98条 内閣総理大臣は,我が国に対する外部からの武力攻撃,内乱等による社会秩序の混乱,地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において,特に必要があると認めるときは,法律の定めるところにより,閣議にかけて,緊急事態の宣言を発することができる。

 2 緊急事態の宣言は,法律の定めるところにより,事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

 3 内閣総理大臣は,前項の場合において不承認の議決があったとき,国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき,又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは,法律の定めるところにより,閣議にかけて,当該宣言を速やかに解除しなければならない。また,百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは,百日を超えるごとに,事前に国会の承認を得なければならない。

 4 (略)

 第99条 緊急事態の宣言が発せられたときは,法律の定めるところにより,内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか,内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い,地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

 2 前項の政令の制定及び処分については,法律の定めるところにより,事後に国会の承認を得なければならない。

 3 緊急事態の宣言が発せられた場合には,何人も,法律の定めるところにより,当該宣言に係る事態において国民の生命,身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても,第十四条,第十八条,第十九条,第二十一条その他の基本的人権に関する規定は,最大限に尊重されなければならない。4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては,法律の定めるところにより,その宣言が効力を有する期間,衆議院は解散されないものとし,両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

 2 自民党憲法改正草案における国家緊急権(緊急事態条項)の問題点前項に掲げた自民党憲法改正草案における国家緊急権(緊急事態条項)は,以下で述べるとおり,大日本帝国憲法の緊急勅令よりも強大な権限を政府に与えるともいえるものであるうえ,数々の不備が存する。

 (1)「緊急事態」の内容について,憲法に限定列挙されるのではなく,法律でも定めることができるとされる(98条1項)。これにより,様々な場合を「緊急事態」に付け加えることも可能となり,将来,国家緊急権(緊急事態条項)が不当な目的で濫用されるおそれすらも否定できない。
 
 (2)緊急事態の宣言について,98条2項で「事前又は事後に国会の承認を得なければならない」とし,同条3項で「国会で不承認の議決があったとき,または,国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したときは,閣議にかけて宣言を速やかに解除しなければならない」とされているが,国会の承認について期限が定められていない。そのため,緊急事態宣言がなされても,国会の承認を得ないまま長期間放置されるという事態も想定され,国会の統制が及ばなくなるという懸念がある。

 (3)緊急事態の期間について,98条3項により,百日を超えるごとに事前に国会の承認を必要としているが,立憲秩序を停止する例外措置であるにもかかわらず,百日という期間は長すぎる。また,同項により,国会の承認が得られれば,更新を重ねていつまでも期間を延長できることになっており,この点でも濫用の危険が大きい。

 (4)99条1項により,内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できるとされるが,災害対策基本法のように,「国会閉会中,衆議院解散中,臨時会の招集及び参議院の緊急集会を求めるいとまがない場合」という限定がなく,国会開会中ですら内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる。大日本帝国憲法でさえ緊急勅令を発することができるのは議会閉会の場合としていたところ(大日本帝国憲法8条1項),自民党憲法改正草案はこれよりも内閣に強大な権限を与えるものであり,濫用の危険が大きいと言わざるをえない。

 (5)99条2項において,同条1項の政令の制定及び処分については事前又は事後に国会の承認が必要とされているが,承認が得られない場合に効力を失う旨の規定がなく,それらに国会の統制が全く及ばないおそれがある。大日本帝国憲法でさえ,緊急勅令が事後に議会の承認を得られない場合は将来に向かって効力を失う旨の規定があったものであり(大日本帝国憲法8条2項),自民党憲法改正草案はそれよりも濫用の危険の大きいものとなっている。

 (6)99条1項により「法律の定めるところにより」となっているものの,政令で制定できる対象について憲法上の制限がなく,全ての人権を制限できる可能性があり,また,全ての事項について政令の制定ができる可能性がある。これは,国会の立法権が完全に内閣に移転する可能性がある内容であり,政府の独裁をもたらしかねず,将来,濫用される危険が極めて大きいものと言わざるを得ない。

 第4 結論

 以上のとおり,国家緊急権(緊急事態条項)は,そもそも立憲主義を停止するもので濫用の危険があり,実際に濫用され,悲劇を招いた歴史的事実もあるところ,日本国憲法が,国家緊急権(緊急事態条項)を設けなかった趣旨を踏まえてもなお,現在の情勢において,国家緊急権(緊急事態条項)の創設を支えるだけの具体的な立法事実は存在しない。そして,自民党憲法改正草案における国家緊急権(緊急事態条項)も,濫用を防ぐことはできず,かえって,濫用の危険が大きい内容となっている。
 
 よって,当会は,日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する。

 以上

 いわゆる共謀罪法案の提出に反対する会長声明
 2016年(平成28年)9月11日
 兵庫県弁護士会会長 米 田 耕 士

 声明の趣旨

 当会は,政府が新たに提出する予定とされる法案における「テロ等組織犯罪準備罪」の規定は,いわゆる「共謀罪」と同様の危険性があるため,同法案の提出に反対する。

 声明の理由

 1 政府は,2003年から2005年にかけて3回に渡り国会に提出しながらも廃案となったいわゆる「共謀罪」法案に関し,今般,これまでの「共謀罪」規定を「テロ等組織犯罪準備罪」規定へと改め,臨時国会に提出を検討している旨報じられた。

 当会は,過去5度に渡り,「共謀罪」新設について反対する会長声明を発出しているところ,政府が新たに提出する予定とされる法案(以下「提出予定法案」という。)についても,いわゆる「共謀罪」法案と同様の危険があるため,同法案の提出に強く反対するものである。

 2 いわゆる「共謀罪」の2003年の政府法案(以下「2003年の政府法案」という。)では,「団体の活動として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者」を処罰すると規定されていたところ,「団体」に限定がなく,「共謀」という概念自体が曖昧なものであることから,思想信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由などの憲法上の根幹的な基本的人権に対する重大な脅威となる点が指摘されてきた。今回,提出予定法案は,2003年の政府法案から,以下の点について変更が加えられている。

 (1)「共謀罪」を「組織犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」(略称「テロ等組織犯罪準備罪」)とした。

 (2)「団体」から「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」(略称「組織的犯罪集団」)とした。

 (3)犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰する場合に,計画をした者によって,「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件を付した。

 3 しかし,提出予定法案も,以下のとおり,処罰範囲を限定することはできておらず,思想信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由などの憲法上の根幹的な基本的人権に対する重大な脅威となる。

 (1)「組織的犯罪集団」の定義に「目的」という主観的事情が含まれるため,「組織的犯罪集団」なる団体を客観的に特定・限定し,捜査機関の濫用規制を図ることは困難であり,結局,「目的」の存否は捜査機関の判断と運用に委ねられることとなる。

 (2)また,「共謀」を「計画」に変更しているが,そもそも「計画」という刑法上の概念が不明確である上,犯罪の遂行に関する「共謀」も「計画」も,「犯罪の合意」であることに変わるところはない。
 
 (3)さらに,「犯罪の合意」後に「準備行為」をもって処罰すると規定しているが,「準備行為」は,いわゆる予備罪・準備罪における予備・準備行為とは異なり,当該行為自体の危険性を要さないため,例えばATMからの預金引き出し行為など,市民の日常的活動を広く含むとされている。

 したがって,提出予定法案においても,処罰範囲の限定は,結局,「団体」の「目的」の存否を判断する捜査機関の運用に委ねられることとなり,2003年の政府法案に比し,処罰範囲が大きく限定されると断ずることはできない。

 4 2007年にまとめられた自由民主党の小委員会案では,いわゆる「共謀罪」の対象犯罪は約140から約200にまで絞り込まれていたが,提出予定法案は,2003年の政府法案と同様に実に600以上の犯罪を対象にした。窃盗・詐欺や公職選挙法違反などの犯罪まで対象犯罪とされれば,今春に,対象犯罪を拡大し,通信事業者の職員立会要件を緩和した通信傍受法等により,市民の日常の会話や通信が傍受される可能性は格段に高まり,プライバシー権や通信の秘密といった基本的人権の保障との関係で深刻な対立を引き起こしかねない。

 5 提出予定法案には,新たに「テロ対策」という目的が追加されているが,これまで「共謀罪」導入の根拠とされていた,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)は,経済的な組織犯罪を対象としており,テロ対策とは本来無関係である。テロ対策について,我が国は,テロ関連条約のうち,「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」を除く全てを批准しており,条約上の行為を国内法で犯罪と規定しており,未遂に至らない段階からの処罰規定も整えているところである。この点,現行法上,内乱・外患に関する予備・陰謀罪,殺人・強盗・放火・身代金目的誘拐に関する予備罪,凶器準備集合罪,化学兵器禁止法・サリン防止法・航空機強取等処罰法・銃砲刀剣類所持等取締法・資金提供処罰法・放射線発散処罰法等,多くの特別法において予備罪が既に設けられ,このような犯罪については新たな立法を待つまでもなく未然防止が可能である。

 6 以上のとおり,提出予定法案の「テロ等組織犯罪準備罪」の規定では2003年の政府法案に比し,処罰範囲は十分に限定されておらず,却って,広範な対象犯罪の捜査のために,市民の多くの日常の会話や通信が傍受される危険性を否定できないなど,いわゆる「共謀罪」と同様の危険性がある。

 よって,当会は,声明の趣旨のとおり,政府が新たに提出する予定とされる法案について,その提出そのものに反対する。

 以 上


 高等学校等の生徒の「政治的活動等の自由」の保障を求める会長声明
 2016年(平成28年)6月28日
 兵庫県弁護士会
 会 長 米 田 耕 士

 第1 声明の趣旨

 1 当会は,文部科学省に対し,2015年(平成27年)10月29日付「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」及び2016年(平成28年)1月29日付「『高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について』Q&A」を撤回したうえで,あらためて18歳以上か否かにかかわらず高等学校等の生徒の政治的活動等の自由を原則として認める旨の通知を全国の教育委員会及び高等学校等に出すことを求める。

 2 当会は,兵庫県内の各教育委員会及び各公立高等学校等に対し,生徒に対して学校外における政治的活動等の届出の義務付けをしないことを求める。

 3 当会は,兵庫県内の各私立高等学校に対し,生徒の政治的活動等の自由及び選挙権の行使について,十分に配慮することを求める。

 第2 声明の理由

 1 2016年(平成28年)6月19日,公職選挙法等の一部を改正する法律(平成27年法律第43号)が施行され,選挙権を有する者の年齢が18歳に引き下げられることとなり,施行日後初めて行われる第24回参議院議員通常選挙の公示日(同年6月22日)以後にその期日を公示され又は告示される選挙から,高等学校等の生徒の一部も選挙権を有することとなった。

 この点,文部科学省は,2015年(平成27年)10月29日,「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」(以下「新通知」という。)を,各都道府県教育委員会及び各都道府県知事等宛に発出した。また,同省は,新通知の運用につき,平成28年(2016年)1月29日,「『高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について』Q&A」と題する書面(以下「Q&A」という。)を配布した。

 しかしながら,新通知及びQ&Aは,これらに基づく施策によって高等学校等の生徒の選挙運動や政治的活動(以下「政治的活動等」という。)の自由が不当に制限されたり,または制限される危険性があることから,撤回されるべきである。
 
 2(1)憲法21条1項は,主権者である国民に表現の自由としての政治的活動等の自由を保障している。政治的活動等の自由は,民主主義社会の根幹をなす極めて重要な基本的人権であり,選挙権の有無にかかわりなく,何人にあっても保障されるものである。

 そして,我が国が批准し国内法的効力を有する「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は,子ども(同条約では18歳未満の子どもを対象としている)に対し,意見表明権(12条1項),政治的活動の自由を含めた表現の自由(13条1項),結社・集会の自由(15条1項)を認めている。

 なお,高等学校等が,未成熟な高等学校等の生徒に対し,パターナリスティックな観点による制約(例えば暴力主義的な団体への加入をしないように指導すること等)をすることが必要であるとの意見も存在する。

 しかしながら,かかる問題は,一次的には家庭教育,二次的には学内での主権者教育によって対処すべき問題であり,高等学校は各生徒の政治的活動等の内容についてまで、極力踏み込むべきではない。

 以上のとおり,今般の公職選挙法の改正により選挙権者となった18歳の生徒は当然のこと,選挙権行使の準備段階にある18歳未満の生徒についても,政治的活動等の自由は,当然に認められる。ところが,新通知及びQ&Aは,18歳以上の生徒に関する政治的活動等について言及するのみであり,18歳未満の生徒の政治的活動等についての言及が全くない。新通知及びQ&Aは,18歳未満の生徒の政治的活動等の自由に言及しない不完全なものである。
 
 (2)Q&A(Q9)は,放課後,休日等に学校の構外で行われる政治的活動等の参加を届出制とすることについて,必要的かつ合理的な範囲内での制約であれば許されるとしている。

 しかし,高等学校等の生徒の学校外での政治的活動等について,届出を義務づけることは,政治的活動等の自由を公権力が規制するものに他ならず,憲法19条,同21条1項,子どもの権利条約14条1項,同12条,同13条1項に違反する人権侵害行為として,許されない。すなわち,学校外での政治的活動等を届出制とすることは,現在,高等学校等で採用されているアルバイトや自動二輪車の使用の届出制に比し,政治的活動等の自由という民主主義社会の根幹をなす極めて重要な基本的人権を侵害する点で決定的な違いがある。

 高等学校等の生徒は,18歳以上か否かにかかわらず政治的活動等を行う権利を有しているのであり,高等学校等の他の生徒の「教育を受ける権利」を保障する見地から,学校内における相互の調整を図るなど,施設内における秩序を維持する目的で,必要最小限度の制約を行う場合などの公共の福祉による制約を除き,単に高等学校等の生徒であることを理由とした政治的活動等の制約は許されない。

 また,高等学校等が,生徒の学校外での全ての政治的活動等について,高等学校等への届出を義務付ければ,事実上,生徒は,届出を通じ,自らの政治に関する関心や政治的志向を明らかにせざるを得ない。これは,生徒の思想・良心の自由(自らの内心を明らかにしない自由)を侵害するものである。さらに,政治的活動等の届出を義務付けた場合,生徒は,届出を原因とする内申等の評価への影響,教師による偏見などといった事実上の不利益が生じることを危惧し,届出を避けることになり,学校外での政治的活動等を萎縮させる結果となる。

 (3)よって,当会は,文部科学省に対し,高等学校等の生徒の政治的活動等の自由が不当に制限されたり,または制限される危険性がある新通知及びQ&Aを撤回したうえで,あらためて18歳以上か否かにかかわらず高等学校等の生徒の政治的活動等の自由を原則として認める旨の通知を全国の教育委員会及び高等学校等に出すことを求める。

 3 近時の報道によれば,新通知及びQ&Aを受け,兵庫県教育委員会及び神戸市教育委員会は,満18歳以上の高等学校等の生徒の学内外での選挙運動や政治的活動への指導について,各校の状況や実態に応じて校長が判断すべきとの見解を示した結果,2016年(平成28年)5月の時点で,39の県立高校及び全ての市立高校が,高校生が学校外のデモや集会などの政治的活動等に参加する際の学校への届出制を不要と判断したようであるが,対応を検討中の公立高等学校等もあるとのことである。

 しかし,高等学校等の生徒の学校外での政治的活動等について,届出を義務づけることは,上記のとおり,生徒の政治的活動等の自由を不当に制限するものであり,憲法,子どもの権利条約上,許容されるものでない。

 よって,当会は,兵庫県内の各教育委員会及び各公立高等学校等に対し,生徒に対して学校外における政治的活動等の届出の義務付けをしないことを求める。

 4 私立高等学校等においても,公立高等学校等の生徒と同様,生徒が有する政治的活動等の自由及び選挙権は,いずれも,憲法,子どもの権利条約上,極めて重要な権利であることに変わりはない。したがって,生徒の政治的活動等の制限は,行政権による規制・侵害の問題ではないが,学校が独自に掲げる建学の精神に基づく校風,または,教育目的などを理由に,生徒の学校外での政治的活動等の学校への届出を実施し,または,生徒の思想信条や所属政党を調査することは,生徒の思想・良心の自由,政治的活動等の自由を不当に制限することになる点,十分に留意されなければならない。

 よって,当会は,兵庫県内の各私立高等学校に対し,生徒の政治的活動等の自由及び選挙権の行使について,十分に配慮することを求める。

 以上


 少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明
 2016年(平成28年)6月3日
 兵庫県弁護士会
 会 長 米 田 耕 士

 第1 声明の趣旨

 当会は,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに反対する。

 第2 声明の理由

 1 当会は,この問題に関し,すでに2015年(平成27年)6月26日付け 「少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明」及び同年12月28日付け「少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する意見書」を発出している。

 当会は,去る2016年(平成28年)5月21日に,「少年法を考えるシンポジウム〜適用年齢を本当に引き下げるべきか?!〜」を主催した。

 その中で,現行少年法は,少年の健全育成を目的に,家庭裁判所調査官や少年鑑別所による科学的な調査と鑑別を踏まえ,少年に相応しい処遇を決する手続を採用し,少年の可塑性を踏まえた少年院などにおける個別的な指導と教育の処遇と相まって,少年の立ち直りと再犯の防止に有効に機能してきたことが改めて確認された。

 そして,次の4つの理由からも,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに合理的な理由がないことが改めて浮き彫りになったことから,当会は,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに改めて反対する。

 2 1つ目の理由は,少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げた場合,非行少 年の多くが立ち直りに向けた十分な指導と処遇を受けられないまま放置されることになる点である。すなわち,少年事件の約5割が,18歳・19歳の少年で占められており,その多くは初犯であるため,少年法の対象外となった場合には,不起訴処分,略式命令による罰金刑,起訴されたとしても,そのほとんどが執行猶予付き判決を受けることになる。

 現行少年法の下で,少年が少年院に送られた場合,少年院で受ける処遇は一人ひとりの少年の状態,問題点を踏まえて行われており,少年院内で改善すべき点が改善されているかどうか,少年院の教官による厳格な評価の下で,少年院からの仮退院なども決まっている。

 ところが,少年法の適用年齢が18歳未満に引下げられると,非行をした若年者の多くが,立ち直りに向けた十分な指導と処遇を受けられないまま,社会内に戻ることになり,再犯に及ぶリスクを増加させ,新たな犯罪被害者を生み出すおそれも否定できない。

 2つ目の理由は,少年犯罪の全体的な傾向は,そもそも増加も凶悪化もしていない点である。実際に,少年犯罪の検挙者数は,ピーク時(昭和58年)に比べて75.4%も減少している。また,殺人(未遂を含む)と傷害致死という重大・凶悪な事件に絞ってみれば,ピーク時(昭和36年)に比べると89.2%も減少している。少年犯罪は,増加も,凶悪化もしていないことは客観的データに照らして明らかである。

 3つ目の理由は,殺人・強盗・放火などの重大犯罪をした少年に対する処遇は,現行少年法で,すでに対応している点である。16歳以上の少年が重大な罪を犯して被害者を死亡させた場合は,原則として,成年と同じように地方裁判所での刑事裁判で刑罰を科すことになる。

 4つ目の理由は,18歳以上の非行少年の多くは,大人と同様に考えにくいという点である。確かに,18歳でも十分な判断力を持つ人もいることは事実であるが,非行を犯している少年の多くは,その発育過程で大きな問題を抱えており,成長発達権を保障されなかった子どもたちである。かかる非行少年にこそ,

 少年の可塑性を踏まえた少年院などにおける個別的な指導と教育の処遇が効力を発揮するのであり,その結果,多くの非行少年の立ち直りと再犯の防止につながる。
 
 3 以上のように,少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げるという議論は,再犯率をかえって高める懸念があるなど,想定される現実を無視する議論である。

 また,少年法の適用年齢の引き下げの問題は,少年の人権のみならず犯罪被害者の権利擁護の視点からも検討しなければならない問題であるが,直接,犯罪被害者の権利擁護につながるわけではない。
以上から,当会は,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに反対することを改めて強く訴えるものである。

 以上

 安全保障法制施行後の適用・運用に反対する会長声明
 2016年(平成28年)3月29日
 兵庫県弁護士会
 会 長 幸 寺 覚

 第1 声明の趣旨

 安全保障法制の施行に対して抗議するとともに,あらためて安全保障法制のすみやかなる廃止を求める。

 第2 声明の理由

 1 昨年9月30日に公布された平和安全整備法及び国際平和支援法(以下「安全保障法制」と言う。)が本日,施行された。

 しかしながら,安全保障法制は,日本弁護士連合会及び全国の弁護士会が憲法9条に違反すると述べてきたのみならず,大多数の学者や元内閣法制局長官,元最高裁判所長官などが憲法違反ないしその疑いがあると指摘するところである。

 憲法は国の最高法規であり,憲法に反する法律は,その効力を有しないのであるから(憲法98条1項),当会は,安全保障法制施行後の適用・運用に反対する。

 2 もとより安全保障法制は,現に戦闘が行われていない地域であれば,国が,自衛隊員に対し,他国の軍隊などに,弾薬などの提供(いわゆる後方支援(兵站)活動)を命じることや,PKO等で派遣された自衛隊員に対し,PKO等の活動を行う国内外の職員や外国の部隊のために,威嚇射撃などの武器使用(いわゆるかけつけ警護)を命じることも可能とされているため,自衛隊員の生命・身体の危険を高める内容となっている。仮に内閣が安全保障法制に基づき,自衛隊を海外に派遣した結果,自衛隊員の生命・身体に被害が及べば,憲法違反の無効な処分によって国民の生命・身体に対する重大な人権侵害となり,影響は甚大である。

 3 したがって,当会としては,安全保障法制の施行に対し抗議するとともに,あらためて安全保障法制のすみやかなる廃止を求めるものである。以 上

 少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する意見書
 2015年(平成27年)12月28日
 兵庫県弁護士会
 会長 幸 寺 覚

 第1 意見の趣旨

 当会は,公職選挙法の選挙年齢引き下げに連動させて,少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する。

 第2 意見の理由

 1 はじめに

 法務省では,公職選挙法の改正により選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられたことを受け,「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」を立ち上げ,少年法の適用対象年齢についても,20歳から18歳に引き下げるべきか否か等を検討している。

 当会は,この問題に関し,すでに2015年6月26日付け「少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明」を発出したところであるが,今般,法務省がこの問題について意見募集をしていることを受け,改めて,適用対象年齢引き下げに反対の立場から,以下のとおり,意見を述べる。

 2 少年事件が増加し凶悪化しているという言説は誤りであること

 わが国における少年非行件数を概観するに,刑法犯少年の検挙人員は,昭和50年代後半の約20万人をピークとし,平成16年以降は11年連続で減少して,平成26年には5万人を割るに至っている。また,殺人,強盗,放火,強姦等といった犯罪についても,ピーク時の昭和30年代半ばには約8000人が検挙されていたところ,その後大幅な減少に転じ,近時の10年に限っても,平成17年の検挙人員が1441人であったのに対し,平成26年にはその約2分の1である703人にまで減少している。
このような客観的データに鑑みれば,凶悪事件はむしろ減少傾向にあるのであり,少年事件が増加し凶悪化しているという言説は,統計上根拠付けられたものではなく誤りであることが分かる。
 
 3 国法上の統一性や分かりやすさといった観点は合理性がないこと

 自由民主党の政務調査会が本年9月17日に取りまとめた「成人年齢に関する提言」は,「国法上の統一性や分かりやすさといった観点から,少年法の適用対象年齢についても,満18歳未満に引き下げるのが適当である」とする。

 しかし,法律には,それぞれ異なった趣旨・目的があり,適用年齢を何歳にするかは一律ではありえない。たとえば,民法の中でも,親権者の同意なく契約ができる年齢は20歳からであるが,遺言をすることができる年齢は15歳からである。また,上記提言も,国民年金の支払義務や児童福祉法に定める児童自立生活援助事業における対象年齢等の諸法令については適用年齢引下げの対象外とし,飲酒・喫煙や公営ギャンブルについては適用年齢引下げの是非を引き続き検討するとしているように,やはり,法律の適用年齢は,各法律ごとに個別具体的に検討すべきものである。

 公職選挙法において,選挙権の年齢の引き下げをした目的は,政治への参加の機会を拡大して若者の関心を高め,政治に多様な意見を反映させるというものである。しかも,選挙権は,その行使が何らかの義務の負担や不利益に直結していないから,民法上の未成年者であっても選挙権を付与することは特段問題がないといえる。

 しかし,少年法の適用年齢は,少年の成長支援の観点と再発防止という刑事政策上の観点から定められるべきであって,このような観点を無視して,「国法上の統一性や分かりやすさ」という観点から少年法の「成人」年齢を引き下げるべきとの議論には合理性がないことは明白である。

 4 18,19歳の非行少年の更生には少年法の保護処分が有効であること
 
 (1)18歳・19歳の年代は,いまだ心身の発達が未成熟で可塑性に富んでおり,教育・指導と環境の調整によって大きく変化する可能性がある。近時の18,19歳の状況は,少子化と高学歴化により,高卒で就職する人の占める割合は減少し,多くは親に扶養されているなど,真に自立した社会人になっている者は多くないと思料される。中でも,非行に走る少年の多くは,資質や生育環境に大きなハンディを抱えている。すなわち,非行に走る少年は,家庭,学校,地域などから適切な成長支援を受けられず,年齢相応の社会適応能力が身についていない者が多い。このような少年に,刑罰による威嚇で犯罪を思いとどまらせるというのでは足りない。非行を防止するには,まず少年の心情を受け止め,教育・指導・援助をすることである。少年は,自らを受容されることで,他人を受容することができるようになる。そして,自らが傷つけた被害者の痛みや心情に正面から向き合うことができるようになり,真の謝罪と償いの精神が育まれるのである。

 (2)現行少年法は,非行の背景・要因を分析して非行性を除去するための処分を決定するために,旧少年法の検察官先議を廃止して,全ての少年事件を家庭裁判所に送致することとした。そして,少年鑑別所による資質鑑別と家裁調査官による社会調査という人間行動科学の手法を採用した。

 少年鑑別所では,専門の技官が少年の心身の状況や行動を観察し,さらに,知能検査や性格検査,面接調査,医師の診察などを行い,少年の問題点を分析する。また,家裁調査官は,少年や保護者との面会,関係先への照会などにより少年の生育歴や交友関係,生活状況などを把握して,非行の原因を分析し,少年に対する処分の必要性や程度を調査する。

 審判では,このような科学的な調査・鑑別の結果を踏まえ,裁判官が少年に対する処分を決定する。家庭裁判所で決定される処分は,少年の未成熟性に着目した教育的な働きかけによって少年に自らの行為の意味を理解させ,社会的不適応の原因を除くことを処遇の基本に置いている。

 また,最終的な処分を決めるまでに,少年を社会内で生活させ,家庭裁判所調査官がその状況を調査する中間処分として「試験観察」がある。これは,最終処分が留保された状況で少年の自律的な更生を可能とする点で,極めて重要な機能を有している。最終処分には,「保護観察」や「少年院送致」などがあるが,「保護観察」では,専門家の保護監察官と保護司による指導・援助が行われている。他方で,「少年院送致」については,刑務所では,昼は刑務作業に充てられ,夕食後は独居房で過ごすのに対し,少年院では,教官が24時間体勢で就寝時間の直前まで少年を指導監督し,少年の内面にまで踏み込んだ教育により,自己変革を要求している。その意味では,少年院での処遇は少年にとって刑務所より「厳しい」ともいえる。

 (3)このように,少年法は,当該少年の非行性のみならず,その生育歴・背景事情等を十二分に吟味し,少年の健全な成長発達のために適切な処分をなしうる法制度である。このような法制度は,未成熟な18歳・19歳の少年の再犯防止に極めて有効であり,上述した,凶悪事件が減少傾向にあるという統計データは,その有効性を裏付けている,というべきである。

 5 少年法の成人年齢引き下げは,18歳・19歳の非行少年の立ち直りを却って妨げるリスクを増加させる懸念があること少年法の適用年齢が18歳に引き下げられた場合,却って,以下に述べる,重大な影響が生じる懸念がある。

 まず,家庭裁判所で手当を受ける少年が激減し,再犯リスクが高まることが予測される。2014年に検察庁が取り扱った道路交通事件を含む少年被疑者のうち47%が18,19歳だった。このため,少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられると,検察庁に送致された少年被疑者の約半分が家庭裁判所の手続から排除され,刑事事件手続で処理されることになる。刑事事件手続では,主として非行の結果の重大性で処分が決められる。2014年の検察統計年報によると,検察庁が「嫌疑がある」とした被疑者に対する処分の内訳は次のとおりである。起訴猶予 65%罰金・科料(略式命令請求) 27%公判請求(正式裁判) 8%この統計データからすると,少年法の適用年齢が18歳に引き下げられると,18,19歳の被疑者のほとんどが,起訴猶予か罰金を払うことで手続終了となる。つまり,保護観察や少年院が行っている教育的指導,または少年鑑別所や家裁調査官が行っている教育・指導を受けることなく,事件は終了となる。これでは,若者の立ち直りの機会は大きく減少し,再犯のリスクが高まることが懸念される。

 次に,早期に対処すれば犯罪に関わることを防止できる18,19歳の「ぐ犯少年」を,法の手続から放擲することになる,という問題がある。2014年にも,18,19歳の「ぐ犯少年」として,少年院送致になった者,保護観察となった者,教育的措置を受けた者がおり,これらに対する指導・支援の制度がなくなれば,18,19歳の「ぐ犯若年者」の多くが犯罪に走ることになることも懸念される。

 6 結論

 以上,少年法の「成人」年齢を満18歳に引き下げたとすれば,これまで有効に機能してきた少年法の役割は弱体化し,却って,再犯防止の指導・支援を受けられない18歳・19歳の若年者が増加する懸念がある。

 よって,意見の趣旨記載の意見を述べるものである。

 以 上

投稿日: 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2357 2018/02/02アラカルト@ 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2357 2018/02/02アラカルト@ 2018年2月2日

ソース:2357 2018/02/02アラカルト@ 2018年2月2日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/02/2357-20180202%e3%82%a2%e3%83%a9%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%88%e2%91%a0/

2357 2018/02/02アラカルト@
 
きょう

 はじめまして。ようやく追いつきました!!

 昨年の暮れ近くに余命本1、2とハンドブックを読み、集団通報やら官邸メールやら聞きなれない言葉に?と思い(第一列島線という言葉も初めて聞いた!)、これはブログで確認しなければダメだ、と読み始めたのが12月に入ってから。すぐにこれは本物だ!と直感し、いままでハシゴしていた保守ブログはそっちのけで、ひたすら読みました。集団通報や告発状、すごく参加したかったのに、すでに過去の話だし、ともかく早く現在に追いつかねばと読みまくり。本日めでたく到達です。おかげで、流れが把握できました。微力ながら私も、ひた押しに加わります!!

