気になるニュース

【余命三年時事日記】2353 どんたく滋賀弁護士会C 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2353 どんたく滋賀弁護士会C 2018年2月2日

ソース:2353 どんたく滋賀弁護士会C 2018年2月2日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/02/2353-%e3%81%a9%e3%82%93%e3%81%9f%e3%81%8f%e6%bb%8b%e8%b3%80%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a3/

2353 どんたく滋賀弁護士会C
 
 歯および口腔の健康づくりの施策として「フッ化物洗口」を実施することに反対する意見書
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20141126.html

 1.滋賀県は、「滋賀県歯および口腔の健康づくりの推進に関する条例」案要綱を作成し、同条例を制定しようとしている。

 同条例案要綱では、「教育関係者は、基本理念にのっとり、幼児、児童、生徒等の歯および口腔の健康状態に注意し、フッ化物洗口、歯磨きその他歯および口腔の健康づくりに資する取組の実施により、当該幼児、児童、生徒等の歯科疾患等の予防その他歯及び口腔の健康づくりに努めるもの」(第5、第3項)とし、さらに、「県は、・・・・・保育所、幼稚園、小学校、中学校等におけるフッ化物洗口および歯磨きの普及その他歯および口腔の健康づくりに関する効果的な取組の推進のために必要な措置を講ずるもの」(第14、第1項)「知事または県教育委員会は、幼稚園、小学校、中学校等においてフッ化物洗口が実施される場合には、・・・・・フッ化物洗口の円滑な実施のために必要な援助の実施に努めるもの」(第14、第2項)と規定している。

 2.しかし、フッ化物洗口には、以下のような問題点が指摘されている。

 第1に、フッ化物洗口には、急性中毒、過敏症状の危険性があり、幼児・低学年児童においては、誤飲の可能性も否定できず、誤飲した場合の身体影響への懸念も払拭されていない(安全性)。

 なお、WHO専門委員会報告書(1994年)は、6歳未満のフッ化物洗口を禁忌としている。

 第2に、フッ化物洗口の有効性は、従来考えられてきたより低い可能性があり、フッ素配合歯磨剤が普及している現状においては、フッ化物洗口による併用効果にも疑問がある(有効性)。

 第3に、虫歯予防には、フッ化物洗口以外にも様々あり、虫歯が減少している現状において、学校などにおいて、集団的にフッ化物洗口を実施する必要性・相当性には重大な疑問がある(必要性・相当性)。

 第4に、有効性安全性について、追加調査がなされていない。

 第5に、集団によるフッ化物洗口後の廃液により、水質汚濁防止法・下水法上の排水規制違反など環境汚染のおそれがある。

 3.日本弁護士連合会は、2011(平成23)年1月21日、「集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書」にて、上記問題点を指摘し、厚生労働省、文部科学省等に対し、学校等で集団的に実施されているフッ素洗口・塗布を中止するよう求めた。

 4.条例案が施行されれば、保護者等に安全性・有効性・必要性などに関する否定的な見解も情報提供されないまま、県による組織的な推進施策の下、学校などで集団的にフッ化物洗口が実施されることになる。

 このように集団によるフッ化物洗口を行うことは、前記の問題点の情報提供がないまま保護者等が意思決定を行う結果となり、これは自己決定権が侵害されるのと同じである。

 よって、当会は、「滋賀県歯及び口腔の健康づくりの促進に関する条例」案において、歯及び口腔の健康づくりの施策として「フッ化物洗口」を実施することに反対する。少なくとも、幼児・低学年児童に対し、フッ化物洗口は実施すべきではない。        以上

 2014(平成26)年11月26日
 滋賀弁護士会 会長 近藤公人

 本件掲載行為は、審判の中で認定された詳細な事実関係が記載されている審判書の全文掲載であり、本来公開を予定していない少年のプライバシーに関わる事実が詳細かつ網羅的に公衆に晒されるものである。本件掲載行為は、少年法が少年の健全な育成のために定めたこれらの法制度の趣旨を没却し各条文に明らかに反する行為であり、かつ、少年のプライバシーを著しく侵害するものである。

 特に、本事件は、事件後約18年が経過し、当時の報道の記憶も薄まりつつあるところに行われたものである。本件の審判書は結果の重大性もあり、審判書の内容は他の事件と比しても非常に詳細であって、これが公表されることによるプライバシー侵害が特に著しい。たとえ事件当時公開された事実が含まれていたとしても新たなプライバシー侵害と評価できるものであり、全体として権利侵害にあたる。

 また、本件掲載行為は、少年の実名は伏せてあるものの、本事件に関するこれまでの報道及び情報と併せると、少年を本事件の本人であると容易に推知することができるものである。

 (2)また、世界195か国(本年1月時点)で締結されている子どもの権利条約の第40条第2項も、上記のような観点から手続の全ての段階において少年のプライバシーを尊重しなければならないとしており、本件掲載行為は同条にも違反している。

 3.被害者遺族のプライバシーを侵害する点

 また、本件掲載行為は、本事件から約18年を経過した現時点においてなされたものであり、被害者遺族の心情を無視し、遺族の当時の経験や記憶を改めて想起させるものであり、事件内容が詳細に世間に知れ渡ることにより被害者遺族に苦痛を与え、平穏な生活を送ることを害し、更なる被害を生むものである。

 特に、本件掲載行為に関し、株式会社文藝春秋は、被害者遺族に対し、事前に何らの掲載に関する確認も行わずに、全文掲載を行ったものであり、その被害は甚大である。

 4.以上のとおりであり、当会は、本件掲載行為を行った株式会社文藝春秋に対し、強く抗議するとともに、今後同様の行為を行わないよう強く要請する。
 
2015(平成27)年5月19日
 滋賀弁護士会 会長 中原淳一

 特定秘密保護法案に反対する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20131114.html

 政府は、2013(平成25)年10月25日、「特定秘密の保護に関する法律(案)」(以下、「本件法案」という。)を国会に提出した。

 当会は、本年1月17日付「秘密保全法制定に反対する会長声明」において、秘密保全法制定に強く反対する旨の意見を表明した。すなわち、@新法制定の必要性を支える立法事実がないこと、?保護対象となる「特別秘密」の範囲が広範かつ曖昧である上、行政機関による秘密指定の適正性をチェックする仕組みが無く、(主権者たる)国民の知る権利を損なうこと、?秘密保全法違反により起訴される被告人が、適正な手続きにより裁判を受ける権利が十分に保障されないこと、?適正評価制度導入により、特別秘密取扱者本人のみならず、その周辺者のプライバシーや思想・信条の自由までが侵害されることの4点を指摘し、法案作成の即時中止を求めたところである。

 しかるに、政府は、その後も秘密保全法制定作業を進め、9月26日、本件法案の概要を公表し、その後実施したパブリックコメントに寄せられた約9万件の意見の内、約77%がこれに反対するものであったにもかかわらず、閣議決定の上、本件法案を国会に提出した。

 さて、本件法案においても、前記会長声明において指摘した問題点は全く解消されていない。

 特に、「特定秘密」として指定できる事項を列挙した「別表」は概括的網羅的な記載となっており、行政機関の長らが秘密指定できる事項の範囲は広範かつ曖昧なままである。

 また、秘密指定の適正性をチェックする仕組みも無い。この点、本件法案第18条第1項は、「特定秘密の指定及びその解除・・・の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定める」としているが、同項により定められる基準は、同条2項の有識者の意見聴取を経てもなお抽象的なものとならざるを得ず、秘密指定が可能な範囲の明確化に資する面は乏しく、行政機関の長らの指定の適正性を保障するものでもない。

 また、本件法案でも、処罰対象は広範であり、故意の漏えい行為や特定秘密の取得行為(これらの未遂を含む。)に限られず、過失の漏えい行為、更には、漏えい行為や特定秘密の取得行為の共謀、教唆、扇動にまで及んでおり、共謀、教唆、扇動罪の成立には実行行為の着手すら不要となっている。このような本件法案の処罰範囲の広範さは、保護対象となっている特定秘密の範囲の広範かつ曖昧さと相まって、国民の知る権利や報道・取材の自由に対して極めて深刻な萎縮効果を及ぼすものとなっている。

 なお、政府は、国会提出前に、本件法案に、この法律の拡張解釈による国民の基本的人権の「不当」な侵害を禁止し、報道等に従事する者の取材行為については、「法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限り・・・正当な業務」と認めるなどとした規定を設けたが、抽象的な理念を明文化したところで、当不当の判断は、まずは行政機関たる捜査機関が行うものである以上、上記の萎縮効果が払拭されることはない。

 当会も、政府には国家の安全保障上国民に秘匿すべき国家秘密があることを否定するものではない。しかし、国民は、必要な情報を得て初めて、主権者として、国の政治のあり方を決め、実行することが可能となるため、国家秘密の秘匿は、常に、国民主権ないし議会制民主主義との間で緊張をはらむことになる。従って、国家秘密の指定と解除のあり方に関する制度設計は、徹底的かつ慎重に検討されなければならない。

 しかるに、本件法案には、上記のとおり、秘密指定により国民に秘匿できる事項を広範に認めるとともに、秘密指定の適正性につきチェックする仕組みを持たないため、行政機関の長らの恣意的な判断により、政府にとって国民に知られたくない情報を、「特定秘密」と偽って、国民に知らせないでおくことを可能とする欠陥を有する。しかも、特定秘密の提供は、国権の最高機関であり、国民の代表として行政を監視する立場にある国会に対してすら限定的かつ任意のものとなっている。かくては、本件法案は、国民主権ないし議会制民主主義の根幹を揺るがすものと評価せざるを得ない。

 以上のとおりであるから、当会は本件法案の立法化について、断固反対する。

 2013(平成25)年11月14日
 滋賀弁護士会 会長 甲津貴央

 4.これに対して、裁判所速記官による速記録は、尋問を実施したその日のうちに文字化された証言・供述調書を作成することが可能なまでに進歩している。文字化された逐語録調書は裁判員にも閲覧が容易であり、一覧性も高く、証言・供述調書を元に、公正・的確な心理や評議が期待できる。

 しかも、ビデオとコンピューターの音声認識では、発言が重なったり、曖昧な発音のため、証言・供述内容が確認できない場合がありうるが、裁判所速記官による速記録の場合には、裁判所速記官が立ち会って、その場で証言・供述を確認できるため、内容が確認できないことは殆どない。

 よって、裁判員裁判における尋問の際には速記官を活用し、訴訟当事者が即時に速記録を閲覧等できるようにするべきである。

 5.また、聴覚障がい者の、裁判を受ける権利や裁判員になる権利を保障するには、速記による情報保障が不可欠である。最高裁判所は、手話通訳者と要約筆記者とを確保するとしているが、手話のできる聴覚障がい者は全体の約2割程度であること、要約筆記では十分な情報保障にならないことなどの問題があり、聴覚障がい者の裁判を受ける権利や裁判員になる権利の保障には不十分である。

 6.現在、世界の多くの国は、裁判に、機械速記によるリアルタイム速記を採用しており、アメリカでは、我が国の最高裁判所が裁判所速記官の養成を停止した当時約3万人であった速記者が現在では6万人を超える状況にあり、ハーグの国際刑事裁判所においてもリアルタイム速記が活用されている状況にある。

 このように世界標準となっているリアルタイム速記は、裁判所速記官の増員や機器の確保などの態勢さえ整備されれば、日本においても十分に実現可能なものである。最高裁判所の裁判所速記官養成停止の方針は、このような世界の流れに逆行するものである。

 7.よって、当会は、最高裁判所に対して、裁判員裁判の証拠調べや、聴覚障がい者の裁判を受ける権利等を保障するために必要な場合には、広く裁判所速記官を活用するとともに、速やかに裁判所速記官の養成を再開することを、強く求める。
 
 2014(平成26)年1月27日  滋賀弁護士会
 会長 甲津貴央

 要保護者の保護の利用を妨げる「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20130611.html

 1.政府は、本年5月17日、生活保護法の一部を改正する法律案(以下、「改正案」という。)を閣議決定し、国会に提出した。

 2.改正案には、いわゆる「水際作戦」を合法化し、さらには、要保護者をより一層萎縮させることにより、保護申請自体を抑制する効果を与えるという看過しがたい問題がある。

 3.まず、現行生活保護法(以下、「現行法」という。)は、保護の申請について書面によることを要求しておらず、申請時に要否判定に必要な書類の提出も義務付けていない(現行法第24条1項)。申請意思が客観的に明白であれば口頭による申請も有効であるとするのが確立した裁判例であり、保護の実施機関が、審査応答義務を果たす過程で、要否判定に必要な書類(通帳や賃貸契約書等)を収集することとされている。

 しかし、実際には、全国の福祉事務所の窓口において、要保護者が生活保護の申請意思を表明しても申請書の書式を交付しなかったり、疎明資料の提出を求めて申請書の受理を拒否したりする事例が少なからず見受けられた。これらの行為は、申請段階、すなわち水際で保護を阻止するものとして「水際作戦」と呼ばれ、数々の裁判例において、申請権を侵害する違法な行為と評価されてきた。

 改正案第24条1項は、生活保護の申請は、「要保護者の資産及び収入の状況」のほか「厚生労働省令で定める事項」を記載した申請書を提出しなければならないとし、同条2項は、申請書には保護の要否判定に必要な「厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない」としている。

 このような改正がなされると、添付書類の不備等を理由として申請を受け付けない取り扱いが合法的に行われることになり、これまで申請権侵害行為と評価されてきたいわゆる「水際作戦」が合法化されることになる。

 この点、厚生労働大臣は、5月14日の閣議後記者会見において、「今まで運用でやっていたことを法律に書くというだけの話なので、それほど運用面では変わらない」と述べている。当該発言は、改正案の目的が、まさに、全国の福祉事務所の窓口においてまん延している申請権を侵害する行為を合法化することにあることを示している。

 また、この点に関する国民からの批判の声を無視できなくなり、衆議院厚生労働委員会は、本年5月31日、特別な事情がある場合は口頭での申請も認めることで合意し、改正案を一部修正した上、自民、民主両党などの賛成多数で可決した。

 その後、一部修正された改正案は、6月4日の衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られた。

 すなわち、改正案第24条1項及び2項につき、それぞれ、「特別の事情があるときは、この限りではない」とするただし書きを付加する内容で修正された。

 しかしながら、結局のところ、「特別の事情」は福祉事務所の窓口が判断するのであり、いわゆる「水際作戦」を合法化することに変わりはない。

 裁判所速記官の活用及び養成再開を求める会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20140127.html

 1.裁判所速記官制度は、裁判記録の正確さや公正さを担保するとともに、迅速な裁判の実現にも資するものであり、特に、国民の司法参加が強く求められている現在、裁判に必要不可欠な制度である。裁判所法第60条の2第1項も、「各裁判所に裁判所速記官を置く」と規定し、各裁判所に裁判所速記官を配置することを法律上義務づけている。

 ところが、最高裁判所が裁判所速記官の新規養成を1998(平成10)年度から停止したことにより、最大時825名いた裁判所速記官は2013(平成25)年4月1日時点で208名にまで減少し、大津地方裁判所管内の裁判所速記官の配置は、本庁の2名のみとなっている。

 2.現在、最高裁判所は、裁判所速記官による速記録に代わるものとして、民間委託による録音反訳方式を導入している。しかし、録音反訳方式には、調書の完成までに日数がかかることや、法律上の独特の言い回しなどにつき民間業者が必ずしも精通していないためか、誤字・脱字、訂正漏れ、意味不明箇所が目立つなどといった問題点が指摘され、審理に少なくない影響を与えている。また、民間業者に委託すること自体についても、情報管理の観点からの懸念がある。

 3.また、2009(平成21)年5月21日から、一般市民が裁判員として刑事裁判に参加する裁判員制度が開始され、一定の重罪事件につき一般市民が職業裁判官とともに事実認定や量刑判断を行っているが、裁判員の更生・的確な判断を保障するためには、法廷でのやりとりや証言内容が即時に確認できるようにすることが不可欠である。

 最高裁判所は、ビデオ録画とコンピューターの音声認識を組み合わせ、一定の単語を手掛かりに証言・供述の各場面を探索できるようにして、裁判員裁判の評議に対応しようとしているが、このシステムは、認識精度が極めて低いため、正確な記録にならず、証言・供述の目的箇所の検索も困難である。また、裁判所が正確かつ迅速に文字化された供述記録を作成しないため、裁判員は、自分の記憶と自分の作成するメモを頼るしかない状況であると推測される。このような状況では、公正・的確な審理や評議による正しい事実認定のもと、適正に裁判が進められるのか、甚だ疑問である。

 4.また、安倍首相は、憲法の解釈変更が認められる法的な論拠として、砂川事件最高裁判決(昭和34年12月16日最高裁大法廷判決)を挙げている。しかし、砂川事件最高裁判決は、日本が集団的自衛権を行使できるなどという見解を何ら示していない。

 砂川事件は、在日駐留米軍の管理する敷地内に立ち入ったデモ隊を、刑事特別法で処罰できるか否かが問題となった事件である。争点は、旧安保条約に基づく米軍駐留が憲法9条2項の「戦力」にあたるかどうかであった。

 砂川事件の最高裁判決は、「憲法が保持を禁止した戦力とは日本の戦力を指し、外国の軍隊は、憲法が禁止する戦力にはあたらない」、「日米安全保障条約の合憲性の判断は、司法審査になじまない」旨を判示したにとどまる。すくなくとも、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止するような行為が憲法上許容されるという判断はしていない。岸信介首相(当時)は砂川判決直後の1960年(昭和35年)3月31日の参議院予算委員会において、「集団的自衛権は、日本の憲法上は、日本は、持っていない」と答弁しているのである。また砂川事件の最高裁判決は、高度の政治性を有する問題についてはお墨付きを与えないという立場であるが、その判決の一部を抜き出して、お墨付きを得たと主張するのは矛盾している。
 最近明らかになったところによれば、この大法廷判決に関与した裁判長田中耕太郎は、判決直前に駐日米大使らと非公式に会談していたという。これは、司法の独立を害する重大な事実である。このような状況の下で出された砂川事件最高裁判決は、その中立性にも疑問があるといわざるを得ない。このような重大な問題を抱える砂川事件最高裁判決に依拠して、しかもその判決内容を曲解して、集団的自衛権が憲法上認められるかのような主張が行われているのである。

 5.以上のとおり、限定容認であっても集団的自衛権は、憲法9条が許容するものではない。また、閣議決定の方法で憲法を実質的に変更することは立憲主義に反する行為である。さらに、砂川事件最高裁判決は、集団的自衛権を合憲とする根拠にはならない。

 憲法9条の解釈をこのようなやり方で変更することは、なし崩し的に憲法違反を作出することにほかならない。
よって、当会は、集団的自衛権の行使を容認する動きに、強く反対し、ここに決議する。

 2014(平成26)年5月28日 
 滋賀弁護士会

 集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
 ttp://shigaben.or.jp/chairman_statement/20140715.html