 ところで、昨年、日本学術会議が軍事研究に与しないとの声明を出しましたが、その関係で面白い資料を見つけましたので、以下抜粋します。「日本学術会議主催学術フォーラム安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」平成29年2月4日(土)の議事録からです。

 ttp://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/anzenhosyo/pdf23/170204-youshi3.pdf
 議事録(再改訂日:平成29年9月28日)
 ※URLは確認済ですが、頭のhははずしました。

 これの37P、公益財団法人未来工学研究所政策調査分析センター研究参与 西山淳一氏の発言箇所です。
GPS…これは米国が開発した衛星のシステムで、衛星の電波を受けて自分の位置がわかる。これはもともと兵隊あるいは部隊が砂漠とか森林の中でどこにいるか、あるいはミサイルを誘導する、戦闘機の位置を正確に知る、こういうために開発したわけですが、これをアメリカは一般に開放しました。一般というのは全世界の誰でも使っていいですというように開放したわけです。それによって測量にも使えますし船舶の位置もわかる、それから個人の位置もわかる。

 インターネット…米国の国防省が主導して開発しました。(中略)ここまで発展したもう一つの理由は、1990年代にCERN、皆さん御存じだと思いますが、スイスのジュネーブにある欧州原子核研究機構ですね。セルン、英語でサーンと言っていますけれど、そこでワールドワイドウェブ(World Wide Web: www)というものを開発しました。これが今、インターネットの上に載って、それで皆さんがいつでも使える。それはもう軍事利用も、政府の利用も、民間の利用も、そこの間は全然切れ目がないわけです。それでFacebookだとかTwitterだとかYouTubeだとかいろいろなものが便利に使われる、そういう時代になっています。

 ミサイルとロケット…日本が初めて人工衛星を上げたのはラムダ4Sロケットということで、「おおすみ」という人工衛星を上げました。これはロケットの先に衛星を横につけて、ここから打ち出して人工衛星を 軌道に乗せる。これだと精度が悪いんですけれども、糸川教授が「これは精度が悪いのでICBMになりません」と、このように言っています。ところが、精度が悪いものですから風任せのロケットだ、こんなものでは使い物にならないというような記事も出ていまして、その結果、誘導制御をつけたミューロケットというのを開発し、ミューロケットで打ち上げた「はやぶさ」は、御存じのように小惑星まで行って帰ってきた。それだけの誘導精度が出る、そういう技術になっています。(中略)ミサイルとロケット、何が違うか。それはペイロードが違う、目的が違うわけですね。ペイロード、載せるものが爆弾か、それとも人工衛星か、宇宙船か。つまり技術は同じなんですけれども、どういうふうに使うか、ここのところが考えなければいけないところだと思います。

 無人機…福島第1原発の事故でまず何が投入されたかというと、アメリカのグローバルホークという無人機。先ほどもちょっと出てきましたが、無人機が飛んできて下を見ていった。その後、原発に入っていったのはパックボットとかウォーリアーという米軍のロボットで、これはアフガニスタンで使われていたロボットです。つまり、過酷な環境で使えるものを軍が開発して、それがああいうような事故が起こったとき、痛ましい事故ではありますが、そういうところですぐ使える、こういうのが軍需品である、こういうことを理解していただきたいと思います。

 ノートパソコン…ここに出ているパソコンはパナソニックのタフブックというパソコンです。別に軍需品としてつくっているわけではないですが、建設現場とか過酷なところで使える頑丈なパソコン、これはミル(MIL)規格品といって軍用規格の環境条件に合ったパソコンなんですけれども、そういうものを売っていたらこういうふうに使う人がいます、という事例であります。

 3Dプリンター…これは民生利用ではもう既にビジネスとして、試作品をつくりましょうとか、あるいは出力サービスをやります、このようなビジネスも始まっているようです。国際宇宙ステーションの中でも実験的にやっていまして、国際宇宙ステーションの中で何か部品が壊れたときに、物を送るのではなく、データを送ればそれと同じものが宇宙ステーションの中でつくれる。それが 修理に使える、このようなことを考えているわけです。それと、軍用の例が最近ニュースに出ていたんですが、この3Dプリンターで砲弾をつくりましたと。ですから、何でもつくれるわけですよね。

 技術の共通性…レベルの低い部品とか材料というのは、火薬であれば砲弾にもなるし産業用の爆薬にもなりますし、チタン合金はジェットエンジンの中に使われて、それは戦闘機にも旅客機にも使われています。複合材である炭素繊維はゴルフのシャフトになっていますけれども、飛行機の翼とか戦闘機の翼にもなっているということで、技術というのは共通です。

 ここでちょっと、余り根本的な話にならないかもしれませんが、軍事研究、軍事とは何かというと、軍事というとすぐ戦争と思うかもしれませんけれども、単に戦闘行為だけではないと思います。軍事の範囲には偵察だとか監視だとか通信だとか、それからもちろん戦闘行為もありますけれども、その他に輸送だとか整備、医療とか食料とか非常に幅広いわけです。幅広いので米国防省が研究資金を投入して、それが一般にも利用されている。軍事研究の範囲は広いですから、軍事研究イコール兵器研究ではないですよと。兵器の研究は、学術の場でやるというふうに私は思いませんけれども、兵器研究ではない軍事研究というのはもうちょっと幅の広いものだ、こういう認識ではないかなと私は思っております。では軍事研究でできた成果を利用するのは問題ないのか。インターネットにしろGPSにしろそうですが、これも逆に言えば、もはや軍事研究だ民生研究だ、そういう境界のないところで、それは日常の技術利用という形の時代に入ってきているのではないかと思います。

 あともう一つお話ししたいのは、今朝の読売新聞にこういうのが出ていました。「AI出遅れ日本の危機」これは理研の革新知能統合研究センター長の方がおっしゃっているんですが、ここの記事の中で「日本は周回遅れです」と言っている。そうすると、いや軍事研究はだめだ、民生研究だけ。でも、AIというのはどう使われるかわからないですよね。そういうことで、今、その境界を軍だ、民だと言っているのではなくて、やはり日本としては総力を挙げて技術開発を進めるべきではないか、このように私は思っております。

 詳しくは議事録にありますが、70ページを超えるものなのでご注意を。

 今夜から雪になりそうです。どうぞご自愛のほどを。

 
【王の目・王の耳】

 余命プロジェクト関係各位、大変お疲れさまです。

 今回の投稿内容は約20年前に出版された本に関連しますが、不可解な中国を理解するには非常に有益な内容があると考えます。個人的に特に気になったのは次の3つのポイントです。

 ・中国は幾重もの二重規範が入り乱れた社会である。
 ・マルクス誤解こそソビエト帝国を崩壊させた。
 ・中国の法律は国際仲裁裁判所の裁定に実効性をもたせるようには出来ていない。
 (出典:「小室直樹の中国原論」)

 (以下引用:左側の数値は原書での記載ページです)

 005 中国の歴史こそ中国理解の宝庫である。鍵、要諦である。

 005 中国に進出した外国企業が苦しみぬき、ついに撤退の止むなきにいたるのは何故か。「契約」「法律」「所有」などのキー概念の意味が、資本主義諸国とあまりにもちがっているために理解を絶するからである。理解の鍵は中国の歴史にある。中国の歴史は、激動の大波を超えて今も生きている。

 005 中国社会の経緯は、タテの共同体 (Gemeinde) たる「宗族」と、ヨコの共同体たる「?」である。これらの共同体の存在によって、中国は幾重もの二重規範が入り乱れた社会になっている。

 013 中国人理解の鍵は「?」にあり。

 019 中国人の基本的行動様式(Ethos)たるや、今も「三国志」の時代も変わっていない。

 022 ?の外では、略奪、強姦、虐殺が、やり放題

 022 倫理、道徳は自分たちの集団の中にだけ存在するものであって、集団の外には存在しない。いや、正確に言うと、倫理、道徳は集団の内と外では、全く違ったものとなる。すなわち、二重規範(double norm)となるのだ。

 046 すなわち、?の規範のほうが、公の法律より重いことを立証(?)した。これが中国。

 048 しかも、?の理解こそ中国理解の急所である。中国人とつきあう秘訣もここにある。

 088 「事情変更の原則」も中国では有効に

 094 このように中国では、個人間結合の鉄則は一般社会のルールよりも優先することがある。このことを、社会学的用語で再表現するとこうなる。中国では、特定集団(?)内の規範が、社会の普遍的規範(?)よりも優先する(こともある)。

 097 信賞必罰でない法は法ではない

 098 中国における法の最終解釈権は役人(行政官僚)にある。

 098 現在、中国の法律は、「輪の中の人」と「輪の外の人」とでは差別して適用される。役人は違った解釈を与える。信賞必罰ではないのである。

 099 ここでは、右に挙げられた「輪」は、二重規範(?)をもつ集団であることに注意しておきたい。

 101 幇は共同体(?)である。共同体の第一の特色は二重規範(?)にある。共同体の中の規範と、外の規範とは全然違う。

 108 中国ビジネスにおける信頼とは、ズバリ、人間と人間とのあいだの信頼なのである。

 111 ?中国人は「大ウソツキ」であると同時に「絶対にウソをつかない」。また、「約束を絶対に守る」とともに「約束は少しも守らない」ことの説明をしてきた。この「矛盾撞着」は、実は矛盾でも何んでもなく、二重規範のなせるわざなのである。

 137 中国理解の鍵は、二重の人間関係である。結合集団の内と外で人間関係が全くちがってしまうのである。

 142 中国には二つのタイプの共同体があり、? そのうちの二つのタイプの一つ、横の共同体たる「幇 (幇会) 」と、? 。ではタテの共同体とは何か。それが「宗族」である。

 142 宗族とは、父と子という関係を基にした父系集団(?) である。

 170 資本主義は、諸共同体が解消し、普遍的規範(?) が成立することによって完成する。いや、逆に資本主義が完成すれば普遍的規範以外の規範 (二重規範) などは消滅し、諸共同体は解消される。

 177 近代資本主義社会においては、「事情変更の原則は認めない」というのが大原則である。

 177 ところが、中国人はこの事情変更をやたらと行う。個人も行うけれども、もっとも頻繁にこの手を使うのが中国政府。

 178 「法律」に対する考え方が日本人と中国人とは根本的にちがう。中国人と欧米人とではもっとちがう。ここに問題の根本がある。

 179 中国における統治機構は、実は二重構造だったという事実。

 179 すなわち、表向きは儒教で国を治めてきたのだけれども、実際は法家の思想で統治してきた。これを「陽儒陰法」と言う。これを「法教」とも呼ぶことにしよう。

 181 儒教の救済とはよい政治を行うことにある。すなわち集団救済。個人救済ではない。

 192 法家の思想の根本は、信賞必罰

 198 さて、前述したように、中国は表向き「儒教」で国を治めてきたと見られているが、実はこのような「法家の思想」で国は治められてきたのである。それはいまも変わりはしない。これが謎の大陸・中国を理解する要諦。

 203 中国人はうわべは儒教だが、実際は権謀術数、冷徹な人間学に長けた法家の思想で国を治め、政治を行なってきた。だから、中国人は政治の名人になった。

 205 根本的に言うと、中国には主権という概念がない。

 206  ?法律とは権力に対する人民の抵抗であるという思想なのだ。人民が主権者から自分達を守る楯、それが法律であると。ところがこのような精神がまったく欠落しているのが法家の思想(法教)、中国の法概念である。? 「法律とは政治権力から国民の権利を守るものである」という考えがまるでない。
 法家の思想において法律とは、統治のための方法なのだから、法律はつまり為政者、権力者のものなのである。

 210 近代(欧米)法の中心にあるのは民法(?-) である。中国法の中心にあるのは刑法(?)である。

 211 中国法が罪刑法定主義(?-)に行きつかなかったことに見える。

 211 罪刑法定主義こそ、「国家権力から人民の権利を守る」ことをテーマとする近代法の終着点。目的合理的な法律の実現である。

 217 資本主義において、主体は、あるモノを「所有」するか「所有しない」かのいずれかの片方であり片方だけである。これが資本主義所有の一つの特長。もう一つの特長は、それは客体に対する全包括的、絶対的支配権であることである。

 218 主権が絶対であるとは、財産や生命や権力を全く自由に使用し、自由に処分できて何者の拘束を受けない支配権であるという意味である。

 224 日本のような前近代(前資本主義)的社会においては、「占有」と「所有」の区別がつかないのである。

 231 所有概念の欠如が招く「役得」の発想

 231 しかし、右の「占有の所有への転化」は、構造的汚職の温床である。

 232 所有は占有と結びついているために、占有は所有に転化しかねない。現に支配しているモノは何となく自分のもののような気になってしまう。その一つが役得。

 233 株式会社の所有権は株主であり、株主だけである。資本主義であればきまり切っている。株主のほかに株式会社の所有権はあり得ない。

 248 では「韓非子」を読むときのポイントは何か。法は王(政治権力) の上にある、という考え方がないことである。法は王のためにある。したがって役人(権力者)は、これをどう解釈してもよろしい。この考え方が根底にある。だから、表面上は欧米の欧米資本主義の法律のように見えたとしても、中国の法律は、役人の勝手な解釈を許す。法教以来、これが中国なのだ。

 248 中国の法律は、権力に対し人民の権利を守るものではないのだから?

 249 中国最高の聖典、それが「歴史」

 253 その報いとして歴史に名を残す。これが個人の救済 (salvation) である。

 282 革命(易姓革命) によって王朝が倒れても、その後には全く同型(?-) な王朝が成立して、全く同じような政治を行う。

 282 中国の革命は社会革命ではない。社会構造も社会組織も規範も変化しない。法律も本質的には変化しない。制度改革ですらない。統治機構も階層構成もほとんど変わらない。?革命によって替わるのは天子の姓である。

 287 共産革命にもかかわらず、歴史の法則は不変

 288 われわれは、中国史の中に中国の本質を発見し得るのである。中国史は如何なる調査よりも有効に、中国人の行動様式(エトス)を教えてくれるのである。? 社会法則は、人間の意志や意識とは関係なく独立に動く。

 288 スターリンも、経済と社会は独裁官の命令で彼の意志どおりに動くのだと盲信した。

 289 このマルクス誤解こそがソビエト帝国を崩壊させた。

 289 社会は人間から形成されるが、社会法則は人間の意志や意識とは関係なく独立に動く。この人間疎外を理解することこそ、社会理解の急所である。

 359 人民を保護しない中国の法律

 361 ? 中国の法律は資本主義のトラブルを解決するように作られていないのである。

 361 「交渉は平行線のまま、ついにこの対立は国際仲裁裁判所の裁定に委ねられた。ストックホルムの国際仲裁裁判所の裁定は。 中国側に契約違反があり、?-投資した金額の損害賠償に加え、?- 逸失利益を合わせた?を支払うことが中国側に命じられた。裁判に圧勝したからとて無駄。中国の法律は、国際仲裁裁判所の裁定に実効性をもたせるようには出来ていないのであった。

 363 中国の法律は、未だ、人民を保護する役目をはたしていないのである。

 363 法律とは、主権(国家権力)から人民の権利を守るものである、ということがまだ実現されていない、いや、その萌芽さえ見られないのではないか。

 363 中国の市場経済への道、日暮れて道遠しと言うべきか。


とろりん。

 余命様、余命スタッフ様、いつもありがとうございます。

 偏向報道が極まっており怒りが収まりませんが、以前、どこかの講演会で有田芳生議員(だと思います)が「テレビ番組には必ず台本があり、ドラマだけでなくバラエティであってもニュースであってもその台本の通りに番組が進められる」言っておりました。

 よくテレビ局への抗議をしているのは見かけます。

 しかし、以前の余命ブログで「大きな敵でも時間をかければ必ず倒す方法が見つかる」と言っておられましたが、抗議はテレビ局云々よりも放送作家への方が距離は近いのかと存じます。放送作家など何人もいるでしょうがそちらの方が効果があるのではないでしょうか?

 追記

 ここまで来て、マスゴミ云々の時期ではないかも知れませんが、ご検討を宜しくお願い申し上げます。


.....メディアの告訴は8月頃になるだろう。産経新聞を除く全メディアが対象となる。NHKも例外ではない。

投稿日: 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2356 ら神奈川弁護士会B 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2356 ら神奈川弁護士会B 2018年2月2日

ソース:2356 ら神奈川弁護士会B 2018年2月2日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/02/2356-%e3%82%89%e7%a5%9e%e5%a5%88%e5%b7%9d%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a2/

2356 ら神奈川弁護士会B
 
 いわゆる共謀罪新法案の国会提出に反対する会長声明
 2016年12月09日更新

 1. 政府は,過去3回に渡り,共謀罪規定を含む法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正案。以下,「旧法案」という。)を国会に提出したが,市民の強い反対で廃案となった。共謀罪は,犯罪の実行の着手に至らない「共謀」それ自体を処罰の対象とするもので,「行為」を処罰するわが国の刑法の基本原則に反するものであり,その構成要件も不明瞭であって,罪刑法定主義にも反すると言わざるを得ないものであった。

 今般,報道機関は,政府が,テロ対策の一環として,旧法案を修正した法案(以下,「新法案」という。)をまとめ,第192回臨時国会への提出を検討していると報じた。その後2016年9月16日,政府は臨時国会への法案の提出をひとまず断念したと報じられた。

 しかし,政府は,来年の通常国会へこの新法案を提出する可能性があり,予断を許さない状況である。

 2. 報道によれば,新法案は,「組織犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」を新設し,その略称を「テロ等組織犯罪準備罪」とした。旧法案において,適用対象を単に「団体」としていたものを,新法案では「組織的犯罪集団」とした上で,その定義について,「目的が長期4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」とした。さらに,犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰することとし,その処罰に当たっては,計画をした誰かが,「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件を付した。

 政府は,これらの変更点につき旧法案に対する批判に配慮したものであるとしている。

 しかし,その内容は,以下に指摘するとおり,旧法案の有する危険性と何ら変わるところがない。

 i. 新法案の「計画」とは,旧法案の「共謀」の言換えに過ぎない。処罰要件として加わった「準備行為」については,「その他の準備行為」という形で記載され,資金の取得等は例示列挙に過ぎないことになり,予備罪における予備行為のようにそれ自体が一定の危険性を備えている必要もない。「準備行為」の概念は,あいまいかつ広範であり,これにより処罰対象が限定されているとは到底言えず,罪刑法定主義の観点からも問題がある。

 ii. 新法案では,適用対象が「組織的犯罪集団」とされ,その定義は,「目的が長期4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」とされているが,法定刑長期4年以上の懲役・禁錮の罪の数は,旧法案でも問題となったとおり,600を超える。「組織的犯罪集団」に関する捜査機関による法律の解釈によっては,摘発される対象が拡大する危険性が高い。

 以上のように,新法案は,旧法案の名称と要件を変えたという体裁を取りながら,その危険性は,これまで廃案となった旧法案と何ら変わるところがない。

 3. 加えて,今般,通信傍受の対象犯罪の拡大等が刑事訴訟法改正に盛り込まれたが,これらと新法案の「テロ等組織犯罪準備罪」とが結びつくと,テロ対策の名の下に市民の会話が監視・盗聴され,その市民の会話が同罪により摘発の対象となる可能性があり,憲法の保障する思想・良心の自由,表現の自由,通信の秘密及びプライバシーなどを侵害し,深刻な萎縮効果をもたらすおそれがある。

 4. 新法案は,旧法案と同様,刑法の基本原則を否定するものであり,罪刑法定主義にも反するものであるから,当会は新法案の国会への提出に反対する。

 2016(平成28)年12月8日
 神奈川県弁護士会 会長 三浦 修

 死刑執行に抗議する会長声明
 2016年12月09日更新

 本年11月11日,福岡拘置所において,死刑確定者1名に対する死刑が執行された。

 死刑制度は,国家が個人のかけがえのない生命を奪う制度であり,罪を犯した人の更生と社会復帰の可能性を完全に奪い,社会から永久に排除する刑罰であって,誤判によるえん罪の場合には,取り返しのつかない結果を招く危険を内包する制度である。

 かかる死刑制度の問題点に鑑み,国連総会は,2014年12月18日,全ての死刑存置国に対し,「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議を過去最多の117ヶ国の賛成で採決した。このように,死刑制度の廃止はいまや国際的な潮流である。

 さらに,わが国は,これまで,国際人権(自由権)規約委員会や国連拷問禁止委員会等の国際機関から,死刑制度に関する情報の公開が不十分であること,死刑判決の全員一致制や死刑判決に対する自動上訴制等の慎重な司法手続きが保障されていないこと,死刑に直面している人に十分な弁護権,防御権が保障されていないことなどについて,幾度となく改善を勧告されてきたが,今日まで,それらの勧告に対する見るべき改善はなされていない。

 日本弁護士連合会は,本年10月7日,第59回人権擁護大会において,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択しているが,同宣言を契機として,いままさに,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革に関する議論を始めることが必要である。

 これまで,当会においても,死刑制度についての国民的な議論が尽くされないまま死刑が執行されることについて,再三の抗議声明を発出してきたところであるが,当会は,改めて,今回の死刑執行に抗議し,死刑の執行を直ちに停止して,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革に関する国民的議論を開始するよう求める。

 2016年(平成28年)12月8日
 神奈川県弁護士会 会長 三浦 修

 当会会員の刑事事件判決確定による弁護士資格喪失に関する会長談話
 2016年07月29日更新

 平成28年7月14日付け会長談話にて、当会の楠元和貴会員の業務上横領事件について控訴審判決が下されたことを報告申し上げましたが、本日、前記判決が確定し、同会員に対する懲役4年6月の実刑判決が確定したとの報を受けました。同会員は、前記判決の確定により、弁護士法第17条第1号、同法第7条第1号により、弁護士資格を喪失することとなりましたので、その旨報告申し上げます。

 また、同会員に対しましては、平成27年1月30日付け会長談話にて報告申し上げましたとおり、当会において懲戒手続きが進められていたところですが、同会員が弁護士資格を喪失したことに伴い、懲戒手続きは終了することとなりました。

 当会としましては、前記平成28年7月14日付け会長談話でも申し上げましたように、今回の事件を重く受け止め、弁護士及び弁護士会に対する市民の皆様の信頼を回復するため、会員不祥事の再発防止に向け、引き続き、真摯に取り組んで参ります。

 2016(平成28)年7月29日
 神奈川県弁護士会    会長 三浦  修

 安全保障関連法の廃止を求め、立憲主義の回復をめざす決議
 2016年05月25日更新

 昨年9月19日に集団的自衛権の行使等を容認する平和安全法制整備法および国際平和支援法(以下あわせて「安全保障関連法」という)が成立し、本年3月29日に施行された。

 憲法9条は、1項において戦争放棄を、2項において戦力の不保持及び交戦権の否認を定め、憲法前文は平和的生存権を保障しており、日本国憲法は徹底した恒久平和主義に立っている。安全保障関連法は、集団的自衛権の行使を認め、海外での武力行使を容認するものである。これは、武力行使が許されるのは、わが国に対して直接武力攻撃が発生し、それを排除するために他に取り得る手段がなく、攻撃を排除するための必要最小限度の実力行使をする場合に限られるとする、これまでの長年の政府の憲法解釈に反するものであり、明らかに憲法9条に違反する。

 安全保障関連法は、憲法に縛られるはずの国会が、憲法改正手続によらずに憲法を改変したものであって、憲法が国の最高法規であり、憲法は、個人の人権を保障するために国家権力を制限することに意義があるという立憲主義に違反する。

 このように、私たちの国は、いま、憲法が無視され、立憲主義が破壊されるという危機的な状況にある。

 現在の私たちの国における政府を中心とする憲法改正に関する議論状況をみるに、個人の人権保障のために国家があるという立憲主義の考え方とは逆に、国家が国民に憲法でもって国のありようを示し、国民にはその憲法を尊重する義務があるという内容になっていると解されるものもある。さらに、誰もが生まれながらに等しく基本的人権を持つという、立憲主義を支える普遍的な思想である天賦人権説を疑問視する考え方や、人権の調整原理とされてきた「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変え、人権は平穏な社会生活のためには制限されうる、とする考え方もある。

 しかし、これらの考え方は、立憲主義の考え方を否定し、人権保障をないがしろにするものであって、法律家として、到底受け入れることはできず、このような憲法改正を巡る動向には強い危機感を抱かざるをえない。

 立憲主義は、まさに人類の英知の到達点であり、私たちの人権保障の砦である。
 
 私たちは、ここに、改めて安全保障関連法の廃止を求めるとともに、立憲主義の理念を否定し、後退させるようないかなる試みに対しても断固反対し、立憲主義の回復をめざすことを決意するものである。

 2016(平成28)年5月24日
 平成28年度神奈川県弁護士会通常総会

 憲法記念日会長談話
 2016年05月02日更新

 今日は69回目の憲法記念日です。今年の参議院選挙から18歳以上の若い人たちにも新たに選挙権が認められます。憲法記念日にあたり、とりわけ初めて選挙にのぞむ若い人たちとともに、憲法とは何かということ、そして、今日の憲法をめぐる状況について考えてみたいと思います。

 憲法は私たちの人権を守るためのきまりです。私たちは、誰もが、生まれながらに侵すことのできない権利を持っています。それを保障するために私たちは憲法を定め、国家の権力を制限することにしました。この考え方を立憲主義といいます。この考えに基づき、憲法99条は、内閣総理大臣や国会議員や公務員などに憲法尊重擁護義務を定めています。

 憲法には、表現の自由、信教の自由、居住・移転の自由、生存権、教育を受ける権利、労働者の権利などさまざまな人権が保障されています。国家は、これらの権利を侵害してはいけません、と定めているのが憲法なのです。

 憲法は、戦争の放棄も定めています。戦力は保持しないこと、戦争する国に認められるさまざまな権利(交戦権)を認めないこと、も定められています。憲法前文では、平和的生存権も保障されています。

 国民主権も憲法の基本原理のひとつです。私たちが主権者であり、国のあり方や国の大事なことを決める権利を持っているのは私たち自身であるという意味です。

 これらの基本的人権の尊重、恒久平和主義、国民主権が、日本国憲法の3つの基本原理です。

 憲法は、国家権力から私たちの権利を守る大切な砦であり拠り所です。憲法がなければ、国家権力は好き勝手に振る舞って、私たちの人権や平和はたちまち危ういものになってしまいます。

 ところで、いま、日本国憲法はかつてない危機的な状況にあります。

 昨年9月19日に集団的自衛権の行使等を容認するいわゆる安全保障関連法が成立しましたが、集団的自衛権の行使を容認することは、憲法9条に違反します。そして、憲法に違反する法律を制定することは、立憲主義にも違反します。神奈川県弁護士会は、このことに強い危機感をおぼえ、これまでに何度も抗議し、反対してきましたが、安全保障関連法は、今年3月29日に施行され、今日に至っています。

 神奈川県弁護士会は、憲法記念日を迎えるにあたって、あらためて、違憲の立法に強く抗議するとともに、法律家として、このような状況を決して許さず、今後も、違憲の法律の廃止および立憲主義の回復に向けて、最大限の努力をしていきたいと思います。

 2016(平成28)年5月3日
 神奈川県弁護士会    会長 三浦  修

 死刑執行に抗議する会長声明
 2016年04月13日更新

 本年3月25日,大阪拘置所及び福岡拘置所において死刑確定者各1名に対する死刑が執行された。

 政府は,世論調査で国民の約8割が死刑制度を支持していることなどを理由に,死刑執行を続けている。

 しかし,死刑制度の実態については国民にほとんど情報が与えられていない上,死刑に関する政府の世論調査に対しては,選択肢の設定が適切でなく,調査結果の評価も恣意的で粗雑であるとの指摘もなされている。より詳細な調査・分析では,死刑廃止について国民の合意が得られる可能性も示唆されており,死刑執行を停止して,国家が人の生命を奪うことについて,思考停止に陥ることなく,まず全社会的な議論を始めることが何より重要であるといわなければならない。

 日本弁護士連合会は,昨年12月9日,岩城光英法務大臣に対し,「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し,死刑の執行を停止するとともに,死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して,死刑制度とその運用に関する情報を公開し,死刑制度に関する世界の情勢について調査の上,調査結果と国民的議論に基づき,今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと,そのような議論が尽くされるまでの間,全ての死刑の執行を停止することなどを求めていた。にもかかわらず,漫然と死刑執行が繰り返される現状は,極めて遺憾であるというほかない。

 国連総会は,2014年12月18日,全ての死刑存置国に対し,「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議を過去最多の117か国の賛成で採択している。また,我が国に対しては,国連拷問禁止委員会や国連人権理事会,国際人権(自由権)規約委員会から,死刑廃止に向けた様々な勧告がなされており,2014年7月23日にも,国際人権(自由権)規約委員会が,日本政府に対し,死刑廃止を十分に考慮することなどを勧告している。

 当会は,改めて,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑の執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開した上で,死刑制度の廃止についての全社会的議論を開始するよう重ねて強く求めるものである。

 2016年(平成28年)4月12日
 神奈川県弁護士会 会長 三浦 修

 会長声明・決議・意見書(2015年度)
 ttp://www.kanaben.or.jp/profile/gaiyou/statement/2015/index.html

 安全保障関連法の施行に抗議するとともにその廃止を求める会長談話
 2016年03月31日更新

 本日をもって,いわゆる安全保障関連法が施行されました。

 私は,これらの法案が衆議院を通過したときにも,参議院で採決が強行され法律として成立したときにも,「暴挙」という強い言葉で非難いたしました。その気持ちは,本日も全く同じです。

 安全保障関連法の内容は,日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず,他国に対する武力を認める集団的自衛権の行使を認めたことに加え,後方支援や武器使用の拡大等により自衛隊が海外において武力の行使に至る危険性を高めるものとなっています。これらの点で,安保法は,憲法9条に違反しており,憲法に拘束される政府が閣議によりこの法案を決定したこと,同じく憲法に拘束される国会議員により構成された国会が立法化したことはいずれも立憲主義に根本から違反します。

 安全保障関連法が成立後も,憲法学者を含め多くの人びとが,法律の廃止を訴えました。報道によれば520万筆以上の署名を集めた運動もあるそうです。日本弁護士連合会も昨年12月25日から各地の弁護士会を通じて,憲法違反の安保法の適用・運用に反対し,その廃止を強く求める署名活動を始め,現在も署名活動を続けています。

 本日,安全保障関連法が施行に至ったこと,それを阻止出来なかったことは極めて残念なことです。

 しかし,私たちは,これまでの間、当会が多くの平和を愛する市民とともに活動を続けて来たことを力に、今後は、本法律の廃止に向けて、あらゆる取り組みを強化し続けて行くことを表明します。

 2016(平成28)年3月29日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 ヘイトスピーチを許さず、差別禁止基本法の制定を求める会長声明
 2016年03月11日更新

 近年、外国籍住民の集住地区を含む地域の繁華街や観光客が多数訪れる場所などで、しばしば、人種的憎悪や人種的差別を扇動又は助長する言動(以下「ヘイトスピーチ」という)が行われている。