 2014(平成26)年7月1日、政府は、歴代政権が憲法上禁じてきた集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更を閣議決定した。

 集団的自衛権の行使は、憲法第9条の許容するところではなく、そのことはこれまでの政府の憲法解釈においても長年にわたって繰り返し確認されてきたことである。2004(平成16)年6月18日の閣議決定においては、「政府による憲法の解釈」は「論理的な追求の結果として示されてきたもの」とし、「政府において、憲法解釈は便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる」と説明され、さらに当時の首相は、かかる閣議決定を踏まえ、憲法と集団的自衛権の問題について、「便宜的な解釈の変更によるものではなく、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋」と国会で答弁しているのである。

 そもそも立憲主義とは、憲法により権力を拘束するというものであり、日本国憲法も立憲主義によって立つものである。立憲主義を担保するものとして、日本国憲法は憲法を最高法規と定め(憲法第98条)、内閣総理大臣及び国務大臣には憲法を尊重し擁護する義務(憲法第99条)が課せられ、厳格な憲法改正手続(憲法第96条)が定められているのである。

 権力を拘束するための法である憲法について、拘束される側の都合のよい解釈を行うことにより、その拘束を緩やかにしてしまうことは、立憲主義の否定に等しい。

 集団的自衛権の行使は、歴代政府が長年にわたり認められないと解釈してきたものであること、これを容認することは国家の在り方を根本的に変えてしまうことになることから、集団的自衛権行使を容認するというのであれば、それは憲法改正の手続によらなければならない。にもかかわらず、政府に都合のよいように憲法解釈の変更を閣議決定で行うというのは、一国の首相としてあるまじき憲法尊重擁護義務(憲法第99条)に反する行為であり、立憲主義に根本から違反する行為である。そして、本閣議決定は、恒久平和主義(憲法前文・第9条)に反するので、憲法の最高法規性(憲法第98条)により、効力を有しないと断ずるべきものである。

 滋賀弁護士会は、本年5月28日に「憲法第9条の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認しようとする動きに反対する決議」をあげた。また、日本弁護士連合会も、全国の全弁護士会も、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認に反対する決議又は会長声明をあげている。

 当会は、集団的自衛権の行使等を容認する本閣議決定に対し、強く抗議し、その撤回を求めるとともに、今後の関係法律の改正等に反対するものである。        

 以上

 2014(平成26)年7月15日
 滋賀弁護士会

 「特定複合観光施設区域の整備に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20141009.html

 1.国際観光産業振興議員連盟(通称「IR議連」)に属する国会議員らによって提出された「特定複合観光施設区域の整備に関する法律案」(以下「本法案」という。)が、先の国会にて継続審議となった。

 本法案は、カジノ施設を含む特定複合観光施設が、観光及び地域経済の発展に寄与すると共に財政の改善に資することを理由に、現在、刑法上の賭博罪に該当する行為として違法とされているカジノを合法化するとともに、カジノ施設を含む特定複合観光施設設置の推進を政府の責務とすることを内容とする。

 しかし、現在違法とされている賭博であるカジノを合法化するような正当な理由はなく、本法案を容認することは到底できない。

 2.そもそも、カジノ施設が設置されれば、@暴力団員その他不適当な者のカジノ施設に対する関与、?犯罪の発生、?風俗環境の悪化、?青少年の健全育成への悪影響、?入場者がカジノ施設を利用したことにより受ける悪影響等の様々な弊害発生が予見されるところである(本法案10条参照)。しかるに、本法案はこれらの弊害を予見しながら、その防止及び排除の具体策を何ら検討もしていない。

 そして、厚生労働省が今年発表した報告書によれば、我が国におけるギャンブル依存症の推定有病率は、男性で8.8%、女性1,8%と極めて高く、潜在的なものを含めると、さらに多くのギャンブル依存症の患者が存在することが示されている。このようにギャンブル依存症の有病率が高い状況にもかかわらず、ギャンブル依存症患者の治療施設や相談機関の設置、社会的認知への取組みなど、ギャンブル依存症に対する予防や治療体制が不十分な状況である。

 さらに、社会問題となっている多重債務問題の要因の一つとして、ギャンブルがあげられる。これまで、総量規制や金利規制を定めた貸金業法改正やこれに伴う多重債務者改善プログラムなどの対策の結果、多重債務者数も大幅に減少し、改善されてきたところである。しかし、カジノが解禁されれば、多重債務問題の再燃も大いに危惧されるところである。
 
4.また、カジノ解禁による経済効果が喧伝されているが、この点に関する客観的な検証はされていない。むしろ、カジノでの出費により多重債務に陥ったり、老後の資金等としての貯蓄が奪われることなどによる新たな経済的弱者が発生したり、増加するギャンブル依存症患者に対する様々な対策をする必要が生じる。このような対策に多額の税金を投入され、多額の社会的コストの発生も容易に予想されるところである。かかるカジノ解禁に伴う社会的コストをも考慮すると、これを上回る経済的効果が実際に存在するのか甚だ疑問である。

 たとえカジノ解禁による何らかの経済効果が認められようとも、暴力団員らの関与、犯罪の発生、風俗の悪化、青少年への悪影響、ギャンブル依存症患者の増加、多重債務問題の再燃などの様々な弊害を招来する危険に鑑みれば、そのような経済効果を追い求めるべきではない。

 以上のとおり、カジノを解禁することによる経済的視点からの合理性には疑問があり、賭博罪の保護法益を上回るものとは到底いえず、賭博であるカジノを合法化するような立法事実は存在しないといわざるをえない。

 5.ところで、報道等によると、滋賀県から比較的近接した大阪府内において、カジノ解禁を睨んで、カジノの誘致ないし開設が計画されているという。もし、大阪府内にカジノが開設されると、滋賀県からもカジノを契機としてギャンブル依存症に陥る者や多重債務に陥る者が出るなど、県民にも影響が及ぶことが懸念される。

 6.以上のとおり、刑法により禁止された賭博であるカジノを解禁し、推進する本法案について、当会は、ここに強く反対の立場を表明すると共に、本法案の速やかな廃案を求める。

 2014(平成26)年10月9日
 滋賀弁護士会 会長 近藤公人

 憲法改正発議要件の緩和に反対する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20130708.html

 およそ近代国家においては、国の最高法規であり国家権力を制限する機能を果たす憲法に人権保障規定を設け、国民の基本的人権の擁護を図っている(立憲主義)。

 日本国憲法も、人権保障規定を持ち、更に、時の政権が自己に都合の良いように憲法を改正して国民の基本的人権を不当に制限することがないよう、自らの改正に発議要件として各議院の総議員の3分の2以上の賛成という特別多数決を採用している。その結果、少数者の利益・人権にも配慮した国会における慎重な審議が期待できる。

 さて、近時、政権与党の側から、我が国において憲法改正が一度もなされてこなかった理由を発議要件が厳しすぎることに求め、憲法を国民の手に取り戻すために発議要件を緩和しなければならない旨の主張が繰り返されている。
しかし、国の最高法規であり人権保障機能を果たす憲法が、その改正に、より慎重さを求められるのはむしろ当然である。それゆえ、多くの国が憲法に厳格な改正要件を定めているのであり、日本国憲法が殊更に厳しい改正要件を定めているわけではない。

 また、憲法を国民の手に取り戻すために発議要件を緩和するとの主張は、発議要件を緩和すれば憲法改正案が国民投票に付される機会が増えるため、国民主権ないし民主主義に適うように見える。しかし、発議要件が緩和されると、国会での熟議がそれだけ期待できなくなり、国民は少ない情報しか与えられない状況下で投票を強いられる結果となる。かくては、発議要件の緩和は、時の政権に自己に都合の良いように憲法を改正する機会を多く与えるだけの結果に終わりかねない。特に、議院内閣制をとる国家にあっては、政権の座にある者が同時に国会の多数派でもあるので、その弊害は大きい。

 よって、当会は、憲法改正の発議要件の緩和に、強く反対する。

 2013(平成25)年7月18日
 滋賀弁護士会 会長 甲津貴央

 憲法9条の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認しようとする動きに反対する決議
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20140528.html

 1.安倍晋三首相は、本年2月の衆議院予算委員会で、日本国憲法9条に関する政府解釈を閣議決定の方法で変更する方針を示した。これに呼応して、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「安保法制懇」という。)は、5月15日、集団的自衛権の行使を容認すべきであるとの答申を出した。

 同首相は、同日、集団的自衛権行使の限定容認に向け、憲法解釈変更の基本的方向性を表明した。

 2.憲法9条2項は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と定めて、日本が戦力を持つことができないこと、他国と交戦できないことを明記した。したがって、自衛隊そのものについても、それが戦力にあたる憲法違反の存在ではないかという議論が存在するのである。

 この点についての政府見解は、「自衛隊は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反するものではない」(昭和55年12月5日)、「自衛のため必要最小限度の防衛力を保持することは9条の禁止するところではない」(昭和57年3月10日)というものである。政府自身も自国の防衛に必要な最小限度を超えていないとして、自衛隊が合憲だと主張してきたのである。

 この論理によるならば、自国の防衛のために必要かつ最小の限度を超える実力の行使は、憲法違反ということになる。政府も、集団的自衛権を「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義した上で、「憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」と説明してきた(政府答弁書昭和56年5月29日)。
 政府自身が認めてきたように、自国が攻撃を受けていないにもかかわらず、自衛の名の下に実力を行使することは、憲法が許容するところではない。自国が攻撃を受けていないのに実力を行使することは、明白な憲法違反である。

 3.ところが、政府は、この問題について、安保法制懇という私的な諮問機関の報告書をもとに、解釈変更のための閣議決定をしようとしている。

 そもそも、憲法の基本理念である立憲主義は、憲法で国家権力を制限することにより国民の権利・自由の保障を図るものである。憲法改正の手続を経ずに、政府自身が解釈により憲法の内容を実質的に変更することは立憲主義に反し、許されない。

 憲法が予定する手続によらずに、憲法の制約を免れようとすることは、もはや憲法解釈の変更ではなく、憲法違反の状態を作り出す行為にほかならない。

 「平和安全法制」関連法案に反対する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150714_1.html

 「国際平和支援法案」及び自衛隊法や周辺事態安全確保法の改正案等の一連の「平和安全法制」関連法案が、現在、国会で審議されている。これらの法案は、以下に指摘するとおり、日本国憲法の立憲主義の基本理念及び憲法9条に違反する重大な問題を抱えている。当会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の団体として、この法案に反対する。

 1.立憲主義及び憲法9条に反すること

 一連の「平和安全法制」関連法案(以下「本法案」という。)は、昨年7月1日の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を法制化しようとするものである。

 集団的自衛権は、日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国に対して自衛隊が武力を行使するというものであって、武力の行使を放棄した憲法9条1項に違反する。これまで、自衛隊は、日本が攻撃を受けたときに、これを排除するために必要最小限度の実力を行使するにとどまることを理由に、憲法9条2項の戦力にあたらないと説明されてきた。ところが、集団的自衛権の行使を容認することになれば、もはやこの論理は維持できなくなり、自衛隊は憲法9条2項が禁じている「戦力」であることを否定できず、その武力の行使は同項が否認している「交戦権」の行使となることから、憲法9条2項にも違反する。

 集団的自衛権の行使が憲法上認められないことは、60年以上にわたって政府自身が繰り返し確認してきた、確立された憲法解釈である。にもかかわらず、こうした解釈を閣議決定で変更し、これを立法化することは、憲法改正手続によらずに実質的に憲法を改変するに等しい。これは、憲法によって権力に縛りをかけることで国民の自由・権利及び平和を守るという立憲主義に反するものである。

 憲法学者の多くは、昨年の閣議決定や本法案が憲法違反である旨の意見を表明している。

 加えて、衆議院の憲法審査会では、自民党が推薦した参考人を含め3人の憲法学者全員が「法案は違憲である。」旨を述べている。

 また、昨年来、全国のすべての弁護士会が集団的自衛権の行使は憲法違反であることを指摘している。当会も、昨年5月28日には「憲法9条の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認しようとする動きに反対する決議」を、同年7月15日には「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明」を発表したところである。

 政府は、砂川事件の最高裁判決を根拠に、集団的自衛権の行使が合憲であると主張している。しかし、砂川事件最高裁判決は、憲法上、日本が集団的自衛権を行使できるなどとは全く述べていない。この判決は「在日米軍は外国の軍隊であって、日本が主体となって指揮・管理できない。だから在日米軍は憲法9条2項が保有を禁止している戦力にはあたらない」と判断したにとどまる。日本が攻撃を受けていない状況下で、自衛隊が実力を行使することを憲法が認めているなどと判示したものではないのである。砂川事件最高裁判決は、集団的自衛権の行使が合憲であることの理由にはならない。

 以上のとおり、本法案は憲法9条に反するものであり、憲法改正手続によらず、違憲の法律を制定することは、立憲主義に反するものである。

 2.「存立危機事態」概念の問題性

 自衛隊法76条の改正案では、いわゆる「存立危機事態」にも、」内閣総理大臣が自衛隊の出動を命じることができることとされている。そうなれば、同法88条によって自衛隊が武力を行使できることになる。

 しかし、武力の行使を可能とする「存立危機事態」とはどのようなものであるかが、一連の法案でも、政府の説明でも、なんら具体的に示されていない。自国が攻撃されていないのに、他国が攻撃されて日本の存立が脅かされる状況とはどのようなものか不明である。しかも、武力行使の地理的な限定もない。これでは、自衛隊の武力行使を有効に制約することができず、恣意的に適用される危険がある。

 憲法9条1項は、日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国に対して自衛隊が武力を行使することを認めていないのであり、自衛隊法76条の改正案は、憲法9条1項に違反するものである。

 3.「重要影響事態」概念の問題性

 本法案の一つである「重要影響事態に際しての我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」は「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を「重要影響事態」と定義し、重要影響事態に該当するときは、地理的な制約なく、船舶検査活動、後方支援活動、捜索救助活動を可能にするとしている。

 我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態という文言はあまりに漠然としており、恣意的に適用される危険がある。

 また後方支援活動には、他国軍に対する兵站活動も含まれている。兵站活動は他国の武力行使と一体化した活動であるし、相手国からの攻撃を招く危険性が高い活動である。いまだ日本が直接に武力攻撃を受けていない状態で、他国軍と一体化してこのような活動を行うことは、自衛隊への武力攻撃を招来し、これに対する反撃を余儀なくされる結果、自衛隊の海外での武力行使へ道を開くものとして、憲法9条1項に違反するものである。

 4.国際平和支援法案による自衛隊海外派遣法制の恒久法化の問題性

 国際平和支援法案は、「国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの」を「国際平和共同対処事態」と定義し、国際平和共同対処事態に該当するときは、自衛隊が諸外国の軍隊等に対して協力支援活動等を行うことができるようにするものである。

 これまでのように個別法を作らずに、自衛隊の海外派遣を広範に認めるようにすることは、世界各地で日常的に自衛隊が武器の使用の危険性に直面することを意味する。

 憲法は、あくまでも武力を背景としない国際関係を希求するものであって、武器を携えた自衛隊が、日常的に世界各地で活動するようなことを想定していない。

 以上のとおり、本法案は、日本国憲法の立憲主義の基本理念及び憲法9条に違反する。当会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の団体として、この本法案に反対する。

 2015(平成27)年7月14日
 滋賀弁護士会 会長 中原淳一

 「平和安全法制」関連法案の強行採決に抗議する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150919.html

 本日、いわゆる平和安全法制関連法案が、参議院で強行採決され、可決成立した。これらの法案が憲法に違反するものであることは、当会だけでなく、全国の弁護士会、日本弁護士連合会がそろって訴えてきたところである。また、多くの憲法学者や、元最高裁判所長官、元内閣法制局長官からも、憲法違反の指摘がなされてきた。国民の反対の声を押し切り、国会での説明・審議も十分に尽くさないまま採決に踏み切ったことに対し、当会は、強い抗議の意思を表明するものである。

 とりわけ、憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使は許されないという、これまで政府自身がとってきた立場を、一内閣の解釈変更で反故にしたこと、そのための論拠として砂川事件の最高裁判決に無理な解釈を加えて法案を正当化したことは、立憲主義を踏みにじる暴挙であって、断じて許すことはできない。砂川事件最高裁判決が集団的自衛権の行使を容認したなどという解釈は、法律家からみればあり得ない誤った見解である。

 当会は、集団的自衛権の問題について、昨年9月と今年6月の2回、市民向けの講演会を実施し、今年7月20日には約1300人を集めて新安保法制を許さない県民集会とデモを、8月21日には約500人が参加する緊急集会とデモを行い、さらに9月9日には、県内9か所で全県一斉街頭宣伝活動を行った。加えて、これらの準備中に20回を超える街頭宣伝活動を行った。そうした活動を通じて、多くの市民に法案の問題性への理解を深めていただくとともに、多くの市民と協同することができた。当会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の団体として、憲法違反のこの法律の廃止を目指す取組みを行うこととする。

 2015(平成27)年9月19日
 滋賀弁護士会 会長 中原淳一

 少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150714_2.html

 選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正案が可決、成立した。同法の附則では「少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と規定されており、自由民主党は「成年年齢に関する特命委員会」を設置し、現行20歳未満とされている少年法の適用年齢の引下げについて検討を始めている。

 しかし、国や社会の在り方について考え、投票行動により自分の意見を表明できる者は何歳以上であるかという公職選挙法の選挙権年齢の問題と、非行を行った者に対し健全な大人になるための手立てを講じる時期をどこまでに設定するかという少年法の適用年齢の問題は全く別であり、これらを連動させる理由はない。過去を見ても、選挙権年齢は戦後に現行の公職選挙法が制定・施行されるまでは25歳以上の男子とされていたが、旧少年法(1922(大正11)年制定)の適用年齢は18歳未満とされており、一致していなかった。また、1896(明治29)年制定の民法は成年年齢を20歳と規定しており、選挙権年齢とも旧少年法の適用年齢とも一致していなかった。法律の適用年齢はそれぞれの法律の立法趣旨に照らして慎重かつ具体的に検討すべきであり、少年法についても同様である。
この点、旧少年法で18歳未満とされていた適用年齢を現行の20歳未満に引き上げたのは、20歳くらいまでの者は未だ心身の発達が十分でなく環境その他外部的条件の影響を受けやすく、犯罪が深い悪性に根ざしたものではないため、刑罰を科すよりは保護処分によってその教化を図る方が適切である場合が極めて多いという立法趣旨に基づく。若年者の犯罪・非行がその資質と生まれ育った環境に大きく起因していることは、非行少年と接し、その立ち直りの支援に当たっている者が日々体感していることであり、この立法趣旨は現在にも当てはまる。