 神奈川県川崎市においても、昨年11月8日に「反日汚鮮の酷い川崎発の【日本浄化デモ】を行います」と告知され、集合場所の公園で「川崎に住むごみ、ウジ虫、ダニを駆除するデモを行うことになりました」と宣言されたデモが行われている。2016年1月31日にも同種デモが繰り返され、その回数は2013年5月以来12回に及んでいる。

 ヘイトスピーチは、対象とされた外国籍住民の個人の尊厳(憲法13条)や法の下の平等(憲法14条)などの基本的人権を著しく侵害するばかりか、社会に誤った認識と偏見を広め、憎悪や差別や暴力などを助長するものであって、人種差別撤廃条約はこれを明確に禁じている。

 この点、国連自由権規約委員会は、日本政府に対し、2014年7月24日に採択された総括所見において、差別、敵意又は暴力の煽動となる、人種的優越又は憎悪を唱道する全ての宣伝を禁止するべきと述べ、人種差別的な攻撃を防止し、また、加害者を徹底的に捜査・訴追・処罰するため、全ての必要な措置を講ずるよう勧告し、さらに、国連人種差別撤廃条約委員会は2014年8月29日に採択された総括所見において、人種差別を禁止する包括的な特別法を制定することなどを勧告した。

 もとより、表現の自由の重要性は言うまでもないが、他者の人権を侵害し、差別と憎悪を扇動又は助長する言論は、表現の自由の濫用であって、許されないことは当然である。

 京都朝鮮学校襲撃事件について、京都地裁は、人種差別撤廃条約上の「人種差別」に当たるとして、高額の損害賠償及び同校付近での街宣行為の差し止めを認め、大阪高裁も、最高裁もこの判断を維持した。また、2015年12月には法務省人権擁護局が勧告を発し、2016年1月には大阪市がヘイトスピーチの対処に関する条例を制定した。

 神奈川県においては、外国籍県民の県政参加を促進するために外国籍県民かながわ会議を設置するなど多文化共生に取り組んでおり、また、神奈川県川崎市においては、外国籍住民との共生を求めて長きにわたり学校教育、社会教育の場で研鑽が積まれ、外国籍住民の公務就任についての検討と実践も積み重ねてきた。

 私たちは、基本的人権の擁護と社会的正義の実現を使命とする弁護士として、ここに、ヘイトスピーチを決して許さないことを明らかにするとともに、国に対して、人種的差別禁止の理念並びに国及び地方自治体が人種的差別撤廃に向けた施策を実施するに当たっての基本的枠組みを定める基本法を制定することを求める。

 2016年(平成28年)3月10日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 「国家緊急権」の創設に反対する会長声明
 2016年03月11日更新

 自由民主党は、今年夏の参院選の選挙公約に憲法改正を掲げることを明言した。同党は、東日本大震災時の政府の対応が不十分だったことなどを理由として、憲法を改正し、「国家緊急権」を創設しようとしており、2012年4月に公表された自民党憲法改正草案には、緊急事態の宣言として「国家緊急権」が明記されている。

 国家緊急権とは、戦争や内乱、大災害などの非常事態において、国家がその存立を維持するために、憲法の定める人権保障と権力分立を一時的に停止するという非常措置をとる権限をいうが、日本国憲法においては、大日本帝国憲法下、「国家緊急権」が濫用され、人権が不当に侵害された過去への反省から、あえて「国家緊急権」の規定を設けていない。

 そもそも、フランス人権宣言で「権利の保障と権力の分立が定められていない社会は憲法を持つものではない」と定められているように、権利の保障と権力の分立は、立憲主義の根幹をなす。これらを一時的にとはいえ停止する「国家緊急権」は常に立憲的な憲法秩序を破壊する危険性をはらんでいる。

 実際、自民党憲法改正草案に定められている「国家緊急権」については以下のような問題がある。例えば、緊急事態の宣言を発することができるのは、「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他法律で定める緊急事態」とされており、その範囲は極めて広く、緊急事態の期間に制限もない。また、内閣は法律と同等の効力を有する政令を制定でき、これには事後に国会の承認を必要とするが、承認を得られない場合に効力を失う旨の規定がない。さらに政令で規定できる対象に限定がなく、あらゆる人権を制限することも可能である。

 また、「国家緊急権」の創設を主張する理由として災害対策が強調されているが、日本の災害法制はすでに十分整備されている。たとえば、大規模災害が発生し国に重要な影響を及ぼすような場合、内閣総理大臣は災害緊急事態を布告し、内閣は「緊急政令」を制定し、生活必需品等の授受の制限、価格統制、債務の支払いの延期等を決定できる(災害対策基本法)。また、内閣総理大臣は、地方公共団体の長等に必要な指示もでき(大規模地震対策特別措置法)、防衛大臣も災害に際して自衛隊の部隊等を派遣することもできる(自衛隊法)。さらに都道府県知事の強制権(災害救助法)や市町村長の強制権(災害対策基本法)など、私人の権利を制限する権限も認められている。災害対策ということでは、諸外国に見られるような「国家緊急権」の内容は、わが国では法律で規定されており、対応が可能である。東日本大震災において、政府の初動対応が不十分であったと評価されているが、それは、法制度に問題があったからではなく、事前の対策が不足し、法制度を十分に活用できなかったためである。

 したがって、災害対策を理由とする「国家緊急権」の創設には理由がなく、むしろ、非常事態という口実で濫用される恐れが強く、回復しがたい重大な人権侵害の可能性も高いことから、憲法改正により、「国家緊急権」を創設することに強く反対する。

 2016年(平成28年)3月10日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
 2016年01月20日更新

 当会では,日弁連とともに司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当)の創設に向けて活動を続けているところであるが,同活動に対して多くの,そして全国の国会議員から賛同のメッセージが寄せられている。そして,先日,この賛同メッセージの総数が,衆参両院の議員数の合計である717名の過半数である359通を超えた。まずはメッセージをお寄せいただいた国会議員の皆様に感謝を申し上げる。
 
 こうした賛同の声が増えているということは司法修習生への経済的支援の必要性に対する理解が広まってきているものということができる。

 そもそも,司法制度は,社会に法の支配を行き渡らせ,市民の権利を実現するための社会的インフラであることから,国はかかる制度を担う法曹になろうとする司法修習生を公費をもって養成するべきである。こうした理念の下,わが国では,終戦直後から司法修習生に対し給与が支払われてきた(給費制)。しかし,2011年11月に給費制は廃止され,修習期間中に費用が必要な修習生に対しては,修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された。今日の修習生の中には,この修習資金の負債に加え,大学や法科大学院における奨学金の債務を負っている者も多くいる。日弁連が一昨年8月に実施したアンケート調査結果では,奨学金・貸与金の債務総額が400万円以上の65期・66期会員が約46%にものぼるなど,法曹としてのスタート時点で極めて多額の債務を抱える者も少なくない。

 法曹を目指す者は,年々減少の一途をたどっており,今後の法曹の質について懸念が生じているが,上記のような重い経済的負担が法曹志望者激減の一因となっていることが指摘されているところである。実際,経済的理由から司法試験に合格しながら司法修習生になることをあきらめた例などが報告されており,重い経済的負担が修習生さらには法曹を志望する者に躊躇を覚えさせる原因となっていることは明らかであろう。

 こうした事態を重く受け止め,法曹に広く有為の人材を募り,法曹志望者が経済的理由によって法曹への道を断念する事態が生ずることのないよう,また,司法修習生が安心して修習に専念できる環境を整えるため,司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当)の創設が早急に実施されるべきである。

 昨年6月30日,政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」には,「法務省は,最高裁判所等との連携・協力の下,司法修習の実態,司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況,司法制度 全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ,司法修習生に対する経済的支援のあり方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。これは,政府においても,司法修習生に対する経済的支援の充実を図る必要性を認めたものと評価することができる。法務省,最高裁判所等の関係各機関は,有為な人材がただ経済的な理由によって法曹をあきらめることのない,希望の持てる制度とするという観点から,司法修習生に対する給付型の経済的支援の実現について,直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべきである。
 
 当会は,司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当)の創設について,かくも多数の国会議員が賛同していること,また,政府においても上記のような決定がなされていることを踏まえ,国会に対し,給付型の経済支援(修習手当)の創設を内容とする裁判所法の改正を求めるものである。

 2016(平成28)年1月20日
 横浜弁護士会      会長 竹森 裕子

 夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所判決を受けて家族法における差別的規定の改正を求める会長談話
 2015年12月17日更新

 本日、最高裁判所大法廷(寺田逸郎裁判長)は、女性のみに6か月の再婚禁止期間を定める民法第733条について、立法不作為の違法は認めないものの「100日を超える制限は過剰な制約」として、同条は憲法に違反していると判示した。これに対し、夫婦同氏を強制する民法第750条については、同法廷は、「通称使用が認められている」等として、同条は憲法に違反しておらず、それを放置してきた立法不作為は違法と評価されるには至っていないと判示した。

 民法第733条にかかる判断は、当会のこれまでの主張(2010年3月17日付け会長声明)と基本的には合致するものであり、妥当なものと高く評価する。しかし、民法第750条にかかる判断は、誤ったものであり、不当である。

 民法第750条が定める夫婦同氏強制は、憲法第13条が保障する氏名権、同第13条及び同第24条第2項が保障する個人の尊厳、同第24条第1項及び同第13条が保障する婚姻の自由、同第14条1項及び同第24条第2項が保障する平等権,さらには,女性差別撤廃条約第16条第1項(b)の規定が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)の規定が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」に違反する。

 この点,法制審議会は、すでに1996年に「民法の一部を改正する法律案要綱」を総会で決定し、女性の再婚禁止期間の短縮及び選択的夫婦別氏制度の導入を答申した。2008年,国連の自由権規約委員会は民法第733条について、また、2009年には,女性差別撤廃委員会が民法第750条について、それぞれ日本に対し改正するよう勧告を行ってきた。

 しかし,法制審議会の答申から19年、女性差別撤廃条約の批准から30年が経つにもかかわらず、国会は、上記各規定の改正を放置してきたものである。

 当会は、国に対し、今回の最高裁判所判決を受けて,民法第733条を速やかに改正することを強く求めるとともに,これらの規定とともに法制審議会にて改正が答申され国連の各委員会から勧告がなされている民法第750条についてもあわせて改正することを求める。

 2015(平成27)年12月16日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 安全保障関連法案の採決強行に抗議する会長談話
 2015年09月24日更新

 本日未明、参議院本会議で、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案の採決が強行され、本法律が成立しました。

 私は、これらの法案が衆議院を通過したとき、このことを「暴挙」と呼びましたが、今回再度の「暴挙」に強い怒りを覚えます。

 これまで、当会でも、再三、これらの法案の違憲性について訴え、多くの市民とともに、集会やパレード、シンポジウムや街頭宣伝活動などを繰り返してきました。また、元最高裁判所判事や歴代の内閣法制局長官などを始めとする多くの法曹関係者や学者、研究者らも、憲法違反であるとの声を挙げ、廃案を求めてきました。学生や子どもを持つ母親らも、全国津々浦々でさまざまな形で反対の声を挙げています。各種の世論調査でも、今国会での法案成立に反対する人が一貫して多数を占めている状況です。

 これらの声を無視し、法案を成立させたことは、憲法の恒久平和主義に反するのみならず、立憲民主主義にも違反し、戦後民主主義社会における類を見ない「暴挙」であって、到底許されることではありません。
また、9月16日には横浜市で地方公聴会が開かれましたが、そこでの意見や議論が全く審議に反映されることもなく、ただちに採決に踏み切ったことも当会として看過することはできません。

 今般法案の採決にあたり改めて強い抗議の意思を表明します。

 憲法違反の法律は、いうまでもなく、無効です。

 私たちはこれらの法律が成立したことについて、黙っているわけにはいきません。

 これまでの間、当会が多くの平和を愛する市民とともに活動を続けて来たことを力に、今後は、本法律の廃止に向けて、あらゆる取り組みを強化し続けて行くことを表明します。

 2015(平成27)年9月19日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 安全保障関連法案の衆議院通過に抗議する会長談話
 2015年07月16日更新

 本日午後、衆議院本会議で、安全保障関連法案が、与党の賛成多数で可決され、衆議院を通過しました。私は、これまで繰り返して集団的自衛権行使容認に反対してきた横浜弁護士会の会長として、この「暴挙」を断じて許すことは出来ません。

 今回通過した武力攻撃事態法、自衛隊法など既存10法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」及び新設の「国際平和支援法案」は、集団的自衛権の行使が可能であるとの先の解釈改憲に基づき、それをさらに発展、具体化しようとするものです。そこには、集団的自衛権行使の歯止めがありません。また、後方支援活動の名の下に、地球上どこへでも他国の戦争に協力するため自衛隊の派遣が可能になっています。PKO法を改正し、国連決議がなくても、要請があれば治安維持活動や駆けつけ警護活動を行うことを可能にしています。さらには自衛隊法改正案では、わが国の防衛に資する活動に現に従事している軍隊との連携を平時から強化し、その軍隊の防護のためには自衛隊に武器使用を認めようとしています。

 衆議院憲法審査会に与野党から参考人として招じられた3名の憲法学者がそろって「安全保障関連法案は憲法違反」と断じ、大多数の憲法学者も違憲と指摘しているとおり、憲法9条によって集団的自衛権の行使は禁じられているというのが、国会の長年の審議の中で積み重ねられ、歴代内閣で確立されてきた公権的解釈です。それを時の政府が閣議決定だけで変更し、その変更に基づく法案を与党の多数だけで押しきるということは、立憲主義に反し許されるものではありません。衆議院における政府説明では、集団的自衛権行使の基準も限界も立法事実も全くあいまいなままでしたし、多くの論点も議論がつくされないままです。国民の声を代表すべき国会として役割が果たされないまま、多数の国民が政府の説明は不十分だと感じています。安倍首相自身、「国民の理解が進んでいる状況ではない」と認めているのです。こうした状況の中で、与党の多数で法案の衆議院通過を図った今回の政府与党の態度を、私は「暴挙」と呼ばざるを得ないと思います。

 個人的な経験になりますが、私の母は、第2次世界大戦中、広島市中心部の学校に通っていました。被爆を免れたのは全くの偶然です。私にとって、弁護士を志した原点は平和への思いです。戦争は最大の基本的人権侵害であることは、歴史が証明しています。私は今回の安全保障関連法案の衆議院通過に強く抗議します。

 あわせて、参議院が良識の府としての存在意義を発揮してこれらの法案を否決することを求めるとともに、衆議院による再可決を許さないために、平和を愛し安全保障関連法案に反対するすべての人びとと幅広く手を携えて行きたいと思っています。

 以上

 2015(平成27)年7月16日
 横浜弁護士会      会長 竹森 裕子

 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆるカジノ法案)の再度の廃案を求める会長声明
 2015年07月09日更新

 1. 平成27年4月28日,超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連,通称・カジノ議連)に所属する議員によって,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆるカジノ法案)が,第189回通常国会に提出された。同法案は,現行刑法上,賭博罪として禁止されているカジノを合法化し,民間賭博を解禁しようとするもので,先の国会で廃案となった法案にわずかな修正を加え,議員立法として再提出されたものである。

 2. 当会は,平成26年10月9日付の意見書にて,第1にわが国には既に成人人口の約4.8パーセントもの病的ギャンブラーがおり,米国・香港・韓国と比較しても著しく高い水準となっているとの調査報告がある中,他のギャンブルと比較してもギャンブル依存に陥る危険が高いと言われているスロットマシーンやテーブルゲームを解禁しようとするものであること,第2に仮にカジノ営業を行う事業主体から暴力団等の反社会勢力を排除するための制度を整備したとしても,暴力団等による事業主体に対する出資や従業員の送り込み,事業主体からの委託先・下請への参入等による間接的な資金獲得は可能であり,カジノが暴力団等の資金源となるおそれがあること,第3に同法案の目的である経済効果についても,短期間のプラス面のみが喧伝され,病的ギャンブラーが生み出されること等による生産性の喪失や社会コストの増加については何ら検討されていないことを理由に,先の国会に提出されたカジノ法案の廃案を求めたところである。

 3. しかるに,先の国会で廃案になって以降,カジノ法案で解禁しようとしているスロットマシーンやテーブルゲームの危険性に関する調査・研究や,病的ギャンブラーが生み出されること等による社会的コストの検証は,全く行われていない。このような調査・研究や検証等を行わず,民間企業による賭博事業の合法化というきわめて重要な事柄を安易に立法してしまうことは,ギャンブル依存の問題をさらに深刻化させ,社会的コストを増大させるほか,暴力団等の介入や治安の悪化等を招きかねず,危険であると言わざるを得ない。一旦,カジノが合法化され,民間業者が参入すれば,仮に赤字になった場合,次々に射幸性の高いギャンブルを導入して売上を確保することになりかねず,さらに深刻なギャンブル依存症が蔓延するという負の循環にも陥りかねない。

 4. なお,今回の法案では,日本に居住する者の入場について,悪影響防止の観点から必要な措置を講ずるとの項目が付け加えられているが,暴力団等の反社会的勢力を助長しかねない等の問題点は何ら解決されておらず,また,外国人旅客相手であれば利益のために悪影響が及んでよいとも考えられない。現実的に,日本に居住する者のみ入場規制を行うことが可能かどうかも,極めて疑問である。加えて,仮にこのような入場規制を行ったとしても,多数の公営ギャンブルが経営上の理由で廃止されている中,カジノの経営が困難になれば,カジノを存続させるため入場規制が緩和・廃止され,暴力団等の反社会的勢力が直接的・間接的に関与してくるであろうことは容易に予想できることである。

 5. 現在,行うべきことは,病的ギャンブラーやギャンブル依存からの脱却に関する調査・研究や,カジノを導入した場合,暴力団等の反社会勢力の資金源となることやカジノ事業者がマネー・ロンダリングに利用される危険性がある等のマイナス面の検証であり,まず立法ありきという姿勢はきわめて危険である。

 よって,当会は,今国会に提出されたカジノ法案を再度廃案にするよう,強く求めるものである。

 2015(平成27)年7月8日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 死刑執行に抗議する会長声明
 2015年07月09日更新

 本年6月25日,名古屋拘置所において死刑確定者1名に対する死刑が執行された。

 今回,死刑を執行された死刑確定者は,いわゆる闇サイト殺人事件と呼ばれる事件の加害者であるが,同事件は,第一審の死刑判決後,自ら控訴を取り下げ,その後,弁護人が取下げ時の精神状態に問題があったとして取下げの効力を裁判で争ったという事件であり,さらに,3名の加害者のうち第一審で死刑を言い渡された1名の共犯者は控訴審で無期懲役に減刑され,それが確定した。本件死刑確定者も,もし控訴審で十分な審理がなされていれば,無期懲役に減刑された可能性もあった。また,再審請求の準備も開始されており,被害者が1名であったことからしても,死刑について極めて慎重な判断が求められる事案であったというほかない。多数の死刑確定者の中からどのような経緯で本件死刑確定者を選んで死刑執行したのか,その理由は一切明らかにされていない。

 死刑は,人の生命を奪うという究極的な国家権力の行使であり,それを許すか否かは,国民が十分な情報と知識を有する状況で,真剣な議論を尽くした上で選択すべき事柄である。 取り分け,昨年3月27日に再審開始決定が出た袴田事件や,死刑執行後の再審請求が続く飯塚事件が象徴的に示すように,刑事裁判が誤判の危険性を常にはらむものである以上,死刑制度の存置は無辜の者が処刑されるという取り返しのつかない結果を招く可能性を抱え続けることになるという事実から目を背けてはならない。

 日本弁護士連合会は,昨年11月11日,上川陽子法務大臣に対し,「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し,死刑執行の停止をするとともに,死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して,死刑制度とその運用に関する情報を公開し,死刑制度に関する世界の情勢について調査の上,調査結果と国民的議論に基づき,今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと,そのような議論が尽くされるまでの間,全ての死刑の執行を停止することを求めていた。にもかかわらず,何らの情報公開も調査も議論もなされないまま今回の死刑執行がなされたのは,極めて遺憾であるというほかない。

 国連総会は,昨年12月に,全ての死刑存置国に対し,死刑廃止を視野に死刑の執行を停止するよう求める決議を過去最多の117か国の賛成で採択している。 また,我が国に対しては,国連人権理事会や国連拷問禁止委員会,国際人権(自由権)規約委員会から,死刑廃止に向けた様々な勧告がなされており,昨年7月23日にも,国際人権(自由権)規約委員会が,日本政府に対し,死刑の廃止を十分に考慮することなどを勧告したばかりである。

 当会は,改めて,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑の執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開した上で,死刑制度の廃止についての全社会的議論を開始するよう重ねて強く求めるものである。

 2015(平成27)年7月8日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 少年法の「成人」年齢引下げに反対する会長声明
 2015年06月15日更新

 自由民主党は,平成27年4月14日,少年法の適用年齢を現行の20歳未満から引き下げることなどについて検討する「成年年齢に関する特命委員会」を開き,少年法改正についての方向性をまとめる考えを示すと報じられた。上記特命委員会の開催は,選挙権年齢を18歳以上に引き下げる公職選挙法改正案の附則第11条で「少年法その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする」とされていることを受けての動きである。

 しかしながら,法律の適用年齢は,それぞれの制度目的や保護法益等に照らし,個別具体的に慎重に検討すべきである。民法が20歳を成年と規定する一方、養子縁組能力や遺言能力を15歳で認めていること,喫煙や飲酒は20歳を区分年齢としているが、風俗営業法上の規制に当たるパチンコ店への入店は18歳から認められていることなどが示すように,適用年齢は、法律の立法趣旨や目的ごとに、子ども・若者の最善の利益と犯罪予防などの社会全体の利益を実現する観点から、個別具体的に検討すべきである。現行少年法がその適用年齢を20歳未満としたのは,犯罪傾向の分析の結果,20歳くらいまでは心身の発達が十分でなく,環境その他の外部的条件の影響を受けやすいと考えられたことから,20歳未満の者には刑罰ではなく保護処分により教化を図る方が適切であると判断したことによるのであり,現在においてもこれを変更すべき合理的な理由は存在しない。

 少年法は,人格の形成途上で精神的に未熟な若者が非行を行った際,刑罰を科すのではなく,性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うことにより,若者の健全育成を図り,再犯を防止するという目的がある。かかる立法趣旨を受け,家庭裁判所や少年鑑別所は,人間行動科学に基づく調査と審理を行い,非行事実の認定だけでなく,非行の原因と背景を解明し,性格の矯正や生活環境の調整を行い,少年の立ち直りのために最善な処遇を行っている。このような保護・教育的な処遇が刑罰より再犯防止に効果を上げていることは,アメリカにおける政策評価研究結果や法務省の研究結果等からも裏付けられている。我が国における近時の調査でも,少年院出院者が5年以内に再び少年院又は刑務所に収容される割合は20%台前半であり,刑務所を出所した若年者が5年以内に再び刑務所に収容される割合が30%台半ばであるのに比べて相当程度低いという結果が出ているところである。少年被疑者のうち少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられた場合にその適用対象から外れる18歳から19歳の少年は40%以上を占めているのであるが,半数に迫る数の少年を保護・教育的な処遇から外し,刑罰をもって臨むのが社会にとって有益であるとは到底思われない。

 これに対し,「少年の凶悪事件が増加している現状において,現行の少年法では甘い」という指摘がなされることがある。しかしながら,このような指摘は,そもそもこの30年間で少年の凶悪犯罪が半分以下に減少しているという事実に反している上,少年の内面に対して働きかけを続ける少年院などの処遇は決して「甘い」ものではないし,また,現行少年法下でも,重大事件を犯した少年の多くは検察官に送致されて裁判員裁判により刑罰に処されているのが現状であることも正しく踏まえていない。

 さらに,刑罰より保護を優先する考えは,我が国の青少年の自立・成熟が遅れていることを踏まえた,30歳未満を対象とする青少年政策や,40歳未満までを対象とする「子ども・若者育成支援推進法」の趣旨にも通じるものがある。

 非行を犯した少年が,二度と非行や犯罪を行わず,健全な大人へと成長することこそ,少年にとっても社会にとっても望ましいことである。その一翼を現行少年法が担っているにもかかわらず,選挙「権」を得たから大人と同じように「責任」をとるべきだ,と安易に少年法の適用年齢を引き下げることは,逆に,教育的効果を減退させて再非行や再犯を増加させるなど,少年にとっても社会にとっても不利益な結果となりかねず,断じてあってはならない。

 公職選挙法改正案の附則第11条も,少年法の適用年齢の引下げを当然の前提とするものではなく,選挙犯罪について改正後の公職選挙法と少年法の調整を図る必要があることなどを考慮した規定であると理解すべきである。

 当会は,選挙権年齢の引下げを安易に少年法の適用年齢の引下げに結びつける動きに強く反対するものである。

 2015(平成27)年6月11日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子


 「捜査・公判協力型協議・合意制度」の導入と通信傍受法の改正に反対する会長声明
 2015年06月12日更新

 1 政府は,3月13日,「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」(以下「本法案」という。)を国会に提出した。本法案は,法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」に基づくものである。

 本法案の内容は,取調べの可視化(録音・録画)を一部義務付ける点や,検察官手持ち証拠の一覧表の交付を義務付ける点など,不十分ながら評価できる点がある一方で,「捜査・公判協力型協議・合意制度」の新規導入や通信傍受法の適用犯罪の拡大という見過ごすことのできない重大な問題がある。

 2 「捜査・公判協力型協議・合意制度」は,被疑者・被告人が,他人の詐欺,恐喝,横領,汚職などの犯罪や銃器・薬物犯罪などの特定犯罪について供述する見返りとして,検察官が公訴を提起しないことや,特定の求刑を行うことなどを約束する制度である。この合意は,弁護人が被疑者・被告人と共に連署した「合意内容書面」を作成して行うこととされている。しかしながら,この制度には,次のような問題がある。
 第1に,捜査機関が被疑者を利益誘導して虚偽の自白や証言を獲得する手段として利用されるおそれがあり,無実の第三者についての「引っ張り込み」の危険や,共犯者への責任のなすりつけといった事態,新たなえん罪を生み出す危険性が認められる。

 第2に,犯罪を実行した者が共犯者の犯罪立証のために捜査機関に協力することによって,自らの刑事責任を免れ,あるいは軽減されることを制度的に認めるものであり,裁判の公平や司法の廉潔性という刑事司法の存立基盤たる原則に抵触するおそれが大きい。

 第3に,弁護人の連署が必要とされているが,捜査段階での証拠開示制度もない中で,弁護人は,依頼者の利益擁護とえん罪の防止という相反する要請の板挟みになることが必至となるだけでなく,弁護人自身が,他人の犯罪立証に制度的に組み込まれ,場合によってはえん罪の作出に加担させられるという立場に置かれることを意味し,刑事弁護そのものの変質につながりかねない危険が生じる。

 本法案の「捜査・公判協力型協議・合意制度」は,対象犯罪の範囲も相当広く,また,取調べの可視化や証拠開示制度が十分でない状況においては上記の危険性は取り分け高くなるのであるから,制度の拙速な導入は絶対に避けるべきである。

 3 本法案に含まれている「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」(以下「通信傍受法」という。)の改正案では,通信傍受の対象犯罪が大幅に拡大されている。

 通信傍受法は,制定時には,通信の秘密を犯す憲法違反の法案であるとして,日弁連を始め多くの団体が反対をして,国民の運動も広がった。国会では,政府案を与党が修正して,対象犯罪を組織性の高さから通信傍受の必要性が特に高いと考えられた薬物犯罪,銃器犯罪,組織的な殺人,集団密航の4類型に限定されたのである。

 このように現行通信傍受法は,通信の秘密の不可侵,プライバシー保護の観点から抑制的に定められたものであり,最高裁判所も「重大な犯罪に係る被疑事件」(平成11年12月16日判決)であることから憲法上許されるとしている。

 それを改正案では,窃盗,強盗,詐欺,恐喝,逮捕,監禁,傷害等の一般犯罪にまで広く対象犯罪を拡大しようとするものである。これらの犯罪はいわゆる組織犯罪とは限らない上,捜査段階では,これらの嫌疑さえあれば通信傍受を実施できる可能性が出てくるのであり,国民の通信の秘密やプライバシーが侵害されるおそれは格段に高くなるというほかない。

 このような対象犯罪の安易な拡大は,先の最高裁判例に照らしても,憲法上許されないものというべきである。

 4 以上のとおり,本法案中「捜査・公判協力型協議・合意制度」の導入や通信傍受法の改正案には看過できない問題があり,当会としては,本法案のうち上記2点については強く反対するものである。

 2015(平成27)年6月11日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子

 当会会員の逮捕について
 2015年05月26日更新

 本日,当会会員である楠元和貴弁護士が逮捕されました。

 同会員については依頼者から預かった金員を返還しないとの理由で平成27年1月15日に当会として懲戒手続に付し,同年1月30日同様の被害が発生しないよう懲戒処分に先立って公表をいたしました。また,同会員の行為は業務上横領罪にあたると判断されたことから,会として警察に告発し,同年4月30日に正式に受理されました。

 業務上横領は弁護士と依頼者との間の信頼関係を破壊する重大な犯罪であり,当会会員がそのような犯罪で逮捕されたということについては極めて遺憾です。一日も早い全容の解明を望みます。

 なお,当会の懲戒手続につきましては刑事手続とは別個に進行しております。懲戒手続については最初に綱紀委員会で調査し,懲戒委員会の事案の審査を求めるとされたものが懲戒委員会の審理に付され処分が決まります。同会員については同年5月13日付で綱紀委員会において懲戒委員会に事案の審査を求めると議決されています。

 当会はより一層強い危機感をもって会員の職業倫理の向上を図るとともに,会員の苦情情報の早期把握等に努め,再発防止に全力を尽くす所存です。

 2015(平成27)年5月26日
 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子
 
投稿日: 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2355 ら神奈川弁護士会A 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2355 ら神奈川弁護士会A 2018年2月2日

ソース:2355 ら神奈川弁護士会A 2018年2月2日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/02/2355-%e3%82%89%e7%a5%9e%e5%a5%88%e5%b7%9d%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a1/

2355 ら神奈川弁護士会A
 
 神奈川県弁護士会
 ttp://www.kanaben.or.jp/index.html

 横浜市及び川崎市に対し、学校法人朝鮮学園に対する、補助金予算の執行停止 及び予算の減額の措置を見直すことを求める会長声明
 2015年06月12日更新

 神奈川県は、2013年2月、朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」という。)の核実験を理由として、学校法人神奈川朝鮮学園(以下「学園」という。)が運営する県内5校の朝鮮学校への運営費補助金を打ち切った。これをきっかけに、横浜市及び川崎市は、既に2013年度予算に計上されていた学園が経営する学校や保護者への補助金支給を凍結した。

 横浜市は2013年10月に「横浜私立外国人学校補助金交付要綱」を改訂し、「国際情勢を鑑み、補助金を交付することが、前条第1項に規定する趣旨(国際交流の増進及び私学教育の進行を図る)に反すると市長が認めた外国人学校にあっては、補助の対象としない」との条項(以下「条項」という)を追加し、2014年度も学園への補助金を予算計上したものの、同条項を根拠に執行しなかった。同市は2015年度予算にも、学園に対する補助金を計上しているが、執行される見通しは立っていない。

 一方川崎市は、2014年度以降、従前の教材費、教員の研修費・授業料等に関する補助金は予算計上せず、新たに「外国人学校児童等健康・安全事業補助金」と「外国人学校児童等多文化共生・地域交流補助金」の支給を始めているが、補助金全体の金額は従前の補助金の額に比べて3分の1以下に減少している。

 このような両市の対応の原因が、日本と北朝鮮の国際関係の悪化にあることは明らかである。しかし両市の対応は、国際関係には何らの責任のない学園に通う子どもや保護者に経済的負担をかけるばかりではなく、日本の社会の中で自分たちが疎外されているという精神的な傷を負わせている。こうした事態は、憲法26条が保障する子どもの教育を受ける権利にも影響を及ぼしかねず、わが国が1994年に批准している子どもの権利条約28条及び29条が保障する、教育における機会平等、財政的援助並びに文化的アイデンティティの尊重にも違反するものである。

 2014年8月28日に開催された国連人種差別撤廃委員会の会議で採択された「日本の第7回〜9回定期報告に関する調査最終見解」において、「委員会は以下の状況を含む締約国の法規定及び政府活動によって、締約国における韓国・朝鮮系の子どもたちの教育を受ける権利が疎外されていることを懸念する。a)朝鮮学校が高等学校就学支援金対象から除外されていること、b)自治体による朝鮮学校向け財産支援の割り当ての継続的縮小あるいは差し止め(第2条及び第5条)」「委員会は締約国がその立場を見直し、自治体による朝鮮学校への資金提供を再開させ…ることを推奨する」との指摘がなされている。この指摘は尊重されなければならない。

 神奈川県は、学園の児童・生徒に対するしわ寄せが及んでいる状況を見直し、平成26年度から補助金に代わるものとして、外国人学校生等支援事業を開始し、学園に通学する児童・生徒に対しても同事業に基づく外国人学校児童・生徒学費軽減制度事業補助金の支給を実施している。

 以上から当会は、横浜市に対しては凍結されている学園に対する補助金予算の執行を求めるとともに、川崎市に対しては、学園及び保護者に対し従前支給されていたのと同額程度の補助金の支給を求める。

 2015(平成27)年6月11日
 横浜弁護士会  会長 竹森 裕子

 調停委員・司法委員および人権擁護委員についての実質的な国籍要件に関する意見書
 2015年07月09日更新

 趣 旨

 1. 当会は、最高裁判所が、「弁護士となる資格を有する者、民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者または社会生活の上で豊富な経験知識を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者」であれば、日本国籍の有無にかかわらず、等しく民事調停委員及び家事調停委員に任命することを求める。

 また、司法委員についても、最高裁判所に対し、日本国籍を有することを選任要件とする取扱を速やかに変更し、日本国籍の有無にかかわらず、適任者を選任する扱いとするよう求める。

 2. 人権擁護委員については、人権擁護委員法6条は、憲法14条に違反するので、国会においてただちに見直すことを求める。

 理 由

 1. 人権としての「公務就任権」

 当会には、外国人(日本国籍を有しない者を指す。以下同じ。)の会員で、調停委員・司法委員に相応しい人格識見を有しながら、これまでの最高裁判所の運用からして、調停委員・司法委員に任命されることはないと予測される会員がいる。また、人権擁護委員としても適任でありながら、外国人の会員であるため、市町村議会の議員の選挙権を有しておらず、法律上、人権擁護委員への就任が認められない会員がいる。

 このような取扱いは、弁護士だけでなく、一般の市民であっても同じであり、調停委員・司法委員あるいは人権擁護委員に適任であったとしても、外国人であれば、これらの委員への就任は認められていない。

 そもそも、憲法14条は法の下の平等をうたい、また、マクリーン事件最高裁大法廷判決(最大判昭和53年10月4日)でも、「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきである」とされている。

 「公務就任権」は、職業選択の自由(憲法22条1項)の一つであり、また個人がその能力・個性等を発揮しつつ社会において活動するなど自己実現の面においても極めて重要であり人格権(憲法13条)としての側面も有している。したがって、「公務就任権」は原則として、外国人にもその保障が及ぶと解すべきであり、日本国籍を有しないことを理由として不合理な区別を行うことは、法の下の平等に反し、許されない。もっとも、国民主権の原理により、一定の公務については、外国人の公務就任権が制限されることもあると解される。

 この点、最高裁判所は、国民主権の原理に基づき、国及び普通地方公共団体による統治のあり方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条、15条1項参照)に照らし、「住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするもの」(以下「公権力行使等公務」という。)に、外国人が就任することは、日本の法体系の想定するところではないという判断を示している(最大判平成17年1月26日)。

 この判決については、日本弁護士会連合会も、2009年3月18日に「外国籍調停委員・司法委員の採用を求める意見書」を公表し、「広範な範囲の公務員について、その具体的職務内容を問題とすることなく公権力行使等公務員として当然に外国人の就任を拒絶することを認めるものであり不当である」と意見を述べているところであり、その内容について疑問がないわけではない。その点についてはここでは措き、以下では、上記最高裁の平成17年大法廷判決に基づき、公務の内容が「公権力行使等公務」にあたるかどうかを基準に、外国人が、調停委員・司法委員および人権擁護委員へ就任することが制限されていることについて、憲法14条に反するかどうかを判断する。

 なお、これらの委員のほかにもさまざまな公務について、外国人がそれに就任することが制限されているが、本意見書においては、弁護士会が推薦に関わっているこれらの委員に絞って、検討し、意見を述べることとする。

 2.  調停委員・司法委員について i.  法律等の規定について

 民事調停委員及び家事調停委員規則(以下「調停委員規則」という。)1条は、調停委員の採用について、「民事調停委員及び家事調停委員は、弁護士となる資格を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者の中から、最高裁判所が任命する。ただし、特に必要がある場合においては、年齢四十年以上七十年未満であることを要しない。」と定めている。また、同2条では、欠格事由を定めているが、ここでも国籍等を欠格事由とする規定はない。

 また、司法委員については、司法委員規則1条においてその選任要件について「良識のある者その他適当と認められる者であること」と定めがあるだけである。同規則2条では、欠格事由を定めているが、ここでも国籍等を欠格事由とする規定はない。

 すなわち、法律にも、調停委員規則・司法委員規則にも、民事調停委員・家事調停委員及び司法委員について、国籍を要求する条項はない。

 ii.  現在の運用

 現在、各弁護士会は、地方裁判所・家庭裁判所の推薦依頼に基づいて、調停委員候補を推薦し、各家庭裁判所又は地方裁判所より調停委員候補を最高裁判所に上申し、その上申を受けて最高裁判所が任命する扱いがなされている。司法委員については、各地方裁判所からの推薦依頼を受けて、各弁護士会が司法委員候補を推薦し、各地方裁判所が任命する扱いになっている。

 そして、これまで兵庫県弁護士会・仙台弁護士会・東京弁護士会・大阪弁護士会等が外国籍の会員を調停委員ないし司法委員の候補者として推薦したところ、調停委員については最高裁に上申しない等の回答が各地方乃至家庭裁判所からなされ、あるいは司法委員については地方裁判所からその採用が拒否されている。

 iii.  最高裁判所の考え方

 これを受けて、日弁連が、最高裁にその理由を照会したところ、最高裁判所事務総局人事局任用課は、2008年10月14日付で、「照会事項について、最高裁判所として回答することは差し控えたいが、事務部門の取扱は以下のとおりである。」として、法令等の明文上の根拠規定はないとしながらも、「公権力の行使に当たる行為を行い、もしくは重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とする公務員には、日本国籍を有する者が就任することが想定されていると考えられるところ、調停委員・司法委員はこれらの公務員に該当するため、その就任のためには日本国籍を必要と考えている。」との回答があった。

 iv.  検討

 調停制度の目的は、市民の間の民事もしくは家事の紛争を、当事者の話し合いおよび合意に基づき、裁判手続に至る前に解決することにある。

 その中にあって、市民の調停委員の本質的役割は、専門的知識もしくは社会生活の上での豊富な知識経験を活かして、当事者双方の話し合いの中で、助言や斡旋、解決案の提示を行い、合意を促して、当事者の互譲による紛争解決を支援することにある。

 このような職務の内容に鑑みれば、調停委員の職務は、「公権力行使等公務」にあたるということはできないというべきである。

 確かに、調停調書は確定判決と同一の効力を有するが、それは「調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したとき」(民事調停法16条、家事事件手続法268条)であり、当事者間の合意による紛争解決の意思が尊重されるのであり、当事者の合意が得られない場合には調停は不成立となる。また、調停に代わる決定(民事調停法17条)ないし調停に代わる審判(家事事件手続法284条)もあるが、調停委員は意見を聞かれるだけであり、あくまで決定ないし審判は裁判所が行うこととされている。したがって、これらのことを理由に調停委員が「公権力行使等公務」にあたるということも適当でない。

 また、司法委員に関しては、裁判所が必要と認めるときに、和解の補助をしたり、事件について意見を述べたりすることが認められるにすぎず、その職務の内容は純然たる裁判官の補助機能にすぎず、やはり、「公権力行使等公務」には当たらない。

 とするならば、外国人であることを理由に調停委員・司法委員への採用を認めない最高裁判所の運用は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する。

 さらに、何ら法律等の規定もないのにかかる運用をしているのは、法治主義にも反するというべきである。
なお、最高裁判所は、1974年(昭和49年)から1988年(昭和63年)までの間、日本国籍を有しない台湾籍の大阪弁護士会会員を西淀川簡易裁判所民事調停委員に任命し、定年退職時には大阪地方裁判所所長より表彰を受けたという実例が存在しており、かかる事実は、外国人の弁護士が調停委員となって何ら不都合がないことを如実に示している。

 なお、国連の人種差別撤廃委員会は、2010年3月9日第3ないし第6回の日本政府報告書の審査の総括所見において、日本国籍を有しない者を家庭裁判所の調停委員から排除する日本政府の立場に懸念を表明し、さらに2014年8月28日には、第7ないし第9回の日本政府報告書の審査の総括所見において、かかる日本政府の立場に改めて懸念を表明している。

 3.  人権擁護委員について 

 i.  使命・職務

 人権擁護委員は、人権擁護委員法第2条により、その使命は、「国民の基本的人権が侵犯されることのないように監視し、若し、これが侵犯された場合には、その救済のため、すみやかに適切な処置を採るとともに、常に自由人権思想の普及高揚に努めること」とされている。そしてその職務は、同法11条により、「@自由人権思想に関する啓蒙及び宣伝をなすことA民間における人権擁護運動の助長に努めること B人権侵犯事件につきその救済のため、調査及び情報の収集をなし、法務大臣への報告、関係機関への勧告等適切な処置を講ずること C貧困者に対し訴訟援助その他その人権擁護のため適切な救済方法を講ずること Dその他人権の擁護に努めること」とされている。

 ii.  選任

 人権擁護委員は、市町村長が、その市町村の議会の議員の選挙権を有する住民で人格識見高く、広く社会の実情に通じ、人権擁護について理解のある社会実業家、教育者、報道新聞の業務に携わる者等及び弁護士会その他婦人、労働者、青年等の団体であって直接間接に人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員の中から、その市町村議会の意見を聞いて委員候補者を法務大臣に推薦をし、さらに都道府県弁護士会及び同人権擁護委員連合会の意見を聴いた上で、その適任か不適任かを決め、適任者を委員に委嘱して、選任される(人権擁護委員法6条)。

 iii.  検討

 上記人権擁護委員の職務の内容を検討するに、@ACDは、その性質上明らかに「公権力行使等公務」とはいいがたいが、Bについても、そこでいう適切な処置は具体的に以下のように講じられることからして、その職務の内容は、「公権力行使等公務」にはあたらない。

 すなわち、人権侵犯事件において、人権擁護委員は、調査が終了次第、遅滞なく口頭又は文書で法務局長又は地方法務局長に結果を通報し、処理について協議し、その後、法務局長又は地方法務局長等が、委員の調査結果を基に被害者の救済のため、事案に応じた適切な処置を執ることとされている。このことからすれば、人権侵犯事件について、適切な処理を執る権限を有しているのは、法務局長または地方法務局長等であって、個人としての人権擁護委員ではない。人権擁護委員はあくまで法務局長又は地方法務局長の職務を補佐するにすぎないものである。さらに、人権擁護委員は、法務大臣の指揮監督にも服する(人権擁護委員法14条)こととされており、その意味でも、その枠内で公務に従事するにすぎないのである。

 これらのことからするならば、人権擁護委員の職務は、「公権力行使等公務」には当たらないというべきであり、その職務への就任に日本国籍を要件とすることは、合理的な理由のない差別であり、憲法14条に違反するというべきである。

 4.  結論

 日本には現在多くの外国人が生活しており、グローバル化が進む中、多民族・多文化共生社会の形成が不可欠である。多民族・多文化共生社会の形成にとって、できるだけ広く外国人にも公務就任の機会を保障することも重要である。

 また、我が国に暮らす外国人の中には、在日コリアンなど、サンフランシスコ平和条約の発効に伴う通達によって日本国籍を失ったまま日本での生活を余儀なくされた旧植民地出身者及びその子孫などの特別永住者も多数存在する。これらの人々にとっては、いまや日本こそがその生活の基盤であり、日本人とかわらない生活実態を持っており、歴史的な経緯等に鑑みても、日本国籍を有しないというだけで、調停委員・司法委員及び人権擁護委員の公務に就任することが一切認められないということは、合理的な理由がないというべきである。

 また、外国人であるというだけで、これまで社会のさまざまな分野で十分な経験を積み、高い能力、識見等を有しながら、それを調停委員、司法委員、人権擁護委員という仕事において発揮するチャンスを奪われているのは、社会にとっても有用な人材を登用できないという意味で大変大きな損失である。

 さらには、調停制度の利用者には多くの外国人が含まれていることからも、外国人の調停委員が採用される意味合いは大きく、また、現在地域社会において多くの外国人が生活している実態に鑑みれば、その地域社会において外国人が人権擁護委員として活動する意義も大きい。

 これらの理由から、当会は、意見書の趣旨のとおり実現することを求める。

 以上

 2015(平成27)年7月8日
 横浜弁護士会      会長 竹森 裕子 

 会長声明・決議・意見書(2017年度)
 ttp://www.kanaben.or.jp/profile/gaiyou/statement/index.html

 死刑執行に抗議する会長声明
 2018年01月26日更新

 昨年12月19日、東京拘置所において、2名の死刑が執行された。

 死刑は国家が人間のかけがえのない命を奪う制度であり、人間の尊厳を軽視する非人道的なものであるとして、多くの国ですでに廃止ないしその執行が停止されている。2016年12月末日現在、法律上または事実上の死刑廃止国は141か国に及び世界の3分の2以上を占めている。しかも、実際に死刑を執行した国はさらに少なく、2016年の死刑執行国は日本を含め23か国のみである。

 2016年12月の国連総会は、加盟国193か国中117か国の賛成により、死刑存置国に対する死刑執行停止を求める決議を採択した。当会でも、これまで、死刑執行の度に抗議する会長声明等を発出してきたところである。日弁連も、2016年10月7日に開催された第59回人権大会において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、その中で2020年までに死刑制度を廃止すること等を国に求めた。

 また、今回死刑が執行された2名はいずれも弁護人がついて再審請求中であり、そのうち1名は、犯行時19歳の少年であったが、これらはいずれも看過できないことがらである。まず、再審請求中にもかかわらず死刑を執行することは、再審という裁判を受ける権利を政府が奪うことであり、極めて問題である。この点、2014年7月24日に国際人権(自由権)規約委員会も、同規約の実施状況に関する第6回日本政府報告書に対する総括所見において、再審請求には死刑の執行停止効を持たせるべきであると勧告している。次に、少年は、成育環境の影響を受けやすく、本人にのみ全責任を負わせることは酷である。この点、国連総会で採択されている少年司法運営に関する国連最低基準規則(いわゆる北京ルールズ)は、「少年とは各国の法制度の下において、犯罪について成人とは違った仕方で取り扱われている児童又は若者をいう」と規定し、「死刑は少年が行ったいかなる犯罪についてもこれを科してはならない」としているところである。

 さらに、今日、死刑をめぐる多くの情報が公開されておらず、その中で死刑が執行され続けていることは、民主主義の社会において大きな問題であるといわなければならない。 当会は、改めて、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、政府が死刑の廃止に向けて、広く情報を開示し、全社会的な議論と検討を開始すること、そしてその間すべての死刑執行を停止することを強く求めるものである。

 2018(平成30)年1月25日
 神奈川県弁護士会   会長 延命 政之

 当会の多数の会員に対する懲戒請求についての会長談話
 2017年12月26日更新

 今般,特定の団体が,神奈川県弁護士会所属弁護士全員を懲戒することを求める書面を,約1,000名からとりまとめ,神奈川県弁護士会に送付しました。

 しかしながら,これらの書面は,日本弁護士連合会が会長声明を発したことを理由とするもので,弁護士法に基づき個々の弁護士の非行を糾す弁護士懲戒制度にはそぐわないものです。

 このため,神奈川県弁護士会は,これらの書面を,この声明に対する反対のご意見としては承りますが,懲戒請求としては受理しないことといたしました。

 弁護士は,弁護士法第1条に基づき,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命としており,訴訟や提言等を行うことで,ときには国家権力と対峙しなければなりません。もし国家権力が弁護士に対する懲戒権限を有すると,このような活動が萎縮し,基本的人権の擁護がままならなくなるおそれがあります。このため,弁護士会には自治権が認められ,弁護士に対する懲戒権限は,弁護士会が有しているのです。

 市民のみなさまにおかれましては,このような弁護士懲戒制度の趣旨をご理解下さるようお願い申し上げます。また,神奈川県弁護士会といたしましては,懲戒権限を引き続き適正に行使する所存です。

 2017(平成29)年12月26日
 神奈川県弁護士会    会長 延命 政之

 犯罪被害者のプライバシー尊重を求める会長談話
 2017年11月17日更新

 なぜ、犯罪の被害に遭うと、被害者や遺族はその意に反して実名や顔写真をさらされなければならないのか。

 私たち神奈川県弁護士会は、2015(平成27)年3月26日に、犯罪被害者のプライバシー尊重を求める会長声明を発表し、これまでこの問題について考え続けてきました。

 今年の10月、神奈川県座間市内の住宅で9名のご遺体が発見されるという事件が起きました。ご遺体全員の身元が判明した今月10日未明からは、新聞やテレビで被害者の名前や写真が流され続けています。

 警察が報道機関に被害者氏名等を発表する際、ご遺族が顔写真の公表や実名報道をやめてほしいと申し入れていても、未だにそのような報道は行われている状況です。

 報道する側にも理由があるのでしょう。犠牲者の痛みを共有するためとか、社会全体で事件について考えるために、実名であることが必要だと言う方もいます。私たちとしても、「報道の自由」や「取材の自由」の重要性を否定しているわけではありません。

 しかし、そこには、犯罪被害者、遺族のプライバシーがなぜ暴力的に奪われるのか、なぜ本人や遺族の同意なしに生活状況を書き立てられ、勝手に写真を使われるのか、なぜ自宅を報道陣に囲まれて帰宅できないような生活を強いられるのかについての答えはありません。

 プライバシーの権利とは、自分についての情報を適切にコントロールする権利と理解されています。「知られたくないことは知られない権利」「放っておかれる権利」ともいえます。

 犯罪被害者には、遺族には、プライバシーはないのですか。報道の正義のために、社会全体の理解のために、犯罪被害者、遺族のプライバシーが損なわれることが許されるのでしょうか。

 これまでも、過熱した報道によって、遺族の心や、被害者の尊厳が傷つけられてきました。

 私たちは、この問題について、もう一度考えてもらいたいです。

 神奈川県弁護士会は、報道機関や社会の人たちすべてに、被害者や遺族のプライバシーを尊重するよう求めます。

 2017(平成29)年11月17日
 神奈川県弁護士会    会長 延命 政之

 年年齢を引き下げる民法改正に反対する意見書
 2017年11月08日更新

 第1 意見の趣旨

 成年年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正に反対する。

 第2 意見の理由

 1 現在、政府は、民法が定める成年年齢について、現行の20歳から18歳に引き下げることを検討している。

 しかしながら、民法が定める成年年齢を引き下げることについては、以下のような多数の法的な問題が存する。

 2 キャッチセールス、アポイントセールス、連鎖取引販売、過量販売等の消費者被害は、20代前半の若者や高齢者等の判断能力が不十分な層に多発している。

 現行民法では、成年年齢は20歳とされ、20歳未満の未成年者は、契約を締結する際に親権者の同意を要し、これを欠く場合、未成年者取消権を行使することができ、消費者被害に遭った際の救済手段となっているが、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げると、このような救済手段を18歳以上20歳未満の若年者から奪うことになる。

 18歳以上20歳未満の若年者は、卒業前の高校生まで含まれ、大学又は専門学校に進学したとしてもまだ学生であり、社会人として活動している者も、いまだその経験は浅い。親元を離れて進学等のため初めて一人暮らしをする者も多い。それにもかかわらず、未成年者取消権という消費者被害に遭った際の救済手段がないとなると、悪質な業者による格好の標的となることは必定である。

 現状では、義務教育・高等学校教育における消費者教育はいまだ十分といえず、民法の成年年齢を引き下げ、これに伴い18歳以上20歳未満の者が締結する契約を、未成年者取消権や親権者による同意権の対象外とすることは、消費者被害の観点から非常に危険である。

 また、18歳以上20歳未満の若年者に対して、過剰与信が行われることも懸念される。

 3 仮に民法の成年年齢を引き下げるのであれば、最低限、キャッチセールス、アポイントセールス、連鎖取引販売、過量販売の被害について、消費者契約法及び特定商取引法改正により、若年層保護の手当てをするとともに、割賦販売法、貸金業法を改正の上、若年層に対する与信を厳格化し、若年層の保護を行うことが必要不可欠であるが、現行法上、このような手当はほとんど行われていない。

 即ち、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げるのであれば、若年者保護の観点から、最低限でも、消費者法の分野において、

 @ 消費者契約法を改正し、判断力、知識、経験等の不足に付け込んで若年者等に契約を締結させた場合に、同契約を取消すことが出来る制度を設けること、

 A 特定商取引法を改正し、18歳以上20歳未満の若年者に特定商取引法所定の特定商取引を行う場合には、事業者に、当該若年者の知識、経験財産状況に照らし、不適当でないことの確認を義務付け、かつ同確認を怠った場合の取消制度を設けるとともに、これが訴訟で争われた場合には、同確認を行ったことの立証責任を業者側に負わせること、

 B 特に弊害が予想される、連鎖取引販売について、18歳以上20歳未満の若年者に対する勧誘を禁止すること

 C 貸金業法、割賦販売法を改正し、18歳以上20歳未満の若年者に与信をする場合に、過剰与信にならないよう資力要件と確認要件につき厳格化を図り、これらの要件を欠く与信を行った業者は元本を含めた返還請求ができないこととすることを含めた若年者保護の制度を設けること、等が必要である。このような制度が全くない現行法下で、民法の成年年齢が引き下げられると、若年者に消費者被害が多発することになりかねない。

 4 以上のような消費者被害の観点以外にも、離婚の際の養育費について、成年に達したときを支払終期とすることが多かった家庭裁判所の実務に照らせば、民法の成年年齢が引き下げられることによって養育費の支払終期が早まり、いまだ稼働に至らない18歳以上20歳未満の若年者の生活や教育について経済的な悪影響がもたらされることが懸念される。

 また、いわゆるブラックバイト問題に対して有効な、労基法58条が定める未成年者に不利な労働契約の解除権も、民法の成年年齢が引き下げられることによって18歳以上20歳未満の若年者が行使できなくなってしまう。

 このように、民法の成年年齢の引き下げは、18歳以上20歳未満の若年者の権利擁護の観点から、懸念が大きい。

 5 さらに、民法の成年年齢の引き下げは、少年法の適用年齢の引き下げと論理的に直結するものではないが、少年法に関する議論においても、「民法上の『成年者』として親権に服さない者に国が類型的に後見的な介入をするのは過剰な介入ではないか」との意見があること等からすれば、少年法の適用年齢の問題にも事実上大きな影響を及ぼす懸念がある。

 6 したがって、民法の成年年齢の引き下げは、民法その他未成年者の保護を図る各法律の趣旨・目的を踏まえた慎重な検討が必要不可欠であり、成年年齢の引き下げによってもたらされるこれらの不利益に対する手当もないまま、成年年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正には反対する。

 以上

 2017(平成29)年10月19日
 神奈川県弁護士会 会長 延命 政之

 当会会員に対する懲戒処分についての会長談話
 2017年09月07日更新

 本日,当会は,平成29年8月16日付懲戒委員会の議決に基づき,当会の林敏夫会員に対し,業務停止1年6月の懲戒処分を言い渡し,同処分は即日効力を生じました。
 
 同会員は,弁護士でない懲戒請求者が弁護士法第72条に定める,報酬を得る目的で法律事件に関し法律事務を周旋することを業とする者に該当し,同条で禁止された非弁行為を行っている者であることを認識した上で,その者が依頼者と面談し,委任契約を締結することを認容し,弁護士報酬の金額を含む委任契約の内容についても自由に任せていました。

 また,同会員は,懲戒請求者がウェブサイトで集客した相談者の事案について紹介を受け,その事務の処理をすることで,懲戒請求者に対して一定金額の支払いをしていました。

 さらに,同会員は,懲戒請求者の依頼に基づき,自らが受任する事件と関係のない住民票や戸籍謄本等の職務上請求を行い,懲戒請求者に対してその対価として1通あたり1万8000円の費用を請求していました。

 報酬を得る目的で法律事件に関し法律事務を周旋すること(非弁行為)は,当事者その他の関係人の利益を損ね,社会生活の公正円滑な営みを妨げ,ひいては法律秩序を害することになるものであり,弁護士法第72条により禁じられているところです。

 そして,そのような非弁行為を行う者と提携すること(非弁提携行為)も,非弁行為を助長するものであり,断じて許されるものではありません。

 また,住民票や戸籍謄本等の職務上請求は,弁護士としての業務の遂行に必要な場合に限り認められているものであり,弁護士ではない者の依頼に基づき業務外の目的でこれを行うことも言語道断です。

 同会員が行った上記の各行為は,弁護士法第56条第1項に定める「品位を失うべき非行」に該当するものであり,今回の懲戒処分に至ったものであります。

 同会員の各行為は,弁護士の職務に対する市民の皆様の信頼を大きく損なうものであり,極めて遺憾であります。

 なお,同会員による非弁提携行為は,弁護士法第27条に違反する違法行為であり,当会としても,これを断じて許すことはできず,厳正な刑事処罰を求めて,同会員及び同会員が所属する「弁護士法人クローザー法律事務所(旧:弁護士法人エレフセリア法律事務所)」について,同法違反(非弁提携行為)容疑で横浜地方検察庁に告発状を提出していることを付言します。

 当会としては,これを機に,不祥事の事前抑制・被害拡大の防止等に,より一層努力する所存です。

 2017(平成29)年9月7日
 神奈川県弁護士会 会長 延命 政之

 死刑執行に抗議する会長声明
 2017年08月14日更新

 本年7月13日,大阪拘置所及び広島拘置所において死刑確定者各1名に対する死刑が執行された。

 金田法務大臣になって2度目の死刑執行であり,第2次安倍内閣になって合計19名の死刑が執行された。

 日本弁護士連合会は,2015年12月9日,岩城法務大臣に対し「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し,死刑の執行を停止するとともに,死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し,死刑制度に関する検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し,死刑制度とその運用に関する情報を公開すること,そのような議論が尽くされるまですべての死刑の執行を停止することを求めた。しかしながら,この間,有識者会議が設置されることもなく,死刑制度とその運用に関する情報公開は全く進んでいない。

 死刑執行については,いまなお多くの情報が非公開とされており,秘密主義との批判を免れない。今回,大阪拘置所で死刑が執行された死刑確定者は,報道によれば,再審請求中であったと言われている。再審請求中であるにもかかわらず,死刑が執行されたことは極めて異例のことであり,その理由についても法務省は明らかにしていない。

 また,広島拘置所で死刑が執行された死刑確定者は,控訴を自ら取り下げたことで第1審判決のみで死刑判決が確定しており上級審の判断を得ていない事案であること,被害者が1名の事案であったことなどがどのように検討され,今回の死刑執行に至ったのか一切明らかにされていない。

 我が国においては,四つの死刑確定事件(免田事件,財田川事件,松山事件,島田事件)について再審無罪が確定している。死刑事件ではないが,布川事件,足利事件,東電OL殺人事件等で再審無罪判決が確定している。死刑確定事件である袴田事件については,2014年3月27日静岡地方裁判所が再審開始を決定し,死刑執行と拘置の停止を決定している。これらの事件が示すとおり,刑事裁判には,常にえん罪の可能性があり,ひとたび死刑が執行されてしまえば,取り返しはつかず,その不正義はまさに筆舌に尽くしがたい。

 日本弁護士連合会は,2016年10月に開催された人権擁護大会において「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,その中で,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであることを宣言した。

 当会では,これまでも,死刑執行のたびに,死刑の執行を停止し,死刑廃止について全社会的議論を始めることを求める会長声明・談話を発表してきた。

 当会は,改めて,今回の死刑執行に抗議するとともに,死刑制度の廃止について全社会的議論を尽くすまでの間死刑の執行を停止するよう重ねて強く要請するものである。

 2017(平成29)年8月10日
 神奈川県弁護士会会長 延 命 政 之

 共謀罪の強行採決に抗議する会長談話
 2017年06月15日更新

 本日,参議院本会議で,いわゆる「共謀罪」法が可決成立しました。

 当会は,本法律が「共謀」という意思の連絡をもって犯罪を成立させることは罪刑法定主義に反すること,意思の連絡自体が捜査対象となるため盗聴・密告等を捜査の端緒とせざるを得ず,思想・良心の自由,表現の自由,通信の秘密及びプライバシー権といった憲法上の権利を侵害することなどから,極めて危険であることを訴えてきました。

 かかる憲法違反の法律が,参議院法務委員会での審議も未了のまま委員会決議を省略して本会議での可決が強行されるという異例の手続きで成立したことも含めて,当会は本法律の成立に強く抗議します。

 当会は,これからも本法律の廃止に向けて,あらゆる取り組みを強化し続けて行くことを表明します。

 2017年(平成29年)6月15日
 神奈川県弁護士会 会長 延命 政之

 憲法記念日会長談話
 2017年05月02日更新

 本年5月3日で日本国憲法が施行されて70年になります。

 国内外で多くの犠牲者を生んだアジア太平洋戦争への反省を踏まえ、私たちは、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義を3つの基本原則とする新しい憲法を制定しました。