 現行の少年法制の下においては、少年事件は全件家庭裁判所に送致され、家庭裁判所調査官による社会調査、少年鑑別所における資質鑑別、付添人等による更生のための援助、審判廷での質問、訓戒など様々な教育的な働きかけにより、少年の更生・成長・発達を図っている。少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げると、18歳、19歳の少年被疑者は刑事裁判手続で扱われることになり、比較的軽微な犯罪の場合、専門的な調査や審判時や審判後の教育的な働きかけなど、これまで練り上げられてきた処遇が全くなされないまま、起訴猶予処分により社会に復帰することになる。これは、少年の更生の機会を奪い、再犯のリスクを高めることになりかねない。2013(平成25)年に検察庁が新しく受理した18歳、19歳の少年被疑者数は4万8642人(検察統計年報)であり、その影響は大きい。

 少年法の適用年齢を引き下げるべきであるとの意見の中には、少年非行や少年による凶悪犯罪の増加を根拠にするものがある。しかし、刑法犯少年の検挙者数は年々減少しており、少年10万人あたりの検挙人員も2013(平成25)年は763.8人となり、ピークであった1981(昭和56)年の1721.7人の半分以下となっている。また、殺人・強盗・放火・強姦といった凶悪犯罪と呼ばれる事件は昭和30年代のピーク時の12%以下まで減少しているのであって、少年非行や少年による凶悪犯罪が増加しているとはいえない。
よって、当会は、少年法の適用年齢の引下げに強く反対する。

 2015(平成27)年7月14日
 滋賀弁護士会 会長 中原淳一

 少年審判書の全文掲載に対する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150519.html

 1.本年4月10日に発売された「文藝春秋」5月号(株式会社文藝春秋発行)において、いわゆる「神戸連続児童殺傷事件(以下「本事件」という)」の少年審判における審判書の全文が、同紙に掲載された(以下「本件掲載行為」という)。

 この点、本件掲載行為に対しては、既に神戸家庭裁判所が、記事を寄稿した記者、審判書を提供した元裁判官である弁護士と株式会社文藝春秋に対し、裁判官が退官後も負う守秘義務に違反する行為などにあたるとして抗議文を送付したところである。

 本件掲載行為については、元裁判官による守秘義務違反という司法制度の根幹を揺るがす重大な問題があることは当然であるのに加えて、以下の点においても極めて問題がある。

 2.少年法の制度趣旨を没却し、少年のプライバシーを侵害する点

 (1)少年法は、少年の健全な育成(少年法第1条)のため、未成熟な少年を保護し、将来における更生を可能とすることを目的として制定されているところ、本件掲載行為は、成人の刑事裁判とは異なる制度設計のもと、少年審判制度が作られた法の趣旨に反する行為である。

 すなわち、少年法は、更生した少年が社会に戻る際の妨げとならないように、非行したこと自体を秘密とする必要があること、また、少年の抱えている問題点・矯正教育の方法を踏まえ、処分を審判するために、少年の性格、全生活史、その家族のプライバシーに関わる事項、事件に至った経緯・内容等のプライバシーの多岐にわたる事実を少年や家族、関係者等から聴取する必要があることから、少年法では成年とは異なる特別の規定が設けられている。少年審判の非公開(同法第22条第2項)、推知報道すなわち少年を特定する事項の報道の禁止(同法第61条)、記録の閲覧制限(少年審判規則第7条)等がこれにあたる。

投稿日: 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2352 どんたく滋賀弁護士会B 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2352 どんたく滋賀弁護士会B 2018年2月2日

ソース:2352 どんたく滋賀弁護士会B 2018年2月2日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/02/2352-%e3%81%a9%e3%82%93%e3%81%9f%e3%81%8f%e6%bb%8b%e8%b3%80%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a2/

2352 どんたく滋賀弁護士会B 

どんたく滋賀弁護士会B

 各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入を求める決議
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20130116_1.html

 当弁護士会は、我が国における人権保障を推進し、国際人権基準の実施を確保するため、市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下、「自由権規約」)をはじめとして各人権条約に定める個人通報制度を早期に導入することを政府及び国会に対し強く求める。

 以上のとおり決議する。

 決議理由

 個人通報制度とは、自由権規約等をはじめとする人権条約で保障された権利を侵害された者が、国内の裁判等の手続を尽くしても権利の回復がされない場合に、各条約の定める国際機関に直接救済の申し立てができる制度である。
 
 多くの人権条約が条約上の権利の確保を実効化するために、各々個人通報制度を設置しているところ、この制度を我が国が受け入れるためには、自由権規約、女性差別撤廃条約等においては、本体である人権条約の加入とは別に個人通報制度を定める選択議定書を批准する手続きが必要であり、また人権差別撤廃条約等においては本体条約中にある個人通報条項を受諾宣言する必要がある。しかし、我が国は、いずれの選択議定書への批准および個人通報条項の受諾

 宣言もしていない。

 諸外国の状況については、自由権規約の選択議定書を批准している国は114カ国、女性差別撤廃条約の選択議定書を批准している国は104カ国にのぼる。また、OECD加盟国34カ国のうち、個人通報制度をもたない国は、我が国を含む2カ国のみであり、さらにG8サミット参加国のなかでは、唯一我が国のみがいかなる個人通報制度も有しない(本段落につき、2012(平成24)年4月現在)。

 我が国は、自由権規約をはじめとする多くの人権条約に加入しているところ、これまで我が国の裁判所は、憲法ー条約ー法律ー命令という序列のもと我が国の法令の解釈にあたっては憲法のみならず条約適合性をも考慮しなければならないのはむしろ当然のことであるにもかかわらず、条約上の権利保障条項の適用に積極的とはいえず、我が国が加入している人権条約が定める国際人権条項の国内実施状況は極めて不十分なものとなっている。

 例えば、婚外子に対する相続差別規定(民法900条4号但書前段)に関しては、日本政府は、これまで自由権規約委員会等からあらゆる差別の撤廃等を規定した自由権規約2条、24条等の条項に合致するよう、婚外子に対する差別的な規定を除去するよう勧告を受けてきたにもかかわらず、日本政府はなお婚外子差別規定を容認しており、最高裁判所は、同規定が憲法14条1項に反しないとした最高裁大法廷平成7年7月5日決定以来、同規定の合憲判断を続けている。その他にも、日本政府は、これまで国連人権条約機関による審査において、死刑制度、代用監獄や密室での取調べ等刑事司法制度全般、外国人に対する差別、女性に対する差別的規定などについて改善するよう勧告等を受けてきたにもかかわらず、これらの勧告を十分履行しているとは言い難い状況である。

 各人権条約における個人通報制度が我が国に導入されると、裁判所は、判決後に個人通報がなされ、自由権規約委員会等条約上の国際機関による勧告によって判決に対する人権条約違反の指摘がなされる場合があることを事実上想定しなければならないため、条約上の国際機関の一般的意見等国際的に通用している権利条項の解釈について目を向けざるを得ず、その結果として、我が国における裁判の内容が条約上の権利を踏まえたものに大きく変わり、ひいては立法、行政においても国際的な人権基準を踏まえた法律改正、法律の運用を促す契機になり、我が国における人権保障水準が国際水準にまで前進することが期待される。

 当弁護士会では、これまで人権救済申立てに対する調査及び警告勧告等の措置を講ずるなど人権擁護活動に真摯に取り組んできたところである。

 そこで、当弁護士会は、我が国における人権保障を推進し、国際的水準での人権保障の実施を確保するため、自由権規約をはじめとした各人権条約に定める個人通報制度を早期に導入することを政府及び国会に対し強く求めるものである。

 以上

 2013(平成25)年1月16日  滋賀弁護士会
 会長 荒川葉子

 秘密保全法制定に反対する会長声明
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20130117.html

 1.はじめに

 2011年(平成23年)10月、政府における情報保全に関する検討委員会は、同年8月8日付「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」を受けて、秘密保全法制法案化作業を進めることを決定した。

 しかし、秘密保全法案(仮称)は、以下に述べるとおり、憲法上の諸規定に抵触するおそれが高い。また、有識者会議の議事録が作成されず、議事メモも廃棄したと説明される等、その検討過程の多くが不透明なままである。

 当会は、2012年(平成24年)11月3日、沖縄密約事件の当事者である西山太吉氏らを招き、シンポジウムを開催した。同シンポジウムにおいて、西山氏は、沖縄返還協定に絡む日米間の密約の存在を否定し続けてきた政府の姿勢からすれば、秘密保全法案は、政府にとって都合の悪い情報を隠蔽するためのものであると考えられること等を指摘した。また同シンポジウムにおいては、秘密保全法案が、情報公開の流れに逆行するものであること、メディアの取材の自由に対して萎縮的効果をもたらす危険性を持つこと等多数の問題点があることも浮き彫りとされた。
そこで、当会は、秘密保全法案を到底容認することはできず、本声明を発する次第である。

 2.立法事実の不存在

 秘密保全法を制定しようとする動きのきっかけとなったとされる尖閣諸島沖中国漁船衝突映像流出事件は、国家秘密の流出などとは到底言えない事案であった。また、前記報告書には、秘密保全法制の必要性を基礎付けるため、「主要な情報漏洩事件の概要」が資料として添付されているが、情報漏洩に関してはいずれも国家公務員法100条(罰則同109条)や自衛隊法59条(罰則同118条)等の現行法制で十分に対処できるものであり、新たな法制を設ける必要性はない。

 3.国民の表現の自由との抵触

 報告書によれば、禁止行為の一つに、「特別秘密」に対する「特定取得行為」がある。ここで、「特別秘密」とは、国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持の3分野において各行政機関が特に秘匿を要するものとして指定したものとされる。

 かつて廃案となったスパイ防止法の対象範囲は、国の安全、外交であった。そして、報告書は、これに「公共の安全及び秩序の維持」を付加している。これは極めて広範囲、かつ、その外延も不明確なものである。そこで、報告書は、自衛隊法の別表方式によって限定列挙をすることが適当とする。しかし、自衛隊法の別表方式も、概括的網羅的であるから、同様の方式では何ら限定にならない。

 また、秘密指定権者は当該秘密を作成・取得する各行政機関とされている。これに対して、第三者によるチェックの仕組みは何ら想定されていない。時の権力者の恣意的な権限行使により、表現の自由が著しく制約されることは、沖縄密約事件からも明らかである。

 次に、「特定取得行為」には、社会通念上是認できない行為を手段として特別秘密を取得する場合も含まれるものとされる。

 しかし、通常の判断能力を有する一般人の理解において、いかなる場合にそれに当てはまるのか、適用基準が不明確である。

 さらに、故意による漏えい行為のみならず、過失による漏えい行為、共謀行為、独立教唆行為及び扇動行為をも処罰対象としており、秘密保全法案の想定する禁止行為は過度に広汎である。

 このように、過度に広汎で漠然とした規制がなされた場合、取材・報道の自由を含む表現の自由に対して、萎縮的効果が及ぶ。その結果、取材・報道が差し控えられると、国民の知る権利は大きく損なわれる。

 4.次に、現行法は、扶養義務者の扶養は保護の要件とはせず、単に優先関係にあるものとして(現行法第4条2項)、現に扶養(仕送り等)がなされた場合に収入認定してその分保護費を減額するに止めている。

 しかし、実際には、全国の福祉事務所の窓口において、あたかも親族の扶養が保護の要件であるかのごとき説明がなされ、親子兄弟に面倒を見てもらうよう述べて申請を受け付けずに追い返すこともなされていた。また、扶養義務者への通知によって生じ得る親族間のあつれき等を恐れて申請を断念する事例も少なくなからず見受けられ、このような要保護者の心理を利用して申請を断念させることもなされた。これらも、いわゆる「水際作戦」の一種であり、申請権を侵害する違法な行為と評価が出来る。

 この点、改正案第24条8項は、保護の実施機関に対し、保護開始の決定をしようとするときは、あらかじめ、扶養義務者に対して、厚生労働省令で定める事項を通知することを義務付けており、さらに、改正案第28条2項は、保護の実施機関が、保護の決定等にあたって、要保護者の扶養義務者等に対して報告を求めることができるとしている。また、改正案第29条1項は、過去に生活保護を利用していた者の扶養義務者に関してまで、官公署等に対し必要な書類の閲覧等を求めたり、銀行、信託会社、勤務先等に報告を求めたりすることができるとしている。

 このような改正がなされ、扶養義務者に対する通知が義務化され、調査権限が強化されることになると、要保護者の保護申請に対し萎縮効果を及ぼすことは明らかである。

 5.こうした改正案に対する批判の高まりを受けて、厚生労働省は、「書類の提出は保護決定まででよい」、「扶養義務者への通知は極めて限定的な場合に限る」などとして、従来の取り扱いを変更するものではないとの弁明をしている。

 しかし、改正案の文言上、そうした解釈自体困難である。仮に、そうした取り扱いを法律の下位規範である省令等をもって定めるとすれば、改正案の内容に正当性がないことを自認することになるし、法律で義務付けられた事項を下位規範で緩和することができるか自体疑問である。

 6.当会は、生活困窮者支援のための活動に関与する会員が増えている中、いわゆる「水際作戦」による被害の個別救済に全力を挙げるとともに、本年4月13日には、憲法記念行事として、「本当にいいの?生活保護バッシング〜保護基準引下げが市民生活に及ぼすこと〜」と題した集会を行うなど、貧困問題について積極的に取り組んできた。

 改正案は、これまで違法とされてきたいわゆる「水際作戦」を合法化するものであり、一層の萎縮的効果を及ぼすことにより、客観的には生活保護の利用要件を満たしているにもかかわらず、生活保護を利用することのできない要保護者を続出させ、多数の自殺・餓死・孤立死等の悲劇を招く恐れがある。

 これは我が国における生存権保障(憲法25条)の精神そのものを踏みにじるものであり到底容認できない。

 よって、当会は改正案の廃案を強く求めるものである。

 以上

 2013(平成25)年6月11日
 滋賀弁護士会 会長 甲津貴央

 パリ原則に基づき政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議
 ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20130329.html

 当会は、わが国における人権保障を推進し、また国際人権基準を完全実施するための人権保障システムを確立するため、国連の「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に合致し真に政府から独立した国内人権機関を速やかに設置することを、政府および国会に対して強く求める。

 以上のとおり決議する。

 2013(平成25)年3月29日  滋賀弁護士会

 決議理由

 国内人権機関とは、裁判所とは別の、人権侵害からの救済と人権保障を推進するための国家機関である。裁判よりも簡易・迅速に人権侵害からの救済を図る必要があること、及び人権保障推進のための提言や教育の機能を裁判所に求めることはできないことから、国連は、国内人権機関の設置を世界各国に求めている。

 わが国も、1998年の国際人権(自由権規約)委員会による勧告以降、国内人権機関の設置勧告を何度も受けており、政府は本年3月14日の国連人権理事会で、国内人権機関の設置勧告をフォローアップすると表明したところである。

 ここで、世界中で国内人権機関のあり方の基準となっているのが、1993年の国連総会で承認された「国内人権機関の地位に関する原則」(いわゆるパリ原則)である。具体的には、

 1.国内人権機関には、人権の促進・擁護のため、できる限り広範な職務が与えられること、

 2.国内人権機関は、政府・議会等に対し、自らの権限で意見・勧告等をすること、

 3.構成員の任命は、人権の促進・保護にかかわる(市民社会の)社会勢力からの多元的な代表を確保できる手続に従って行われること、4.国内人権機関が、政府からの独立性に影響しかねない財政統制のもとに置かれることのないよう、自らの職員と土地家屋を持つことを可能とする十分な財源をもつこと、5.国内人権機関の真の独立にとって不可欠である構成員の安定した権限を確保するため、構成員は一定の任期を定めた公的な決定によって任命されること、等が必要とされる。

 この観点からみると、現行の法務省監督下の人権擁護委員制度では政府からの独立性が認められず、2002年に政府が国会に提出した「人権擁護法案」も、人権委員会が法務大臣の管轄下にあるとされる等、パリ原則が求める独立性を満たすものではなかった。

 また、2012年11月に政府が国会に提出した「人権委員会設置法案」(同月衆議院の解散により廃案)、でも、人権委員会による調査手続の対象となる人権侵害行為を「司法手続においても違法と評価される行為」に限定しており(法務省政務三役「人権委員会の設置等に関する検討中の法案の概要」)、その権限に著しい制約が加えられていたこと、人権委員会を法務省の外局として設置するとしており、拘禁施設や捜査機関を抱える法務省内局との関係を完全に分離することができないこと、事務局の事務を法務局長・地方法務局長に委任することができる旨定めており、政府からの独立性の確保が不十分であること等の問題点が指摘されてきたところである。

 当会では、今までにも、人権侵害救済申立てに対する調査を行い、必要な警告・勧告・要望等を行う等の取り組みを通じて、人権擁護に真摯に取り組んできたところである。しかし、調査を行うための十分な組織的基盤が存在しないこと、調査権限が任意のものにとどまること等から、その活動には一定の限界があったことも否定できない。
そこで、当会は、わが国における人権保障を推進し、また国際人権基準を完全実施するための人権保障システムを確立するため、パリ原則に合致し真に政府から独立した国内人権機関を速やかに設置することを、政府および国会に対して強く求めるものである。

 以上

 4.国民の裁判を受ける権利の形骸化

 仮に、秘密保全法違反により起訴された場合、当該被告人の地位は、公開裁判の原則との間で緊張関係に立たされる。

 公開の裁判で特別秘密の内容が明らかになれば、もはやそれは秘密ではなくなる。そこで、ある情報を特別秘密にした理由と秘密指定の適切さが立証されることにより、当該秘密が実質秘であることが推認される等の外形立証の方法を検討せざるをえなくなる。しかし、これでは被告人の防御の対象は極めて不明確なものとなる。

 さらに、弁護人による防御活動も共謀行為、独立教唆行為等に問われるおそれがある。これにより弁護活動が萎縮すると、被告人は適正手続により裁判を受ける権利を十分に享受しえなくなる。

 5.国民のプライバシー権との抵触

 報告書によれば、秘密情報を取り扱わせようとする者について、秘密情報を取り扱う適正を有するかを判断するための適正評価制度が導入されようとしている。これにより、行政機関において特別秘密を作成・取得する業務に従事する者のみならず、特別秘密を取り扱う民間事業者、対象者本人以外にもその身近にあって対象者の行動に影響を与えうる者も、我が国の利益を害する活動への関与、外国への渡航歴、犯罪歴、懲戒処分歴、信用状態、薬物・アルコールの影響や精神の問題に係る通院歴等について調査される可能性が存する。

 こうした調査事項は極めてセンシティブな情報であり、プライバシー侵害及び思想・信条の自由が侵害される危険性がある。

 そこで、報告書は、対象者の同意を得ることが肝要とする。しかし、仮に対象者本人の同意が形式的に存しても、組織内における差別的取扱いのおそれがあり、実質的に対象者の自由意志が確保されたものとは言えない。

 さらに、平成19年8月9日カウンターインテリジェンス推進会議決定に基づき、平成21年4月1日から実施された秘密取扱者適格性確認調査が実施されたところ、これは対象者の同意なしに行われたことが明らかとなった。かかる事実からすれば、同意を得る手続が履践されること自体に疑念を持たざるをえない。