 大日本帝国憲法の下では、人権は、臣民としての権利にすぎず、法律の定めによってどのようにも制限されるものでしたが、日本国憲法の下では、私たちは、ひとりひとりかけがえのない個人として尊重され、誰もが生まれながらに侵すことのできない基本的人権を持っているとされています。

 しかしながら、この1年を振り返って、とりわけ、この神奈川県においても、川崎で在日コリアンの人々への差別や憎しみをあおるヘイトスピーチデモが行われたり、津久井やまゆり園で19人もの障がい者が殺害されるという痛ましい事件が発生した際に障がい者に対する差別的な言説が行われたり、福島原発事故避難者である子どもへのいじめに対し学校や教育委員会による適切な対応がなされなかったり、小田原で市職員が生活保護受給者を訪問する際に差別的な文言を印刷したジャンパーを着ていたことが発覚したりするなど、少数者の人権が侵害されるさまざまな事件が相次いでいます。

 また、国政についてみると、現在国会で審議中の組織犯罪処罰法改正案は、いわゆる共謀罪の創設を含むものですが、内心の自由(思想良心の自由)や表現の自由等を侵害するおそれの極めて高いものです。

 人権を保障するために憲法により国家権力を制限する立憲主義も、危機に瀕しています。

 安全保障関連法をめぐって、昨年11月15日に、南スーダンの国連PKOに派遣されている自衛隊に対し、「駆け付け警護」などの新たな任務が付与されたことから、自衛隊が、政府軍、反政府軍を始めとする武装勢力と戦闘を行うという、憲法第9条の禁止する武力の行使へと発展しかねません。また、本年5月1日から、改正された自衛隊法95条の2に基づき、防衛大臣は自衛隊に対して米海軍の補給艦の武器等防護を命ずるに至りましたが、これは、まさに外国の軍隊のために、現場の自衛官の判断により敵対勢力に対する武器使用を認めるものであって、実質的な集団的自衛権の行使になりかねない、極めて危険なものです。安全保障関連法の適用・運用次第で、この国のあり方や命運が左右されかねない危険な状況があります。
そして、衆議院憲法審査会では憲法を改正し緊急事態条項を盛り込むべきか否かが議論されていますが、緊急事態条項は人権保障と権力の分立を一時的に停止する規定であり、立憲主義を破壊する危険性があり、慎重の上にも慎重な議論が必要です。

 日本国憲法施行70年を迎えるにあたり、神奈川県弁護士会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として、こうしたさまざまな問題について、さらにいっそう真摯に取り組み、人権が十分に保障され、憲法が生かされる社会を目指して、努力を重ねていきたいと思います。

 2017年(平成29年)5月3日
 神奈川県弁護士会 会長 延命 政之

 いわゆる「共謀罪」法案の廃案を求める会長声明
 2017年04月27日更新

 1. 政府は、本年3月21日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法一部改正案(以下「本法案」という。)を閣議決定し、衆議院に提出した。

 当会は、2016年12月8日付けで「いわゆる共謀罪新法案の国会提出に反対する会長声明」を発しているところであるが、それにもかかわらず本法案が提出されたことは極めて遺憾であり、改めて本法案に対する当会の意見を表明する。

 2. 本法案では、@犯罪主体について、従前「組織的犯罪集団」とされていた規定が「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と改められており、また、A対象犯罪を676から277に減じたとされている。

 @の「テロリズム集団」の文言は、テロ対策を標榜しつつテロとの関係が明らかでなかった政府原案に対する批判を受けて急遽追加されたものであるが、本法案には「テロリズム集団」の定義規定はない。「組織的犯罪集団」の意義が捜査機関によって恣意的に解釈され、摘発される対象が拡大する危険性が高いという問題点は何ら解消されていない。

 すなわち「テロリズム集団」の文言が加わったとしても、処罰範囲の限定にならないことは明白である。
また、Aについても、仮に対象犯罪が277に減じられたとしても、組織的犯罪やテロ犯罪と無縁のものも依然として対象とされている。共謀罪は、「行為」を処罰する我が国の刑法の基本原則を否定するものである以上、いかに対象犯罪数を減らそうとも、軽々に認められるものではない。

 つまり、本法案は、過去3回も廃案になった共謀罪の問題点が何ら解消されていないのである。

 3. 当会が従前指摘していたとおり、構成要件が不明瞭であって罪刑法定主義にも反する本法案は、共謀という意思の連絡自体が犯罪として捜査対象となるために、通信傍受の対象とされた場合監視社会化を招き、憲法の保障する思想・良心の自由、表現の自由、通信の秘密及びプライバシーなどを侵害し、基本的人権の行使に対して深刻な萎縮効果をもたらすおそれがある。

 当会は、本法案の閣議決定および衆議院提出に対して、改めて抗議すると共に、本法案の廃案を求めるものである。

 2017(平成29)年4月26日
 神奈川県弁護士会 会長 延 命 政 之

 会長声明・決議・意見書(2016年度)
 ttp://www.kanaben.or.jp/profile/gaiyou/statement/2016/index.html

 川崎市に対し多文化共生を推進する人権条例の制定を求める会長声明
 2017年03月23日更新

 川崎市の福田紀彦市長は,昨年12月27日に川崎市人権施策推進協議会が出した「ヘイトスピーチ対策に関する提言」を受けて,本年2月27日,川崎市議会第1回定例会において,人権を幅広く守る条例(以下,「本条例」という。)の制定に向けた調査に着手したことを明らかにした。当会としても,本条例制定の動きを全面的に支持するとともに,本条例中に人種差別を禁止し多文化共生を推進する包括的な内容を盛り込むよう強く求めるものである。

 本条例制定の動きの背景には,川崎市内で激しいヘイトスピーチを伴うデモが繰り返され,市民に対して深刻な被害を生じさせているという社会状況がある。また,市による公園使用不許可,裁判所の仮処分決定,法務省人権擁護局の勧告等,関係諸機関の努力にもかかわらず,川崎市内では未だヘイトスピーチ団体が講演会を開く等の動きがあり,インターネット上における特定の個人に向けた誹謗中傷といった人権侵害行為も継続している。日本が1995年に加入した「人種差別撤廃条約」2条1項dによれば,各締約国は,すべての適当な方法により,いかなる個人,集団又は団体による人種差別も禁止し,終了させるものとされている。ヘイトスピーチは人種差別の一形態であり,本条例の制定は,同条約の趣旨に沿うものである。また,地域の実情に応じたヘイトスピーチ解消施策をとるよう自治体に責務を課した「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」5〜7条の趣旨に照らしても,本条例によるヘイトスピーチの規制は緊急の課題である。

 本条例制定にあたっては,これまで川崎市が行ってきた多文化共生社会推進の取組みの延長と位置づけ,人種差別を包括的に禁止し,多文化共生社会を推進する基本施策を定めた「人権条例」とすることが望ましい。川崎市は,1996年に川崎市外国人市民代表者会議条例を制定して同会議を設置し,2005年には川崎市多文化共生社会推進指針を策定しており,また,それ以前から外国人高齢者福祉手当及び外国人心身障害者福祉手当の支給,市職員採用の国籍条項の一部撤廃,川崎市在日外国人教育基本方針の制定,市営住宅入居資格の国籍条項撤廃,川崎市外国人市民意識実態調査の実施等,外国人に関する優れた政策を全国に先んじて行ってきた。本条例は,これらの施策を整理一本化し,入居差別,就職差別,その他あらゆる人種差別を禁止するとともに,施策審議と被害者救済を行う第三者機関の設置等を定めた包括的な内容とすることが望ましい。
 前述の人権施策推進協議会の提言においても,制定すべき条例の内容については,「ヘイトスピーチ対策に特化したものではなく」,「ヘイトスピーチ対策も含めた多文化共生,人種差別撤廃などの人権全般にかかるものが想定される」とされている。そこで,ヘイトスピーチ対策は本条例の一部と位置づけた上で,川崎市の社会状況を踏まえ,明確な禁止条項を定めるとともに,(インターネットを含む)被害の実態調査や,ネット上の人権侵害行為に対し継続的に削除要請を行うことのできる組織の創設などのネット対策,被害者に対する適切な相談窓口等を整備するべきである。

 川崎市は,2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定などを契機に,ますます海外との交流人口が増え,国際都市としてふさわしい多様性を活かしたまちづくりが求められている。世界から様々な人々を迎え入れるためには,人種や国籍を超えた多様な人々が共生できるまちづくりが急務である。国は未だ人種差別を包括的に禁止する法律を持たないが,川崎市は,この分野の施策で全国をリードしており,条例制定においても,他の自治体をリードし,世界に誇れるまちづくりを目指すべきである。

 2017年(平成29年)3月23日
 神奈川県弁護士会 会長 三 浦    修

 南スーダンにおける国連平和維持活動(PKO)のために派遣 する自衛隊への「駆け付け警護」の新任務等の付与の撤回、 自衛隊の部隊撤収及び安全保障関連法の廃止を求める会長声明
 2017年01月13日更新

 政府は、2016年11月15日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊の部隊に、2015年9月に制定された安全保障関連法に含まれる改正「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(改正PKO法)に基づく新任務である「駆け付け警護」を付与する新たな南スーダン国際平和協力業務実施計画を閣議決定し、併せて「宿営地共同防護」の任務も付与する判断を行った。その結果、南スーダンに派遣された陸上自衛隊第9師団を主力とする自衛隊の部隊は、2016年12月12日以降これらの任務を遂行することが可能となった。

 「駆け付け警護」は、PKO等の活動関係者の生命又は身体に対する不測の侵害又は危難が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命及び身体の保護の活動であり、「宿営地共同防護」は、宿営地を共にする他国軍隊の部隊の要員に対し攻撃があった場合に、当該部隊の要員とともに武器を使用して対処する活動である。いずれの活動も戦闘行為に発展するおそれがあり、憲法第9条に抵触する可能性が高いものであって、到底容認することができない。

 そもそも、我が国がPKOに参加する際にはPKO参加5原則の要件が堅持されていることが必要である。

 しかし、冷戦終結後、PKOの変質に伴い、多くのPKOは住民保護等のために武力の行使を認められた紛争主体と化してしまっており、自衛隊がPKO参加5原則を堅持した状態で活動することは困難である。

 とりわけ、南スーダンにおいては、大統領派と前副大統領派との間で、激しい内戦が生じている。2016年2月17日・18日の両日には、南スーダン政府軍兵士らが北部マラカルの国連基地内の避難民保護キャンプを襲撃し、略奪・焼き討ちを行い、国境なき医師団のスタッフ2名を含む18名が死亡し90人以上が負傷する事件が起きている。また、同年7月8日からは首都ジュバ市内でも300名以上が死亡する激しい内戦が勃発し、中国のPKO隊員2名も死亡している。反政府勢力の指導者である前副大統領自身が和平合意は崩壊したと述べ、同年11月1日に公表された国連特別報告書でも停戦合意は崩壊した旨断定されていることからすると、いまやPKO参加5原則のうち少なくとも「紛争当事者間で停戦合意が成立していること」という要件を充たしていないことは明らかである。

 かかる状況下で「駆け付け警護」や「宿営地共同防護」の任務を付与することは、自衛隊が、政府軍、反政府軍を始めとする武装勢力と戦闘を行うという、憲法第9条の禁止する武力の行使へと発展する可能性がきわめて高い。そして、自衛隊員が実際に人を殺傷し、又は殺傷される危険が現実のものにもなりかねないのである。

 よって、当会は、政府に対し、ただちに、南スーダンPKOに従事する自衛隊の部隊への新任務等の付与を撤回し、PKO参加5原則に従い自衛隊の部隊の撤収を行うことを求めるとともに、改めて改正PKO法を含む安全保障関連法の廃止を求めるものである。

 2017(平成29)年1月12日
 神 奈 川 県 弁 護 士 会 会 長 三 浦 修

 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁 推進法案」)の成立に反対し廃案を求める会長談話
 2016年12月12日更新

 本年12月6日,衆議院本会議において,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)が可決され,同日のうちに参議院に送付された。この法案は,平成25年12月に国会に上程されて廃案となったものが,ごくわずかの修正を加えて平成27年4月に再度,国会に上程されたものであり,その後,長期間にわたって審議のないままであったところ,本年11月30日に突如として内閣委員会での審議が開始され,わずか6時間の審議をしただけで同年12月2日に委員会採決が行われ,その直後に本会議での採決に至ったものである。
 
 当会は,これまで,平成26年10月9日に一部修正前のカジノ解禁推進法案についてその廃案を求める意見書を,さらに,平成27年7月8日にはこの法案について再度の廃案を求める会長声明をそれぞれ発出した。これらの中で廃案を求める理由として指摘したのは,カジノ解禁について,深刻なギャンブル依存の問題をさらに悪化させる危険性が高いこと,暴力団等の反社会的勢力の資金源となることやマネー・ロンダリングのおそれを排除できないこと,カジノ解禁がもたらす経済的効果に関しても,短期間のプラス面のみが喧伝され,病的ギャンブラーが生み出されること等による生産性の喪失や社会コストの増加については何ら検討されていないこと等である。

 しかるに,これらの意見書及び会長声明で指摘した事項については,その後何ら具体的な検討がなされることもなく,また,一般国民のカジノに対する不安・懸念の声にも何ら耳を傾けることなく,このたび,極めて拙速かつ強引なかたちで衆議院での可決に至ったことは,誠に遺憾である。いわゆる5大新聞社(朝日・読売・毎日・日経・産経)も,このような形でカジノ解禁推進法案を成立させようとしていることについて,一致して反対する論調を展開している。

 現在,参議院での審議が行われているが,参議院においても十分な議論を尽くす姿勢のないまま,新聞報道等によれば,本年12月14日閉会予定の臨時国会での成立が目指されているとのことである。当会としては,以上に述べたように,極めて多くの問題点を抱えるカジノ解禁推進法案を,このように短期間で成立させようとしていることについて,断固反対するとともに,ただちに廃案とするよう,求めるものである。

 2016(平成28)年12月12日
 神奈川県弁護士会 会長 三浦 修

投稿日: 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2354 ら福井県弁護士会@ 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2354 ら福井県弁護士会@ 2018年2月2日

ソース:2354 ら福井県弁護士会@ 2018年2月2日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/02/2354-%e3%82%89%e7%a6%8f%e4%ba%95%e7%9c%8c%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a0/

2354 ら福井県弁護士会@
 
 福井弁護士会
 ttp://fukuben.or.jp/

 会長声明
 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement

 会長 川村 一司

 2017年08月31日
 死刑制度の廃止を含む刑罰制度の見直しに着手しないまま死刑執行を続けることについて抗議する会長声明

 2017年08月18日
 いわゆる共謀罪法の制定・施行に抗議する会長声明?自由に考え,議論し,意見表明を行い続けられる社会のために?

 2017年08月08日
 地方消費者行政の一層の強化を求める会長声明

 会長  海 道 宏 実

 2017年03月23日
 いわゆる「共謀罪法案」の成立に反対する会長声明ー皆さんもいつの間にか捜査や処罰の対象になる世の中に!それでよいのでしょうか?

 2016年12月22日
 政府に労働時間規制強化により長時間労働を早急に是正することを求める会長声明

 2016年11月25日
 いわゆる共謀罪新法案の国会提出に反対する会長声明―市民の自由が脅かされ,いつの間にか処罰されてしまう世の中にしないために

 2016年11月25日
 死刑執行に強く抗議し,改めて死刑執行を停止し,死刑制度の廃止に向けた検討をすべきであることを求める会長声明―犯罪被害者遺族支援とともに刑罰制度の見直しを2016年11月25日
 憲法に緊急事態条項を創設することに反対する会長声明―災害対策を口実にするな

 2016年04月22日
 死刑執行に強く抗議し,死刑執行を停止し,死刑制度について全社会的議論を求める会長声明
2016年04月20日
 安全保障関連法の施行に強く抗議するとともにその廃止を求める会長声明

 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement/page/2

 会長 寺田 直樹

 2016年03月23日
 大津地裁による高浜原発運転差止・仮処分決定に対する会長声明

 2016年01月21日
 死刑執行に強く抗議し,改めて死刑執行を停止し,死刑制度の廃止についての全社会的議論を求める会長声明

 2016年01月20日
 司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明

 2015年12月28日
 高浜原発3,4号機及び大飯原発3,4号機差止仮処分福井地裁決定に対する会長声明

 2015年09月28日
 安全保障法制改定法案の成立に抗議する会長声明

 2015年07月24日
 少年法の適用年齢引き下げに反対する会長声明

 2015年07月23日
 安全保障関連法案の衆議院強行採決に抗議し,同法案の撤回・廃案を強く求める会長声明

 2015年07月01日
 死刑執行に強く抗議し,改めて死刑執行を停止し,死刑制度の廃止についての全社会的議論を求める会長声明

 2015年05月25日
 安全保障法制改定法案に反対する会長声明

 2015年04月30日
 放送の自由の確保を求める会長声明

 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement/page/3

 2015年04月14日
 高浜原発3,4号機差止仮処分福井地裁決定に対する会長声明

 2015年04月06日
 労働時間規制を緩和する「労働基準法等の一部を改正する法律案」の閣議決定に反対する会長声明

 会長 内 上 和 博

 2015年03月27日
 中池見湿地のラムサール条約登録範囲に悪影響を与えないよう北陸新幹線ルートの再検討を求める会長声明

 2015年01月29日
 商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明

 2015年01月19日
 内閣府消費者委員会の消費者庁移管について慎重な審議を 求める会長声明

 2014年12月18日
 福井事件再審請求最高裁決定に対する会長声明

 2014年12月01日
 秘密保護法の施行に反対し同法の改廃を求める会長声明

 2014年09月30日
 死刑執行に抗議する会長声明

 2014年07月04日
 集団的自衛権行使容認の閣議決定に強く抗議する会長声明

 2014年05月21日
 大飯原発3,4号機差止訴訟福井地裁判決に対する会長声明

 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement/page/4

 2014年04月30日
 商品先物取引法下における不招請勧誘禁止緩和に反対する会長声明

 2014年04月30日
 集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明

 2014年04月30日
 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する 法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明

 会長 島 田  広

 2014年03月14日
 過労死等防止基本法の成立を求める会長声明

 2013年12月18日
 商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制撤廃に反対する会長声明

 2013年12月18日
 死刑執行に関する会長声明

 2013年12月18日
 秘密保護法の採決強行に抗議し,同法の改廃を求める会長声明

 2013年12月11日
 行政書士法改正に反対する会長声明

 2013年12月04日
 衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明

 2013年11月29日
 生活保護法改正案の廃案と国民の生活保護受給権の実効的保障を求める会長声明

 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement/page/5

 2013年11月27日
 特定秘密保護法案の国際原則に照らした徹底審議と廃案を求める会長声明

 2013年11月27日
 通信傍受の安易な拡大と会話傍受の導入に反対する会長声明

 2013年11月05日
 国民の知る権利を侵害する特定秘密保護法案の廃案を求める会長声明

 2013年10月31日
 憲法第96条の発議要件緩和に反対する会長声明

 2013年10月31日
 福島第一原発事故に関し,損害賠償請求権を実質化するための立法措置及び,健康被害を未然に防ぐための措置を求める会長声明

 2013年09月30日
 死刑執行に関する会長声明

 2013年08月01日
 個人保証の原則的な廃止等を求める会長声明

 2013年06月12日
 「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明

 会 長  和 田 晋 一

 2013年03月06日
 「福井女子中学生殺人事件」再審棄却決定に関する会長声明

 2012年07月25日
 秘密保全法制定に反対する会長声明

 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement/page/6

 2012年07月18日
 大飯原発の再稼働が行われたことに抗議するとともに,停止中の原発につき再稼働しないことを求める会長声明

 2012年07月02日
 貸金業法完全施行2周年を迎えての会長声明

 会長  安 藤  健

 2011年12月22日
 福井県警察警察官による逮捕状請求書偽造行為に対する会長声明

 2011年11月30日
 「福井女子中学生殺人事件」再審開始決定に関する福井弁護士会会長声明

 2011年04月28日
 「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」に関する会長声明

 会長 井  上    毅

 2011年03月24日
 提携リース契約を規制する法律の制定を求める会長声明

 2010年11月25日
 秋田弁護士会所属会員の殺害事件に対する会長声明

 2010年06月25日
 司法修習生に対する給費制の存続を求める会長声明

 2010年05月31日
 全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

 会 長    黛   千 恵 子

 2010年03月29日
 家族法の差別的規定改正の早期実現を求める会長声明

 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement/page/7

 2010年01月29日
 取調べの可視化(全過程の録画)の早期実現を求める会長声明

 2009年12月24日
 葛飾ビラ配布事件最高裁判決に関する会長声明

 2009年10月30日
 改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明

 2009年08月27日
 消費者庁長官及び消費者委員会委員の選任手続に関し 両組織創設の趣旨の徹底を求める会長声明

 2009年07月27日
 生活保護「母子加算」制度の法定を求める会長声明

 会長 朝  日   宏  明

 2009年03月11日
 取調べの可視化(全過程の録音・録画)の実現を求める会長声明

 2008年09月17日
 死刑執行に関する会長声明

 2008年06月11日
 死刑執行に関する会長声明

 2008年05月30日
 「犯罪被害者等による少年審判の傍聴」を内容とする少年法改正法案に対する会長声明

 会長  北 川  稔

 2008年02月13日
 死刑執行に関する会長声明

 ttp://fukuben.or.jp/statement/chairman-statement/page/8

 2007年04月27日
 「憲法改正国民投票法案」の慎重審議を求める声明

 会長  山川 均

 2006年11月30日
 教育基本法改正法案に反対する再度の会長声明

 2006年06月02日
 教育基本法改正法案に反対する会長声明

 2006年04月28日
 「弁護士から警察への依頼者密告制度(ゲートキーパー制度)」に反対する会長声明

 2006年04月25日
 共謀罪新設に反対する会長声明
 ttp://fukuben.or.jp/statement/arguments
 意見書
 会 長  島 田   広

 2013年09月17日
 「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書
  会 長  和 田 晋 一

 2012年07月25日
 公契約法・公契約条例の制定を求める意見書
 会 長 安 藤  健

 2011年09月09日
 地方消費者行政の充実強化に対する国の支援のあり方に関する意見書
 会 長 北 川  稔

 2007年10月03日
 割賦販売法改正についての意見書
 会 長 山 川  均

 2006年11月14日
 割賦販売法の抜本的改正を求める意見書
 ttp://fukuben.or.jp/statement/resolution
 決議
 会 長  和 田 晋 一

 2012年11月29日
 生活保護基準の引き下げに強く反対する総会決議
 会長 安藤 健

 2012年02月22日
 全面的国選付添人制度の実現を求める総会決議
 会長 井上 毅

 2010年12月27日
 各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議

 ―――――?―――――?―――――

 放送の自由の確保を求める会長声明

 1 自由民主党情報通信戦略調査会は,2015年4月17日,日本放送協会(NHK)の報道番組におけるやらせ報道問題及びテレビ朝日の報道番組においてコメンテーターが「官邸からバッシングを受けてきた」旨発言した問題について,両放送事業者の幹部を呼んで事情聴取を行った。同調査会(旧電気通信調査会)は同党の放送・通信分野の政策を担当する部局であり,報道によれば,同調査会の川崎二郎会長は,調査終了後,記者団に対して,放送倫理・番組向上機構(BPO)によるチェックが不充分なら,新たな第三者機関を設ける制度改正を行う可能性があることを示唆する発言をしたとされている。

 政府と密接な関係にあり,今後の政府の放送政策に重大な影響を与える与党の調査会が,個々の番組の内容に関して放送事業者の幹部を呼んで事情聴取をすることは,放送事業者に対する事実上の圧力にほかならず,憲法及び放送法に照らしてきわめて不当な行為であると言わざるを得ない。

 2 いうまでもなく,放送事業者には放送の自由がある。放送の自由は,日本国憲法第21条によって保障されており,国民の知る権利に奉仕するものとして民主主義の健全な機能を確保する上でもっとも重要な基盤となる憲法上の基本的人権である。

 放送法は,第二次世界大戦中に放送が政府や軍部のプロパガンダの道具とされた歴史に対する真摯な反省にたちつつ1,かかる憲法上の重要な意義を有する放送の自由を確保すべく,その目的において「放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによって,放送による表現の自由を確保すること」(第1条第2号)を掲げ,さらに「放送番組は,法律に定める権限に基づく場合でなければ,何人からも干渉され,又は規律されることがない。」(第3条)と規定し,番組編集の自由を保障している。番組内容に誤り等がある場合にも,放送事業者の「自律」を尊重しつつ是正が図られるよう,放送事業者自身に調査・訂正等の義務を課すほか(第9条),放送番組審議機関の制度を設けており(第6条,第7条),放送番組が外部からの圧力によってゆがめられることのないよう,慎重に配慮している。

 3 こうした放送の自由の重要な意義及びこれを確保するための放送法の諸規定の趣旨に鑑みれば,政府が個々の放送番組の内容に干渉することが許されないのはもとより2,政党が政策調査を行う際にも,個々の番組内容に対する干渉にわたらないようにすべき制約があるといえる(なお政党が,事実と異なる報道により権利を害された場合には,放送法第9条に基づき訂正放送の請求をすればよいのであって,放送事業者の関係者から事情聴取を行う必要はない。)。

 4 今回の自由民主党による事情聴取は,こうした制約を全く無視し,個々の番組の内容を狙い撃ちにして調査を行うものであり,放送番組の内容への干渉に外ならず,きわめて不当である。特に,政府と密接な関係を有する与党によってかかる干渉がなされることは,放送事業者の放送の自由を著しく脅かす行為といえる。

 当会は,基本的人権の尊重と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として,民主主義の根幹をなす国民の知る権利と放送事業者の放送の自由を脅かすこうした行為を,看過することはできない。

 5 よって,当会は,自由民主党はもとより,他の政党に対しても,個々の番組内容を狙い撃ちにした調査等,放送事業者の放送の自由を脅かす行為を行わないよう求め,放送事業者に対しては,そうした圧力に屈することなく自らの放送の自由を守ることを求める。

 1 同法制定時の衆議院本会議において,当時衆議院電気通信委員会委員長であった辻寛一は,第3条に関する説明の中で,次のように述べて,放送の自由の重要性を強調している。「放送は,それが強力な宣伝の具であるがゆえに,一層表現の自由を確保されなければなりません。かつてわが国において,軍閥,官僚が放送をその手中に握って国民に対する虚妄なる宣伝の手段に使ったやり方は、将来断じてこれを再演せしむべきではありません。」

 2 なお,放送法第3条の2のいわゆる番組編成準則については,かつては政府もこれを「精神的規定」と説明し,その実施は放送事業者の自律に待つべきものと説明していた。1993年9月のいわゆる椿発言問題以来,同条を理由とする放送内容に関する行政指導が繰り返されているが,この行政実務のあり方自体,憲法学説上,違憲の疑いが強いとして批判されている。

 2015年(平成27年)4月30日
 福井弁護士会 長 寺 田 直 樹

 死刑制度の廃止を含む刑罰制度の見直しに着手しないまま死刑執行を続けることについて抗議する会長声明

 2017年(平成29年)7月13日,2名に対し,大阪拘置所および広島拘置所においてそれぞれ死刑が執行された。金田勝年法務大臣による2度目の執行であり,第2次安倍内閣以降,死刑が執行されたのは11回目で,合わせて19名になる。

 死刑制度は,死刑が人間の生命を奪うという非人道的行為であること,EUを中心とする世界の約7割の国々が死刑を廃止又は停止していること,誤判・冤罪により死刑を執行した場合には取り返しがつかないこと,などの様々な問題を内包していることは,2016年(平成28年)11月25日付け当会会長声明などにおいて繰り返し指摘してきたとおりである。そして,日本弁護士連合会は,2016年(平成28年)10月7日,我が福井県で開催された第59回人権擁護大会において,これまでよりさらに踏み込んで,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,その中で,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年(平成32年)までに死刑制度の廃止を目指すべきであることを宣言した。その宣言においては,犯罪被害者・遺族に対する十分な配慮と支援が不可欠であるとしつつも,他方で,生まれながらの犯罪者はおらず,犯罪者となってしまった人の多くは家庭,経済,教育,地域等における様々な環境や差別が一因となって犯罪に至っているという実態があることを踏まえると,人権を尊重する民主主義社会であろうとする我々の社会においては,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体を見直す必要があるとして,直ちに公の議論を始めるよう求めている。

 当会においても,2013年(平成25年)7月には市民参加の下,「死刑を考える日2013」を開催し,また,2015年度(平成27年度)に設置された中部弁護士会連合会内の死刑問題検討ワーキンググループにおいても,昨年度は死刑廃止を考えるシンポジウムを富山,愛知,石川の各地で合計3回開催するなど,福井のみならず中部地方の各弁護士会を挙げて,より幅広く死刑廃止に向けた全社会的議論への取り組みを進めてきている。

 このような状況下で,死刑制度とその運用に関する情報の公開が十分になされず,公の議論が何ら行われないまま,死刑の執行が繰り返されていることは,到底容認できない。当会は,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の見直しに着手しないまま行われた今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑制度についてのさらなる全社会的議論を呼びかけるものである。

 2017年(平成29年)8月31日
 福井弁護士会     会長 川村 一司

 いわゆる共謀罪法の制定・施行に抗議する会長声明?自由に考え,議論し,意見表明を行い続けられる社会のために?

 去る2017年(平成29年)6月15日,共謀罪を新設することを内容とする組織的犯罪処罰法の改正案(以下「共謀罪法案」という)が国会で可決・成立し,同法は同年7月11日に施行された。

 同法案に対しては,国内外からさまざまな問題点が指摘され,当会も複数回にわたり反対の見解を表明した(2016年(平成28年)11月25日付け及び2017年(平成29年)3月22日付け当会会長声明)。国連プライバシーに関する権利の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏も,首相宛書簡の中で「プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」との強い懸念を表明した。

 また,様々な指摘にもかかわらず,同法案の本質的問題は修正されなかった。準備行為に着手した時点で処罰するとされるが,その「準備行為」の内容は依然として曖昧であり,実質的には共謀内容に着目することになる。このように,憲法の保障する思想・信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由等の基本的人権に対する重大な脅威となるばかりか,既遂処罰を原則とし,その前段階の未遂や予備等は例外的に処罰する刑法の基本原則を否定するという問題は解消されなかった。依然としてテロと無関係な犯罪まで多数が処罰対象となっており,また,処罰対象となる「組織的犯罪集団」の要件も曖昧であった。政府は,こうした問題点の指摘に対し,国会でも変遷し不明確さの残る答弁しかできず,国連の特別報告者からの質問にも,実質的に回答することはなかった。277もの多数の罪を対象とし,国民の基本的人権に重大な影響を与える法案にもかかわらず,審議時間は衆議院でわずか30時間,参議院では17時間50分に過ぎなかった。

 かかる状況において,衆議院及び参議院で同法案の採決が強行され,とりわけ参議院においては,「中間報告」(国会法56条の3)の制度が濫用され本会議での採決が強行された点で,わが国の議会制民主主義の歴史に重大な汚点を残した。

 当会は,国民の基本的人権を脅かす共謀罪法案が,国会での十分な審議も経ないまま成立を強行され,施行されたことに強く抗議し,今後も同法の改廃を求めていく。 また,成立した共謀罪法は,その要件の不明確さゆえに市民の基本的人権を不当に侵害し,もしくは市民が基本的人権を行使する上で重大な萎縮効果をもたらしうる。当会は,基本的人権が不当に侵害されることのないよう,日本弁護士連合会,市民団体等と連帯し,市民の基本的人権を擁護し,これが不当に侵害される場合には,当会と所属会員はその擁護のために全力をあげる決意であることを表明する。あわせて,市民各位に対し,同法によって萎縮することなく,これまで以上に,自由に考え,議論し,意見表明を行い続けることを呼びかけるものである。

 2017年(平成29年)8月17日
 福井弁護士会 会長 川 村 一 司

 去る2017年(平成29年)6月15日,共謀罪を新設することを内容とする組織的犯罪処罰法の改正案(以下「共謀罪法案」という)が国会で可決・成立し,同法は同年7月11日に施行された。

 同法案に対しては,国内外からさまざまな問題点が指摘され,当会も複数回にわたり反対の見解を表明した(2016年(平成28年)11月25日付け及び2017年(平成29年)3月22日付け当会会長声明)。国連プライバシーに関する権利の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏も,首相宛書簡の中で「プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」との強い懸念を表明した。 また,様々な指摘にもかかわらず,同法案の本質的問題は修正されなかった。準備行為に着手した時点で処罰するとされるが,その「準備行為」の内容は依然として曖昧であり,実質的には共謀内容に着目することになる。このように,憲法の保障する思想・信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由等の基本的人権に対する重大な脅威となるばかりか,既遂処罰を原則とし,その前段階の未遂や予備等は例外的に処罰する刑法の基本原則を否定するという問題は解消されなかった。依然としてテロと無関係な犯罪まで多数が処罰対象となっており,また,処罰対象となる「組織的犯罪集団」の要件も曖昧であった。政府は,こうした問題点の指摘に対し,国会でも変遷し不明確さの残る答弁しかできず,国連の特別報告者からの質問にも,実質的に回答することはなかった。277もの多数の罪を対象とし,国民の基本的人権に重大な影響を与える法案にもかかわらず,審議時間は衆議院でわずか30時間,参議院では17時間50分に過ぎなかった。

 かかる状況において,衆議院及び参議院で同法案の採決が強行され,とりわけ参議院においては,「中間報告」(国会法56条の3)の制度が濫用され本会議での採決が強行された点で,わが国の議会制民主主義の歴史に重大な汚点を残した。

 当会は,国民の基本的人権を脅かす共謀罪法案が,国会での十分な審議も経ないまま成立を強行され,施行されたことに強く抗議し,今後も同法の改廃を求めていく。 また,成立した共謀罪法は,その要件の不明確さゆえに市民の基本的人権を不当に侵害し,もしくは市民が基本的人権を行使する上で重大な萎縮効果をもたらしうる。当会は,基本的人権が不当に侵害されることのないよう,日本弁護士連合会,市民団体等と連帯し,市民の基本的人権を擁護し,これが不当に侵害される場合には,当会と所属会員はその擁護のために全力をあげる決意であることを表明する。あわせて,市民各位に対し,同法によって萎縮することなく,これまで以上に,自由に考え,議論し,意見表明を行い続けることを呼びかけるものである。

 2017年(平成29年)8月17日
 福井弁護士会 会長 川 村 一 司

 いわゆる「共謀罪法案」の成立に反対する会長声明ー皆さんもいつの間にか捜査や処罰の対象になる世の中に!それでよいのでしょうか?

 マンション建設反対の会で座り込みをしようと会員同士がSNSで相談し合い,その後お花見のためにシートを買ったAさん

 宗教団体に入信したところ,団体のメーリングリストで「役所に放火しろ」と幹部から指示を受け,メーリングリスト内では下見に行った等やりとりがかわされていたが怖くて返信していないBさん このたび政府は,2017年(平成29年)3月21日,犯罪を計画段階で処罰する共謀罪を新設することを内容とする組織的犯罪処罰法の改正案(以下「共謀罪法案」という)を閣議決定し,本通常国会に提出した。

 当会は,昨年11月25日にも,憲法の保障する思想・信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由等の基本的人権に対する重大な脅威になるばかりか,刑法の基本原則を否定するものであるとして,いわゆる共謀罪法案の国会への提出に強く反対する会長声明を出してきた。

 共謀罪法案は,@テロ対策を目的としていることA対象犯罪を277に減少させたこと等の点で,従来の共謀罪法案とは異なっていると政府は主張している。

 しかし,そもそも法案の目的(第1条)にテロ文言がないばかりか,テロリズムの定義規定もなく,当初の政府原案にはなかった「テロリズム集団その他」がその後になって主体に付加された経過からして,真にテロ対策を目的としているとはうかがえない。また,テロ対策とは関連性のない犯罪(組織的な詐欺,覚せい剤譲渡,詐欺破産等)も多数対象犯罪とされていること等からすれば,従来の共謀罪法案の有する法的な問題点は何ら解消されていないものと評価できる。また,この間の国会審議を踏まえると,冒頭に記載した事例における,お花見のためにシートを買っただけのAさん,メーリングリストでのやりとりに返信しなかっただけのBさんのように,自分の知らない間に捜査対象となり,一般市民や市民団体が処罰の対象とされる可能性が否定できないことも明らかになってきた。

 よって,当会は,国民の基本的人権を擁護する立場から,「共謀罪法案」の国会提出に強く抗議するとともに,その成立に強く反対するものである。

 2017年(平成29年) 3月 22日
 福井弁護士会 会長  海 道 宏 実

 憲法に緊急事態条項を創設することに反対する会長声明―災害対策を口実にするな

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災の後、政府・自民党においては、災害対策を理由として、憲法を改正し緊急事態条項を創設しようとする動きがあり、憲法審査会でも議論が行われている。

 この緊急事態条項は、大規模な自然災害、外部からの武力攻撃その他法律が定める緊急事態において、内閣総理大臣が閣議にかけ緊急事態の宣言を発することにより、内閣が法律と同一の効力を持つ政令を制定できること、内閣総理大臣が財政上必要な支出その他の処分を行うこと及び地方自治体の長に対して必要な指示ができること等を内容としている(自民党改憲草案第98条・第99条参照)。これは、いわば行政に立法権を付与して国民主権・議会制民主主義・権力分立という憲法秩序を停止するもので、政府への権力の集中と強化をもたらし、その結果、権力の濫用により国民の自由や権利が不当に奪われる危険性が高い。

 一方、大規模災害時において最も重要なことは、刻々と変化する被災現場の状況に応じて臨機応変に対応することができる被災自治体の権限を強化することであり、政府に権限集中を図ることではない。東日本大震災の被災自治体に対する日弁連アンケート(2015年9月実施・24市町村回答)でも、大多数の自治体が災害対策の第一義的な権限は市町村主導にすべきと回答した。また一つを除き全自治体が憲法に緊急事態条項を導入する必要はない旨回答したとの結果が示されている。また、日本の災害法制では、大規模災害時の対処のために既に十分な整備がなされている。すなわち、内閣総理大臣は、災害緊急事態を布告し、生活必需物資等の授受の制限、価格統制等を決定できるほか、必要に応じて地方公共団体等にも指示をすることができる。今後の大規模災害への備えとして行うべきは、こうした災害法制を前提に、平時から防災・減災のための対策・準備を充実させることにほかならない。

 武力攻撃やテロ行為が発生した場合等においても、事態対処法その他の法律により内閣総理大臣長とする対策本部を設置し内閣総理大臣に権限を集中させる等の対処の方法が既に規定されており、憲法に緊急事態条項を創設する必要性はない。むしろ、現行規定が過剰に内閣総理大臣に権限を集中させていないかの検証こそ必要である。ワイマール憲法下において独裁政権を許した例や大日本帝国憲法における緊急勅令等の例を挙げるまでもなく、緊急事態条項は、国家権力を担う者により濫用されてきた歴史がある。日本国憲法が、このような歴史を踏まえた憲法制定議会での議論を経て、敢えて緊急事態条項を設けなかった趣旨を今一度想起すべきである。

 以上のことから、当会は、憲法に緊急事態条項を創設することについて、災害対策としてはまったく必要がないばかりかむしろ有害であり、立憲主義の根幹を変容させ、その濫用により国民の自由や権利を不当に奪われるおそれがあることから、これに強く反対するものである。

 2016年(平成28年)11月25日
 福井弁護士会 会長   海 道 宏 実

 大津地裁による高浜原発運転差止・仮処分決定に対する会長声明

 3月9日、大津地方裁判所は、関西電力高浜原子力発電所(以下「高浜原発」という)3、4号機の運転を禁止する仮処分決定(以下「本決定」という)を発令した。これを受け、関西電力も、停止中の高浜原発4号機に加え、3号機についても運転停止の手続に入った。2015年4月14日に福井地方裁判所が同原発の運転を差し止める仮処分決定を出したときは、高浜原発は運転を停止していたので、史上初めて、司法判断により、運転中の原発が停止したことになる。

 周知のとおり福島原発事故は、人命の喪失を含む、きわめて広範かつ深刻な被害を現在も与え続けている。同様の事態を二度と引き起こしてはならないことは、あまりにも自明である。原発等に対する今日の司法審査は、同事故の教訓を踏まえ、万が一にも同様の事故を起こしてはならないという観点からなされるべきものである。

 本決定は、福島原発事故を踏まえ、原子力規制行政に大幅な改変が加えられた後の事案であることを直視し、電力会社において、福島原発事故を踏まえ、原子力規制行政がどのように変化し、その結果、高浜原発の設計や運転のための規制が具体的にどのように強化され、電力会社がこの要請にどのように応えたかについて、主張及び疎明を尽くすべきであるとする一方、原子力規制委員会が電力会社に対して設置許可を与えた事実のみによっては、上記主張・疎明があったとすることはできないと判断した。

 それを前提として、二度と福島原発と同様の事故を発生させてはならないとの見地から安全対策を講ずるには、徹底した原因究明が必要であり、電力会社や規制委員会の姿勢が、この点に意を払わないものならば、そもそも新規制基準策定に向う姿勢に非常に不安を覚えること、基準地震動策定の前提となる式が科学的に異論のない公式と考えることはできないこと、耐震性能やその評価の前提となる基準地震動の策定方法について十分な検討がなされたとは認められないこと、津波対策や避難計画を含んだ安全確保についても疑問が残ること等の理由により、差止を認めたものである。

 当会は、本決定について、あるべき司法判断の道筋を示したものとして高く評価するとともに、政府及び電力会社各社に対し、本決定の趣旨を尊重し、本決定が指摘した諸点について、確実な安全性が確保されない限り、決して原発を再稼働させないよう求めるものである。

 2016年3月23日
 福井弁護士会長 寺田 直樹

 死刑執行に強く抗議し,死刑執行を停止し,死刑制度について全社会的議論を求める会長声明
2
 016年(平成28年)3月25日,大阪拘置所において1名,福岡拘置所において1名の合計2名に対して死刑が執行された。岩城光英法務大臣による昨年12月に続く死刑執行である。

 死刑制度は,死刑が人間の生命を奪うという非人道的行為であること,EUを中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止していること,誤判・冤罪に基づき死刑執行がなされた場合には取り返しがつかないこと,などの様々な問題を内包している。

 特に,2014年(平成26年)3月27日には,静岡地方裁判所が袴田事件について再審を開始し,死刑および拘置の執行を停止する決定をしたところであり,誤った死刑判決に基づく執行の危険性は依然として残されたままである。

 さらに,2014年(平成26年)2月には,裁判員経験者から,法務省に宛てて死刑執行停止の要望書が提出されており,また,同年11月の内閣府世論調査において,「死刑もやむを得ない」との回答が80.3%であったものの,そのうち40.5%は「将来的には,死刑を廃止してもよい」と回答していること,「仮釈放のない終身刑が導入されるならば」という前提の質問に対する回答において,「死刑を廃止する方がよい」37.7%,「死刑を廃止しない方がよい」51.5%との比率となっていることからも,死刑制度の存廃について議論する必要性があると言える。

 日本弁護士連合会が, 2011年(平成23年)年10月7日,第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め,死刑廃止についての全社会的な議論を呼びかける宣言」を採択したこと等を踏まえ,当会も,2012年(平成24年),会内に死刑廃止プロジェクトチームを設置し,死刑に関する議論を広めるべく活動を開始し,2013年(平成25年)7日には市民参加の下,「死刑を考える日2013」を開催するなど,死刑のない社会を目指した議論を重ねてきた。そして,当会としても,2016年(平成28年)1月21日付け,2015年(平成27年)7月1日付け等の会長声明において,十分な全社会的議論が尽くされることなく死刑が執行されていることに強く抗議するとともに,死刑執行を停止し,死刑制度について全社会的議論を行う必要性を繰り返し表明してきたところである。

 また,昨年度からは,中部弁護士会連合会内にも死刑問題検討ワーキンググループが設置されたことから,中部地方の各弁護士会とも連携して,より幅広く死刑制度の存廃について全社会的議論を行うための取り組みも進めているところである。

 このような状況下で,死刑制度とその運用に関する情報の公開がなされず,公の議論が何ら行われないまま,死刑執行だけがさらに繰り返されていることは,到底容認できない。

 このような実情を踏まえ,当会は,これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが,今回もまた全社会的議論がなされないなか,死刑が執行されたことに強く抗議するとともに,死刑執行を停止することと死刑に関する情報を広く国民に公開することを要請し,死刑制度についての全社会的議論を求めるものである。

 2016年(平成28年)4月22日
 福井弁護士会  会長 海 道 宏 実

 安全保障関連法の施行に強く抗議するとともにその廃止を求める会長声明

 2016年(平成28年)3月29日,平和安全法制整備法及び国際平和支援法(以下「安全保障関連法」という。)が施行された。

 安全保障関連法は,大多数の憲法学者,元内閣法制局長官ら,さらには元最高裁長官を含む最高裁判所裁判官経験者までもが,憲法違反であると指摘し,日本弁護士連合会及び全国全ての弁護士会が廃案を求め,多くの国民が反対する中で,採決が強行され成立した法律である。当会も,2015年(平成27年)5月25日付け,同年7月23日付け及び同年9月28日付け各会長声明において,憲法違反の同法に反対の態度を繰り返し表明してきた。

 安全保障関連法は,「存立危機事態」なる抽象的で不明確な要件の下に,歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認し,わが国が攻撃されていないにもかかわらず自衛隊が海外で他国と共に武力を行使することを可能にした。加えて,外国軍隊の武力行使との一体化に当たるとして禁じてきた範囲にまで「後方支援」を拡大し,国連平和維持活動(PKO)に従事している自衛隊に駆け付け警護等の新たな任務と任務遂行のための武器使用権限を付与した。

 このように,安全保障関連法の内容は明らかに日本国憲法第9条に違反しており,同法により,日本国憲法が国家権力に課した最も重要な制約である「戦争放棄」が事実上骨抜きにされるに至っていることは,立憲主義を損なう重大な暴挙といわざるを得ない。

 また,安全保障関連法は,手続的にも,内容が多岐にわたり憲法上の問題点も多い法案を,国会提出後わずか4か月という短期間で強行採決を重ねて成立させた点で,わが国の議会制民主主義の歴史に重大な汚点を残した。法案成立後,安倍内閣総理大臣は「政府としてこれからも国民に丁寧に説明する努力を続けていきたい」と記者会見で述べたが,その後も国民に対し十分な説明はなされていないばかりか,2016年(平成28年)2月に民主党などの野党5党(当時)が共同提出した安全保障関連法廃止法案の今国会での審議入りを与党が拒否するなど,安全保障関連法への疑問に耳を傾けない政府与党の対応には,「国民に丁寧に説明する」姿勢はいささかも感じられない。
 
 折しも日本国憲法制定70周年にあたる今年,日本国憲法にとってかかる重大な危機が進行し,立憲主義が損なわれていることに対しては,深い憂慮を表明せざるを得ない。

 よって,当会は,安全保障関連法が施行されたことに強く抗議するとともに,その廃止を強く求めるものである。

 2016年(平成28年)4月20日
 福井弁護士会
 会長 海 道 宏 実

 死刑執行に強く抗議し,改めて死刑執行を停止し,死刑制度の廃止についての全社会的議論を求める会長声明

 2015(平成27)年12月18日,東京拘置所において1名,仙台拘置所において1名の合計2名に対して死刑が執行された。岩城光英法務大臣による初めての死刑執行であり,第2次安倍内閣以降,死刑が執行されたのは8回目で合わせて14名となる。

 当会は,昨年7月にも,当面の間死刑執行を停止し,その間に死刑に関する情報を広く国民に公開し,全社会的議論を踏まえた上で死刑制度を見直すことを求めてきた。にもかかわらず,今回,さらに死刑執行が行われたことは極めて遺憾であり,改めて死刑執行に強く抗議するものである。

 死刑の廃止は国際的な趨勢である。いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で死刑制度を存置している国は,日本・韓国・米国の3か国のみであるが,韓国は18年近く死刑の執行を停止しており事実上の死刑廃止国と評価されており,米国は19州が死刑を廃止している。こうした状況を受け,国際人権(自由権)規約委員会は,昨年,日本政府に対し,死刑の廃止について十分に考慮すること等を勧告している。

 また,米国では,死刑事件については,スーパーデュープロセスとして,9審制や,必要的上訴制など,我が国と比べて手厚い手続保障があり,また,弁護費用や量刑資料等の調査にかかる費用等についても財政的手当がなされている。このことを鑑みると,我が国は,十分な手続保障と量刑資料の元であれば本来死刑になるべきではない者でも死刑となってしまう,いわゆる量刑誤判の危険性が高いという問題を抱えているといえる。このように死刑制度がある国の中でも,我が国は手続保障の薄い国なのである。

 そして,死刑は,一旦執行されてしまえば取り返しがつかない刑罰である。2014(平成26)年3月,いわゆる袴田事件の再審開始決定がなされ,死刑および拘置の執行が停止されたが,もし袴田氏に対し死刑の執行がなされていたならば,まさに取り返しのつかない事態となっていた。袴田事件は,えん罪の恐ろしさはもちろんのこと,この死刑制度の最大ともいえる問題点を浮き彫りにしている。

今回,死刑執行がなされた者のうちの1名は,裁判員裁判により死刑判決を受け,その後一旦は控訴したもののこれを取り下げたため死刑判決が確定した,という事案である。必要的上訴制の下であればさらに審理が行われていたわけであり,国際的な水準からして手続保障に問題があるというべき事案といえる。

 また,もう1名についても,控訴審から事実関係を争った事案であることから,やはり手続保障に疑問が残る事案と言える。

 2014(平成26)年11月に実施された死刑制度に関する政府の世論調査の結果,「死刑もやむを得ない」との回答が80.3%であったものの,そのうち40.5%は「将来的には,死刑を廃止してもよい」とした。また仮釈放のない終身刑が導入されるならば,「死刑を廃止する方がよい」37.7%,「死刑は廃止しない方がよい」51.5%と回答している。この世論調査の結果も,死刑廃止についての全社会的議論の必要性を示している。
 日本弁護士連合会が,死刑のない社会が望ましいことを見据えて,2011(平成23)年10月7日,第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め,死刑廃止についての全社会的な議論を呼びかける宣言」を採択したこと等を踏まえ,当会も,2012(平成24)年,会内に死刑廃止プロジェクトチームを設置し,死刑に関する議論を広めるべく活動を開始し,2013(平成25)年7月には市民参加の下,「死刑を考える日2013」を開催するなど,死刑のない社会を目指した議論を重ねてきた。今年度からは,中部弁護士連合会内にも死刑問題検討ワーキンググループが設置され,中部地方の各弁護士会とも連携して,より幅広く死刑廃止に向けた全社会的議論への取り組みを進めている。

 このような状況下で,死刑制度とその運用に関する情報の公開がなされず,公の議論が何ら行われないまま,死刑執行だけがさらに繰り返されていることは,到底容認できない。
 
 当会は,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑執行を停止することと死刑に関する情報を広く国民に公開することを要請し,死刑制度についての全社会的議論を踏まえたうえで,その抜本的な検討及び見直しを重ねて求めるものである。

 2016年(平成28年)1月21日
 福井弁護士会 会長 寺 田 直 樹

 司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明

 司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)については、これまで、日本弁護士連合会・各弁護士会に対して、多くの国会議員から賛同のメッセージが寄せられており、先日、賛同メッセージの総数が、衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。

 国会議員からの賛同の声は、与野党を問わず広がりを見せており、司法修習生に対する経済的支援の必要性について、理解が得られつつあるものと考えられる。

 司法制度は、社会に法の支配を行き渡らせ、市民の権利を実現するための社会的基盤である。司法修習生は、かかる公共的価値を実現する司法制度を担う法曹になる者たちであるから、本来、国が公費をもって養成するべきである。このような理念のもとに、我が国では、終戦直後から司法修習生に対し給与が支払われてきた。しかし、2011年11月から、修習期間中に費用が必要な修習生に対しては、修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された。司法修習生のなかには、大学や法科大学院における奨学金の債務を負っている修習生も多く、これに修習資金の負債も加わることで、その合計額が極めて多額に上る者も少なくない事態となっている。法曹を目指す者は、年々減少の一途をたどっているが、こうした重い経済的負担が法曹志望者激減の一因となっていることが指摘されているところである。

 このような事態を重く受け止め、法曹に広く有為の人材を募り、法曹志望者が経済的理由によって法曹への道を断念する事態が生ずることのないようにするべきである。そして、司法修習生が経済的不安を抱えることなく修習に専念できる環境を整えるため、司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)が早急に実施されるべきである。

 昨年6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において、「法務省は、最高裁判所等との連携、協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。

 これは、司法修習生に対する経済的支援の実現に向けた大きな一歩と評価することができる。法務省、最高裁判所等の関係各機関は、法曹に広く有為の人材を募り、これらの人材が安心し希望をもって法曹を目指せる制度とするという観点から、司法修習生に対する経済的支援の実現について、直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべきである。

 当会は、司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)に対し、国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せていること、及び、政府においても上記のような決定がなされたことを踏まえて、国会に対し、給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の改正を求めるものである。

 2016年(平成28年)1月20日
 福井弁護士会  会長  寺田 直樹

 安全保障法制改定法案の成立に抗議する会長声明

 1 2015年9月19日,参議院本会議において,平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)が可決成立した。

 2 当会はこれまで,2014年7月1日付け閣議決定及び本法案について,政府が憲法第9条の解釈を変更し,法律によって集団的自衛権の行使を容認することは,憲法の立憲主義の基本理念及び恒久平和主義の基本原理に違反することを,繰り返し指摘してきた。また,後方支援の拡大や武器使用の拡大等の立法も,自衛隊が海外での武力行使に至る危険性を高めるものとして,同様に憲法に違反することを指摘してきた。

 3 本法案の違憲性を指摘する声は,国内に大きく広がった。
 日本弁護士連合会及び全国全ての弁護士会が本法案の違憲性を指摘し反対を表明したばかりではなく,衆議院憲法審査会における3名の参考人(与党推薦を含む)をはじめとする多くの憲法学者,歴代の内閣法制局長官,さらには元最高裁判所長官を含む最高裁判所判事経験者が,本法案の違憲性を指摘するに至った。

 4 本法案については,国会の審議において重大な問題点が指摘されており,議論が尽くされたとは,到底いい難い。

 例えば,具体的にどのような場合に集団的自衛権の行使が必要か,集団的自衛権行使の要件となる「存立危機事態」とは具体的にいかなる場合かについて,政府は「総合的に判断する」との答弁を繰り返すばかりで,少なくとも集団的自衛権の必要性に関しては十分な立法事実すら示すことができなかった。

 5 安倍首相自身が認めるとおり,本法案に対する国民の支持は広まっていない。

 各種世論調査の結果によれば,法案への反対は賛成を大幅に上回り,今国会での成立に反対する意見は,ほとんどの世論調査で過半数を大きく超えている。

 6 このように,違憲の法案を,十分審議を尽くすことなく,しかも多数の国民の反対を無視して,衆参両院で強行採決を繰り返して成立させたことは,立憲民主主義を蹂躙する暴挙というほかなく,わが国の憲政史上に重大な汚点を残すものであって,当会は強くこれに抗議する。

 7 憲法は,「この憲法は,国の最高法規であって,その条規に反する法律,命令,詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない。」(第98条第1項)と定めている。したがって,本法案は成立しても,その憲法違反の内容は無効といわざるを得ない。

 当会は,憲法と立憲民主主義を守り,戦後70年にわたるわが国の平和国家としてのゆるぎない姿勢を堅持すべく,2014年7月1日付け閣議決定の撤回を求めるとともに,今後も多くの市民とともに,改正された各法律及び国際平和支援法の適用・運用に反対し,さらにはその廃止・改正に向けた取組を行う決意である。

 2015年(平成27年)9月28日
 福井弁護士会 会長 寺 田 直 樹

 少年法の適用年齢引き下げに反対する会長声明

 2015(平成27)年6月17日,選挙権年齢を18歳以上に引き下げる「公職選挙法等の一部を改正する法律案」が,参議院本会議において可決され成立した。

 成年年齢引き下げについては,他の法律にも影響を与える事項であり,現に,この法律案には,「民法,少年法その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする」との附則がある。

 昨今,少年事件が凶悪化している,少年法が十分に機能していない等の意見がみられ,政府与党内などにおいて,少年法の適用年齢も現行の20歳未満から18歳未満に引き下げようとする議論がなされている。

 しかし,法律は,それぞれ立法趣旨が異なるのであり,すべての法律でその適用年齢を一律に考える必然性はない。

 公職選挙法は,衆議院議員,参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し,その選挙が選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行われることを確保し,もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする法律である。他方,少年法は,少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする法律である。

 このように,公職選挙法と少年法は,それぞれ立法趣旨が異なるのであって,それぞれ立法趣旨に沿った適用年齢が設定されるべきである。上記附則は,選挙犯罪との関係での調整を図る規定と解するべきであり,少年法の適用年齢を引き下げる根拠となるものではない。

 また,少年事件が凶悪化しているとの意見は,何ら根拠のない意見と言わざるを得ない。

 我が国における少年非行件数について,刑法犯少年の検挙人員は,1980(昭和55)年代前半の約20万人をピークとして減少傾向にある。特に,2004(平成16)年以降は11年連続で減少して,2014(平成26)年には5万人を割っている。また,殺人,強盗,放火,強姦等といった重大犯罪についても,昭和30年代半ばには約8000人が検挙されていたのに対し,2014(平成26)年には,703人にまで減少している。殺人事件(未遂等も含む。)に限定してみても,昭和40年代頃までは,200件を超えていたが,その後,減少し,近年は多い年でも年間20件前後に留まっている。

 このような客観的なデータに鑑みれば,刑法少年の検挙人員および少年による重大事件数は減少しているのであり,少年法の適用年齢を引き下げることを基礎づける立法事実は存在しない。

 また,少年法が十分に機能していないとの意見も何ら根拠のない意見である。

 少年法のもと,非行を犯したと考えられる少年は,全件,家庭裁判所に送致され,少年の成育歴や資質に踏み込んだ調査が行われる。その過程で,少年に内省を深めさせ,非行の背景にある環境を調整し,再度非行を犯すことがないように働きかけが行われている。保護観察および少年院においても,同様の働きかけが行われ,少年の立ち直りに成果を上げている。

 仮に,一律に適用年齢を引き下げるとすれば,成年と同様の刑事手続に付されることになる。成人の刑事事件においては,多くの事件が起訴猶予や略式手続に付され,少年事件において行われているような調査や環境調整などは行われない。そうなれば,少年の立ち直りの機会が損なわれ,再犯リスクを高めることになる。

 また,現行少年法においても,一定の重大事件については,成人と同じ刑事裁判手続に付すことが可能なのであって,少年法の機能の面からみても,適用年齢を引き下げる必要性は乏しい。
 
 少年法の適用年齢の引き下げの議論にあたっては,各法律の立法趣旨や制度の検討をすることなく単純に連動させるべきではなく,個別の事件にのみ着目して十分な根拠ないままに議論をするのではなく,各法律の立法趣旨や制度について充分に検討し,客観的なデータにもとづく慎重な議論を行うべきである。

 以上の通りであるから,当会は,拙速な少年法の適用年齢引き下げに反対するものである。

 2015(平成27)年7月24日
 福井弁護士会 会長  寺  田  直  樹

 秘密保護法の施行に反対し同法の改廃を求める会長声明

 政府は,2014(平成26)年10月14日,特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という。)の運用基準を閣議決定し,来たる同年12月10日に同法が施行されようとしている。

 同法は,国民の知る権利を侵害し,国民主権原理の根幹を脅かし,罪刑法定主義にも抵触し,秘密に関与する関係者のプライバシーを侵害するなど,日本国憲法の基本原理に照らして看過しがたい重大な欠陥をもつものである。当会は,再三にわたる意見書や会長声明の中で,その問題点を強く訴え,日本弁護士連合会も,同様の立場から同法に強く反対してきた。

 同法は,国民からも,国際社会からも強い批判をあびている。情報保全諮問会議が本年7月に作成した同法施行令(素案)及び運用基準(素案)等について同年7月24日から実施されたパブリックコメントでも,2万3820件もの多数の意見が寄せられたが,その多くが同法に対する深刻な懸念を表明するものだったと報じられている。また,国連人権(自由権)規約委員会は、同年7月31日,日本政府に対して,秘密指定には厳格な定義が必要であることやジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰の対象から除外されるべきことなどを勧告した。

 こうした国内外からの強い批判にもかかわらず,秘密保護法は,その施行令や運用基準を総合しても,当会等が指摘してきた問題点を解消することなく施行されようとしている。秘密指定できる情報はきわめて広範であり恣意的な秘密指定の危険性は依然として存在するし,完全に独立した第三者機関や公益通報者保護制度といった恣意的運用を防止する仕組みもきわめて不充分である。秘密漏えいの罪に関する刑事裁判における被告人の手続保障も十分とはいえず,適性評価制度による評価対象者やその家族等のプライバシー侵害の危険も解消されていない。

 したがって,当会は,国民の知る権利や国民主権等の日本国憲法の基本原理を脅かす同法の施行に強く反対し,政府に対し,改めて,同法の廃止又は抜本的な見直しを行うよう強く求める。

 2014(平成26)年12月1日
 福井弁護士会   会 長 内 上 和 博

 死刑執行に抗議する会長声明

 平成26年8月29日,東京拘置所及び仙台拘置支所において,2名に対する死刑の執行が行われた。これは同年6月26日,大阪拘置所において、1名に対して死刑が執行されたことに続く,谷垣禎一法務大臣(当時)による6度目の死刑執行である。