 6.結論

 以上の理由より、当会は、日本国憲法を尊重する立場から、秘密保全法案の作成を直ちに中止することを強く求めるものである。

 2013(平成25)年1月17日
 滋賀弁護士会 会長 荒川葉子

投稿日: 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2351 2018/01/31アラカルト@ 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2351 2018/01/31アラカルト@ 2018年2月2日

ソース:2351 2018/01/31アラカルト@ 2018年2月2日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/02/2351-20180131%e3%82%a2%e3%83%a9%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%88%e2%91%a0/

2351 2018/01/31アラカルト@
 
どんたく

 司法修習生への修習手当の創設が実現していたようですね。
 ttp://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00150.html

 弁護士会と同じ声明を出しているビギナーズネット
 〜司法修習生の給費制復活のための若手ネットワーク〜
 ttp://www.beginners-net.org/

 こちらも国会議員への要請や集会を開催したり街頭で宣伝をしているそうです。
 

匿名希望

 有罪か無罪か分かりませんが、唯一の外患罪裁判の概略がありました。
 
 ttp://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/013/0512/01307020512060a.html

 第013回国会 本会議 第60号
 昭和二十七年七月二日(水曜日)

 ○吉田法晴君 (前略)

 曾つて外患罪が実際に罪に問われたような例は、これは時間がございませんので正式に書類を取寄せて私ども見ることはできませんけれども、昭和十二年に米国大使館の日本人の飜訳官が、米国大使館の上司の命によつて、日本の国力を表現するような統計文書を渡した。而もこれは未遂であつた。これが外患罪に問われたということであります。当時は勿論旧刑法で、「外国二通謀シテ、帝国二対シ戰端ヲ開カシメ又ハ敵国二與シテ帝国二抗敵シタル者」という表現がなされておつたのでありますが、この米国大使館の日本人翻訳官が、恐らくこれは公刊せられた資料その他であろうかと思いますが、統計文書を渡したことが、或いは外国に通謀して戰端を開かしめる行為であつたかどうか、或いは敵国に與して帝国に抗敵したものであるかどうか、これは甚だ今日問題であることは、これは事態を聞かれる皆さんとして当然起される疑問でありますが、若しこの外患罪が、たつた一つ適用せられた場合のように、或いはこの資料を外国に提供するというようなことが、当時の軍機漏洩だとか、或いは今の刑事特別法の問題ではなくして、それが日本精神の欠除であるとか、或いは忠誠義務の欠除であるとか、こういう当時のこの空気、或いは観念で外患罪に問われるといたしますならば、これは外患罪が破壊活動防止法を通じて適用せられる場合には極めて危險であることは、これは何人も否定することはできないと思います。(後略)


通りすがりの人

 青林堂@seirindo_book
 TBS労基署から是正勧告 社員10人に月80時間以上の時間外労働 ttp://www.sankei.com/entertainments/news/180122/ent1801220008-n1.html
 … 当社は労基の違反は一切なくユニオン組合員は「残業0時間」でした。当社の件を大々的に取り上げた  @news23_tbs は自社の問題はスルーですか?
 『ユニオンとブラック社員 』http://amzn.to/2wp2bSR 。
 

宮崎マンゴー

 お疲れ様でございます。いつもありがとうございます。

 余命先生からの年賀状、色紙と共に神棚へ捧げ、日々手を合わさせていただいております。心の糧として、感謝申し上げます。

 本日は、スタッフ様へお伺いでございます。

 *2071アラカルトA
 11/29am10:28大和会10月11月送金コメント

 *2094
 12/6am11:55コメント

 *2096アラカルト
 12/9am12:56

 *2148
 1/1am2:32

 いずれも承認待ちでございます。

 御多忙な余命先生のお目通しにはならなかった事と存じます。

 次回[うずしお]へ、近日中、12月と1月分として送金致したく存じます。認証待ちの件で、愚文くだらない我コメントのお伺い、お忙しい中本当に申し訳ございませんでした。


.....すべて確認している。手を合わせているのはこっちだよ。処理は手つかずだが、管理は余命がやっている。出版、訴訟、投稿等を部門分けして進めているが、どれもめいっぱいである。手当たり次第の処理をしているが、なかなか進まずご迷惑をかけているが、そういうわけである。できるだけ急ぐので、お許し願いたい。

 

琵琶鯉

 ma様へどうかミラー様へ投稿をして、官邸メールとして掲載してもらってください。

 (琵琶鯉)


AZ

 >捜査公判協力型協議・合意制度も、引き込みの危険(逮捕勾留された者が、自らの刑事訴追を逃れたい、少しでも軽くしたいと考え、捜査機関から「恩典」をちらつかせられることにより虚偽の供述をし冤罪を生み出す危険性が高いこと)

 弁護士なのに「虚偽の供述を行った場合は偽証罪や虚偽布告を問われる」なんてのはまるで無視ですね、刑を軽くしようとして別の罪に問われたら意味が無いですよ。この文脈をそのまま読むと『検察が冤罪を生み出す為に司法取引を持ちかける恐れがある』と言ってるようなものです。同胞批判をして大丈夫なんでしょうか(笑)

 実際のところは「お前も同罪だから黙っていろ」という恫喝というか統制が効かなくなる事が反対する理由なのでしょうね。

 「自らの刑事訴追を逃れたい、少しでも軽くしたい」

 これは弁護士の存在理由だと思うのですよね、依頼人の刑を軽くする為に金貰っているのだろうに、自己否定になっていると理解出来ないんですかね。一方では死刑を廃止しろと言いながら被告が証言して減刑を求めるのはけしからんとかまぁ良く言うものです。

 この分では仮に証人保護プログラムを導入しようとしたらきっと日弁連は反対しますね、どんなアクロバットすり替えをするのか見てみたい気ので法案提出されないかと期待したりもします。

 AZ




 初めてコメントさせていただきます。

 コメントと言うより、各弁護士会の声明に関しての疑問です。

 弁護士会の役員の任期は一期一年なのでしょうか?

 一般、公益、社団、財団、法人の場合には、一期二年が一般的ではないでしょうか?

 一期一年で、これだけ声明を発して、その声明を実現することは不可能であると思います。

 一つの事を実現するにも、二期四年は必要かと思いますが、声明を実現することよりも声明の数が役員の実績になると思っているのでしょうか?


はちべえ

 怒涛の弁護士会会長声明を読んでいるうちに弁護士会って、政治団体だったか?と思ってしまい確認してみたところ、

 弁護士法の第五章第三十一条には

「弁護士会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする」

 とあり、やはり違うよなあ、となったのですが

 それにしても会長は何のためにいちいち「声明」を出しているのか。

 出さなきゃいけないルールなのか?

 弁護士法には会長の職務として第五十四条に「会長は、会務を総理する」としかないので、出したくて出しているのか‥

 こんなにも頻繁に会長声明とやらが出されていることは今回初めて知ったのですが

 つまり特定の人以外は会長声明とやらの存在は全く知らないわけで

 では会長たちは誰に向けて何のために長年に渡り長文の声明とやらを出し続けているのか?

 業務に支障は出ないのか‥

 とりとめのない文章ですみません。

 年賀状、ありがとうございました。
 
 どうか、お体にお気をつけ下さいませ。


.....既得利権の保持と擁護に狂奔している反日勢力の一組織としか言いようがない。

 懲戒請求事由にある「憲法第89条違反をしている組織が憲法を語るな!」という話だ。

 日弁連で弁護士活動に反対の手法として懲戒請求が使われていると問題をすり替えているが、まさに弁護士法違反である。これも法責任を問われることになるだろう。


るなちゃんはちわわ

 翁様、皆様いつも有難うございます。

 年賀状、1月9日に拝見しました。まさか頂いているとは思わず、驚いたと共にとても嬉しく思いました。

 お返事も出せず、失礼致しました。

 第6次告発に参加しましたが、私には何も送られて来ませんでした。

 12月25日に警察の方が来られましたが.もしかして、余命チームと深い関わりがある方だったでしょうか?

 あの時、私、二日酔いで頭が痛く、まだ酔いがさめてない感じで少しボーっとしていたのと、年末でしたので、世帯台帳の確認に、鳥栖警察署のお巡りさんが来られたと思って、子供達への不審者の声掛けが増えたとか、「朝鮮人がー」とか言わない方がいいのかなと思って、当たり障りの無い話をしたと思います。

 日が経つにつれて、あの時すぐには帰られなかったのと、私の顔をジーッと見られて、なんか「あなたの事を知っていますよ」と言われている感じがして、制服もそういえば、白バイに乗ってる方のものだったようなと、色々考えているうちに、もしかしたら、余命ブログに関係ある方かな?と思うようになりました。

 実は、衆院選で安倍総理圧勝の後、近所の在日らしき人達が、攻撃的になってきていたのと、12月23日に怖くておもわず泣いてしまった事が有りましたので、もし、その方が関係者の方だったら、話しを聞いて頂いたら少しは安心できるかなと思います。

 今、体調を崩して寝込んでいますので、元気になったら、訪ねて行こうと思います。

 感謝しております。

 皆様に神のご加護がありますように。

 
柏餅二千年

 余命様スタッフの皆様いつもありがとうございます。1月31日着で2月1日取り下げ最終期日総合消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ、などという怪しい葉書が届きました。弁護士会のアレラが関わっているように感じます。住所が少し違い、やること雑ですから。先ずはご報告まで。


.....意味がわからない。詳細をどうぞ。
 

通りすがりの774

 おやおや

 ヒゲの大佐が外務副大臣として韓国に入国ですか(笑)

 安倍総理、ホントに痛い所突いていきますね。


てーけー

 いつもありがとうございます。

 そういや2/1からパチンコ新規制ですね。

 どうなることやら
 

東の羊?

 余命さま 皆さま

 お疲れ様です。

 新しい年が始まりました。よろしくお願いいたします。

 平昌オリンピックと竹島の日が重なるので、何か起こるような気配を感じます。

 文大統領は依然竹島に不法侵入しておりますので、もしも訪日するならば、高いハードルを越えないとならないのではないでしょうか?

 日本政府は慰安婦問題はすでに解決しましたので、次の竹島問題に進んでいる様に見えます。

 文大統領が訪日する条件として国際司法裁判所での決着の合意に持っていくための兵糧攻めの最中であると期待しております。

 河野外務大臣は父親、いや河野家の名誉回復のために、頑張るでしょう(笑)


神主の末裔

 余命翁様

 スタッフの皆様

 毎日の活動お疲れ様です。

 一件、ツイッターから情報を拾いましたので、共有の為投稿致します。

 下記のURL(頭のhは取ってあります)は、中国政府が運営しているHPで翁長知事が出ておりますが、何とその内容が琉球復帰運動とのことです。

 あまりの怒りに血圧が急上昇しましたが、これは外患誘致以外の何物でも無いと思います。

 ttp://www.liuqiu-china.com/portal.php?mod=view&aid=2002

 
丘の上から見える風景

 余命様 スタッフの皆様

 日々の活動ご苦労様です。

 安倍総理の、ピョンチャンオリンピック出席。

 確定ですか?「文大統領に直接会って伝えたい」こんな記事を見たのですが。

 まあ、安倍総理は、今までも対話と圧力の両方、色んな事を考え外交戦略を行っています。

 私としては反対ですが、安倍総理が色々考えての事なのでしたら仕方ないと思ってます。

 そして、その時に、デモや安倍総理人形、日の丸の国旗を破り燃やす、物を投げつける等あれば、心の中で憎悪しながら静かにその行動を目に焼きつけたいと思います。

 話は変わりますが、月刊誌楽しみにしています。

 予約制という事ですが、住所の分かる人は不要の申し出をしない限り、自動的に送られてくるのですか?

 私はその方が良いのですが(^∇^)


.....今、出版部の方で作業している。10日過ぎにはお知らせできると思う。

 
路傍の石

 余命翁様 スタッフの皆様には日本再生、在日駆除、反日勢力駆逐に御尽力頂有り難うございます。

 本日2月1日パチンコの出玉規制が施行されました。

 NHKニュースより抜粋

 パチンコ出玉3分の2程度に きょうから施行
 2月1日 7時02分

 警察庁は、パチンコの出玉の上限をこれまでの3分の2程度に抑えるよう風俗営業法の規則を改正し、1日から規制を強化します。

 NHKニュースより抜粋終わり

 後、「マイナンバー制度」「テロ資産凍結法」 金融口座関係は任意からはじまり本格運用が2018年から始まりました。

 そして、共謀罪/テロ等準備罪+パレルモ条約締結により日弁連の幹部の皆様は安保理や国際機関によりテロ支援組織、又はテロリストとして世界デビューが想定されています。

 余命ブログにはこれでもかと言わんばかりに日本国の弱体化と利敵行為の会長声明が掲載され自ら敵であることを表明しているようです。

 2018年が駆除元年でしょうか。

 安倍総理が平昌オリンピックに参列と共に日韓合意の最後通告に行かれる予定ですが相手は朝鮮人ですから十分ご注意ください。

 各国マニュアル「朝鮮人の扱い方」を参照しておりますがアメリカの駐韓大使もテロリストに襲撃された過去が有りました。

 パレルモ条約締結以降の日本政府の動きが強硬になっているように感じます。

 見つかるはずの無い中国の攻撃型原潜が尖閣で2日間海自に追尾され追い回されたようで世界の笑いものでした。
また、1月25日に竹島資料館を都内にオープンしました。

 今年は春から縁起がいいわい。

投稿日: 2018年2月2日

【余命三年時事日記】2350 ら特集岡山弁護士会E 2018年2月1日

【余命三年時事日記】2350 ら特集岡山弁護士会E 2018年2月1日

ソース:2350 ら特集岡山弁護士会E 2018年2月1日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/01/2350-%e3%82%89%e7%89%b9%e9%9b%86%e5%b2%a1%e5%b1%b1%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a5/

2350 ら特集岡山弁護士会E
 
 岡山弁護士会
 ttp://www.okaben.or.jp/index.html

 生活保護に関する偏見や差別を助長しない報道と,生活保護制度についての慎重な議論および適切な生活保護行政の実施を求める会長声明

 1 人気芸能人の母親が生活保護を受給していたことについての報道を皮切りに,生活保護受給者に対する偏見につながる報道が続いている。

 生活保護の不正受給が横行しているかのような報道,在日外国人が生活保護を受けていることが問題であるかのような報道,視聴者から寄せられた情報をもとにあたかも生活保護受給者の多くが資産や収入を隠しているかのような印象を与える報道がなされている。また,生活保護を受けることが恥であるかのような印象を与える報道も繰り返しなされている。

 今回の一連の報道の発端となったケースでは生活保護制度における扶養の扱いが問題となった。この点については,生活保護法上,扶養については「民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものとする。」と定められており(同法第4条2項),同法第4条1項のような「要件として」という文言があえて使用されていない。このことは,扶養義務者による扶養が実際に行われた場合にはその援助額だけ保護費を減額するということを意味しており,扶養義務者が扶養できないことは保護受給の要件ではないのである。これは,憲法第25条が生存権の保障を私的扶養の問題にせず,国の責務としているからである。

 扶養義務者の扶養については,現在の運用においても,生活保護を申請すると原則として福祉事務所が親族に対して扶養の可否を尋ねる扱いがなされているが,これが障害となって保護を申請しない者が多数存在するとみられている。それにもかかわらず,扶養義務者の扶養をさらに強調することは,親族への負担や,親族関係の悪化への懸念から,生活困窮者が生活保護申請を断念する事態が更に広がる結果を招くおそれが大きい。

 また,生活保護の不正受給は,金額ベースで全体の0.4%弱で推移しており,件数ベースでも2%弱で推移しているのであって*1,近年目立って増加しているという事実もない。

 徐々に冷静な報道もみられつつあるものの,先に述べた一連の報道は生活保護受給者に対する偏見や差別を助長し,真に生活保護を必要としている国民の生存を脅かすことになる。

 2 2012年(平成24年)5月25日,厚生労働大臣は,生活保護を実施する際の扶養義務者への調査権限の強化,生活保護基準の切り下げを検討すると表明した。また,6月26日に衆議院で可決された社会保障制度改革推進法案では,「安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図る」(同法案第1条)と謳ったうえで,「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組み」を通じて社会保障制度改革を実施していくとしており(同法案第2条1号),家族や国民の自助を強調している。さらに,同法案では,生活保護の「不正受給への厳格な対処」や「給付水準の適正化」などの見直しを実施するとされている。

 ところで,生活保護利用者数は増えているものの,総人口に占める利用者の割合を示す利用率は1.6パーセントで*2,先進諸国との比較でもいまだ利用率は非常に低い状態である*3。また,保護を必要としている世帯のうち実際に保護を利用している世帯の率,すなわち捕捉率は15.3?18%程度と推定されており*4,捕捉率も先進諸国との比較で非常に低い*5。さらに,厚生労働省の2009年(平成21年)の調査によれば,等価可処分所得の中央値は250万円で,その半分にあたる125万円未満の人の割合である相対的貧困率は16%であり*6,2005年(平成17年)段階でもOECD加盟国30カ国の中で,日本の相対的貧困率は,メキシコ,トルコ,アメリカに次いで4番目に高いとされている*7。非正規雇用の拡大によって雇用が不安定化し,格差と貧困が広がっているというのが日本の現状である。

 以上の現状を踏まえるならば,今後,上記一連の報道に便乗して安易な生活保護基準の切り下げや受給抑制策がなされてはならない。生活保護基準については2011年(平成23年)2月にすでに社会保障審議会に生活保護基準部会が設置され,生活困窮者の生活支援戦略については2012年(平成24年)5月から社会保障審議会に特別部会が設置され,それぞれ議論が進められているが,政府,国会,および,生活保護実施自治体は,過熱する報道に惑わされることなく,生活困窮者の実態調査に基づいて慎重に生活保護制度を含めた生活困窮者支援制度の在り方を検討する議論を深め,適切な生活保護行政の実施に当たるべきである。

 3 以上の通り,当会は,報道機関に対して生活保護受給者に対する偏見や差別を助長することのない配慮ある報道を求めると共に,政府,国会,および生活保護実施自治体に対して生活保護制度についての慎重な議論と適切な生活保護行政の実施を求める。以上

 *1平成24年3月厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議資料。

 *2福祉行政報告例に記載の被保護人員実人員数を,総務省統計局発表の人口統計で割って率を算出。平成24年3月時点。

 *3利用率について,ドイツ9.7%,フランス5.7%,イギリス9.2%など。いずれも2010年(平成22年)時点。「生活保護『改革』ここが焦点だ!」(生活保護問題対策全国会議編集)より。

 *42007年国民生活基礎調査に基づく推計。

 *5捕捉率について,ドイツ64%,フランス91%,イギリス47%以上など。いずれも2010年時点。「生活保護『改革』ここが焦点だ!」(生活保護問題対策全国会議編集)より。

 *6平成23年7月厚生労働省・大臣官房統計情報部社会統計課国民生活基礎調査室発表
 「平成22年 国民生活基礎調査の概況」より。

 *72005年OECD 調査。OECD 2008「Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries.」より。