 同大臣による死刑執行は合計で11名に至っており誠に遺憾と言わざるを得ない。

 当会は,昨年度も,死刑執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開し,全社会的議論を踏まえた上で,その見直しを求めてきたものであり,これにも関わらず死刑執行が行われたことに,強く抗議するものである。

 当会としても,平成24年,会内に死刑廃止プロジェクトチームを設置し,死刑に関する議論を広めるべく活動を開始し,平成25年7月には市民参加の下,「死刑を考える日2013」を開催するなど,死刑のない社会を目指した議論を重ねてきた。こうした取組みの中で,えん罪と死刑の関係など,現行の死刑制度に関する様々な問題点が指摘されたところである。

 特にえん罪,すなわち誤判の恐れについては,本年3月27日,静岡地方裁判所が,袴田巖氏の第二次再審請求事件について再審を開始し,死刑及び拘置の執行を停止する決定をしたところであり,誤判の危険が改めて明らかになったところである。
 国際的に見ても,国連人権(自由権)規約委員会は,本年7月24日,日本政府に対し,死刑の廃止について十分に考慮することや,執行の事前告知,死刑確定者への処遇等をはじめとする制度の改善等を勧告している。死刑廃止が国際的にも大きな潮流であることは明らかである。
 日本弁護士連合会においては,死刑のない社会が望ましいことを見据えて,平成23年10月7日,第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め,死刑廃止についての全社会的な議論を呼びかける宣言」を採択している。

 裁判員制度において市民が死刑判決に関わらざるを得ず,困難な判断を迫られる状況の下で,死刑制度とその運用に関する情報の公開が進まずに公の議論が何ら行われないまま執行だけが繰り返されていることは,到底容認できない。

 当会は,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑執行を停止することと死刑に関する情報を広く国民に公開することを要請し,死刑制度についての全社会的議論を踏まえたうえで,その抜本的な検討及び見直しを重ねて求めるものである。

 2014年9月30日
 福井弁護士会   会 長 内 上 和 博

 集団的自衛権行使容認の閣議決定に強く抗議する会長声明

 1 政府は,2014年7月1日,憲法第9条に関する従来の政府解釈を変更し,一定の要件の下に集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。

 当会は,2014年4月30日付け「集団的自衛権の行使容認に反対する会長 声明」において,集団的自衛権の行使容認は憲法第9条の文言からは導き得ない解釈であることを指摘し,政府がそのような解釈に基づいて権力を行使することは,憲法秩序の破壊であり,基本的人権を保障するため,憲法によって国家権力を制限するという近代立憲主義の否定であって,絶対に許されないことを強く主張した。にもかかわらず,政府が集団的自衛権行使容認に踏み切ったことは,実質的には憲法改正手続によらない第9条の変更で,違憲であり,当会は強くこれに抗議する。

 2 今回の閣議決定では,解釈変更の理由について,日本を取り巻く安全保障環境の変化をあげ,「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,日本の存立が脅かされ,国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に,必要最小限度の実力を行使するのは自衛の措置として憲法上許容されると判断するに至った」と説明している。

 しかしながら,憲法第9条が,国際紛争を解決する手段としての武力の行使を永久に放棄していることはその文言上明らかである。したがって,わが国に対する外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされている場合にこれを排除する個別的自衛権の行使は認められるとしても,わが国が直接攻撃されていないにもかかわらず外国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利である集団的自衛権の行使を容認することは,明らかに憲法解釈の域を超えている。また,現在の安全保障環境が,冷戦時と比較しても,憲法第9条の改正を必要とする程度に悪化しているとの論拠も十分に示されていない。

 3 よって,当会は政府に対し,集団的自衛権の行使を容認した今回の閣議決定に強く抗議し,これに基づく関連法令の整備を行わないことを求める。

 2014年(平成26年)7月4日
 福井弁護士会 会長 内 上 和 博

 秘密保護法の採決強行に抗議し,同法の改廃を求める会長声明

 1 2013年12月6日,参議院本会議において特定秘密保護法案の採決が強行され,同法が制定された。

 当会は,再三にわたる意見書や会長声明の中で (※1),同法案が,国民の知る権利を侵害し,国民主権原理の根幹を脅かし,罪刑法定主義にも抵触し,秘密に関与する関係者のプライバシーを侵害するなど,日本国憲法の基本原理に照らして看過しがたい重大な欠陥をもつものであることを強く訴え,その廃案を求めてきた。日本弁護士連合会も,同様の立場から同法案に強く反対してきた。

 当会や日本弁護士連合会のみならず,同法案の提出後,同法案に反対する世論は急速に高まり,報道,研究,映画界等様々な分野から廃案を求める意見が出され,また国際的にも強い危惧が表明されてきた。

 2 こうした,重大な憲法上の欠陥をもつ法案が,各界から表明された強い反対や国民多数の廃案ないし慎重審議を求める声を無視して,国会への法案提出からわずか1か月半も経ぬごく短期間のうちに,衆参両議院での相次ぐ強行採決により成立に至ったことは,極めて異例であり,国会の存在意義すら疑わしめる暴挙というほかなく,当会はこれに強く抗議する。

 国会審議中になされたいくつかの法案修正によっても,同法のもつ憲法上の欠陥は何ら解消されておらず,公布の日から1年以内に予定される同法の施行により,国民の基本的人権が侵害され,国民主権原理が形骸化し,行政に対する国会や裁判所によるチェック機能が弱まるなどの重大な弊害が生じることが,強く懸念される。

 3 よって,当会は,重大な憲法上の欠陥をもつ同法について,その改廃を求めてひきつづき活動する決意である。

 あわせて,国民主権原理の機能確保のために不可欠な情報公開制度・公文書管理制度の改正,特定秘密保護法の有無にかかわりなく整備されるべき情報管理の適正化のための制度策定に向け,全力を尽くすことを誓うものである。

 2013年(平成25年)12月18日
 福井弁護士会 会長 島 田   広

 (※1)2012年7月25日付け「秘密保全法制定に反対する会長声明」,2013年9月17日付け「『特定秘密の保護に関する法律案の概要』に対する意見書」,同年11月5日付け「国民の知る権利を侵害する特定秘密保護法案の廃案を求める会長声明」及び同月27日付「特定秘密保護法案の国際原則に照らした徹底審議と廃案を求める会長声明」

 行政書士法改正に反対する会長声明

 1 日本行政書士会連合会は,行政書士法を改正して,「行政書士が作成することのできる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求,異議申立,再審査請求等行政庁に対する不服申立について代理すること」を行政書士の業務範囲とすることを求めてそのための運動を推進しており,日本行政書士政治連盟によれば,法案を「何時でも国会に提案できる」状況にあるとされている(同連盟ホームページ会長挨拶)。早ければ次期通常国会にも,前記業務を行政書士の業務範囲とする行政書士法改正案が,議員立法として提出される可能性がある。

 しかし,行政書士法改正により行政書士に行政不服申立等の代理業務を認めることには,以下の問題点がある。

 2 第1に,そもそも,行政書士の主たる職務は,行政手続の円滑な実施に寄与することを主目的として,行政庁に対する各種許認可関係の書類を作成して提出するというものである。一方,行政不服申立制度は,行政庁の違法又は不当な行政処分を是正し,国民の権利利益を擁護するための制度である。したがって,行政書士がこれまで従事してきた業務の性質及びそこで培われた能力と,国民と行政が鋭く対立する行政不服申立手続における代理人の役割及び求められる能力とが,相当に性質を異にするものであることは明らかであり,行政との対立関係に身を置く経験の乏しい行政書士が,行政不服申立の代理人となることにより,国民の権利利益が損なわれることが強く懸念される。

 3 第2に,行政書士試験に行政不服審査法が必須科目になっていることが,行政書士の行政不服申立の代理人としての能力を担保すると主張されているが,誤りである。行政不服申立の代理行為は,その後の行政訴訟の提起も十二分に視野に入れて行うべきものであり,訴訟実務に通暁しない行政書士が,行政不服審査法の知識を有しているからといって,能力が担保されたということは到底できない。これでは,行政機関による人権侵害から国民の権利利益を守ることはできない。

 4 第3に,行政不服申立等は,国民と行政庁とが鋭く対立するものであるが,行政庁の懲戒権に服し(行政書士に対する懲戒処分並びに行政書士会に対する監督は都道府県知事が行い,日本行政書士連合会に対する監督は総務大臣が行うものとされている。),当事者の利害対立を前提に資格が構築されていない行政書士が代理行為を行うことにより,国民の権利利益が損なわれることが強く懸念される。

 5 第4に,職業倫理の面においても,行政書士会は紛争事件を取り扱うに足る職業倫理規定をもたず,行政書士は紛争事件を取り扱うに足る職業倫理について十分な訓練を受けているとはいえない。すなわち,日本行政書士会連合会が定める行政書士倫理綱領は,「使命に徹し,名誉を守り,国民の信頼に応える」「法令会則を守り,業務に精通し,公正に職務を行う」「相互の融和をはかり,信義に反してはならない」等のごく一般的な内容に過ぎず,その他の行政書士倫理の規定をみても,利益相反等に関する規定等の当事者の利害が鋭く対立する紛争事件を取り扱うことを前提とする規定はなく,この点で利益相反等の職務を行い得ない事件について具体的規定を有する弁護士倫理とは大きく異なっている。これでは,紛争当事者となった国民の権利利益が損なわれるおそれがある。

 6 第5に,行政書士に行政不服申立等の代理人にしなければ代理人が不足するものではなく,立法事実を欠く。弁護士は,これまでも,出入国管理及び難民認定法,生活保護法,精神保健及び精神障害者福祉法等に基づく行政手続等の様々な分野で,行政による不当な処分から社会的弱者を救済する実績を上げている。そして,2013年7月1日現在,弁護士数は3万3628人であり,さらに今後も増加している現状からすれば,行政不服申立等の代理人は十分供給されているといってよい。

 よって,当会は,行政書士が行政不服申立等の代理人になることについて,強く反対するものである。

 2013年(平成25年)12月11日
 福井弁護士会 会長 島 田   広

 生活保護法改正案の廃案と国民の生活保護受給権の実効的保障を求める会長声明

 1 政府は,本年10月15日,「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「新改正案」という。)を閣議決定し,本年11月13日には同法案が参議院で可決され,現在衆議院において審議中である。

 2 当会は,本年6月12日,先の通常国会で審議されていた「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「旧改正案」という。)について,「生活保護法改正案の廃案を求める会長声明」を公表し,@違法な「水際作戦」を合法化し,A保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼすという看過しがたい重大な問題があることから,その廃案を求めた。旧改正案については,批判の高まりの中,与野党協議により一部修正されたものが衆議院で可決されたが,国会の閉会に伴い廃案となった。

 3 新改正案は,与野党の修正協議を踏まえ,申請の際に申請書及び添付書類の提出を求める24条について,1項の「保護の開始の申請は…申請書を…提出してしなければならない」との文言を「保護の開始を申請する者は…申請書を…提出しなければならない」との文言に変更し,また,同条1項及び2項に,いずれも,「特別の事情があるときは,この限りでない」とのただし書を加え,申請の意思表示と申請書等の提出を概念的に切り離す形に変更されている。これに対し,扶養義務者への通知及び調査に関する改正案24条8項,28条及び29条については,一切の修正がなされていない。

 4 先の通常国会審議における政府答弁等によれば,まず,改正案24条については,従前の運用を変更するものではなく,申請書及び添付書類の提出は従来どおり申請の要件ではないこと,福祉事務所等が申請書を交付しない場合も,ただし書の「特別の事情」に該当すること,給与明細等の添付書類は可能な範囲で提出すればよく,紛失等で添付できない場合も,ただし書の「特別の事情」に該当すること等を,法文上も明確にする趣旨で原案を修正したとされている。

 しかしながら,法文の形式的な文言のみからは,修正の趣旨がなお不明確であり,また,従前の運用を変更しないのであればそもそも法文の新設は不要なはずであるから,このままの規定であれば,法文が一人歩きし,申請を要式行為化し厳格化したものであると誤解され,違法な「水際作戦」をこれまで以上に,助長,誘発する可能性が極めて大きい。

 5 また,改正案24条8項,28条及び29条については,前記政府答弁において,明らかに扶養が可能な極めて限定的な場合に限る趣旨であると説明されている。しかし,かかる規定の新設により,保護開始申請を行おうとする要保護者が,扶養義務者への通知等により生じる親族間のあつれきやスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)を恐れて申請を断念するという萎縮効果を一層強め,申請権を形骸化させることは明らかであり,到底容認できない。前回の会長声明でも指摘したとおり,国連社会権規約委員会が本年5月17日に公表した「日本の第3回定期報告書に関する総括所見」においては,生活保護手続きの簡素化や申請に伴うスティグマの解消のための教育の実施等が勧告されていたのであり,いまわが国に求められているのは,この勧告の趣旨に沿って生活保護を利用しやすくするための制度の改善である。

6 これも前回の会長声明でも指摘したとおり,わが国の生活保護の捕捉率(制度の利用資格のある者のうち現に利用できている者が占める割合)は2割程度とされており,他の先進諸国に比べて異常に低い。

 われわれ弁護士は,本来生活保護を受けるべき人が生活保護を受けられず,きわめて困難な生活状況に追いやられている状況にしばしば遭遇し,その度に,日本国憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障すべき国の義務が果たされていないことに,強い憤りを感じてきた。だからこそ,違法な「水際作戦」を助長,誘発するおそれが高く,生活保護申請のスティグマを解消するどころかむしろ強めるような,今回の新改正案を,断じて容認できない。

 よって,当会は,改めて新改正案の廃案を求めるとともに,国に対して,国連社会権規約委員会の勧告にしたがって国民の生活保護受給権の実効的保障を行うよう強く求める。また,当会としても,今後,不当な「水際作戦」等によって生活保護申請が排除されることのないよう,生活保護の申請支援によりいっそう強く取り組むことを誓うものである。

 2013年(平成25年)11月29日
 福井弁護士会 会長 島 田   広

 通信傍受の安易な拡大と会話傍受の導入に反対する会長声明

 1 法制審議会新時代の刑事司法制度特別分科会では,取調や供述調書に過度に依存した捜査や裁判のあり方の見直しや,取調の可視化(取調の録音・録画)等について検討を行ってきたが,2013年1月29日には「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」をとりまとめ,その後も検討を重ねて,早ければ年度内にも結論をとりまとめる予定とされ,その後,法案化がなされることが見込まれる。

 2 上記「基本構想」及び同分科会での最近の検討状況によれば,「通信傍受の合理化・効率化」として,現在,薬物関連犯罪,銃器関連犯罪や組織的な殺人等の重大な犯罪に限定されている通信傍受の対象犯罪を,通常の殺人,逮捕・監禁等,窃盗・強盗等,さらには「その他重大な犯罪であって,通信傍受が捜査手法として必要かつ有用であると認められるもの」にまで広げることが検討されている。

 また,同分科会では,これまで認められていなかった「会話傍受」の導入が検討されており,「@振り込め詐欺の拠点となっている事務所等」「A対立抗争等の場合における暴力団事務所や暴力団幹部の使用車両」「Bコントロールド・デリバリーが実施される場合における配送物」を対象に,捜査機関が傍受機器を設置し、犯罪の実行に関連した会話等を傍受することができるようにすることが検討されている。

 3 しかしながら,通信傍受は,憲法が保障する通信の秘密を侵害し,ひいては,個人のプライバシーを侵害する捜査手法である。それゆえ,通信傍受が憲法上許容されるのは,「重大な犯罪」について,捜査上「真にやむを得ない」と認められる場合に限られると解すべきである(最高裁判所平成11年12月16日決定参照)。このことを踏まえると,通信傍受の対象犯罪は限定的・謙抑的であるべきであり,通信傍受法施行以降の運用状況についても,慎重な検討が加えられなければならない。専ら捜査上の有用性の観点から,安易に通信傍受の対象犯罪を拡大することは,許されないというべきである。ましてや,対象犯罪について,現行の通信傍受法では厳格な限定列挙がなされにもかかわらず,「その他重大な犯罪であって,通信傍受が捜査手法として必要かつ有用であると認められるもの」などという,およそ限定の効果をもたない規定を法案に盛り込むことは,断じて許されない。

 4 また,捜査機関が住居や車両に傍受機器を設置し,会話等を傍受する会話傍受は,通信事業者の立ち会いの下で行われ,必要に応じて傍受の中断や終了が容易にできる通信傍受と異なり,ひとたび傍受機器が設置されるといつでも傍受できる状態が長期にわたり継続することになるし,密室で行われるため,内容的にも時間的にも無制約に傍受がなされるおそれがあり,犯罪と無関係な個人の会話等を傍受される危険性も高い。このように,会話傍受は,捜査機関による権限濫用のおそれも大きく,通信傍受以上に個人のプライバシーを侵害する危険性の高い捜査手法である。

 しかも,現在検討されている前記@?Bの対象についても,@は,振り込め詐欺の拠点が特定されていながら,なお会話傍受までなされなければ捜査に重大な支障が生じるとは考えがたいし,Aは,会話傍受が導入されれば,暴力団関係者は,犯罪に関連する会話は暴力団事務所や暴力団幹部の使用車両以外でするようになることが容易に予想されるし,Bも,会話傍受が導入されれば,配送物を受け取った関係者は中身を確認するまでは会話をしなくなると思われ,いずれも会話傍受導入の必要性・有効性に重大な疑問がある。

 したがって,会話傍受は,プライバシー侵害の危険性の大きさに照らすと,それでもなお捜査手法として認める必要性があるとは到底認められず,導入することは許されない。

 5 1986年に発覚した神奈川県警察による政党幹部宅盗聴事件の経験からも明らかなように,捜査機関が違法な盗聴に及ぶ危険は常に存在し,しかも,そのことはしばしば容易に隠蔽される。最近では,米国国家安全保障局(NSA)による盗聴が組織的かつ長期にわたり実施されていたことが,元職員からの告発により明らかになったが,この事件も,権力がいかに盗聴を濫用しやすいかを,改めて世に示したといえる。同分科会では,通信傍受の対象犯罪の拡大について「テロ関連犯罪」等にも拡大することが検討されているが,折しも,現在国会では秘密保護法が審議中であり,同法が仮に成立すれば,「テロ関連犯罪」に関する捜査情報は秘密指定され,秘密の陰に隠れて違法又は不当な捜査が横行するおそれすら,否定できない。このことを考慮すれば,捜査機関の通信傍受権限を拡大し,さらには,会話傍受というより強力で国民のプライバシー侵害のおそれが大きい捜査手段を捜査機関に与えることには,きわめて慎重であるべきである。

 以上の理由から,当会は,通信傍受の安易な拡大と会話傍受の導入に,強く反対する。

 2013年(平成25年)11月27日
 福井弁護士会 会長 島 田   広

 憲法第96条の発議要件緩和に反対する会長声明

 憲法第96条は憲法改正発議要件として衆参各議院の総議員の3分の2以上の特別多数の賛成を要すると定めている。近時,この定めを過半数に緩和する旨の主張が複数の政党からなされている。 しかし,このような改正発議要件の緩和は,以下に述べるとおり,立憲主義を著しく軽視し,多数決によっても侵しえない基本的人権の保障を危うくしかねないものであるから,当会はこれに強く反対する。

 憲法は,国家権力から基本的人権を守るために定められたものである。そして,たとえ民主的に選ばれた国家権力であっても,権力が濫用されて,基本的人権が損なわれるおそれは否定できないため,憲法は,多数決によっても基本的人権が損なわれないよう,国家権力に縛りをかけている。この考え方が立憲主義であり,具体的には,憲法の最高法規性(憲法第98条),基本的人権の永久・不可侵性(憲法第97条),最高裁判所の違憲立法審査権(憲法第81条)などに現れている。

 憲法第96条も,しばしば多数決によって基本的人権が踏みにじられた歴史に鑑み,その時々の多数派によって十分な議論なく基本的人権が損なわれることのないよう,改正手続に厳格な要件を設けたものであり,憲法の最高法規性と立憲主義を支えるものである。すなわち,発議要件を両院の3分の2とした趣旨は、国民に対して発議するにあたっては,改正によって基本的人権が侵害されることのないよう,議会での熟議を尽くして大多数の議員の一致を形成することを求める点にある。にもかかわらず国会の発議を容易にすることは、憲法の安定性を損ない、時の多数派による人権侵害の危険を増大させるばかりか、熟議を通じた十分な情報を与えられないまま国民に判断を押し付けるものであるから、憲法選択という重大な局面における国民の知る権利をも奪うものである。

 また、諸外国を見ても、成文憲法の改正には、日本と同様の規定を有する韓国、ルーマニア、アルバニア等の国もあるし、さらに厳しい要件の国もあり(アメリカ合衆国、フィリピン等)、第96条の改正要件が硬性憲法として特別に厳しいものであるとは言えず、比較法的見地からしても、改正要件緩和を正当化する理由は見当たらない。弁護士法第1条により、弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。当会は、弁護士法第1条に基づき、憲法改正手続の発議要件の緩和に対し、立憲主義憲法を破壊し人権を損なうものとして、反対であることを表明する。

 2013年(平成25年)10月31日
 福井弁護士会会長 島 田  広

 「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明

 政府は,本年5月17日,生活保護法の一部を改正する法律案(以下「改正案」という。)を閣議決定した。改正案は,一部修正が加えられた上で,本年6月4日,衆議院本会議において可決され,現在,参議院で審議中である。

 改正案は,@生活保護の申請意思を表明した者の申請を認めずに追い返すという違法な運用(いわゆる「水際作戦」)を合法化する,A保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼす,との2点において,看過しがたい重大な問題がある。

 まず,改正案第24条1項は,保護の申請者は,資産及び収入の状況等の事項を記載した申請書を提出しなければならないとし,同条2項は,申請書には保護の要否等の決定に必要な厚生労働省令で定める書類を添付しなければならないとしている。

 この点,現行生活保護法は,保護の申請を書面による要式行為とせず,かつ,保護の要否判定に必要な書類の添付を申請の要件としていない。確立した裁判例も,口頭による保護の申請を認めている。しかし,実際には,全国の生活保護の窓口において,保護の申請意思を表明した者に対して申請書を交付しなかったり,保護の要否判定に必要な書類を添付していないとして申請不受理としたりする違法な運用が見受けられる。改正案の内容は,このような違法な運用を追認し合法化するものである。
 
 改正案には,衆議院での審議により,「特別の事情があるとき」は申請書の提出や書類の添付を要件としないこととする修正が加えられたが,そもそも,原則として書面添付を申請の要件とすること自体が不当である。いかなる場合が「特別な事情」に当たるかは行政の判断に委ねざるを得ず,かかる修正により保護の申請権の行使が大幅に制限されるおそれが払拭されたとは,到底いえない。

 次に,改正案第24条8項は,保護の実施機関に対し,保護の開始の決定をしようとするときは,原則として,あらかじめ要保護者の扶養義務者に対して厚生労働省令で定める事項を通知することを義務付けている。また,改正案第28条2項は,保護の実施機関が,保護の決定等のため必要があると認めるときは,要保護者の扶養義務者等に対して,報告を求めることができるとしている。さらに,改正案第29条1項は,保護の実施機関等は,過去に生活保護を受けていた者の扶養義務者に関してまで,官公署等に対し,必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求めたり,銀行,信託会社,雇主等に対し報告を求めたりすることができるとしている。

 この点,現行法は,扶養義務者の扶養は保護の要件とせず,単に優先関係にあるものとして(現行法4条2項),現に扶養(仕送り等)がなされた場合に収入認定をして,その分保護費を減額するに止めている。しかし,実務においては,あたかも親族の扶養が保護の要件であるかのごとき運用が行われている。そのため,要保護者が,扶養義務者への通知によって生じうる親族間のあつれき等をおそれ,保護の申請を断念することも少なくないのが実情である。

 改正案によって,扶養義務者に対する通知が義務化され,保護の実施機関等の調査権限が強化されることになると,要保護者の保護申請に対し,一層の萎縮的効果を及ぼすことは明らかである。

 全国的にも,そして福井県においても,生活保護を受けている世帯人員数は増加の一途をたどっている。今回の改正は,増え続ける保護費を抑制する狙いであることは明らかである。しかし,保護費の増大は我が国の総合的なセイフティーネットが脆弱であることに由来するのであって,かかる状況下において保護費の削減のための法改正を拙速に進めるべきではない。

 そもそも我が国の生活保護の捕捉率(制度の利用資格のある者のうち現に利用できている者が占める割合)は2割程度に過ぎず,先進国中で異常に低い状況である。仮に今回の改正案が成立し施行されることとなれば,要保護者の生活保護の申請が一層抑制され,生活保護の捕捉率がさらに低下し,自殺・餓死・孤立死等の悲劇を招くおそれがある。

 国連社会権規約委員会は,本年5月17日に公表した「日本の第3回定期報告書に関する総括所見」において,「委員会は,…生活保護の申請手続を簡素化し,かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう,締約国に対して求める。委員会はまた,生活保護につきまとうスティグマ(恥の烙印)を解消する目的で,締約国が住民の教育を行なうよう勧告する。」との勧告を行った。

 いまわが国に求められているのは,この勧告にしたがって生活保護をより利用しやすくするよう制度の運用を改善することである。しかるに,今回の改正案は,これとは正反対の,現行法上では違法な運用を合法化しようとするものであって,社会権規約の誠実な執行という,わが国の国際法上の重要な義務の履行の観点からも重大な問題がある。

 当会は,2012年11月29日,予算編成過程における生活保護基準の引き下げに反対する総会決議をするなど,実質的な生存権保障のために力を尽くしてきたが,改正案は,生存権保障をないがしろにするものであり,到底容認できない。

 よって,当会は,改正案の廃案を強く求めるものである。

 2013年(平成25年)6月12日
 福 井 弁 護 士 会 会 長  島 田 広

 秘密保全法制定に反対する会長声明

 「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」は,2011年8月8日,秘密保全法制を早急に整備すべきである旨の「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」を発表した。その上で,政府における情報保全に関する検討委員会は,2011年10月7日,次期通常国会への提出に向けて法案化作業を進めることを決定した。政府は今年の3月,いったん通常国会への提出を見送ったものの,法案制定そのものを断念したわけではなく,早ければ次期臨時国会にも提出されるおそれがある。

 当該秘密保全法制については,以下に述べるように,国民主権原理から要請される知る権利を侵害するなど,憲法上の諸原理と正面から衝突するものであり,国民の間で議論が十分になされていない状況下で立法化を早急に進めることは,民主主義国家の政府の態度として極めて問題である。

 当該秘密保全法制検討のきっかけとなった尖閣諸島沖中国船追突映像流出は国家秘密の流出というべき事案とは到底言えないものであり,立法を必要とする理由を欠くと言わざるを得ない。仮に,秘密とされるべきものがあるとしても,秘密保全のために新たな法制を設ける必要性はなく,国家公務員法等の現行法制でも十分に対応できるものであり,新たな法制化の必要性が何ら示されてはいない。

 当該秘密保全法制では,規制の鍵となる「特別秘密」の概念が曖昧かつ広範であり,かつ,何を特別秘密とするかを決めるのが各行政機関に委ねられており,本来国民が知るべき情報が国民の目から隠されてしまう懸念が極めて大きい。また,罰則規定に,このような曖昧な概念が用いられることは,処罰範囲を不明確かつ広範にするものであり,罪刑法定主義等の憲法上の権利と矛盾抵触するおそれがある。

 禁止行為として,漏洩行為の独立教唆,扇動行為,共謀行為や,「特定取得行為」と称する秘密探知行為についても独立教唆,扇動行為,共謀行為を処罰しようとしており,単純な取材行為すら処罰対象となりかねず,そこでの禁止行為は曖昧かつ広範であり,この点からも罪刑法定主義等の刑事法上の基本原理と矛盾するものである。現実の場面を考えても,取材及び報道に対する萎縮効果が極めて大きく,国の行政機関,独立行政法人,地方公共団体,一定の場合の民間事業者・大学に対して取材しようとするジャーナリストの取材の自由・報道の自由が侵害されることとなる。

 また,大学などの独立行政法人を秘密保全法制の適用対象とすることは,学問・研究活動を国家秘密の対象とするものであり,学問,研究活動の自由を侵害するものである。特に本県との関係では,これまで原子力に関する情報が十分市民に公開されてこなかったことが原子力発電所に関する様々な事故の一因になってきたと考えられるところ,独立行政法人が秘密保全法制の適用対象とされることによって,原子力に関する研究を行う独立行政法人の情報を入手することが更に困難となるおそれがある。

 報告書では特別秘密を取り扱う者自体の管理に関して,人的管理の必要性を詳細に論じているが,情報システムの管理に対する無関心やルーズさにこそ問題があることを自覚し,見直すべきであって,人的管理の対象者及びその周辺の人々のプライバシ−を空洞化させるような方向は本末転倒である。人的管理に偏することなく,むしろ作成・取得から廃棄・移管までの各段階において,情報システムの管理の徹底など個別具体的な保全措置を講ずる物的管理と組み合わせることにより対応すべきである。さらにいえば,当該秘密保全法制に関わり起訴された者の裁判手続は,憲法に定められた基本的人権である公開の法廷で裁判を受ける権利や弁護を受ける権利を侵害するおそれがある。

 以上の理由から,当会は,当該秘密保全法の制定には反対であり,法案が国会に提出されないよう強く求めるものである。

 2012年(平成24年)7月25日
 福井弁護士会 会長 和 田  晋 一

 全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

 当会は,国に対し,国選付添人制度の対象事件を,観護措置決定により少年鑑別所に送致された少年の事件全件にまで拡大するよう,速やかに少年法を改正するよう求める。

 記

 1 弁護士は、少年審判手続きにおいて,「付添人」という立場で,事実認定や処分が適正に行われるよう、少年の立場から関与している。

 少年は,精神的に未熟であることから取調官に迎合しやすいため,成人より冤罪発生の危険が大きく,適正手続きの観点から弁護士付添人の援助が必要である。

 また,少年審判を受ける少年の多くは、生育歴、家庭環境に大きな問題を抱え、信頼できる大人に出会えないまま非行に至っている。とりわけ,少年鑑別所に身体拘束された少年は、大きな問題を抱えている。弁護士付添人は,そのような少年を受容しつつ反省を促し,家庭,学校,職場などに働きかけ少年を取り巻く環境を調整し,少年の更生を手助けする存在として必要である。

 弁護士付添人のこうした活動は,再非行の減少につながり,社会的にも意義のあるものである。

 2 ところが、2008年における弁護士付添人選任率は,少年鑑別所に身体拘束された少年の約40%に止まっている。成人の刑事裁判では約98%の被告人に弁護人が選任されていることに比べれば、少年に対する法的援助は著しく不十分であると言わざるを得ない。

 この原因は,少年に国選付添人が選任される場合が極めて限定されていることにある。すなわち,成人の刑事裁判ではほぼ全ての事件について国選弁護人が選任されるのに対して,少年審判手続で国選付添人が選任されるのは,@殺人や強盗などの重大事件について裁判所の裁量で選任される場合,A被害者傍聴の申し出がなされた場合,B検察官関与決定がなされた場合に限定されているのである。2008年における国選付添人選任率は,少年鑑別所に身体拘束された少年の約4%にすぎない。

 また、成人の場合は起訴前・起訴後を通じて国費により弁護人の援助を受ける機会が与えられているのに対し、少年の場合には、被疑者段階においては,被疑者国選弁護制度により弁護士の支援を受けることができるが,家庭裁判所送致後は,極めて限定的な場合にしか国選付添人が付されないという制度に止まっていることから、多くの少年に弁護士付添人が付かないまま審判を受けるという事態が生じている。少年に対する法的援助に対する保障が,成人よりも不十分であるというのは不均衡である。

 3 このような状況の下、日本弁護士連合会は,付添人の必要性を自覚し、全ての会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し、弁護士費用を賄えない少年に私選付添人の費用を援助する少年保護事件付添援助制度を実施してきた。

 また、当会では、2008年5月から、観護措置決定により身体拘束を受けた少年の要望があれば、弁護士が無料で少年と面会して助言を行う当番付添人制度を実施し,当会会員は,これを契機として積極的に少年保護事件付添援助制度を利用し、私選付添人となって精力的・献身的に活動している。

 しかし、審判手続きにおける適正手続きを保障し,更生を支援するという法的援助を与えることは,本来国の責務である。我が国が批准した子どもの権利条約37条(d)が「自由を奪われたすべての児童は、・・・弁護人(及び)その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有する」と規定しているところである。法的援助を必要とする少年に対し、国費で付添人を付けることができる権利を保障すべきである。弁護士会の財政的負担によって支えられている少年保護事件付添援助制度に頼るべきではない。

 4 よって、当会は、政府に対し、国選付添人制度の対象事件を観護措置決定により少年鑑別所に身体拘束された少年の事件全件にまで拡大する少年法改正を速やかに行うよう求めるものである。

 2010(平成22)年 5月31日
 福 井 弁 護 士 会  会長 井  上  毅

 家族法の差別的規定改正の早期実現を求める会長声明

 選択的夫婦別姓や婚外子の相続分差別撤廃を内容とする民法,戸籍法等の法改正は,14年前の法制審答申以来,現在に至るも実現していない。法務省は本年2月19日に民法改正案の概要を政府与党の議員に示したとされるが,その後立法化に向けた進展が見られない。
 
 女性の多くが,現実には婚姻後の夫婦の姓の変更を余儀なくされ,職業上も生活上も様々な不利益を被っている。また,通称使用等の方法により社会生活上夫婦が別姓を使用している家庭も少なからず存在するが,法的根拠がないために周囲の理解を得られにくい状況にある。

 夫婦別姓について,同制度導入が家族の崩壊につながるとして反対する意見もあるが,夫婦別姓と家族関係の悪化を結びつける実証的根拠は存在しないし,現在議論されているのは選択的夫婦別姓であって国民全体に夫婦別姓を強制するものではない点でも,説得力に欠ける。逆に,先進国では婚姻後の夫婦の同姓を強制しているのは日本のみである。自己のアイデンティティとして婚姻前の氏を使い続けるというライフスタイルの選択は,憲法に照らし,十分に尊重されなければならない。

 2009年9月以降に複数の新聞社により実施された調査ではいずれも,選択的夫婦別姓の導入に賛成の者の数は反対の者の数を上回った。夫婦別姓についての国民的理解も進んでおり,制度導入の障害はないといえる。
また,婚外子の相続分差別の撤廃も国際社会の趨勢である。婚外子の相続分差別は,子自身の意思や努力によっていかんともし難い事実をもって差別をするものであり,憲法13条,14条及び24条2項に反することは明らかである。最高裁においても,相続分差別を撤廃すべきであるという意見が何度も述べられている。

 さらに,女性にのみに課される再婚禁止期間についても,子の父が誰であるかを確定する困難を避けることがその立法趣旨とされているが,科学技術の発達により父の確定に伴う困難は大きく減り,男女間に差を設けるべき根拠は既に失われている。婚姻年齢の統一も,今や憲法14条から当然に要請されることである。

 1993年以来,国連の各種委員会は日本政府に,家族法改正を勧告し続けてきた。とりわけ2009年女性差別撤廃委員会は,家族法改正を最優先課題として指摘し,2年以内の書面による詳細な報告を求め,再度早期改正を行うよう厳しく勧告している。

 当会は,今国会において,選択的夫婦別姓の導入をはじめ,家族法の差別的規定の改正が速やかに実現されることを強く求める。

 2010年(平成22年)3月29日
 福井弁護士会 会長  黛   千 恵 子

 取調べの可視化(全過程の録画)の早期実現を求める会長声明

 2009(平成21)年5月,裁判員制度がスタートし,市民に開かれた刑事裁判という刑事司法の大きな変革が行われた。しかし,被疑者に対する取調べについては,依然として,警察官・検察官により,取調室という密室において行われ続けており,冤罪を生む危険性は変わらないままである。
 
 近年判明した冤罪事件としては,鹿児島県の選挙違反事件(志布志事件)や,虚偽の自白がなされ,有罪判決を受けるに至った富山県の強姦事件(氷見事件)などが挙げられる。これらは,無実の人間が,いずれも取調室という密室において,警察官あるいは検察官により,虚偽の自白を強要され,耐えきれずに虚偽の自白をしたことにより,起訴され長期間身体拘束を受けた事件であり,氷見事件では,有罪判決が確定し,刑務所で服役までさせられることになった。また,2009(平成21)年6月,1990(平成2)年に栃木県足利市で発生した幼女誘拐殺人事件(足利事件)の再審開始が決定され,現在,再審公判が続けられており,さらに同年12月には,1967(昭和42)年茨城県利根町布川で発生した強盗殺人事件(布川事件)について,最高裁の決定により再審が開始されることが決まったが,これらの事件においても,取調室という密室における取調べにおいて,虚偽の自白を強要され,虚偽の自白がなされるに至り,虚偽の自白が聴取された供述調書が公判において重要な証拠とされ,無期懲役の有罪判決がなされ,長期間の服役を余儀なくされた。

 ところで,現在,検察庁・警察は,裁判員裁判対象事件についてのみ,その取調べの一部を録画しているが,取調べの一部を録画したとしても,何ら冤罪の防止にはならないばかりか,冤罪を生み出す危険性すらある。

 先に述べた足利事件,布川事件においても,捜査機関が取調べの一部を録音しているが,それらの録音テープは,被疑者が自らの無実を訴えて否認していたものの,取調べに耐えられず自白するに至ってしまった後に,改めてその自白を録音したものであった。そして,布川事件において,裁判所は,それらの録音テープを根拠に,自白が任意になされたものと判断し,自白を有力な証拠として,有罪判決を言い渡した。検察庁・警察において現在行われている取調べの一部録画も,正に被疑者による自白がなされた後,自白の調書が作成され,その内容を確認する部分を録画するものとなっており,取調べの一部を記録したとしても,何ら冤罪の防止とならず、冤罪を生み出す危険性があることは,既に上記の冤罪事件が証明している。

 真に冤罪を防止するためには,どういう取調べがなされたのか,どういうやりとりがあって自白がなされたのかを後に確認できる状況にしておくことこそが重要である。そして,そのためには,取調べの全過程を録画すること以外に方法はない。

 刑事裁判において最も避けられなければならないことは無実の人を罪に問わないことにある。冤罪を防止するためにも,一刻も早く,取調べの全過程を録画するようにしていかなければならない。

 当会は,国会に対して,取調べの全過程の録画を義務づけることの立法化を早急に行うよう求めるものである。

 2010(平成22)年1月29日
 福井弁護士会 会長 黛  千 恵 子

 葛飾ビラ配布事件最高裁判決に関する会長声明
 2009(平成21)年12月24日
 福井弁護士会 会長 黛 千 恵 子

 最高裁判所第二小法廷は、本年11月30日、マンション各戸のドアポストへの政党の政治的意見を記載したビラ等の投函が住居侵入罪に該当するとした東京高等裁判所判決に対する上告を棄却する判決(以下、本判決という)を言い渡した。
 
 本判決は、「表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず」としたものの、「たとえ表現の自由の行使のためとはいっても,そこに本件管理組合の意思に反して立ち入ることは,本件管理組合の管理権を侵害するのみならず,そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。」などとして、「本件立入り行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法21条1項に違反するものではない。」とした。

 憲法21条1項が保障する表現の自由は、人間の本質的な属性である精神活動を充足するものであるというにとどまらず、民主主義社会が国民の自由な討論と民主的な合意形成によって成立するという意味で、その基盤を構成する重要な権利である。また、本件のようなビラ配布は、経済力に乏しく発言の場を容易に持てない市民が利用可能な数少ない表現手段である。

 そうすると、本件のビラ等の投函は、憲法が保障する基本的人権の中でも、いわゆる優越的地位が認められる重要な権利であるから、裁判所は、「憲法の番人」として、表現の自由に対する規制が必要最小限度であるかにつき、厳格に審査しなければならない。このことは、憲法解釈上自明であり、日本弁護士連合会も、本年11月6日に開催した人権擁護大会において「表現の自由を確立する宣言」として採択し確認しているところである。
しかるに、本判決は、前記のとおり、表現の自由とこれと衝突する権利である管理組合の管理権及びマンション住民の私生活の平穏とを並列的に論じ、後者が具体的に侵害されたかを十分に検討することなく結論を導いた。表現の自由が前記の性質を持つ重要な権利であることに鑑みれば、管理組合の管理権に対しては優越的な地位を有するのであるから、その点を含めた慎重な検討が必要であるし、私生活の平穏に対する侵害を問題にするのであれば、その侵害の程度が、表現の自由の権利としての重要性を前提にしながら、さらに受忍限度を超えたと言えるか否かを含めて具体的かつ慎重な検討が必要だと考えられるが、そういった厳格な審査を行ったとは考えにくい。

 また、刑事処罰は人権制約の度合いが極めて大きいことから、刑罰権の行使には謙抑性が求められるところ、民事上においてすら、本件のような事案で住民の被告人に対する損害賠償請求が容易に認められるとは考え難く、本判決には上記の謙抑性の観点からも疑問が生じる。

 国際人権(自由権)規約委員会は、2008年10月、「政府に対する批判的な内容のビラを私人の郵便受けに配布したことに対して、住居侵入罪もしくは国家公務員法に基づいて、政治活動家や公務員が逮捕され、起訴されたという報告に懸念を有する」旨の表明をし、日本政府に対し、「表現の自由に対するあらゆる不合理な制限を撤廃すべきである」旨勧告した。本判決は、本件逮捕・起訴が国際的に批判される中で、敢えてこれを是認したもので、その問題性は、極めて大きい。複数の新聞報道がその社説等において、本判決が表現活動に対して萎縮的効果をもたらすことを危惧しているが、正鵠を得たものといえよう。

 よって、当会は、裁判所に対し、今後ビラ配布を含む表現の自由の重要性に十分配慮し、国際的な批判にも耐えうる厳密な利益衡量に基づく判断を示すよう強く要望する次第である。

 死刑執行に関する会長声明

 本年4月10日、東京拘置所及び大阪拘置所において2名ずつ、計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。昨年は4月、8月、12月に各3名の死刑確定者に対して死刑が執行され、本年に入っても,本年2月1日に3名の死刑確定者に対して死刑が執行されたばかりである。当会は,本年2月13日に会長声明を発し,死刑制度の存廃について国民的な議論が尽くされるまで死刑の執行を停止するよう要請したが,今回,そのわずか2ヶ月ほどの後に死刑が執行されたものであって、誠に遺憾である。

 我が国では、4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し、死刑判決にも誤判が存在したことが明らかとなっているが、このような誤判を生じるに至った制度上、運用上の問題点について、抜本的な改善が図られておらず、誤った死刑の危険性は依然存在する。また、死刑と無期刑の量刑につき、裁判所によって判断の分かれる事例が相次いで出され、死刑についての明確な基準が存在しないことも明らかとなっている。

 また,我が国の死刑確定者は、国際人権(自由権)規約、国連決議に違反した状態に置かれ、特に過酷な面会・通信の制限は、死刑確定者の再審請求、恩赦出願をはじめとする権利行使の大きな妨げとなってきた。昨年、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律が施行されるに至り、同法による実務の改善が期待されていたものの、いまだに死刑確定者と再審弁護人との面会に立会いが付されるなど、その権利行使が十全に保障されてきたとは言いがたく、このような状況で直ちに死刑が執行されることには問題がある。

 他方,死刑については、死刑廃止条約が1989年12月15日の国連総会で採択され(1991年発効)、1997年4月以降毎年、国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行い、その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけを行った。このような状況の下で、死刑廃止国は着実に増加し、1990年当時の死刑存置国96か国、死刑廃止国80か国(法律で廃止している国と過去10年以上執行していない事実上の廃止国を含む。)に対し、2007年12月24日現在、死刑存置国62か国、死刑廃止国135か国と、死刑廃止が国際的な潮流となっていることは明らかである。

 また、昨年5月18日に示された国連の拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告においては、我が国の死刑制度の問題が端的に示された上で、死刑の執行を速やかに停止するべきことなどが勧告された。

 さらに、昨年12月18日には、国連総会本会議において、すべての死刑存置国に対して死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択された。また、上記決議の採択に先立ち、昨年12月7日の我が国における死刑執行に対しては、国連人権高等弁務官から強い遺憾の意が表明されるという異例の事態が生じた。

 今、我が国に求められているのは、上記勧告や決議案にどう応えるかも含めて、開かれた継続的な議論を行うことであり、死刑の執行を急ぐことではない。今回の死刑執行は、我が国が批准した条約を尊重せず、国際社会の要請には一切耳を傾けないことを改めて宣言する行為に等しい。

 日本弁護士連合会は、2002年11月に発表した「死刑制度問題に関する提言」及び2004年10月に採択された「死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」において、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱してきた。また、同連合会は,上記提言及び決議を踏まえ、本年3月13日の理事会において、「死刑制度調査会の設置及び死刑執行の停止に関する法律(案)」(通称「日弁連死刑執行停止法案」)を承認し、引き続き死刑問題に関する取組を続けている。

 当会は,改めて政府に対し、被執行者の氏名だけではなく、死刑制度全般に関する情報を更に広く公開することを要請するとともに、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。

 2008年(平成20年)6月 11日
 福井弁護士会 会長 朝日宏明

 「憲法改正国民投票法案」の慎重審議を求める声明

 「日本国憲法の改正手続きに関する法律案」(いわゆる「国民投票法案」)は、4月13日、衆議院本会議で可決され、参議院で審議されている。

 憲法改正国民投票は、主権者である国民が、国の最高法規である憲法のあり方について主権者としての意見を表明するものであるから、それにふさわしいものでなければならない。しかし、現在参議院で審議されている与党の「国民投票法案」は、修正されたとはいえ、未だ多くの問題を抱えたままである。

 第1に、改正案の発議は、「内容において関連する事項ごと」に区分して行うとされているが、基準が曖昧であり、発議の仕方によっては国民の意思が正確に反映されない危険を有している。国民の意思を尊重するという憲法の趣旨からすれば、むしろ、条文ごとの個別投票が原則とされるべきである。

 第2に、憲法改正の発議から国民投票までの期間を60日以後180日以内としており、最短60日で国民投票が行われることになる。しかし、国民投票は、憲法改正という国政の基本に関わる重大な問題について主権者の意思を問うものであるところ、国民が十分に情報の提供を受け、これを理解し、さらに意見交換する機会が保障されなければならない。そのような観点からすると、法案の定める期間は、余りに短すぎると言わざるを得ない。

 第3に、公務員及び教育者の「影響力」を利用した国民投票運動を広く禁止しているが、このような曖昧な基準は表現行為に萎縮効果をもたらしかねない。

 第4に、メディアにおける有料広告に対する規制のあり方については、財力のない一般市民が意見を表明する権利を実質的に損ねるおそれがあるという重大な問題が存することが否定できず、十分に議論が尽くされたとは言い難い。

 第5に、憲法改正案の広報を行う国民投票広報協議会の構成を所属議員の比率によって選任することから、反対意見が公正かつ十分に広報されないおそれがある。

 第6に、法案は最低投票率を定める規定を置いていない。そうすると、例えば、投票率が40%だった場合には、投票権者の20%の賛成をもって国の最高法規である憲法の改正が認められることになる。しかし、日本国憲法が憲法改正手続において国民投票を定めている趣旨や憲法改正の重要性に鑑みるなら、最低投票率あるいは最低得票率が定められるべきである。

 以上のとおり、現在審議されている国民投票法案には、極めて重大な問題が数多く存する。

 よって、参議院においては、慎重に審議されることを強く求める。

 2007年(平成19年)4月27日
 福 井 弁 護 士 会 会 長  北  川  稔

 教育基本法改正法案に反対する再度の会長声明

 当会は、本年6月、教育基本法改正法案(以下、改正法案という)について、その改正の必要性が明確ではないこと、さらに改正法案には「愛国心」を強制されるおそれがあることや個人の尊厳が後退する懸念があること、そして国が教育に不当に介入し統制することを可能とするおそれがあることを指摘し、改正法案を今国会で成立させることはあまりに拙速であるとして改正法案に反対する会長声明を出した。

 ところが、11月16日、改正法案は衆議院において与党の単独採決により可決されて参議院に送付され、11月22日に参議院教育基本法特別委員会にて審議が開始されている。衆議院の審議においても、教育基本法の改正の必要性は全く明確にはなっていない。又、当会が指摘した改正法案のもつ上記問題点も解消されないままである。それどころか、政府が市民と政府の相互対話の場として開催したタウンミーティングにおいて、質問事項を地元教育委員会に送るなどして教育基本法改正に賛成する「やらせ」発言をさせる等という重大な問題が浮き彫りになった。この「やらせ」発言問題は、政府の意図通りに民意を曲げる可能性を示唆した問題であり、看過できない。

 言うまでもなく教育基本法は、教育の憲法という性格をもつ法律であるうえ、教育のもつ重要性に鑑みるならば、その改正の必要性の有無及び改正法案の問題点につき慎重のうえにも慎重な審議がなされる必要性がある。衆議院における審議においてもいまだ改正の必要性についても明確になっておらず、むしろ民意反映という過程において看過できない問題が浮き彫りになった改正法案における与党単独採決は将来に禍根を残すものと言える。

 当会は、改正法案を今国会において成立させることにつき再度反対の意を表明する。

 2006(平成18)年11月30日
 福 井 弁 護 士 会 会 長   山   川  均

 教育基本法改正法案に反対する会長声明

 1 政府は,本年4月28日,教育基本法改正法案(以下,同法案という)を国会に提出し,同 法案は,同年5月24日衆議院における教育基本法に関する特別委員会において実質審議に入った。政府は,今国会での成立を目指す方針であるとの報道がなされている。当会は,以下の理由により,同法案を今国会で成立させることについて反対である。

 2 改正の必要性が明確ではない

 現行の教育基本法は(以下,現行法という),教育が軍国主義的国家体制のもとで,戦争のための国民の精神総動員の手段,思想統制の手段として使われた苦い経験を踏まえて1947年(昭和22年)3月に施行された教育における「基本法」である。前文には,「(憲法の)理想の実現は,根本において教育の力にまつべき」「個人の尊厳を重んじ,真理と平和を希求する人間の育成に期する」と規定され準憲法的性格を有すると言われる。よって,そもそも現行法を改正する必要性が存在するのかどうかが吟味されなくてはならない。改正の必要性について,中央教育審議会答申によれば,我が国の教育は現在多くの課題を抱え,危機的な状況に直面しているとして,「青少年が夢や目標をもちにくくなり」「規範意識や道徳心,自立心が低下」「いじめ,不登校,中途退学,学級崩壊」「青少年による凶悪犯罪の増加の懸念」等を上げている。確かに学校現場においては種々の問題を抱えていることは事実であるが,これらの問題が現行法の弊害と言えるのかどうか具体的に全く明らかにされていない。むしろ,当会共催で毎年実施している「子どもの悩み110番」に寄せられる相談を分析すると,偏差値教育に示される過度な競争主義と教育行政による管理統制の強化により,いじめや虐待等の権利侵害に悩む子どもの実態が存在する。これらは,現行法の弊害というよりむしろ,現行法の理念が十分に学校現場で生かされていない結果とも言えるのである。教育は百年の計と言われる重要な問題である。現行法に弊害があり,真に改正が必要であるのかどうかについて,十分な調査,研究,そして国民的議論を要するが,現在の時点で,そのような経緯が全く存在しない。

 3 今国会で成立させるのはあまりに拙速である。

 教育基本法が準憲法的性格を有する法律にもかかわらず,同法案作成においては,「与党教育基本法に関する協議会」及び2003年(平成15年)6月に設置された「検討会」における約3年にわたる議論が,中間報告以外,全て非公開に進められてきた。この経緯は,手続的にも極めて問題である。教育基本法が今後の教育の在り方を決定する重要な法律であり,しかも,同法案が下記の通り,重大な問題を含むものであることに鑑みれば,各界各層の広範かつ慎重な意見交換と国民的議論が活発になされることが必須である。現時点ではそのような状況にはなっていない。よって,今国会で成立させようとすることはあまりに拙速であって容認できない

 4 法案の問題点について

 法案には種々の問題点が存在するが,本声明では,明らかに問題と考えられる点を指摘する。

 第一 「愛国心」が強要されるおそれがある
改正法案は,「教育の目標」(同法案第2条)を掲げ,そのなかに,「伝統と文化を尊重し,それをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」態度を養うことを含ませている。愛国心については,個々人が持つこと自体は自由であるし,その持ち方についても,持つかどうかについても個人の自由である。つまり愛国心は人間のもつ内心であり,公教育によって上から押しつけるものではない。これを法律で強制する場合には,現行憲法及び現行教育基本法の最も基本的な価値である「個人の尊厳」への介入,「思想良心の自由」(憲法第19条)の侵害となるおそれが強い。なお,「伝統文化の尊重」「我が国と郷土を愛する」など,その定義は不明確であり,国家が一定の価値認識を押しつける危険性が存在すると言わざるを得ない。こうした危険性が杞憂ではないことについては,東京都において,教育委員会の通達に基づき,校長が教員に対し,「日の丸掲揚」「君が代斉唱」時の起立,発声を義務づけ,これに従わない教員を処分するという事態が発生し,本年3月13日には,生徒への起立,斉唱指導を義務づける通達が発せられている状況にあること,さらに,2002年(平成14年)福岡市の小学校6年生の通知票の評価項目に「国を愛する心」の文言が掲げられ,「愛国心」という内心の問題を成績評価を通じて強制しようとした状況にあることを指摘する。「愛国心」の強要のおそれが存在する改正案には賛成できない。

 第二 個人の尊厳の後退が懸念される

 現行法前文は,「われらは,個人の尊厳を重んじ,真理と平和を希求する人間の育成を期する」とあるが,同法案は,「真理と正義を希求し,公共の精神を尊び,豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期する」に変更している。かつ,現行法1条の教育の目的から「個人の価値をたつとび」という文言を削除した。これは,同法案が「平和」を希求する人間の育成を軽視し,時の政府が考える「公共」を優先して,「個人の価値」を軽視するものではないかとの疑念を抱かせるものである。

 さらに,法案は,現行法前文が「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない」としていたところを,「伝統を承継し,新しい文化の創造を目指す教育を推進する」とした。これは,時の政府が考える「伝統」を押しつける教育になるのではないかとの疑念を抱かせるものである。

 第三 国が教育に不当に介入し統制することを可能とするおそれがある

 法案は,「教育行政」に関し,現行法10条1項の「国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」との文言を削除して,「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものである」とし(同法案第16条1項),その上で,国が「教育に関する施策を総合的に策定し,実施」するものとした(同法案16条2項)。さらに,法案は,政府及び地方公共団体に対し,教育振興基本計画の策定を義務づけている(同法案第17条)。

 現行法は教育行政の責務を「諸条件の整備」に限定している(同法案10条2項)。これは,先に述べた通り,戦前における軍国主義的教育への反省にたって規定されたものであるが,同法案は,この規定の趣旨を没却し,行政の責務・権限を飛躍的に拡大させており,時の政府及び地方公共団体によって,教育内容が不当に統制される危険が極めて高い。

 以上の観点から当会は,同法案を今国会で成立させることに反対する。同法案を廃案にしたうえで,あらためて,現行法案の改正の要否を含めて,各界,各層の意見交換,国民的議論を踏まえた十分かつ慎重な討議を求めるものである。

2006年(平成18年)6月 2日
 福井弁護士会 会 長  山 川   均

 「弁護士から警察への依頼者密告制度(ゲートキーパー制度)」に反対する会長声明FATF(金融活動作業部会:マネーロンダリングやテロ資金対策を目的としてOECD加盟国等で構成されている政府間機関)は、2003年6月、マネーロンダリングやテロ資金対策を目的として、従前から対象にしていた金融機関に加えて、新たに弁護士等に対しても、不動産売買等の一定の取引に関し「疑わしい取引」を、FIU(金融情報機関)に報告する義務を課することを勧告した。これを受けて、政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は、2004年12月、「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、FATF勧告の完全実施を決めた。更に、2005年11月17日、FATF勧告の完全実施のための法整備の一環として、報告先であるFIU(金融情報機関)を、金融庁から警察庁へ移管することを決めた。

 そして、政府は、このような警察庁に対する報告義務を課す制度、すなわち弁護士から警察への依頼者密告制度(ゲートキーパー制度)の法律案を、2007年の通常国会に提出することを予定している。

 しかし、このような依頼者密告制度は、市民が弁護士の守秘義務のもとで相談することができる権利を侵害し、市民と弁護士の信頼関係を損なうものである。いうまでもなく、弁護士の守秘義務は信頼関係の基礎である。弁護士が秘密を守るとの信頼があるからこそ、市民は安心して弁護士に相談することができる。自分の取引が「疑わしい」との理由で、弁護士から警察へ密告される恐れがあると、市民は安心して相談することができず、適切な助言を受けることもできなくなる。

 また、このような依頼者密告制度は、弁護士の国家権力からの独立性を危うくし、弁護士制度の根幹を揺るがすものである。

 弁護士は、刑事事件の弁護人など多くの場面で、警察機関とは制度的に対抗する関係にある。その弁護士が、依頼者の取引を「疑わしい」との理由で、警察に密告する義務を負うと、国家権力から独立して市民の権利を擁護するという使命を果たせなくなる。更には、市民の情報やプライバシーまでが警察に密告されることになり、警察機関による監視社会や密告社会を招来する恐れがある。

 諸外国においても、各国の弁護士会はこのFATF勧告の法制化に反対している。アメリカでは、ABA(アメリカ法曹協会)が強く反対して、未だに立法化への動きは見られない。カナダでは、一旦は法制化されたが、裁判所による執行差止の仮処分が認められ、弁護士への適用は政府により撤回されている。ベルギーやポーランドでも、弁護士会が裁判所に提訴して争っている。

 当会としても、マネーロンダリングやテロ資金対策の必要性を否定するものではない。しかし、このように弁護士の警察庁に対する報告義務を課す制度は、市民が弁護士の守秘義務のもとで相談することができる権利を侵害し、市民と弁護士の信頼関係を損ない、弁護士の国家権力からの独立性を危うくして、弁護士制度の根幹を揺るがすものであり、更には、警察機関による監視社会や密告社会を招来する恐れがある。

 よって、当会は、弁護士から警察への依頼者密告制度(ゲートキーパー制度)の法制化に強く反対するものである。

 平成18年4月28日
 福井弁護士会  会 長  山 川  均

 共謀罪新設に反対する会長声明

 「共謀罪」の新設を規定する「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(以下「法案」という)は,一旦2004年通常国会で廃案とされたにもかかわらず,2005年特別国会に提出され,今通常国会においても与党から「修正案」が提出され,継続審議されている。

 この「修正案」では,構成要件としての団体の活動にかっこ書きで制限を加えているが,あくまで団体の「活動」に着目して限定を加えたものであって,必ずしも「団体」がどこまで限定されているかは明らかでない。団体の一部の構成員が一定の犯罪の共謀を行ったことのみをもって,団体に犯罪目的ありと解釈される可能性がある。

 また,この「修正案」では,共謀に加えて,「犯罪の実行に資する行為」が要件とされているが,この概念は,犯罪の準備行為よりもはるかに広い概念であり,犯罪の実行にはさしたる影響力を持たない精神的な応援などもこれに含まれる可能性があり,共謀罪の適用場面において,ほとんど歯止めにならない。

 既に当会としては,2005年10月に,「法案」にはもともと下記のような問題点を有しているので,「共謀罪」の新設に反対する旨,会長として声明を出したところである。

 すなわち,そもそも「共謀罪」の新設は,「国際的な犯罪の防止に関する国際連合条約」(以下「条約」という)を批准するためになされるものと説明されている。そして,条約では,その適用範囲が「性質上越境的なものであり,かつ,組織的な犯罪集団が関与するもの」に限定されている。

 ところが,「法案」では,長期4年以上の刑を定めたすべての犯罪について「共謀罪」を新設するため,道路交通法違反など市民生活の隅々にまで及ぶ合計600以上の犯罪類型がその対象とされる。しかも,「法案」の「共謀罪」は,越境性が要件とされていないばかりか,テロや組織犯罪との関連性が乏しい犯罪までが対象とされている。さらに,組織的な犯罪集団の関与も要件とはされていない。これでは,条約批准に伴う国内法整備という範囲を著しく超えたものと言わざるを得ない。

 また,これらの結果として,たとえば市民団体がマンション建設に反対して着工現場で座りこみをしたり,労働組合が妥結するまで徹夜も辞さずに団体交渉を続けようと決めるだけで,組織的威力妨害罪や監禁罪の共謀をしたとして処罰されかねない等,市民団体や労働組合,NPO等の活動までもが処罰の対象となるおそれも否定できない。

 我が国において,このように広範な共謀罪処罰を必要とする立法事実の存在は到底認められない。

 さらに,我が国において,犯罪は,実行行為があって初めて成立し処罰されるのが原則とされており,実行行為のない予備が処罰されるのは極めて例外的である。まして,外形的行為の認められない意思形成段階に過ぎない共謀それ自体は処罰しないというのが我が国の刑法の大原則である。ところが,「法案」では,意思形成段階に過ぎない共謀それ自体を処罰の対象とするものであり,我が国現行刑法の大原則に真っ向から反するものと言わざるを得ない。

 加えて,共謀の概念自体が曖昧であることからすれば,「思想及び良心の自由」や「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由」等憲法上規定された基本的な人権に対する重大な脅威となるものである。
そして,以上に述べた問題点は,「修正案」でもほとんど解消されてはいない。

 よって,当会としては,「共謀罪」を新設する「法案」のみならず「修正案」にも強く反対し,廃案とすべきものであることを再度声明するものである。

 2006(平成18)年 4月 25日
 福井弁護士会会長  山川 均

投稿日: 2018年2月2日