 2012(平成24)年8月8日
 岡山弁護士会 会長 火 矢 悦 治

 秘密保全法制に反対する会長声明

 平成23年8月8日,秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議は,「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」を発表し,政府における情報保全に関する検討委員会は,同報告書に基づき法案化作業を進めている。

 しかし,同報告書が整備を求める秘密保全法制(以下「当該秘密保全法制」という。)は,以下に述べるとおり,立法を必要とする理由を欠くものであり,また,国民主権原理から要請される知る権利などの憲法上重要な諸原理と正面から衝突するものであるから,当会は,その制定に強く反対する。

 1 当該秘密保全法制は,いわゆる尖閣沖漁船衝突事件に係る情報漏えいを契機とし,その内容は,「特別秘密」に指定された情報の公開を制限するとともに,その実効性を担保するために,新たに刑罰や適性評価制度と称する人的管理制度を創設するものである。

 しかし,上記事件で問題となった情報は本来国民に公開すべきものであるし,ネットワークを通じた流出の原因も当該映像に対する物的管理が不十分であったことにあるから,上記事件は新たな法整備や人的管理の必要性を基礎づけるものではない。また,自衛隊法,日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法,国家公務員法等の現行法制及び運用実態に照らせば,新たな犯罪類型の法定や厳罰化の必要もない。

 このように,当該秘密保全法制は,そもそも立法を必要とする理由を欠くものと言わざるを得ない。

 2 当該秘密保全法制の中核は,行政機関が,(1)国の安全,(2)外交,(3)公共の安全及び秩序の維持に関する分野で「特別秘密」に指定した情報の公開を制限することである。

 しかし,規制の鍵となる「特別秘密」の定義自体が広範かつ不明確である。また,その指定権者は「特別秘密」を作成・取得する行政機関とされており,指定の適法性を事後的に検証する仕組みもない。

 したがって,時の政府が,恣意的に指定権を行使して本来国民が知るべき情報を隠す懸念が極めて大きく,国民にはこのような運用の有無を検証し是正する機会が与えられていない。その結果,国民主権原理の要請でもある「知る権利」が不当に制約されることになる。

 3 当該秘密保全法制は,その実効性を担保するため,特別秘密の故意の漏洩行為,過失の漏洩行為,特定取得行為,未遂行為,共謀行為,独立教唆行為,扇動行為を処罰対象とする。

 しかし,保護対象である「特別秘密」概念自体が過度に広範かつ不明確であることに加え,過失の漏洩行為,共謀行為,独立教唆行為及び扇動行為という各行為の外延も不明確であるため,犯罪構成要件が極めて曖昧であり,罪刑法定主義と行為責任主義という憲法上の要請や近代刑法の基本原理に反する。

 また,当該秘密保全法制の犯罪構成要件は極めて曖昧であって,報道機関は,取材活動が特定取得行為等として処罰対象となるか否かを予測できない。

 さらに,その法定刑の上限は懲役5年又は10年とされているため,同法制が,報道機関の取材の自由に及ぼす萎縮効果は図りしれない。また,「特別秘密」の対象には民間事業者や大学等が作成・取得するものも含まれているところ,科学技術や重要な政策に関する自由な発言・批判も萎縮させられる危険があるといわざるをえない。

 このように,当該秘密保全法制は,民主主義を支える取材・報道の自由を始めとする表現の自由等国民に保障された憲法上の諸権利を不当に制約するものである。
 
 4 当該秘密保全法制は,特別秘密の管理を徹底するためとして,「特別秘密」の取扱者となりうるものを対象とした適性評価を実施するための事前調査と評価の制度を導入しようとしている。しかし,調査対象者には配偶者など家族が含まれており,極めて広範になるとともに,調査事項も対象者のプライバシーに関わる情報や,運用次第では私人としての活動全般にまで及ぶおそれもあり,調査方法も第三者機関への照会まで含んでおり,調査対象者が関係していた私的な団体にまで調査が行われる危険がある。したがって,適性評価調査は,調査対象者のプライバシーの権利を侵害するほか,調査を口実に思想調査が行われ,思想信条の自由が侵害される危険性が極めて高いなど,人権保障上看過し難い問題をはらんでいる。

 5 当該秘密保全法制に違反して起訴された場合,その国家秘密が公開の法廷で公開されればそれはたちどころに秘密ではなくなることから無意味であるし,逆に,特別秘密が非公開のまま裁判が進行すれば,憲法に定められた公開原則に違反し,さらには被告人・弁護人の防御権行使を困難なものとさせ,裁判を受ける権利を侵害することになる。

 以上のとおり,当会は,当該秘密保全法制の制定に対して強く反対するものである。

 2012(平成24)年5月10日
 岡山弁護士会 会長 火 矢 悦 治

 死刑執行に関する会長声明

 2012(平成24)年3月29日、東京拘置所において1名、広島拘置所において1名、福岡拘置所において1名の合計3名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。

 にもかかわらず、1年8か月間中断していた死刑の執行が再開されたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。

 日本弁護士連合会は、2011(平成23)年10月7日に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を決議し、「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」などを求めている。

 当会においても、2011(平成23)年5月28日に憲法記念県民集会「いま、「死刑」を考える」を開催し、約200名の参加を得た。

 このように、死刑の存否をめぐって社会全体で議論がなされている状況の中、死刑執行が再開されたことは極めて遺憾である。

 また、議論の前提となる死刑執行の基準、手続、方法等死刑制度に関する情報は現在においてもほとんど公表されていない。昨年、当会の実施した上記集会のアンケートにおいても、「死刑制度について全く知らず、そういうことを知っていかないと、裁判員もできないと思う。」「公にされていない死刑制度についてもっと公開してほしいと思います。」等死刑制度に関する情報公開を求める意見が寄せられている。

 法務省内部で行われてきた「死刑の在り方についての勉強会」が終了し、その報告書が公表されたが、死刑制度に関する新たな情報の公開を伴うものではなく、死刑制度賛成論・廃止論の論点整理にとどまっており、到底、死刑の廃止について全社会的議論がなされているとは言えないことは明らかである。

 当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。

 2012(平成24)年4月2日
 岡山弁護士会 会長 火 矢 悦 治

 岡山弁護士会ハンセン病問題を考える集会における集会決議
 平成23年11月 6日
 集会参加者一同

 本日、岡山弁護士会主催によりハンセン病問題について考える集会「ハンセン病のことを知っていますか??今も残る課題」が開催された。

 今から10年前の平成13年5月11日、熊本地方裁判所は、「らい予防法」及びこれに基づく国の隔離政策が違憲であり、国に法的責任があることを認める判決を言い渡し、国は控訴を断念しこの判決は確定した。

 この判決を受けて、国は、「13の国立ハンセン病療養所入所者(今後入所する者を含む)が在園を希望する場合には、その意思に反して退所、転園させることなく、終生の在園を保障するとともに、社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するため、入所者の生活環境及び医療の整備を行うよう最大限努める」ことを確約した。

 ところで、平成13年当時、全国13の国立療養所の入所者は4400名と言われていたが、現在では、入所者数はすでに3000名を大きく下回っており、入所者の平均年齢も80歳を超えている。10年後には、入所者数はさらに3分の1以下になるとも言われている。

 このような急速な高齢化と入所者数減少の中、医師等医療職の定員の確保が困難な状況も生じており、ハンセン病療養所は、医療体制及び生活水準の確保が緊急の課題となっている。

 平成20年6月18日、「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(ハンセン病問題基本法)が制定された。そして、同法第12条第1項において、「国は、入所者の生活環境が地域社会から孤立することがないようにする等入所者の良好な生活環境の確保を図るため、国立ハンセン病療養所の土地、建物、設備等を地方公共団体又は地域住民等の利用に供する等必要な措置を講じることができる。」と規定され、ハンセン病療養所を地域に開かれた施設となすべく法的整備がなされた。

 ハンセン病問題基本法の成立を受け、岡山県にある2つの国立ハンセン病療養所長島愛生園及び邑久光明園は、平成23年3月、各園独自の将来構想を策定し公表している。

 これらの将来構想は、高齢化したハンセン病療養所入所者の努力のみで到底実現できるものではなく、県民、国、地方自治体及び各種団体が力を結集して初めて実現可能なものである。

 本日の集会において、参加者は、ハンセン病問題の深刻さ及び将来構想実現の緊急性・必要性を学んだ。

 本日の集会参加者一同は、県民、国、地方自治体及び各種団体と力を合わせて長島愛生園及び邑久光明園の将来構想実現に向けて取り組むことを決意しここに決議する。

 以上

 国選弁護報酬基準及びその運用の抜本的見直しを求める会長声明

 日本司法支援センター(以下「法テラス」という。)は,2006年(平成18年)10月に業務を開始し,刑事事件については,法テラスが国選弁護人になろうとする弁護士との間で契約を締結し,国選弁護人候補の指名及び裁判所への通知,国選弁護人に対する報酬及び費用の支払いなどの業務を行うこととなった。そして,国選弁護人に対する報酬及び費用の支払いは,国選弁護人が活動終了後に法テラスへ報告書を提出し,法テラスが国選弁護人の報酬及び費用を算定して,その結果を国選弁護人へ通知し,支払いを行うという仕組みになっている。

 この国選弁護人に対する報酬の算定に関して,先般,当会所属の弁護士が担当した国選弁護事件につき,次のような事例があった。

 被疑事実の要旨は,被疑者がA金融機関において,Bが同所に設置の現金自動預払機から取り忘れたA金融機関代表者管理にかかる現金5万円を窃取したというものである。そこで,国選弁護人は,Bに対して5万円を支払って示談を成立させ,同人から被疑者に対する減刑嘆願書を受領し,示談書及び減刑嘆願書を検察官に提出するという活動を行った。その結果,被疑者は不起訴処分となって釈放された。

 これに対し,法テラス本部は,「本件の被疑事実は金融機関が占有を取得したものとして構成されているため,本件窃盗の被疑事実に係る被害者はBではなくA金融機関とみざるをえず,Bとの間で示談を成立させ,減刑嘆願書を取得したことは弁護活動として評価できるところではあるが,現行報酬基準では算定することはできない」として,示談等の成立に関する特別成果加算報酬を0円と算定した。

 しかしながら,上記事例において,A金融機関からBへの補填はなされておらず,実質的な被害者は現金を取り忘れたBであることは明らかであって,Bとの間で被害弁償等の交渉を行った国選弁護人の活動は常識的かつ正当なものであり,また,その活動が不起訴処分という結果に結びついたといえる。他方,経済的被害が生じていないA金融機関との間で被害弁償等の交渉を行うことは,無意味である。

 にもかかわらず,法テラスが形式的な判断をし,特別成果加算報酬を0円と算定したことは,国選弁護人の活動を否定するに等しく,実質的にも極めて不合理である。

 当会は,2009年(平成21年)8月にも,国選弁護事件における私的鑑定費用等の支払いに関して会長声明を発表したが,未だこの点に関する法テラスの報酬基準は改められていない。

 また,徐々に改正されてはいるものの,依然として,保釈や無罪等に関する特別成果加算報酬の金額は低いと言わざるを得ないし,起訴後の接見回数が全く報酬に反映されない,被疑者段階の接見回数においても報酬算定のうえで基準回数が設定されている,特急料金や謄写料等の実費も全額が支払われないなど,法テラスの報酬基準には多くの問題が残されている。

 当会は,法テラスに対し,国選弁護人の活動が正当に評価され,報酬に反映されるよう,国選弁護報酬基準及びその運用の抜本的見直しを強く求めるものである。

 2011年(平成23年)10月12日
 岡山弁護士会 会長  的  場  真  介

 給費制の存続を求める会長声明

 現在,政府の「法曹の養成に関するフォーラム」において司法修習生の給費制の存廃問題が論議されている。

 現在給費制に代わるものとして検討されている貸与制については?「違法の疑い」があり,?司法修習生に著しい困苦を強い,?若者の司法離れに拍車をかける ものであり,?信頼性の高い弁護士制度を国民のために整備し提供する国の責務についての自覚を忘れた提案であるから,当会は,これに強く反対するものである。

 1,貸与制移行に違法の疑いありとする理由

 (1)国家公務員に労働基準法は適用はない。(※1)司法修習生は国家公務員ではないが国家公務員に準じた立場とされ(※2),労働基本法が直ちに適用されることはないと考えられている。しかし,国家公務員といえども「憲法上の労働者」(※3)だから,最低民間並みの保障は与えなければならない。国家公務員に労働基準法が適用されなくてよいとされるのは,一般的には国家公務員には民間より手厚い身分保障制度が提供されているからだとされる。司法修習生にはこれまでは給費制があったから労働基準法69条をわざわざ適用して保護する必要もなかっただけである。しかし,給費制をやめて無給(貸与制)にするとなると話は別である。

 (2)民間企業が新入社員に「新人研修の間の生活資金を無利子で貸してあげるから入社後1年間は無給で新人研修を受けて。」というようなことを言うと,労働基準法第69条違反や24条違反ということで叱られることになる。労働基準法第69条は「使用者は,徒弟,見習,養成工その他名称の如何を問わず,技能の習得を目的とする者であることを理由として,労働者を酷使してはならない。」という社会のルールであり,要するに「研修中」「見習」だからといって労働の対価を与えずに労働させてはいけないということである。

 (3)最高裁が修習生に修習専念義務を課し,アルバイトも禁止している以上,司法修習生を1年間も拘束し,その間に転勤まで求めながら,何らの給与も与えないということになると,民間労働者についての労働基準法第69条の基準すら下回るような過酷な扱いをすることになるから,労働基準法69条に準じたルールに照らして違法とされる疑いがある。

 (4)司法修習生は,学生と労働者との中間的な存在であり,単純にどちらと割りきることは困難だが,少なくとも労働者の一面を完全には否定できない以上(検察官の不足を補う方法として修習生に公判立会の権限を与えることさえ検討されたことがある。※4),上のように考えるべきである。

 このような考え方に対しては,司法修習生は学生の色彩が強いのであり,学生と見るならば奨学金のような貸与制でよいという反対もあるが,2つの理由からこの考え方はとれない。

 1つめの理由は,昭和22年に司法修習制度ができた時の時代背景である。制度の設計者は,アメリカのロースクール制度を強く意識したはずである。ロース クールを出た者は弁護士登録が可能になり,弁護士としてキャリアを積んだ者の中から優れた者を判事や検事に登用するというシステムを意識しつつ,弁護士資格を得させる時期を敢えて2年間遅らせて,そこに統一修習期間を置いたわけである。弁護士として収入を得る可能性を国の政策で2年間を奪うという側面がある以上は,生活補償を与えることになるのは自然な判断だったのではないか。そして,このような自然な判断を今日修正する合理性はないのではないか。(※ 5)

 2つめの理由は,修習生の修習専念義務が重く,アルバイトが禁止され,遠隔地への転勤が予測されていることなど時間的,場所的な拘束の程度が著しいことがあげられる。

 (5)給費制を維持しつつ給費額を減額するような選択もありうるが,生活補償に必要な額,どの程度の修習専念義務を負わせることが必要か,生活資金の貸与との組み合わせなどを慎重に考慮すべきである。

 (a)ドイツの例
ドイツ(ベルリン)では給費制(月10万円程度らしい)であるが,修習専念義務とはいいながら,週8時間まで副業が認めており,法律家的な副業(弁護士事 務所の手伝い等)については,週10時間まで許可されるということである。十分な生活補償はできないことについては,専念義務を緩和してバランスをとろうとしているようにも見える。義務付けはそのままで貸与制に移行するといった議論はいかにも乱暴である。

 (b)日本においては,修習専念義務は堅持されるべきである。我が国においては,修習専念義務は堅持されるべきである。短縮された1年という修習期間はあまりにも短く,修習生が学ぶべき事はあまりにも多いのであって,アルバイトをしながらの片手間の修習で到底間に合わない。そうだとすれば,生活補償に十分な水準の給費制を維持するのが最善策であり,その限りでは生 活資金の貸与との組み合わせは不要である。

 2,司法修習生に著しい困苦を強い,若者の司法離れに拍車をかけるものである。

 (1)2010年(平成22年)の新司法試験の合格者(2074名)の平均年齢は29.07歳であり,法科大学院を卒業した者である。既婚者も少なくない。既に実社会で活躍した人材も含まれている。

 (2)「300万円貸してあげるから,それで修習の1年間を生活してください。貸した資金は5年据え置きで10年かけて返してくれたらいいから」という貸与制はしょせん借金でしかない。修習専念義務を課せられるため1年間「無職」の借金生活者になることを余儀なくされ,実務修習地次第では遠隔地への転勤(場合によっては単身赴任)を強いられる司法修習生への補償が「貸与制」という名の借金だけというのはあまりに過酷である。4年制大学卒業後,最低2年 (多くの者は3年)以上法科大学院で勉学してきた修習生は平均で300万円,多い人は1200万円もの奨学金債務を抱えている。それでも数年前までは法曹 資格を得て法律事務所に就職すればこういった借金も返せたであろう。しかし,現在は弁護士激増のあおりで一括登録時点で就職先がないため立ちすくんでしま う者(登録未了者)が1割以上出ており,しかも登録している者の中にも「軒弁(※5)」「即独(※6)」と呼ばれる「イソ弁(※7)」以外の態様の者がおり,彼らが十分な収入を得ていけるとは考えにくい。加えて,就職ができた者が手にできる「イソ弁」の給料額も一部で暴落している。こういった中から奨学金 等の借金の返済に困難をきたす者が少なからず出る可能性がある。苦労して法曹資格を得てもちっとも報われないという残酷話である。

 (3)多くの才能と情熱ある修習生が就職難に苦しんでいる。司法試験の合格者はずっと年500人くらいのペースであったのが,年2000人程度に増加した 結果であり,彼らの怠慢のせいにすることは適切ではない。司法修習生の就職難をもたらした弁護士人口の激増は,修習生を雇って教育する側の既存弁護士の経営基盤の弱体化をもたらしており,それが修習生の就職難をさらに悪化させるという悪循環に陥っている。その結果,法科大学院の志願者も減っている。優秀な若者が法曹に大きな夢を抱いてどんどん集まってくるという状況ではない。法曹人口の増加によって,競争を生み出し,競争によって安価で良質な法的サービス が供給されるという目論見が外れたのは明らかである。弁護士という職業の魅力自体が揺らいでおり,競争参加者が減少することで,適正な競争を成り立たせる 条件自体が失われつつある。給費制廃止は,法曹志願者の減少にますます拍車をかけ,法曹養成制度の危機をさらに深刻化させる愚行である。

 3,信頼性の高い弁護士制度を国民のために整備し提供する国の責務

 (1)司法修習制度を国費で行うのは,実務経験を積ませ,社会正義と人権の守り手に鍛え上げるための最終過程だからである。弁護士が特別偉いわけでも何でもないが,ただ弁護士は社会とその構成員を社会生活上のリスクから守るための実力装置として訓練され社会の中に配置される存在である。同じく国民をリスクから守るための基本的なインフラとしては医師,自衛官,警察などがあるが,このような安全のための基本的なインフラについては国(警察については地方自治体)が整備して国民に提供してきた。

 弁護士制度については国が責任をもって整備しなくても大丈夫な状況が生まれたのかというとそのような状況にはなっていない。それどころか,複雑化する社会の中で,その必要は増大している。社会の仕組みから事前規制の仕掛けが解除され,事後規制の社会に舵を切る一連の政策変更があったことによって,国民が新 種の社会リスクによるトラブルに巻き込まれる危険が増すことが確実に予測され,これへの対処も弁護士増員の理由のひとつであった。一方で,国民のリスクの増大が予測される重大な政策変更をし,その手当てとして弁護士大増員を決めておきながら,他方で法曹養成制度を支えていた給費制を切り捨てることは,国民の安全を守るという基準に照らすと正反対のことをやろうとしているようにも見える。「司法試験合格者を大増員すると司法修習にかかる費用が増大して負担が大変だから,給費制はもう止めよう」という話はかなり短絡的であり,大きな司法を目指す本来の司法制度改革の理念とも文脈が違う議論のようである。また,少なくとも自然界では環境がよくなって餌が増えたときに,動物は大増殖するのが摂理であり,環境が悪いときに何かの間違いで大増殖をした種は大飢餓に陥るのである。残念ながら我が弁護士業界は長期の不況の最中に大増殖のスイッチを入れるとどういうことになるかを身をもって実験しつつある。そして,飢餓の影響をまともに受けているのが我々の卵であり雛鳥たちである。今給費制を打ち切ることは,正義感に溢れ才能豊かな若者たちを大虐殺するような愚行であると考える。

 (2)我々が住むこの社会は,社会的なトラブル(犯罪,インチキ商法,投機的取引,多重債務などなど)に遭遇するリスクにあふれている。そして,飽くなき人間の欲望は次から次に新種のリスクを生み出していき,インターネットなどによって瞬く間に社会に蔓延し甚大な被害を発生させることも多くなっている。新たな社会リスクにもっとも敏感に感知して動くのが弁護士であり,リスクへの応急処置をしながら,場合によっては立法・行政を動かしてリスクを押さえ込もうという働きをすることを期待されている。サラ金地獄,豊田商事事件,霊感商法,オウム真理教事件など激甚な社会リスクが発生した際に弁護士が果たした役割 を想起されたい。弁護士がそのような役割をごく自然に果たせるのは,その弁護士の資質や考え方もあろうが,実は司法修習時代に植え付けられた使命感に従って行動している部分も少なからずある。

 4,大震災と給費制維持

 (1)今回の大震災にあたり,日弁連は二重ローン解消などを強く提唱している。また,各地から弁護士が被災地に集まって,被災地の弁護士と共に懸命に法律相談活動を展開している。

 (2)未曾有の大震災と原発被害によって発生した強烈な衝撃波は,これを放置すれば被災地に深刻な企業倒産,多重債務被害,家庭崩壊など連鎖的に引き起こし,被災地を食い物にしようとする犯罪者,悪徳業者までがからんで,惨劇の第二幕が開いてしまう。これを何とか食い止める闘いが続いている。東北地方には,冷害など天災の度に多数の餓死者等を発生させた悲しい歴史がある。そういった悲劇だけはなんとしても防がなければならない。医師が疫病の蔓延による悲劇を防ごうと活動しているのと同じように,弁護士も悲劇の拡大を食い止めるための活動をしなければならない。

 (3)大震災が今後日本各地に派生させる様々な社会病理の激増を予見してこれに対処する弁護士の活動が必要な時に,「震災被害と財政難の中,税金を投入するための国民の理解が得られない。」といった理由で給費制廃止の議論をしなければならないのは何とも情けないことである。

 (4)こういう時にこそ,昭和22年に司法修習制度ができてから永々と給費制を維持して築き上げてきた弁護士制度が社会のためにどのように機能してきたかを検証されてしかるべきである。

 (5)私たちの岡山弁護士会からも遠く離れた東北の被災地に相談員を送る計画があり,47人が志願して待機している。弁護士は自分達を大切に育んでくれた社会のことを決して忘れないのである。

 (6)司法修習制度が始まったのは,昭和22年のことと聞いている。焦土と化した我が国をこれから復興していこうとした時,先人は,弁護士制度を含む司法を再構築する必要性を重視して乏しい国家財政にもかかわらず,給費制で司法修習制度を創設した。今回の大震災は,多くの国民の幸福を破壊し,しかも今なおその破壊は進行中である。

 司法修習生の給費制を維持するかどうかについて世論に配慮することももちろん必要だろう。しかし,国民の安全を守るための基本的インフラを整備して提供する国の責務について国の見識と断固たる意思を示すべきである。

 5,他の制度との比較?医師臨床研修制度の場合
 
 (1)医師臨床研修制度

 (a)国が研修に国庫支出をする制度はいくつかあるが,その中でも医師臨床研修制度(但し,国から直接研修医に支給されるのではなく,研修先医療機関に対し,研修医に対して研修を実施し,給与を支給するために補助金が支給されている。)を取り上げて比較してみたい。(※8)

 (b)研修医は既に医師なのであり法曹の卵にすぎない修習生と同列に論じることは慎重にしなければならないが,研修医が既に医師だからといって,「研修制 度を修了した医師」という個人資格を取得するための給料を国庫から出せるということには直ちにならないから,研修医と司法修習生を比較する有用性は失われ ない。なお,有給の研修医制度を構築する際には既に古くからあった司法修習制度も参考にされたようである。

 (c)医師の場合は,国家試験合格後2年間研修医として臨床を体験することが必要とされており,現在は月30万円程度の給与を得ながら研修医として勤務することになる。この勤務医の給与の原資は国庫から支出されている。研修医は,臨床研修専念義務(医師法16条の3)を負う。2004年(平成16年)までは,研修医は無給であり,当直医などのアルバイトをして生計を立てる者が多かったが,医師臨床研修制度が見直され,研修専念義務が新設されるとともに有給となった。(なお,「研修医の身分の安定及び労働条件の向上に努めること」 などを求めた平成12月11月の第150回国会参議院国民福祉委員会附帯決議が参考になる。また「新医師臨床研修の基本3原則」という中に「アルバイトせずに研修に専念できる環境を整備」という項目がある。)

 (2)制度の比較

 (a)医師制度も弁護士制度も,国民にとって基本的な社会インフラであるがゆえに,国家がその制度の整備に直接に責任を持ってきた。

 (b)「アルバイトせずに研修に専念できる環境を整備」していこうという新医師臨床研修と比較しても,司法修習の貸与制は,あまりにも劣悪な扱いであり,国の制度として整合性があるかも疑問である。

 (c)司法修習制度の制度が作られたのは,法曹資格を付与する前に一定の実務修習・臨床経験を積ませることが不可欠と考えられたからである。研修医の場合も臨床経験を積ませようという制度の目的は共通である。

 研修医制度ができる以前は,インターン制度だったが,インターン生は国家試験前の学生でありインターンが国家試験の受験要件とされた。インターン制度は廃止され,無給の研修医制度に代わり,それが平成16年から有給の研修医制度に変わった。ここに臨床体験を積ませるための研修制度であっても無給ではいけないという理解の深化が見てとれる。
 有給の研修医制度はできてからまだ日が浅い制度であるが,大震災だからこれを無給に戻すべきだという議論も聞かない。

 6,結語

 当会は,貸与制については,以上述べたとおり,?「違法の疑い」があり,?司法修習生に著しい困苦を強い,?若者の司法離れに拍車をかけるものであり,? 信頼性の高い弁護士制度を国民のために整備し提供する国の責務についての自覚を忘れた提案と考えるから,給費制の存続を強く求めるものである。

 2011(平成23)年7月13日
 岡山弁護士会 会長  的  場  真  介

 脚注

 ※1 国家公務員法附則16条は,「労働組合法,労働関係調整法,労働基 準法,船員法,最低賃金法,じん肺法,労働安全衛生法及び船員災害防止活動の促進に関する法律並びにこれらに基づいて発せられる命令は,第2条の一般職に 属する職員には,これを適用しない。」と定めているので,国家公務員に労働基準法の適用はない。しかし,司法修習生については,国家公務員ではないのだか ら,労働基準法の適用を否定する明確な根拠はない。

 ※2 最高裁のホームページでは,「司法修習生は,国家公務員ではありませんが,これに準じた身分にあるものとして取り扱われ,国から一定額の給与が支給されます(裁判所法第67条第2項)」と説明されている。

 裁判所法第67条第2項は,「司法修習生は,その修習期間中,国庫から一 定額の給与を受ける。」と規定するだけである。

 ※3 全農林警職法事件・最大判昭和48年4月25日刑集27巻4号547頁 

 ※4 昭和23年03月29日の衆議院司法委員会における佐藤政府委員の発言

 検察庁の人手不足対策に関して,「司法修習生が区檢察廳の立会をなすこと ができるようにするとか,あるいは地方檢察廳の立会までもできるようにしたらどうか,というような意見もありますので,その点については,目下研究をいたしておる次第であります。」このような政府委員の発言は司法修習生が純粋な学生とは異質な存在であったことを示している。

 ※5 「司法修習生=非法曹=学生」→「学生=無給」→「奨学金=貸与制で十分」という推論は,元々「司法修習生=非法曹」である必然性がない(「司法修習生=非法曹」はある法曹養成政策を選択した結果でしかない。)ことを見落としている。

 司法修習生の「統一修習」は,法曹一元的な色彩を持つ一方で,経験を積んだ弁護士の中から判事・検事を登用するシステムを忌避するための妥協として生まれた制度という見方もあるが,法曹の質を高めるうえでは優れた制度であった。しかし,給費制の存廃が再検討されている時期なのであるから,キャリアを積んだ 弁護士の中から判事・検事を登用する法曹一元システムを本格的に導入することをあらためて正面から議論し直されてよいのではないか。

 ※6 「軒先を借りる弁護士」の意。「ノキ弁」とも書く。既存の法律事務所の一部を借りて机と電話を置き,営業を始める新米弁護士。給料は出ない。

 ※7 新規登録と同時に独立開業する弁護士。

 ※8 弁護士事務所に勤めている弁護士のこと。弁護士事務所に居候している弁護士なので「イソ弁」という説などがある。

 ※9 研修医制度については,厚生労働省 医師臨床研修制度のホームページを主に参考にした。
 ttp://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/

 修習生給費制会長声明

 平成22年11月26日、司法修習生に対する貸与制の施行を1年間停止し、給与の支給を行うこととする「裁判所法の一部を改正する法律」が成立した。これにより昨年採用された新64期司法修習生は、従前と同様、給与の支給を受けられることになった。

 当会は、署名活動、地元選出国会議員への要請活動、緊急市民集会など、司法修習生に対し給与を支給する制度(給費制)の存続に向けて運動を展開してきたところ、今回の法改正は、完全な給費制の復活とはならなかったものの、これまでの当会の運動方針に沿うものである。当会の運動方針をご理解いただき、署名等にご協力いただいた県民の皆様、報道等にご協力いただいたマスコミの皆様、問題の本質をご理解いただき、裁判所法の改正にご尽力いただいた各政党及び国会議員の皆様に心より感謝申し上げる次第である。

 しかしながら、今回の法改正による給費制の延長期間は1年間のみであり、その附帯決議においては、その間に「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」が求められている。

 そこで、当会としては、政府及び最高裁判所に対し、司法修習生に対する財政的支援の在り方や、法曹養成制度全体の在り方を検討する組織を直ちに設置するとともに、法曹が、国が費用を支出してでも養成すべき社会資源であることに鑑み、法曹志望者が経済的理由から法曹への途を断念することのないよう、平成23年11月以降も給費制が維持・存続される措置をとるよう、強く求めるものである。

2011(平成23)年1月12日
 岡山弁護士会 会長  河 村 英 紀

 秋田弁護士会所属弁護士殺害に関する会長声明

 本年11月4日,秋田弁護士会会員で日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長を務めていた津谷裕貴弁護士が,同弁護士の自宅を訪れた男性により,刃物で刺され死亡するという事件が発生した。事件の詳細は明らかでないものの,報道によると,その男性は,かつて津谷弁護士が受任していた調停事件の相手方であったとのことであり,弁護士業務に関連する事件である疑いが強い。

 また,本年6月にも,横浜弁護士会会員の前野義広弁護士が,事件の相手方に法律事務所内で刃物で刺され死亡するという事件が発生している。

 このような行為は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の職務を暴力でもって妨害しようとする卑劣極まりないものであり,司法制度や法秩序に対する重大な挑戦であって断じて許されない。

 当会は,津谷弁護士の御冥福を祈り,その御遺族に対し深い哀悼の意をささげるものである。そして,このような暴力による卑劣な弁護士業務妨害行為に対して毅然と闘い,今後も,弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現のため全力を尽くす決意であることをここに表明する。

 2010(平成22)年11月10日
 岡山弁護士会 会 長  河 村 英 紀

 給費制に関する会長声明

 平成22年11月から、司法修習生に給与を支給する給費制が廃止され、必要な者に生活資金を貸与する貸与制が実施されることが予定されている。当会は、平成21年9月9日、給費制の継続を求める会長声明を出したが、いよいよ現実に給費制が廃止されるのが目前に迫ろうとしている現時点で、司法修習生の給与給費制を堅持すべきことを、改めて強く求めるものである。

 1 給費制の存在意義

 裁判官、検察官、弁護士になるためには、司法試験に合格後に、司法修習を終えることが必要とされているところ、この司法修習は、裁判官、検察官、弁護士のいずれの道に進む者に対しても同じカリキュラムで行われ、法律実務に関する知識等のみならず、法曹としての高い職業意識と倫理観の修得も目的としている。そして、司法修習生には、修習に専念すべき義務が課されている。

 司法修習生に対する給与給費制は、この司法修習制度の創設以来、これと不可分一体のものとして採用され、すべての司法修習生が貧富の差に関係なく司法修習に専念することを可能にし、法曹三者の統一修習を経済的側面から支えてきたものであり、この給費制があればこそ、あらゆる経済的階層から有為で多様な人材が法曹界に輩出されてきたのである。

 2 給費制廃止の弊害

 法科大学院制度が導入され、法曹を志す者は司法修習生となるまでに多大な経済的負担を追っている現状の下で、給費制を廃止すると、司法修習中にも更に約300万円の負債を生じさせることになるため、多くの有為の人材が経済的事情により法曹への道を断念する事態につながり、経済的富裕層のみが法曹になっていく社会を現出させかねない。

 また、給費制は、法曹三者、とりわけ弁護士の公共性・公益性を担保する役割を果たしてきた。弁護士・弁護士会による各種の公益活動を支える弁護士の使命感は、給費制の下での司法修習制度によって醸成されてきたものであるところ、給費制の廃止は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とすべき弁護士の在り方をも変質させかねない。

 以上のとおり、給費制を廃止することは、高い専門的能力と職業倫理を備えた法曹の養成を担ってきた司法修習制度の存続を危うくし、ひいては司法制度の利用者である国民の利益を損なうものであることから、当会は、司法修習生の給与給費制を堅持することを強く求めるものである。

 2010(平成22)年7月12日
 岡山弁護士会 会長  河 村 英 紀

 公訴時効廃止・延長に反対する会長声明

 殺人等の重大犯罪について公訴時効を廃止・延長し、かつ、その遡及適用を行うことを内容とする刑事訴訟法の改正案は、平成22年4月14日に参議院で可決され、現在、衆議院にて審議が行われている。しかしながら、当会は、下記の観点から同法案には反対するものである。

 1 被疑者・被告人及び弁護人の防御権の観点からの問題点

 公訴時効制度は、一見、犯罪者に逃げ得を許すかのような制度にも見えるが、冤罪防止のために極めて重要な機能を有している。すなわち、事件発生から起訴までに長期間を要した場合、時間の経過により、?証人の記憶が薄れたり、証人が死亡したり、事件の現場の状況が大きく変わったりすることにより、反対尋問等による防御権の実質的保障の基盤が失われる、?被告人・被疑者に有利な証拠が散逸する(なお、捜査機関が被疑者・被告人に有利な証拠を積極的に収集・保全することは期待できない)、といった事態が生じ、冤罪防止のためにも重要な権利である被疑者・被告人及び弁護人の防御権が著しく侵害される危険があるところ、公訴時効はかかる危険を緩和する重要な機能を有しているのであり、その廃止・延長は、かかる重要な機能を大きく損なうものである。上記のような刑事司法の実情と公訴時効制度の存在意義が国民に十分に説明されていない現状からも、重大犯罪について公訴時効の廃止・延長を行うことには大きな問題がある。

 なお、科学的証拠の活用により、事件発生から長期間を経た後の起訴事案についても冤罪の危険は軽減されるという見方もあるが、当時信頼できるとされた科学的証拠の信用性が後に否定されることもあり、したがってかかる見方が必ずしも正しいとは言えないことは、いわゆる足利事件の教訓からも明らかである。

 2 立法事実及び比較立法の観点からの検討

 公訴時効期間については、既に平成16年の刑事訴訟法改正において一定の延長がなされているところ、それ以後の約6年の期間に、再度の、かつ、一部廃止が含まれる大幅な改正が必要となるような、我が国における社会事情の変化が存するかについては、疑問である。

 また、諸外国の立法例では、公訴時効が存在しない国もある一方で、例えばフランスでは公訴時効がない犯罪は集団殺害など人道に対する罪に限られ、ドイツでも公訴時効がないのは民族虐殺などの犯罪に限られている。これら立法例との比較検討の見地からも、我が国において殺人一般について公訴時効を廃止するに当たっては、慎重な検討が必要である。

 3 遡及適用の問題点

 憲法39条は、直接的には実体的刑罰法規の遡及適用を禁止するものであるが、訴訟規定であっても、被疑者・被告人の実質的地位に直接影響を持ち、したがって、実体法と密接な規定については、遡及適用は許されないと考えるべきである。また、公訴時効については、一定期間の経過によってその可罰性が減少するという実体法上の意味もあるところ、かかる公訴時効の実体的側面に鑑みると、公訴時効を廃止・延長する法案を遡及的に適用することは、実体的刑罰法規の遡及適用そのものということになる。

 したがって、重大犯罪について公訴時効を廃止・延長する法案を、その施行の際に時効が完成していない事件に遡及適用することは、憲法39条に違反する疑いが強い。

 4 犯罪被害者及びその遺族との関係
 重大犯罪について公訴時効が廃止・延長されたからといって、犯人が直ちに逮捕・処罰されるわけではなく、犯罪被害者及びその遺族の立場が強化されるわけでもない。つまり、犯人が逮捕されないままの犯罪被害者及びその遺族にとって必要なのは、公訴時効の廃止等より、むしろ、初動捜査を含めた刑事警察の捜査能力の向上と、具体的な経済的・精神的な支援の施策や措置である。犯罪被害者及びその遺族に対する、社会的・精神的な援助を中心とする総合的な対策を後回しにして、重大犯罪についての公訴時効の廃止・延長と、その遡及適用を先行的におこなうことは、犯罪被害者及びその遺族への支援策としても、本末転倒で安易な弥縫策でしかない。

 以上の観点から、当会は、重大犯罪について公訴時効を廃止・延長し、かつ、その遡及適用をおこなう法案に反対するものである。

 2010(平成22年)4月21日
 岡山弁護士会 会 長  河 村 英 紀

 国選付添人制度の拡充を求める会長声明

 1 少年審判において、弁護士付添人は、非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう、少年側の立場から手続きに関与し、家庭や学校・職場等の環境の調整を行い、少年の立ち直りを支援する活動を行っている。

 少年審判において、少年を受容・理解したうえで、少年に対して法的・社会的な援助を行い、少年の成長・発達を支援する弁護士付添人の存在は、少年の更生にとって極めて重要である。

 子どもの権利条約第40条2項(b)は、「刑法を犯したと申し立てられた全ての児童は、…防御の準備及び申立において弁護人(又は)その他適当な援助行う者をもつこと」と規定し、第37条(d)は、「自由を奪われた全ての児童は、…弁護人(及び)その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有する」と規定しており、身体拘束を受けた少年には必ず弁護士と接触する権利が保障されなければならないとしている。

 しかしながら、現実には多くの少年やその保護者には、弁護士付添人の費用を負担する資力がなく、仮に保護者に資力があったとしても、少年のために費用を負担することには消極的な場合がほとんどであって、国費により弁護士付添人を付する制度でなければ、少年が弁護士付添人の援助を受ける権利は実質的に保障されることにならない。

 2 2008年(平成20年)に審判に付された少年は、54,054人、そのうち観護措置決定により身体の拘束を受けた少年は、11,519人であったが、弁護士である付添人が選任されたのは、4,604人で、身体が拘束された事件のわずか40パーセントに過ぎない。 また、現行の国選付添人制度は、対象事件を重大事件に限定しているため、同年の対象事件に該当する少年の数は707人で、身体の拘束を受けた少年の6パーセントに過ぎないうえ、実際に国選付添人が選任された少年の数は、422人(4パーセント)であった。

 刑事被告人の98パーセント以上に弁護士の国選弁護人が選任されていることと対比すると、あまりにも低率といわざるを得ない。

 3 日本弁護士連合会は、弁護士付添人の援助を受ける少年の権利を保障するため、全国の会員から特別会費を徴収し、弁護士付添人の費用を援助する付添援助制度を実施している。

 これにより、弁護士付添人選任数は従来に比べ増加するに至っている。

 しかし、付添援助制度は、弁護士会員がいわば自腹を切って支えている臨時的・暫定的なものであって、恒常的なものと位置づけられるものではないし、選任件数の増加により財源の枯渇するおそれも生じている。

 4 よって、当会は、現行の国選付添人制度を拡充し、少なくとも身体の拘束を受けた少年の全事件に弁護士付添人が選任されるよう、政府に対し少年法を早急に改正することを求める。

 2010(平成22)年2月10日
 岡山弁護士会 会長 東 ?司←?は最初から

投稿日: 2018年2月1日

【余命三年時事日記】2349 ら特集岡山弁護士会D 2018年2月1日

【余命三年時事日記】2349 ら特集岡山弁護士会D 2018年2月1日

ソース:2349 ら特集岡山弁護士会D 2018年2月1日
    http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/02/01/2349-%e3%82%89%e7%89%b9%e9%9b%86%e5%b2%a1%e5%b1%b1%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e4%bc%9a%e2%91%a4/

2349 ら特集岡山弁護士会D
 
 岡山弁護士会
 ttp://www.okaben.or.jp/index.html

 死刑執行に関する会長声明

 2013(平成25)年12月12日、東京拘置所、大阪拘置所において、それぞれ1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、本年9月17日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。

 にもかかわらず、本年になってから4回目、前回執行から3か月という短い間に連続して死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。

 国際社会においては、死刑廃止が趨勢となっている。最近では、死刑廃止又は事実上停止している国が140か国であるのに対し、死刑存置国は58か国に過ぎず、2013年(平成24)??年に実際に死刑を執行した国は我が国を含め21か国しかない。国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けており、本年5月31日に発表された国連拷問禁止委員会の総括所見においても、我が国に対し、死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告を受けている。

 日本弁護士連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑及びその運用についての情報公開及び全社会的議論が尽くされるまで全ての死刑の執行を停止することなどを求めた。

 当会においても、本年2月9日、「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。

 このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。

 今回の執行は、死刑判決確定から執行までの期間が一方は18年6か月であり、他方は1年4か月しかたっていない。この執行までの期間の長短について法務省からは何ら具体的な説明もなく、執行対象者の選定基準や死刑判決確定から死刑執行までの経過の不透明さが改めて浮き彫りとなった。

 当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。

 2013(平成25)年12月13日
 岡山弁護士会  会長 近 藤 幸 夫

 特定秘密保護法案の参議院採決強行に抗議し,

 改めて同法の廃止を含む見直しを求める会長声明

 当会は,臨時国会において審理されていた特定秘密保護法案について,国民の知る権利やプライバシーの権利,報道の自由を侵害し,国民主権原理に反するものであるから成立に強く反対する立場から,本年10月19日に同法案に反対する会長声明を発し,11月9日には市民集会を実施し,11月20日及び12月4日に街頭宣伝活動を行い,同法案の危険性について訴えてきた。

 そして,11月26日の衆議院の採決強行に際しては,衆議院の審議において多くの問題点が明らかとなり,福島市で行われた地方公聴会においては8名全ての公述人が同法案に反対であったにも関わらず,十分な修正審議がなされず,同法案に対する懸念がぬぐい去られることのないまま採決が強行されたことに抗議し,参議院において徹底した審理を求める会長談話を発したところである。

 この間,法学者,外国人記者を含む報道関係者,映画監督等表現の自由の担い手とされる方々や国連人権高等弁務官からも続々と反対,懸念の表明がなされ,12月3日に行われた参議院国家安全保障特別委員会の参考人質疑において与党側の参考人も慎重な審理を求める発言があるなど,国の内外から同法案に対する懸念,不安が高まっている。にも関わらず,良識の府であるはずの参議院においても,2週間にも満たない短い審理期間しかなく,何らの修正もなされないまま,衆議院に続いて採決が強行され,同法案が可決,成立したことは極めて遺憾であり,強く抗議する。

 同法案は成立したものの,国民の同法に対する懸念や問題点は消滅するわけではない。

 当会は,政府及び国会に対し,改めて,同法が国民の重要な権利を侵害し,国民主権原理に反するものであることから,今後,廃止を含めた抜本的見直しを行うよう強く求めるものである。

 平成25(2013)年12月7日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 司法修習生に対する給費制の復活を求める会長声明

 1 2013年(平成25年)9月10日,平成25年度司法試験の結果が発表され,2049名が合格した。これらの者の大半が第67期司法修習生として最高裁判所に採用され,当会においても,岡山地方裁判所配属の42名の司法修習生を司法修習指導のため迎え入れた。

 しかし,新第65期司法修習生から,「裁判所法の一部を改正する法律」(平成16年法律第163号)が施行され,司法修習期間中の生活費等の必要な資金が国費から支給される給費制が廃止され,これを貸与する制度(以下「貸与制」という。)に移行している。

 2 当会は,2011年(平成23年)7月13日には「給費制の存続を求める会長声明」,2013(平成25年)1月23日には「司法修習生に対する給費制の復活を求める会長声明」を発し,同年5月13日には,法曹養成制度検討会議の中間的取りまとめに対するパブリックコメントとして,司法修習生に対する給費制の復活を求めるなど,司法修習生に対する貸与制に反対し,給費制の復活を求める活動を続けてきた。

 3 にもかかわらず,法曹養成制度検討会議は,同年6月26日,「法曹養成制度検討会議取りまとめ」(以下「取りまとめ」という。)において,貸与制を前提とした上で,(1)分野別実務修習開始に当たっての転居費用の支給,(2)通所圏内に住所を有しない者に対する集合修習期間中の司法研修所への入寮,(3)司法修習生の兼業許可に関する運用の緩和の各措置を,可能な限り第67期司法修習生から実施すべきであるとした。

 そして,今後,司法修習生に対する経済的支援については,法曹養成制度検討会議の後継組織である法曹養成制度改革推進会議の下に設置された法曹養成制度改革顧問会議において,司法修習生の地位及びそれに関連する措置の中で検討されることになっている。
 
4 しかし,法曹養成制度検討会議が「取りまとめ」において指摘した各措置は,あくまで現行法下における運用改善による応急措置的な,極めて限定的な方策に過ぎず,司法修習生に対する経済的支援としては,給費制を復活することが不可欠である。

 (1)そもそも,戦後一貫してわが国の司法は,日本国憲法の下で三権の一翼として国民の人権・権利擁護のため重要な役割を求められ,司法修習は,この司法を担い司法をつかさどる法曹である裁判官・検察官・弁護士の養成のための統一修習制度として制度化された。

 そして,これら法曹の資格要件としての司法修習生の地位の重要性に鑑み,司法修習に人材を吸収し,また司法修習生に修習に専念させる等の見地から,特に一定額の給与が支給されることとされていたものである。

 かかる日本国憲法の要請や社会的背景に何ら変わりはなく,また司法修習生は,司法の担い手たる法曹の予定者として,国の厳格な規律の下,国の権力行使に関与し,国民の権利義務に関わる法曹の職務そのものに密接に関連する準備過程に従事していることにも何ら変わりはない。

 (2)また,日本弁護士連合会が行った「新第65期司法修習生に対する生活実態アンケート」(回答者数717通,回答率35.8%)及び「第66期司法修習生への修習実態アンケート」(回答者数850通,回答率41.8%)において,多数の司法修習生から,「司法修習配属地で住宅を借りるにあたり契約を断られた」,「貸与金返済の経済的不安感から,書籍購入や医者にかかることを自粛した」等の声が寄せられている。このように,司法修習生が司法修習に専念するに当たり,貸与制が大きな妨げとなっている。

 (3)さらに,司法修習生の多くは,大学及び法科大学院の奨学金等の返還義務を負担しており,貸与制はその返還義務を加算することになり,法曹としてのスタート時点において多額の債務を負担することとなる。

 上記アンケートにおいても,貸与制に移行したことによる経済的な不安等の理由から,司法修習生となることを辞退しようと考えたとの回答が,新第65期司法修習生のうち174名,第66期司法修習生のうち111名から寄せられた。

 貸与制が今後とも継続されるのであれば,有為な人材が経済的事情によって法曹への道を断念する事態がさらに悪化し,法曹志願者数が減少する一方である。かかる事態は,2012年(平成24年)6月1日付け衆議院法務委員会における「経済的事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにする」との附帯決議に反しており,かかる事態を放置すれば,国民の人権・権利を擁護する担い手としての司法そのものの弱体化は必至である。

 5 以上の理由により,当会は,法曹養成制度改革推進会議及び法曹養成制度改革顧問会議を含め,国に対し,一刻も早く,司法修習生に対する給費制を復活し,新第65期司法修習生,第66期司法修習生及び第67期司法修習生に対しても遡及的に適切な経済的措置が採られることを強く求める。

 平成25(2013)年12月4日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 特定秘密保護法案衆議院採決についての談話

 当会はこれまで、特定秘密保護法案に対し国民の知る権利、プライバシーの権利等を著しく侵害するものであるとして、本年10月9日、同法案制定に反対する会長声明を発し、11月9日、憲法講演会を開催し、さらには11月20日、同法案に反対する街頭宣伝活動を行った。

 パブリックコメントでも大多数の人が反対し、法案提出後も、言論団体を始め、様々な団体が反対声明を出し、昨日25日の福島市の地方公聴会では、7人全員が反対意見を述べるなど、国民の懸念が高まっている。このように国会の審議を通じて、むしろ同法案に対する懸念が高まり、国民の関心が高まるにつれ、同法案の問題点がよりいっそう明らかになって来ている。にもかかわらず、国民の懸念を払拭するだけの徹底した議論や、実効的な修正もなされないまま、衆議院国家安全保障特別委員会で強行採決した上,同日衆議院で強行採決することは、多数派の横暴というほかない。今後、参議院においては改めて徹底した審議を行う必要があり、同法案の問題点に鑑みれば、廃案にされるべきである。

 平成25年11月26日
 岡山弁護士会 会長  近 藤 幸 夫

 「特定秘密の保護に関する法律」制定に反対する会長声明

 2013年9月3日,内閣官房より,「特定秘密の保護に関する法律案の概要」が示された。現在,政府が法案化作業を進めており,閣議決定を経て,今月招集される予定の臨時国会に提出される可能性が高い状況にある。

 特定秘密の保護に関する法律案(以下,「本法案」という。)は,2011年8月8日に公表された,秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(以下,「有識者会議」という。)による「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」に基づくものである。当会は,2012年5月10日,「秘密保全法制に反対する会長声明」において,同報告書に基づく秘密保全法制の整備が憲法上の諸原理と正面から衝突するものであることから,その制定に強く反対する旨表明し,日本弁護士連合会(以下,「日弁連」という。)においても反対の意見表明がなされた。

 今回,意見募集に付された本法案については,当会及び日弁連の見解に多少配慮していることは窺えるが,基本的には,上記会長声明及び意見書において,同報告書に対し行ってきた批判がそのまま当てはまるものである。

 本法案について,日弁連は2013年9月12日付で「「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書」を提出し,本法案について強く反対する旨表明しているが,当会も,同法案の制定には強く反対する。

 本法案の問題点は以下の通りである。

 1 国民主権原理や国民の憲法上の権利などに重大な影響を与えるおそれのある法案の立法化が是認されるためには,当該法案を必要とする具体的事情(立法事実)の存在が必要不可欠である。ところが,有識者会議において紹介された過去の情報漏えい事案については,既に必要以上とも言える対策が採られている。従って,秘密漏えいを防止するために新たな立法を必要とする立法事実は存在しない。

 2 本法案では,秘密指定の対象となる「特定秘密」の範囲を,(1)防衛,(2)外交,(3)外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止,(4)テロ活動防止の4分野とし,別表で項目を挙げている。

 しかし,これによって秘密指定できる情報の範囲は広範かつ不明確に過ぎる。第1号(防衛に関する事項)は,自衛隊法別表第4と同じであり,何ら限定していない。第2号(外交に関する事項)は,「安全保障」の範囲が無限定に広がるおそれがある。第3号(外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項)は,「外国の利益を図る目的」「我が国及び国民の安全への脅威」「その他の重要な情報」など抽象的で曖昧な文言になっており,範囲が極めて不明確である。第4号(テロ活動防止に関する事項)は,政府がどのような「テロ活動」を想定するかについての歯止めもなく,政府の主観的な判断次第であることから,際限なく範囲が拡大する可能性がある。

 また,法律案の概要は秘密指定について有効期間を定めているが,回数制限のない期間更新が認められており,秘密指定の乱発を防止する機能を果たすものではない。
 
3 本法案は,特定秘密情報を取り扱う者及びその家族,同居者について,一定の事項を調査することを可能にする,適性評価制度を導入している。

 現実には,様々なリスク要因があっても情報漏えいしない者がいる一方で,リスク要因がほとんどなかった者が情報漏えいすることも起こりうる。従って,リスク情報を集積することにより漏えい事件を未然に防ぐことは困難である。

 他方,適性評価制度により取得することが可能であるとされた情報には,特定秘密情報を取り扱う本人のみならず,家族及び同居人の,他人に知られたくない個人情報が相当含まれており,プライバシー侵害のおそれが高い。本法案では,対象者の同意を要件としているが,上司等から同意を求められた行政機関職員等が真に自由な意思に基づいて同意・不同意の判断を行うことは不可能であり,家族・同居人及び対象者の関係者については,この点,何ら配慮されていない。

 4 本法案では,過失による情報漏えいも処罰するとしているが,過失犯を処罰対象とすることは,責任主義の原則からして極めて問題である。

 さらに,本法案では,国会議員,裁判官等が故意又は過失により秘密情報を漏えいした場合には懲役5年以下の刑罰を科することにしている。しかし,特に国会議員については,議員間の自由な討論や政策秘書に調査させることもできなくなるなど,議会制民主主義が空洞化する恐れがある。

 また,本法案では,既遂の場合だけでなく,未遂,共謀,独立教唆,煽動の各行為も処罰対象としている。また,秘密情報を取得する行為態様が,「人を欺き」「人に暴行を加え」「人を脅迫する行為」「財物の窃取」「施設への侵入」「不正アクセス行為」「特定秘密の保有者の管理を害する行為」である場合,行為者は処罰される。

 このように処罰できる行為の範囲が著しく広範囲・不明確であり,過剰と言わざるを得ない。また,正当な取材活動をも萎縮させ,支障を来すことになりかねず,国民の知る権利を侵害する恐れが強い。

 5 本法案については,「国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」等の拡張解釈禁止の規定が設けられ,また,報道の自由や国民の知る権利に配慮した条項を盛り込む動きもあるが,いずれも一般的・訓示的な規定に過ぎず,上記の懸念を払拭させるだけの実効的な措置が担保されているわけではない。

 以上のとおり,日本国憲法の諸原理を尊重する立場から,当会は,本法案が立法化されることに強く反対するものである。

 平成25(2013)年10月9日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 死刑執行に関する会長声明

 2013(平成25)年9月12日、東京拘置所において1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、本年5月15日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。

 にもかかわらず、本年になってから3回目、前回執行から約4か月半という短い間に連続して死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。

 国際社会においては、死刑廃止が趨勢となっている。最近では、死刑廃止国が140か国(事実上の廃止国を含む。)であるのに対し、死刑存置国は58か国に過ぎない。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。

 日本弁護士連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑及びその運用についての情報公開及び全社会的議論が尽くされるまで全ての死刑の執行を停止することなどを求めた。

 当会においても、本年2月9日、「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。

 このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。

 今回、死刑執行がなされた死刑確定者については、一審で無期懲役判決が下されるなど死刑の適用について裁判官の中でも意見が割れた事例である。また、同確定者は執行時73歳であり、2008(平成20)年10月に公表された国際人権(自由権)規約委員会総括所見において、死刑の執行に対し、より人道的なアプローチを採るべきと指摘された高齢者にあたることからしても、死刑執行には慎重でなければならない事案であった。当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。

 2013(平成25)年9月17日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 中国地方弁護士会連合会ホームページ開設のお知らせ
 ttp://www.okaben.or.jp/news/index.php?c=topics_view&pk=1378693335

 この度,中国地方弁護士会連合会(中弁連)のホームページが開設されました。

 中弁連は,中国地方にある5つの弁護士会によって構成されている団体で,各県の弁護士会の枠を超えて広域的な活動をしています。 「宣言・決議」や中弁連が主催または共催する企画など,有益な情報が掲載されておりますので,ぜひご覧下さい。

 ttp://chugoku-ba.org/index.html

 憲法96条改正に関する会長声明

 1  自由民主党は,憲法改正の発議を衆参各議院の総議員の過半数によって行えるように憲法96条を改正することを次期参議院議員選挙の争点とする意向を表明している。自由民主党のほかも,日本維新の会もこれに賛成する旨を表明している。

 しかし,のちに述べるように,憲法96条を改正して発議の要件を緩和することには大きな問題があり,このような提案に強く反対する。

 2  民主的過程を経て選ばれた国家権力であっても,権力が濫用され国民の基本的人権が侵害されるおそれがある。そこで,憲法は,国家権力に制約を加えることによりその濫用を防止し,基本的人権を保障しようとしている(立憲主義)。

 しかし,各議院の総議員の過半数の賛成で憲法改正の発議ができることになれば,その時々の政権与党の意向に沿った憲法改正の発議が容易に行えるようになる。このことは,憲法の制約に服するべき内閣が,都合により,自己の活動を制約する憲法の規定を改正できることを意味するものであり,ひいては国民の基本的人権の保障がないがしろにされる危険を有するもので,許されるべきではない。

 3  日本国憲法96条は,「この憲法の改正は,各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会がこれを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。」と定める。

 96条改正に賛成する根拠として,現在の96条の要件の下では,憲法改正が各議院の多数の支持を得ていても,どちらかの議院で3分の1以上の反対があれば,発議ができないことになり,国民には憲法改正の是非を考える機会すら与えられない。これは少数意見による多数意見の封殺であるというものである、との主張がある。

 憲法が基本的人権を保障し,国家の仕組みを定める国の最高法規であり,その改正が国民の基本的人権や国家の仕組みに重大な変更をもたらすものであること,少数者の基本的人権が多数派によって侵害されてきた歴史的経緯を踏まえれば,憲法改正に際しては,多数派の意見を安易に国民の意思とするのではなく,国民の間の様々な意見を集約し,調整しながら慎重に議論を進め,より広い国民的な合意を得ていく必要があるのは当然のことといえる。

 諸外国でも,過半数より厳しい要件のもとで憲法の改正が行われる例は多々ある。上下両院の3分の2の賛成を発議の条件とする米国でも、幾度にもわたって憲法の修正が行われてきたことは周知のとおりである。我が国においても,憲法改正にあたっては広く国民的な合意を得る努力をすべきであり,安易に要件を緩和すべきではない。

 4  以上のことから,憲法96条を改正して発議要件を各議院の総議員の過半数の賛成とすることは,立憲主義,基本的人権の保障の観点から認められるべきではなく,憲法96条の改正に強く反対するものである。

 平成25(2013)年7月1日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 橋下徹氏の「慰安婦」等に関する発言に対する会長声明

 日本維新の会の共同代表であり大阪市長でもある橋下徹氏は,2013年(平成25年)5月13日,(1)戦争時の軍隊に「慰安婦制度」は必要であった,(2)沖縄海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しいと述べたとの発言をした。

 日本国憲法13条は,国家は国民の人権を尊重すべきことを定める。そして,同14条及び24条は両性の本質的平等を定め,さらに女子差別撤廃条約は,女性の尊厳が男性と等しく尊重されるべき旨を定めている。

 橋下氏の今回の発言は,これら憲法及び女子差別撤廃条約等が尊重する女性の尊厳を踏みにじるものである。

 すなわち,橋下氏による「慰安婦制度」が必要であったとの発言は,「慰安婦制度」が国家の関与の下で女性を性の道具として扱った,女性の尊厳を著しく損なう重大な人権侵害であったことを看過し,「慰安婦制度」を正当化する一部の不見識な主張を助長する不用意な発言であり,当時慰安婦として人権を侵害された女性たちの名誉と尊厳をさらに傷つけるものである。

 さらに,沖縄海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しいと述べたとの発言は,今日の沖縄において,女性の性を国家が軍隊のために利用することを容認し正当化する発言であり,特に米軍兵士による性的暴行事件が度々問題となっている現状において,沖縄の女性をはじめすべての女性の尊厳を傷つけるものである。

 これらの発言に対し,橋下氏は,2013年(平成25年)5月27日,「私の認識と見解」と題する文書において弁明し,「女性の尊厳は,基本的人権において欠くべからざる要素」であり,「日本兵が『慰安婦』を利用したことは,女性の尊厳と人権を蹂躙する,決して許されないもの」であることを認め,風俗業を活用して欲しいとの発言については「アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋がる不適切な表現でしたので,この表現は撤回するとともにおわび申し上げます。」と述べた。

 しかしながら,橋下氏は,(1)いまだ軍隊に「慰安婦制度」が必要であったとの発言を明確に撤回しておらず,(2)風俗業を活用して欲しいとの発言については撤回し,撤回理由においてアメリカ国民への配慮を見せるものの,かかる発言により沖縄の女性をはじめすべての女性の尊厳を傷つけたことへの配慮が見られず,また,(3)国政政党の共同代表並びに地方公共団体の首長として公権力を行使する立場にある公人である自らがかかる発言を行ったことによって傷つけた慰安婦及びすべての女性への謝罪を行っていない。

 当会は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としており,全ての時及び場所において「慰安婦制度」ないし軍隊のために女性の性を利用する行為が決して許されない重大な人権侵害であることを確信する。その上で,橋下氏に対し,これらの発言をしたことを強く非難するとともに,当時慰安婦として人権を侵害された被害女性及び沖縄の女性をはじめすべての女性に対して謝罪することを強く求めるものである。

 2013(平成25)年6月12日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 小野市福祉給付制度適正化条例の廃止を求める会長声明

 平成25年3月27日,兵庫県小野市において,小野市福祉給付制度適正化条例が制定された。

 本条例では生活保護,児童扶養手当等の福祉制度による金銭給付受給者が,これらの金銭をパチンコ,競輪,競馬等に費消し,生活の維持安定向上義務に違反することを防止し,同受給者の生活支援に資することを目的とし,そのために受給者らの責務を定めるとともに,市民及び地域の構成員に対して,市への積極的な協力,情報提供の責務を課している。

 しかし,本条例は,違憲,違法の疑いが強いものであるから小野市は同条例を即時廃止すべきである。

 まず,福祉制度による金銭給付受給者が受給した金銭は,そもそも使途を限定されているものではない。にもかかわらず,本条例は福祉制度により現金給付を受けている受給者の私生活を,その周辺の市民及び地域の構成員が監視し,市に情報提供し,市の職員が生活指導をするという仕組みを規定している。

 この市民及び地域の構成員による情報提供の仕組みは,誰が生活保護をはじめとする福祉制度の受給者であるのかという高度なプライバシーに属する情報(憲法13条)を,一般市民が知っていることが前提となっている。ともすれば,生活保護受給者は,税金から給付を受けている以上,プライバシーを暴かれても受忍すべき存在であるとの差別や偏見を助長させかねず,このような危惧感から要保護者であっても生活保護の受給を躊躇するという効果を生みかねない。プライバシーの権利と生活保護受給権に対する侵害であり,憲法13条,25条に違反するおそれがある。本来生活保護の対象となるべき生活困窮者が何らかの理由で保護を受けられていない漏給が問題となっている現状に鑑みると決して許されるものではない。不正受給が許されないことは当然であるが,不正受給の防止は,行政の責任であるのに,これを市民に転嫁し,しかも,犯罪行為でさえ市民に法律上の通報義務はないのに受給者のプライバシーの領域まで一般市民に監視通報義務を負わせる条例の制定は,小野市が全市民を巻き込んだ相互監視社会化を助長し,福祉制度による金銭給付受給者に対して差別偏見を助長するものであるといわざるを得ない。

 ところで,全市民の六割が本条例を支持しているとの報道もみられる。小野市に限ったことではないが「民主主義で得られた結論であるから正しい。」との論調で政策の実行や,条例の制定をする動きが往々にしてなされることがある。しかしながら,民主主義で得られた結論であるから正しいのではなく,その前提として既存の法体系との整合性,少数者の人権への十分な検討が必要である。このことを抜きにした,単に多数決による結論により誤った結果を招くことは過去の歴史を振り返ってみても明らかである。

 当会は本条例の問題点を上記のとおり指摘した。小野市においては本条例を即時廃止すべきである。

 2013(平成25)年6月12日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 生活保護法改正に反対する会長声明

 1 政府は,2013(平成25)年5月17日,生活保護法を改正する法律案(以下「改正案」という。)を国会に提出することを閣議決定した。

 2 改正案では,生活保護の開始のためにはあらかじめ定められた申請書を提出することを義務化,すなわち要式行為とすることが規定されている。

 このことは,現在の生活保護法が保護の申請を書面によるものとせず,また,口頭による保護申請も認められるとする確立した裁判例(さいたま地裁平成25年2月20日判決など)からも生活保護申請権に制限を加えるものであることは明らかである。

 従来から,生活保護の現場においては,生活保護を受給するために窓口を訪れた要保護者に対して,相談だけであるとして申請として扱わず審査すら行わないといういわゆる水際作戦が実施されていた例が多数報告されている。

 厚生労働省が,保護を利用したいという意思の確認ができれば申請があったものとして取り扱い,実施機関の責任において必要な調査を行い,保護の要否の決定をなすべきとの見解を示しているにもかかわらずこのような事例が起こっているのである。

 改正案のとおり,保護の申請を要式行為とすれば,たとえ意思の確認ができたとしても,申請書が提出されない以上申請があったと扱わず,実施機関対応する必要はないということになり,従来の違法な水際作戦にお墨付きを与えることになる。

 この点,与野党による修正協議を経て,「保護の開始の申請は」との文言が「保護の申請をする者は」に改められ,また,但し書きとして「特別な事情があるときは,この限りでない」との文言が加えられ,現在と変わらない運用がなされることになるとの説明がなされている。

 しかし,修正後の文言によっても,保護の申請は書面による要式行為であると解釈されるおそれがある。しかも,「特別な事情」の判断は実施機関に委ねられるため,水際作戦を助長する結果を招くことになる。

 他方で,当該改正部分について,現在の運用と何ら変わらないのであれば、そもそも,このような法改正をする必要はないことになる。

 3 次に,改正案では,保護開始の決定をする際には,保護の実施機関に対して,あらかじめ,要保護者の扶養義務者に対して,通知をすることを義務付けた上,扶養義務者等の資産や収入状況等について銀行や雇用主に対して報告を求めることができる権限を付与し,また,官公署に報告を義務付けている。

 この点について,厚生労働省は,従前から,「扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い,その結果保護の申請を諦めさせるようなことがあれば,これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい。」との通知を出している。

 しかしそれでも,親族間に通知されることで生じる軋轢を恐れて,要保護状態でありながら生活保護の申請を断念する例は少なくない。にもかかわらず,扶養義務者等に対する通知が義務化され,調査権限が強化されると,要保護者の保護申請に現在よりもさらに萎縮的効果が働くことは必至である。

 4 以上のとおり,本改正は要保護者の生活保護申請権を不当に制限するものであり,到底容認できない。本会は,改正案に強く反対するものである。

 2013(平成25)年6月12日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 死刑執行に関する会長声明

 2013(平成25)年4月26日、東京拘置所において2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、本年2月25日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。

 にもかかわらず、前回執行から約2か月という短い間に連続して死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。昨年12月20日には国連総会において、全ての死刑存置国に対し、死刑廃止を視野に死刑執行を停止するよう求める決議が過去最高の111か国の賛成多数で採択されている。

 日本弁護士連合会は、2011(平成23)年10月7日に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を決議し、その中で「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」などを求めており、本年2月12日には谷垣禎一法務大臣に対して、上記事項を求める要請書を提出している。

 当会においても、本年2月9日に「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。

 このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。

 当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。

 2013(平成25)年5月15日
 岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

 死刑執行に関する会長声明

 2013(平成25)年2月21日、東京、名古屋、大阪の各拘置所において合計3名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、昨年10月10日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。

 にもかかわらず、昨年10月につづき、3名もの死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。

 国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。昨年12月20日には国連総会において、全ての死刑存置国に対し、死刑廃止を視野に死刑執行を停止するよう求める決議が過去最高の111か国の賛成多数で採択されている。

 日本弁護士連合会は、2011(平成23)年10月7日に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を決議し、その中で「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」などを求めており、本年2月12日には谷垣禎一法務大臣に対して、上記事項を求める要請書を提出している。

 当会においても、本年2月9日に「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。

 このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。

 なお、谷垣法務大臣は、法務大臣に就任して2か月足らずであり、今回の死刑執行が十分慎重に検討した上での執行であったのかも大いに疑問である。
 
 当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。

 2013(平成25)年2月25日
 岡山弁護士会 会長 火 矢 悦 治

 地方の法科大学院の存続発展に関する会長声明

 2004年(平成16年)4月に始まった法科大学院制度は、これまでに多種多様な人材を法曹界に送り出す等一定の成果をあげているが、その一方で、司法試験合格率の低迷や、法科大学院への入学志願者の減少といった深刻な課題に直面している。

 このような中で、2012年(平成24年)8月、法曹の養成に関する制度の在り方について検討を行うため、内閣に法曹養成制度関係閣僚会議(以下「閣僚会議」という。)が設置されるとともに、法曹の養成に関する制度の在り方について学識経験を有する者等の意見を求めるため、閣僚会議の下に、法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)が設置された。閣僚会議は、検討会議の意見等を踏まえつつ、2013年(平成25年)8月2日までに今後の法曹養成制度の在り方について検討を加えて一定の結論を出すものとされており、現在、検討会議においては、法科大学院の統廃合や定数削減に向けた具体的な基準案を検討することが決定されている。

 現在法科大学院制度が直面している上記問題点からすれば、法科大学院の統廃合や定数削減についての検討は避けられないところではあるが、法科大学院の地域適正配置については、最大限の配慮がなされなければならない。家庭の事情や経済的理由等で地方を離れることができない法曹志望者にも法曹になる機会を実質的に保障するためには、地方の法科大学院が必要不可欠である。また、地方の法科大学院は、地方の様々な法的ニーズに応えることのできる法曹を養成して、地方を支える人材を育成するという重要な役割も担っている。

 当会管内に所在する岡山大学大学院法務研究科(以下「岡山大学法科大学院」という。)は、これまでに岡山県内外に在住する多くの法曹志望者に対して、法曹となるための教育を受ける機会を提供してきている。岡山大学法科大学院からの司法試験合格者数は、これまでに81名に達しており、弁護士登録をした合格者の大半が当会及び近隣の地域の単位会に登録する等、地元の司法を担う人材として貢献し、のみならず、地域のニーズに対応した質の高いリーガルサービスを提供できる人材の育成にも積極的に取り組んでいる。

 すなわち、岡山大学法科大学院は「地域に奉仕し、地域に根ざした法曹」として、依頼者に共感してともに汗をかき、涙を流せるような人権感覚豊かな法曹の養成を目的とし、問題発見・事案の解決能力、地域的法実務に必要な総合的判断能力・批判能力を養成することを目指し、地域の実態や法実務を踏まえながら、「ビジネス法分野」と「医療・福祉分野」を重点的教育分野としている。

 そして、岡山大学法科大学院は、ネットワーク・セミナーなどの独自の法曹教育カリキュラムを構築し、また専門家との間のネットワークと、大学内に設置された法律事務所を活用した「理論と実務を架橋する法曹教育」の確立と充実を実行している。

 このように岡山大学法科大学院は、自らの努力によって存続を維持する決意を有しており、だからこそ当会としても、岡山大学法科大学院に対して、会員を実務家教員や非常勤講師として派遣する等の積極的な支援を行ってきたところ、地方の法科大学院の経営あるいは存立自体を現在以上に困難にする動きを看過することはできない。

 上記のとおり、岡山大学法科大学院をはじめとする地方の法科大学院は、大都市圏の法科大学院とは異なる存在意義を有している。したがって、法科大学院の統廃合や定数削減について検討するに際しては、地域適正配置という観点を軽視することがあってはならない。そこで、当会は、今後も岡山大学法科大学院を支援していくことを表明するとともに、検討会議及び閣僚会議に対して、地方の法科大学院の統廃合や定数削減を検討するに当たり法科大学院の存続発展に最大限配慮することを強く求めるものである。

 2013(平成25年)1月23日
 岡山弁護士会 会長  火 矢 悦 治

 生活保護基準の切り下げに反対する会長声明

 1 2012年(平成24年)8月10日、社会保障制度改革推進法が成立し、その附則2条において、生活保護の「給付水準の適正化」が明記され、8月17日に閣議決定された「平成25年度の概算要求組替え基準について」では「生活保護の見直しをはじめとして合理化・効率化に最大限取り組み、その結果を平成25年予算に反映させるなど、極力圧縮に努める」ものとされており、生活保護の削減方針が示されている。そして、財務省は10月22日、財政制度等審議会に生活保護基準切り下げに向けた具体的提言を行い、同審議会において、平成25年度の予算編成に向けた生活保護制度の見直しの議論が始められた。

 これらの動きからすれば、平成25年度予算編成において、政府が生活保護基準切り下げに動く可能性が極めて大きい情勢である。

 2 しかし、生活保護は憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化した最後のセーフティネットであって、生活保護基準は生存権保障の水準を具体化して「健康で文化的な最低限度の生活」を決する極めて重要な基準である。

 生活保護受給者の増加が問題視されることが多いが、実際には生活保護の捕捉率(生活保護を受給する資格がある人のうち、実際に生活保護を受給している人の割合)は2010年(平成22年)時点でも2割?3割程度(平成22年4月9日付け厚生労働省発表「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」)にとどまっている。本年になってからも札幌市、さいたま市、立川市などで餓死孤立死が相次いで発生しているが、こうした事例は生活保護を受給していれば防ぐことができた可能性が高いのである。このように、生活保護が必要な人々に行き渡っていないという現状であるにもかかわらず、生活保護受給者の増加が問題であるとして生活保護基準を切り下げて生活保護の受給にさらに厳しい要件を課すことは、本末転倒である。そのようなことがなされれば、生活困窮者を更に増大させ、あるいは、その抱える問題を更に大きなものにすることが容易に想像されるのである。

 また、生活保護基準は、最低賃金、課税最低限度額、社会保険の自己負担額の基準とも連動しており、基準の切り下げは生活保護受給者だけでなく、それ以外の低所得者層の更なる貧困化を招くことになる。

 3 このような生活保護基準の重要性からすれば、その基準のあり方については、2011年(平成23年)2月に発足した社会保障審議会生活保護基準部会における学識経験者らの専門的検討も踏まえ、生活保護受給者の生活実態も考慮して慎重に決せられるべきであって、財政目的の安易な基準切り下げがあってはならない。

 4 岡山県は、津山市出身で国立岡山療養所(現在の独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)に入院していた故・朝日茂氏が、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」「人間が人間らしく生きる権利」の保障を求めた「朝日訴訟(人間裁判)」を提起し、その後の生活保護基準の改善や社会保障制度の発展に大きく貢献した地でもあり、当会にとって、今般の生活保護基準の切り下げの動きは到底看過することができないものである以上のとおり、当会は、来年度予算編成における生活保護基準の切り下げに強く反対する。以上

 2012年(平成24年)11月21日
 岡山弁護士会 会 長  火 矢 悦 治

投稿日: 2018年2月1日